2012年3月31日土曜日

3月のこれ一本

最近は…というか毎年のように花粉的な物質のせいで眠くてしょうがない
暖かくなって体は楽に動くようになったのはいいけど、自転車乗りとしてはまだまだ辛い季節が続きますわ
などとどうでもいいネタでおっぱじめてみましたが、ホントに花粉の季節が終われば梅雨、梅雨が終われば夏の猛威…日本の四季は言い訳に都合よいのお

というわけで今月は「僕達急行」がいちばん印象に残ったかな
しょうじきクセはあるけど、この雰囲気にハマれる人にとってはかなりの良作
監督の件は残念だけどシリーズ化してほしいなあ

2012年3月29日木曜日

ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン (2005/日)

ディレクター:野村哲也
出演:櫻井孝宏 / 森川智之 / 伊藤歩 / 小林正寛 / 鈴木省吾 / 森久保祥太郎









荒廃した世界を蝕む奇病「星痕症候群」
そんな中、クラウドのことを「兄さん」と呼び、「母さん」を探し求める謎の三人組が暗躍する

はるか昔にDVDで観たんですが、その後、コンプリート版を購入して積んでたのを見つけて鑑賞しよう、と
前に観た通常版の時はしょうじきあまり良い印象じゃなかったんですが、それに30分近い新規カットを追加してさらに他のシーンも大幅にリテイクしてるってんでちょい期待したんですが…
まあ、なんというか「ぼくがかんがえたスタイリッシュアクション」なだけの作品でしたね
B級と割り切って作ってればアレですが、たぶん制作陣は本気でカッコイイものを狙って作ってたんでしょうね
ちょっと本気がすかってるかっこ悪さを感じざるえない

ストーリー的にはゲームである本編のファイナルファンタジーVII(以後FF7)をプレイしてることが大前提で進みます
キャラや世界観の大ざっぱな設定を省いて、ゲームやった人に狙いを絞ってるわりにちょっとストーリーが薄すぎる気がしないでもない
設定的な部分はいいとしても、かんじんの話が「敵が目的のために探し物をしてる」ってだけですからね
そんな中でずるずるずるずると主人公サイドが戦いに巻き込まれたり、巻き込んだりしてぴょんぴょん跳ね回ってバトってる…という印象しかない

あと気になったのがシーンとシーンのつなぎ方の粗さ
ホントに切って張ったようなシーン展開で、切り替わった時にたまに「ん?これは時系列的にちょっと前にもどったのか?いや、そうでもないのか?」と感じるところがちょこちょこありましたね
そしてもっともアレだなあ、と思ったのは「エアリスパワーを使いすぎ」
ここぞってところで1回、あっても2回くらいなら許せるけど、ピンチのたびにちょくちょくエアリスパワーで状況を打開していく様はさすがに萎える

まあ、そうは言ってもこれを観てたら久々にゲーム版をプレイし直したくなったのも事実
きょうびダウンロード販売で即プレイもできるし…
思い出は思い出のままにしておいた方がいい気もしないでもないですが

個人的評価:60点
オススメ度:どんだけ美形ばっかな世界なんだよ、と




ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン PV


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ソニー・ピクチャーズエンタテインメント (2009-04-16)
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2012年3月27日火曜日

長ぐつをはいたネコ (2011/米)

監督:クリス・ミラー
出演:アントニオ・バンデラス / サルマ・ハエック / ザック・ガリフィナーキス / ビリー・ボブ・ソーントン / エイミー・セダリス / コンスタンス・マリー / ギレルモ・デル・トロ







ある理由から逃亡生活を続けるお尋ね者の長ぐつをはいたネコ、プス
酒場で魔法の豆の情報を知ったプスは、持ち主の悪党ジャック&ジルから奪うために行動を開始する

まいった
あるていど覚悟はしてたけど、春休みの劇場内はママさん&子供で埋め尽くされてる完全アウェー状態
いつもなら数人はいるぼっち鑑賞派な人もいっさいいないしまつで、かなりきつかったわあ
まあ、そんな環境的なことはおいといて、予告を観たときに「お、ちょっとおもしろそうじゃね?」と思ってた作品ですね
しょうじきスルーしようかとも思ったていどの気になり具合だったんですが、特にやることがなくて暇だったんで観てきました

お尋ね者のネコのプスが狙った獲物、それはかつて探し求めていた魔法の豆
そんなものはないと諦めていたが、実際に手に入れた者がいてそいつが悪党だってんなら容赦なく奪ってもいいだろ、というわけで盗みに入ろうとすると同じ目的で盗みにきていた謎の黒猫と衝突して…
という感じの冒頭の流れなんですが、とりあえずこの黒猫さんとのバトルまではもんくなく画面に釘付けになるくらいおもしろい
だけどそこから…というかハンプティが登場してからおかしくなります
プスの回想からはじまり、魔法の豆の奪取からのアドベンチャーパートがなんか退屈なんですよね

なにがどうアドベンチャーパートが退屈なのか説明しづらいんですが、プスと黒猫の街中での追いかけっこのあたりは画面的にも疾走感と躍動感があって飽きない一方で、冒険シーンはなんか画面が停滞してる印象が強い
物語的には進んでるし、ところどころギャグもおもしろいんだけど…なんともはっちゃけない
ちょうどここら辺の中盤で劇場内の子供たちもいきなり体をもぞもぞしたり、意味もなく奇声をあげたりしてたんで「ああ、やっぱり退屈なのね」と思わざるえなかったですね

それでも終盤の展開はおもしろかった
ジャックと豆の木をベースにってことだったんで、ずっと単調な冒険劇が続くのかと思ったらハンプティのウザキャラが頂点をマックスで楽しかった
それでもクライマックスシーンは分かりやすくて王道なシンプルさなので、期待以上の奇をてらったラストはありませんでしたが
というか続編を意識してるんだろうけど、プスの冒頭とラストの境遇がほぼ変わらないってのはちょっと物足りないかなあ
一話完結「長ぐつをはいたネコ」シリーズの一編みたいな作りでしたね

そんな感じで完全に子供向けか、と言われればそうでもない
おっさんでもじゅうぶん楽しめる…っていうか、まあ、家族で観ろよって映画なんでしょうね

個人的評価:70点
オススメ度:金の卵のタトゥーがみたいです




長ぐつをはいたネコ 予告

2012年3月25日日曜日

僕達急行 A列車で行こう (2011/日)

監督:森田芳光
出演: 松山ケンイチ / 瑛太 / 貫地谷しほり / ピエール瀧 / 村川絵梨 / 星野知子 / 伊東ゆかり / 菅原大吉 / 三上市朗 / 松平千里 / ジュン / デイビット矢野 / 笹野高史 / 伊武雅刀 / 西岡徳馬 / 松坂慶子







大手商社で働く鉄道の風景+音楽のミックスが好きな小町、しがない鉄工所で働く鉄道の金属部品が好きな小玉
方向性は違えど鉄道好きなふたりは出会い、奇妙な友情で結ばれていく

鉄道をからめたライトでカジュアルな今どき青春&ラブストーリーコメディ…という覚悟で観てみたら「釣りバカ日誌」だった
ゆるいキャラたち、古くさいギャグセンス、挿入される珍妙なSE、気持ちいい人情話、なんともナチュラルな昭和コメディドラマな作りになってますね
「見ろ!な!?懐かしいだろ!?昭和だろ!?」みたいなおしつけがましさなく、それでいてなんか懐かしい気分にひたれます
感覚的には昭和っていうより平成初期テイストくらいの懐かしさ、かな
で、なんとも「釣りバカ~」っぽいなあ、と感じてネットで調べてみたら、やっぱりそっちの路線を意識してたみたいですね

序盤は主人公ふたりの友情がなんとなくゆるく結ばれていくさまと、それぞれのプライベートと身の回りの設定をゆるく描写していきます
で、後半は分かりやすいくらいの釣りバカっぽい展開に
登場人物のリアクションにSEがついたり、無意味に勢いまかせなギャグがあったり、こういうコントっぽいノリは個人的に嫌いじゃないですね
まあ、それがふだんはちゃんとした現実的な日常を描きつつ、急にそんなギャグ要素が出てくるので最初はとまどいましたが
序盤はホントに「どんな作品なんだ」となかなか雰囲気をつかませてくれないんですが、それでいて嫌な感じがしない妙な魅力があります

そんななんともいえない味のある作品なんですが、やっぱりそれゆえにダメな人はダメだろうなあ、と
特に松山ケンイチの演技に引っかかる人は多いでしょうね
個人的にもそうなんですが、しょうじき最初はそのひどすぎる演技に「わざとやってる…んだよね、これ」と思わざるえなかった
それが最後には作品の雰囲気にマッチしてきてクセがあるけど悪くない、と思えてくる不思議
まあ、そんな演技うんぬんについてはいいんですが、なにより問題なのは「この映画、どの層を狙ってるんだ?」ということ

若い世代が観て喜ぶようなカジュアルな作品でもないし、かといって年配の方が好むほどどっしり構えてもいない
主人公ふたりをくたびれた中年鉄オタにすれば、それこそ「釣りバカ~」を楽しめる世代向けになるんでしょうが…
年配の領域に片足つっこみつつ、じゃっかんカジュアルな作りにも対応でき、それでいて独特の雰囲気に拒絶反応をしめさない人向け…というかなり狭いとこを狙ってるとしか思えない

そんな感じで個人的にはすごい楽しめたけど、これだけは手放しで他の人にはすすめられないな、と思える一本でした
とりあえず気になった人は過度な期待をせず観てみましょう
ホントに言葉でこの作品の雰囲気を語るのは難しいッス

個人的評価:90点
オススメ度:バァイオハザァ~ドォ




僕達急行 A列車で行こう 予告

2012年3月23日金曜日

劇場版 機動戦士ガンダム00-A wakening of the Trailblazer- (2010/日)

監督:水島精二
出演:宮野真守 / 三木眞一郎 / 吉野裕行 / 神谷浩史 / 勝地涼 / 入野自由 / 中村悠一








世界が一時的とはいえ平和へと傾きつつある中、その裏で活動を続けるソレスタルビーイング
そんな中、木星より探査船のデブリが地球へ流れ着き…

TVシリーズは1期2期ともに見ていて、登場モビルスーツのデザインが好きでプラモデルまで買って作ってたキモイおっさんでした
が、そこはにわかっぷりをいかんなく発揮し、この劇場版だけは観てなかったんですね
なんだかんだで観た人による色々とよくない噂を耳にしてるうちに、なんとなく「まあ、いいかな」とスルーしておりました
でも熱狂的な00ファンと接する機会があって、TVシリーズ見てた頃の想いがよみがえってきていっちょ観てみるか、と

地球へ向かって流れてきたデブリと化した木星探査船の軌道を変えようとするも失敗
なんとか破壊することに成功するものの、大気圏で消滅するかと思われたその破片は原型をとどめたまま地表におちる
その後、落ちた破片は一部行方しれずとなり、同時に近辺で不可解な機械的トラブルが発生しはじめる
というのが序盤の流れ
まあ、ネタバレとしての展開は知ってたものの、やっぱり「ガンダムっぽくないなあ」と言わざるえない
というか00らしくもない
すでに散々言われてるかどうか知らないですが、マクロスを見てる感覚に近いですね

肝心のモビルスーツ戦シーンもよく動いていて気持ちいいくらいなんですが、じゃっかん画面がごちゃごちゃしてるかな
劇場のスクリーンを意識して作った結果かもしれませんが
あとは戦ってる相手が鋭利で無機質な金属っぽいでざいんなので、なんというか人型ロボット同士の熱いバトル感がないのが個人的にアレですね
ストーリーに関しては賛否両論(否率高め?)でしょうが、ガンダムとしてこっちの路線を描いても別にいいんじゃないかな、と
ただ敵の存在&目的の設定がありきたりすぎて「え~、いまどきそんなありきたりな設定かよ」と言わざるえない

ガンダム各機がけっこう軽い感じで描かれてる気がしない点がちょっと気になります
「どや新型や!どーん!」みたいな分かりやすい見せ場がなくて、当たり前のように普通に画面に入ってきて戦ってる感じ
特にクアンタ、わざわざ新型機として出す必要性を理解できない
別にダブルオーの追加装備で対話装置つければ済むだろ、と
あとはラストの展開ですが…これは素で「あん?」と思ってしまった
ちょっと意味が分からないし、さすがにファンタジーにまとめすぎ
インチキでもなんでも感覚として現実的なオチを期待してただけに、いろんな意味でガッカリ

そんなわけでだいたいよく言われる否定的な意見には納得できる内容でしたね
ある意味でよくここまでTVシリーズで積み重ねてきたものをぶちこわしたな、という勇気は評価できる一本でした

個人的評価:65点
オススメ度:デカルトさんとはなんだったのか




劇場版 機動戦士ガンダム00-A wakening of the Trailblazer- 予告


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2012年3月21日水曜日

大いなる陰謀 (2007/米)

監督:ロバート・レッドフォード
出演:ロバート・レッドフォード / メリル・ストリープ / トム・クルーズ / マイケル・ペーニャ / デレク・ルーク / アンドリュー・ガーフィールド / ピーター・バーグ / ケヴィン・ダン







長引くイラク戦争の中、あるTV局のジャーナリストが共和党上院議員の単独インタビューをする
議員からアフガニスタンでの極秘作戦が展開されていると聞かされ…

ザ・小粒
なんとも大作っぽい感動ドラマになる要素はあるんだけど、なんかそうでもない
報道、戦争、政治、陰謀論、それらを扱った社会システムに対するなんちゃら、って感じの内容なんですが、どうにも「よくあるその手のドラマをなぞってる」感が強くて、悪く言えば上辺だけの感動ドラマを作っちゃいました的な印象
悪くはない、退屈すぎることもない、でもそうおもしろくもない作品ですね

議員に呼び出され極秘のイラク戦争の状況をいっきに進展させる計画があると聞かされるジャーナリスト
急な作戦でアフガニスタンのある山頂へ向かう現地の精鋭部隊
成績優秀なのにめっきり出席日数が減った生徒を呼び出す先生
3つの異なる物語が進みつつ、実はそれぞれつながりがある…という話
議員とジャーナリスト、雪山で窮地におちいるふたりの兵士、先生と生徒、それぞれの物語はふたりの登場人物の掛け合いという形で進んでいきます
こういう入り組んだ感じの作品は好きなんですが、思った以上にそれぞれの関連性シンプルでわかりやすいですね

言いたいことは分かる、描きたいことは分かる、そしてこれだけの出演陣を用意して大作にする気が満々なのも分かる
だけど全体的に薄味なんですよね
とりあえず出演陣が無駄に豪華すぎて「別にこの人を起用しなくてもよくね?」みたいな役不足感がいなめない
まあ、この作品に見合うキャスティングにしたらそれはそれでかなり地味な感じになるでしょうが
でもそんな地味な見た目がふさわしいレベルの作品じゃないのかな、と個人的には感じました

そんな微妙って言えば微妙な作品ですが、なんとなく観てたら最後まで付き合っちゃった的な魅力はあります
わざわざ手に取るほどじゃないけど、機会があれば観てもいいかな…という一本でしたね

個人的評価:65点
オススメ度:先生は見る目があるのか、ないのか




大いなる陰謀 予告


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2012年3月20日火曜日

シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム (2011/米)

監督:ガイ・リッチー
出演:ロバート・ダウニー・Jr / ジュード・ロウ / ノオミ・ラパス / ジャレッド・ハリス / レイチェル・マクアダムス / スティーヴン・フライ / エディ・マーサン / ケリー・ライリー / ジェラルディン・ジェームズ / ポール・アンダーソン / ウィリアム・ヒューストン / ウォルフ・カーラー






フランスで起こった爆破事件によりドイツとフランスの間で緊張が走る
この事件の犯人に目星を付けたホームズは調査を進める

中身スカスカでもいい、前作以上にとにかくスタイリッシュな娯楽作品に特化してる内容
そんな作りがこの監督さんには合うんでしょう、とにかく「シャーロック・ホームズ」であることすら置いておいてひたすら突っ走ってますね
個人的には作品がおもしろくなるならそれでいいと思います
へたに「シャーロック・ホームズ」であることが枷になって窮屈だったり、中途半端な作りになるくらいならこのくらい突き抜けてくれた方がすがすがしい

爆破事件の黒幕を追うホームズは、同時に各地で起きている異なる事件の中心に同じ人物がいるとふんで調査していく
けして証拠となるものを残さない黒幕につながりそうなものを見つけたことで…という冒頭の展開
もう少年マンガにおけるある種の能力者としか思えないような超洞察力を駆使し、その場の情報を瞬時に収集&推理して過去から現在にいたる経緯、または現在からちょっと先の未来にいたる経緯を予測する「シャドウ(シャドウ・ボクシング的なノリで)」が見どころ
逆に言えばもう超能力的な洞察力ゆえにサスペンスやミステリーといった要素が完全になくなってますね
主人公が全自動推理マシーンなので観てる側は考える必要がいっさいありません

とりあえずミステリー要素がないホームズってどうよ?という人には向かない作品かも
まあ、前作を観てる人ならそんな要素は期待してないだろうけど、話題になったこの機にって感じで観た人は「なにこれ?ガチアクション映画じゃん」と思うかもしれませんね
あとは宿敵であるモリアーティ教授が登場するわけですが…うーん、前作のラストから引っ張ってる大物キャラのわりにインパクトがイマイチかなあ
もっとホームズを超推理合戦で叩きのめし、知的な紳士だけどどす黒く野獣のような一面をもつみたいなマンガチックなキャラかと思ってたんだけど、なんか普通の敵役でしたね
シャドウゲーム合戦のシーンは良かっただけに、ああいったのをもっと観たかった

ホームズ兄の変人っぷりも楽しいし、ワトソンの酒癖の悪さっぷりも楽しい
わきのキャラもみんなナイスなんですが、ちゃんとホームズのキチっぷりに水を差さないていどに前に出てこないバランスのよさがいい
あとは「この小ネタ、ぜったい後々にもういっかい使う伏線だろうな」と思えるところがいくつかあるんですが、そう思ってはいても「ああ、ここでもってくるか」という描き方もよかったですね

シャーロック・ホームズであることにこだわらない、スタイリッシュB級アクションであることを許容できるならかなり楽しめる娯楽作品になってる一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:こりゃ3はないな ?




シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム 予告

2012年3月18日日曜日

マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙 (2011/英)

監督:フィリダ・ロイド
出演:メリル・ストリープ / ジム・ブロードベント / オリヴィア・コールマン / ロジャー・アラム / スーザン・ブラウン / ニック・ダニング / ニコラス・ファレル / イアン・グレン / リチャード・E・グラント / アンソニー・ヘッド / ハリー・ロイド / アレクサンドラ・ローチ / マイケル・マロニー / ピップ・トレンス / ジュリアン・ワダム / アンガス・ライト





思ったより地味~作品でしたね
うん、感動するというか心動かされるところも特になく、地味な内容にうとうとしているとたまに爆発音で目が覚める…みたいな感じ
サッチャーさんの政治家時代をかいつまんで描く本編の伝記パートが本気で壊滅的に退屈すぎる
一方で若かりし頃とか年老いた現在、プライベートな部分の描写はおもしろい
というかマーガレットよりデニスの方が良キャラなんじゃねえの、という気がしないでもないですね

夫の幻影と老後を生きるマーガレットさん
その中でふいに過去の鉄の女時代がフラッシュバックしてきて…という感じなんですが、序盤の細かく刻んでくる過去の描写とおちゃめな旦那さんとの苦しくもやりがいのある日々っていう作りは楽しめました
それとは対称的にどこか枯れつつも思い残したものがある感じのもやもやした老マーガレットの姿がいい
個人的にはおちゃめな老人の描写が大好きなので、これは当たりかと思ってたんですが…

本格的に政治家としての活動が描かれ始めると急に眠たくなってきます
オーソドックスに女性ゆえに苦労した点とそれを乗り越えていく様、そして素敵な旦那との行き違いや楽しい日々、家族とのあれこれ、という政治活動の裏の面をもっともっと観たかったかな
マフラーをしないで出かける旦那さんとか、プロポーズのシーンとか、ドライブ中に実は党首に立候補するか考えてたんだよってシーンとか、そういったプライベートな部分の方がおもしろい
政治的な描写でも女性ゆえにバカにされるシーンの方が後々の成功ゆえに楽しめる
ラストの靴の描写とか、ホントにその路線で作ってくれればよかったのに

マーガレットさんの演技分けは見応えあるけど、それだけって感じな一本でした

個人的評価:60点
オススメ度:伝記ものとしても人間ドラマとしても中途半端




マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙 予告

2012年3月15日木曜日

ヒッチャー (1985/米)

監督:ロバート・ハーモン
出演:C・トーマス・ハウエル / ルトガー・ハウアー / ジェニファー・ジェイソン・リー / ジェフリー・デマン








ハイウェイを走るジムの前に現われたヒッチハイクの男
ジョンと名乗ったその男は傍若無人にふるまい、やがてジムをナイフで脅し始め…

どうなるんだ、どうなるんだとハラハラの末の「え?」って感じの作品でした
鑑賞後にちょっと調べてみたら、この不条理を楽しむ映画らしいですね
ふだんなら嫌なもやもや気分でつばを吐きたくなるようなオチなんですが、この作品は不思議と「これでいい」みたいな気がしないでもない
うん、いわゆる雰囲気映画なのかな

雨のハイウェイでひろったひとりのヒッチハイクの男
いちいち癪に障るふてぶてしい態度のその男に嫌気がさしてきた頃、いきなり男はナイフを取り出して主人公を脅し始める…ってのが導入部の展開
しょうじきこのノリで限定空間におけるシチュエーションホラーみたいな内容なのかな、と思っていたら…
けっこうスピーディに話も場面も展開していき、最初に感じたサスペンスホラーみたいな印象はどんどん薄れ、わりとアクションの要素が強いことが分かってきます

軟弱そうな主人公がどんどん最悪の状況に陥りながらも、時にヒッチハイクの男に助けられながらもそれを乗り越えていくうちにたくましくなっていく
ヒッチハイクの男も主人公を罠にはめたり助けたり、生かさず殺さずなギリギリのラインでじわじわと追いつめてくる
最初はその意味についていろいろと自分なりに考えながら観てたんですが、話はどんどんふたりの男の戦いみたいになっていってサスペンステイストは完全になくなります

それでも気になる箇所は多々あるのも事実
いつの間にかバーガーに紛れ込んでた指、いつの間にかポケットに忍ばせられていたナイフ、ピンポイントで追跡してくるヒッチハイクの男、なぜか全面的に主人公を信じるヒロイン、そもそもヒッチハイクの男が主人公を狙う理由が分からない
こう書いただけでもけっこう穴だらけなんですが、ちょっと気になりはするけど「まあ、いいか」と思えてしまう不思議な空気感がこの作品にはあるんですよね

とにもかくにもヒッチハイクの男のキャラが強烈すぎてたまらなく素敵な内容
流れるように次々に場面も展開していくので飽きることはなく最後まで観れた一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:個人的な印象はなんとなく「ディセント」に近い




ヒッチャー 予告


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2012年3月13日火曜日

ウェイキング・ライフ (2001/米)

監督:リチャード・リンクレイター
出演:ワイリー・ウィギンズ / イーサン・ホーク / ジュリー・デルピー / リチャード・リンクレイター / ローレライ・リンクレイター / トレヴァー・ジャック・ブルックス / チャールズ・ガニング / ビル・ワイズ / アダム・ゴールドバーグ / スティーブン・ソダーバーグ / ガイ・フォース / スピード・レヴィッチ / グローヴァー・ギル






ある列車の中で目覚めた男はある駅で降りてボートカーに乗り、同乗していた男に見知らぬ場所でおろされる
そしてそこで車にひかれ、再び見知らぬ場所で目覚め・・・

うーん、これはなんというか「難しい」わあ
最初は刻々と揺れる画面演出とシーンごと人物ごと、または瞬間瞬間で変わるアニメーションのタッチという映像表現を楽しむもの、と思ってたんですがそうでもない
会話が洪水のようにあふれていてそのすべてを受けようと思うと、個人的にけっこうきつくって眠気が襲ってくる
つまりどういう映画かというと説明はしづらいんですが、短編で短くまとめてくれたらうれしかったという印象が強いのは確か

場所や人物がとりとめなく入れ替わり、主人公の男はそこで目の前の人物の哲学的な思想的な演説を一方的に聞かされる
時には見知らぬ者同士の会話を自分抜きで聞かされる
本当にその言葉は洪水のように押し寄せてきて、同時に目を引く独特のアニメーション表現に気を取られる
そんな見た目に気を取られていると会話から取り残されてしまう感じ
けっこう難しいことを言う人ばかりなので頭の回転がよくない私はついていくのが難しかったですね
というかほぼ理解できてない

それでも最後にはなんとなく「こういう話なのかあ」と分かる作りにはなってるので安心といえば安心かもしれません
だからといってすべてを理解できた、とはぜったい言えないですけどね
まあ、とりあえずラスト20~30分くらいを注意して観ておけば「ああ、そうね」くらいは分かるんで、あとは斬新な映像表現な作品としてとらえてもいいんじゃないでしょうかね
ダメですかね
おそらく、たぶん、きっとこの作品の会話にはすべて意味があって、それをきちんと理解できればかなりおもしろい内容・・・なんじゃないのかな

個人的評価:65点
オススメ度:じゃっかん観てて酔いそう




ウェイキング・ライフ 予告


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2012年3月11日日曜日

スクライド オルタレイション QUAN (2012/日)

監督:谷口悟朗
出演:保志総一朗 / 緑川光 / 田村ゆかり / 山崎たくみ / 永島由子 / 倉田雅世 / 高田裕司 / 津久井教生








カズマと劉鳳の激突によりロストグラウンドは再隆起現象がおきてしまう
同時に行方不明になってしまったふたりを計画のために必要とする無常はその消息を追う

そんなわけでいちおスクライド愛を見せてやろうじゃねえの、って感じでイベント上映に乗り込んできました
まあ、なんというか結論から言えばTV版をおとなしく全話視聴した方が幸せになれるかもね
とりあえず前編以上に編集がひどくて、カットのつながりがぎくしゃくしているシーンが多々ある(特に序盤)
そして前編以上にスクライド未見者を完全に置いてけぼりな描写が多い
TV版未見者が予習として前編を観たとしても、ちょっと完全についていくには厳しいでしょう

カズマ関係のエピソードに力を入れてるのは今作も同じで、逆に劉鳳関係のシーンが雑な気がしないでもない
TV版のファンとしても「あれ?あのセリフ、あのカット、あのシーンないの?」と思うところもけっこうありますが、そこら辺は時間の都合上しかたないところもあるのかなあ
でも劇場で終演後にけっこうなファンがグチってるのを聞くと、やっぱりみんな不完全燃焼なのかな、と
劉鳳の記憶喪失から復活のくだり、劉鳳とジグマールの顛末あたりに不満が集中してた感じ
個人的にもそこら辺のカットによる不満っぷりは同意

一方で前編では感情移入しづらかった名シーンですが、今作ではカズマさん関連の名シーンはけっこう観てて普通にグッとくるものがあったのはよかったですね
ビフくんとのラストバトルだけはアレでしたが
あとはやっぱり追加のエピローグシーンですかね
これは観る前から「どんな感じでラストを濁して終えるのかな」と思ってたんですが、いや、実際はけっこうストレートに濁さず終わってて意外でした

そんなエピローグですが、これもある意味で賛否両論じゃないのかなあ
個人的にはじゃっかん「ひよってる」感がするというか、スクライドって「そんな柔なもんじゃねえだろ」というか・・・
まあ、熱狂的なファンが観れば不満があるのはしかたない作品ですが、もうちょっと「観てよかった」感がほしかったですね

個人的評価:70点
オススメ度:イノウくんの結末のノリは好きだ




スクライド オルタレイション QUAN 予告

2012年3月10日土曜日

プリズン・フリーク (2006/米)

監督:ボブ・オーデンカーク
出演:ダックス・シェパード / ウィル・アーネット / チ・マクブライド / デヴィッド・コーチナー / ディラン・ベイカー / マイケル・シャノン / ミゲール・ニノ / ジェイ・ウィッテカー / エイミー・ヒル / デヴィッド・ダーロウ / ジョセフ・マーカス / ニック・ファレン / A・J・バランス






刑務所の常連の小悪党ジョンは3度目の出所後、因縁のある判事に復讐を計画する
しかし当の判事は数日前に亡くなっており、代わりにその息子をはめて刑務所送りにし…

中のちょい上
いわゆる良い意味でも悪い意味でもない本当に普通におもしろい作品ですね
観て損はしないんだけど、かといってわざわざ自発的に鑑賞する行動にでるほどじゃない
TVなんかでやってて、たまたま時間が合って観たら「ふーん、おもしろいじゃん」てな感じ
コメディの質的にも抜きんでたところはないけど、展開のテンポもいいし退屈はしないです

出所したジョンが因縁の相手である検事に復讐しようとしたら死んじゃってて、その矛先を息子に向ける
ジョンの罠にひっかかった息子のネルソンもけっこうな嫌われ者であったこともあって、周りからあっさり見限られて刑務所に入れられることになる
そんなネルソンを追ってジョンはあえて再び刑務所に入り、前知識のあることを利用しておぼっちゃんなネルソンにちくちくと嫌がらせをはじめる…というお話
全体的にノリが軽いので痛々しいシーンですらカラッとあっさり風味で描いてるので、観ててもそんなに気分が重くなることはない

刑務所における理不尽な暴力と尻穴ネタがメインになってるわけですが、どうにも黒人グループのトップがリーダーっぽく見えないのはどうなん?な気はするけど、まあ、そんな細かいことは気にしないのがアレなんでしょうね
最初は前向きにがんばってるネルソンだけど、だんだんと露骨に罠を仕掛けてくるジョンの策に疲弊していき…と、そこからはお決まりというかなんというかちょっとした展開があるわけで
しょうじき話の流れに目新しいところはないんで、そう真剣に見入ることもないでしょう
とにかく軽いノリに身を任せて楽しめばいいじゃない、という一本ですね

個人的評価:70点
オススメ度:ビーダーマン3世は問題児を育てる能力者




プリズン・フリーク 予告


プリズン・フリーク [DVD]
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2012年3月8日木曜日

アモーレス・ペロス (2000/メキシコ)

監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
出演:エミリオ・エチェバリア / ガエル・ガルシア・ベルナル / ヴァネッサ・ボーシェ / ゴヤ・トレド / アルバロ・ゲレロ / ホルヘ・サリナス / マルコ・ペレス / ロドリゴ・ムライ / ホセ・セファミ / ルルデス・エチェバリア / グスターボ・サンチェス・パラ







重傷の犬を車に乗せ、何者かに追われながら街中を暴走する若者ふたり
交差点で事故を起こすのだが、そこに居合わせた3人にはそれぞれのドラマがあり…

愛と犬をテーマにした3つのオムニバスストーリーですね
ちょっと思ってたのと違って「ん?」って感じにはなりしたが、けっこうガツンとくるインパクトは大きな作品になってます
どこまでも先が暗くて、明るい展開になっていても観ててなんともいえない暗い不安感をおぼえる内容
そんな重さを楽しむ作品、なのかな

とりあえず第1の話の主人公であるオクタビオの存在が鑑賞早々に強烈に印象に残ります
あどけない見た目に強く意志の力を持ち、チャーミングだけどねじまがってる…いやあ、ホントにいいキャラだわ
粗暴で本能のままに生きてるようなオクタビオの兄との対比、そしてそんな兄嫁に想いをよせる弟くん
どうしようもない兄に優等生の弟くんが自分なりのやり方で立ち向かい、兄嫁を暴力夫から助け出したい…というのが表面上の話の展開
でもまあ最後まで観れば分かりますが、そんな単純なものじゃない「ねじまがってる感」がおもしろい

第2の話は不倫モデルさん
こういうオムニバス系では構成的に不遇なのが2番目のエピソードなわけで
信号機の黄色みたいになくてはならないんだけど、どうにも軽視されちゃうって感じの薄味でちょっと毛色が異なる印象
不倫関係ながら幸せそうなカップルなんだけど、思いも寄らない方向からふたりのバランスが崩れていくのがみどころ
なんともいえない床下の不気味さがいいアクセントになってはいるんだけど、観た後に「うん、別に特に思うところはないね」と感じずにいられません

そして第3の話は老殺し屋のお話
しょうじきこのエピソードは第1の話を受けての、って感じの展開を楽しむ内容ですね
オクタビオたちのその後的な結末を含めているんですが、それだけに第2の話のいらない子っぷりが気になってしかたない
個人的には犬つながりの展開が「ああ、そうくるのね」って感じでおもしろかったですね

でもこの映画、3つの異なる話が1つにつながった時、そこに隠されたものがみえる…というトリッキーな作品じゃなかったのが個人的にちょっと「ん?」と感じたポイント
それぞれの話の中で別エピソードの登場人物たちの物語も進んでいて、なんか最後にすごい結びつきでもあるのか、と期待してると肩すかしくらいますね
あくまで3つのオムニバスストーリー
なんかつながりそうでそうでもない独立した3つの話でしかなかったのがちょい残念

個人的評価:75点
オススメ度:どれもこれも最後には絶望感しかない




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2012年3月6日火曜日

原潜vs.UFO 海底大作戦 (1959/米)

監督:スペンサー・G・ベネット
出演:アーサー・フランツ / ディック・フォラン / ブレット・ハルゼイ / トム・コンウェイ / ポール・デュボフ / ボブ・スティール / ヴィクター・ヴァルコニ








北極の海路が開拓された時代、とつじょとしてその海域で原因不明の事故が相次ぐ
その事態の原因を究明するために最新鋭の原子力潜水艦タイガーシャークが現地に向かう

出た、久しぶりのVSシリーズ
いやあVSものの歴史は古いもので1959年にはもうあったんですね
しかも原潜とUFOッスよ、いや、あえて繰り返すけど原潜とUFOッスよ?1959年に、ッスよ?
いやあ、当時の人ってセンスあるわあ

なんか北極で奇妙な事故が続くんで原因を突き止めてこいや→なんらかの意図が感じられる→宇宙人のしわざだな、という突拍子もない推論が的確に真実を言い当ててる展開に素敵さを感じずにいられない
現代の作品なら「宇宙人とかねーよ」という前置きだけで30分は真実にたどりつくまで時間をかせぐでしょう
しかし昔の映画にでてる人たちの勘はすさまじいほどにピンポイントで事の真相をつきます
前戯とかいらないぜ、という常に全力疾走するスタンスは素敵です
なぜ海の中にUFOがという疑問すらあっという間に解決してしまう超絶推理力

しょうじき原潜のクルーに微妙な人間模様があるんですが、まあ、そこら辺はどうでもいい感じ
めんどくさい描写はナレーションで「~ということがあったとさ」ですっ飛ばし、おせじにもすごいとはいえない特撮レベルの表現、全体的に微妙さが漂ってますね
でもそういうのを期待してこの映画を観る人はいないでしょうから、まあいいか
でもとりあえず感心できるのはエイリアンの描写をキチンとあらわしているところです
どこぞのねらわれた的な金星人と違い、ちゃんと作ってあってびっくり
もっといい加減なアレかと思ってたけど、敵の姿をちゃんと作ってあるのはいいですね

UFOがでかいんだかちいさいんだか、原潜がでかいんだかちいさいんだか、なんか統一感のないディティールが気にならないでもないけど、そんなことを気にするような素敵っぷりの小さい作品じゃないんで、これ
魚雷がダメなら体当たりだぜ、という短絡的でご都合主義のかたまりな展開を楽しむ映画ですね

個人的評価:60点
オススメ度:微グロシーンもあるよ




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2012年3月4日日曜日

ヒューゴの不思議な発明 (2011/米)

監督:マーティン・スコセッシ
出演: ベン・キングズレー / ジュード・ロウ / エイサ・バターフィールド / クロエ・グレース・モレッツ / レイ・ウィンストン / エミリー・モーティマー / ヘレン・マックロリー / クリストファー・リー / マイケル・スタールバーグ / フランシス・デ・ラ・トゥーア / リチャード・グリフィス / サシャ・バロン・コーエン






1930年代、フランスのある駅で食べ物などを密かに拝借しながら暮らす孤児のヒューゴ
亡き父の遺した機械人形を修理するために駅構内のおもちゃ屋で盗みをはたらくが…

観る前から映画愛がなんたらってふれこみがある作品だけに期待して鑑賞しました
だけど駅で暮らす機械いじりが好きで死んだ父親の遺した機械人形を修理する主人公の少年と、駅で機械仕掛けのおもちゃを売る老人のあれこれという話の流れからどう映画愛につながるのか不思議でした
まあ、そこら辺は観てるうちにうまくまとまってくるので鑑賞後の違和感はありません
というか機械と手品と映画がこうもうまく溶け合う内容になってることに驚きですね

盗みをはたらいた先のおもちゃ屋に見つかってしまい、なおかつ駅の公安官にまで目を付けられてしまった主人公のヒューゴ
だいじなノートをおもちゃ屋の老店主ジョルジュに取り上げられてしまい、盗みの代償とノートを返す前提として機械いじりの腕をかわれて店の手伝いをさせられる
そんな中でジョルジュと共に暮らす少女イザベルと出会い、また機械人形の修理も順調に進み…という流れ
とりあえずまず感じるのがなめらかなカメラワーク
まるでワンカットのアニメーションを観てるように自然な感じで撮られてます

そして作品じたいが持つ雰囲気
これが最高に良い感じで、おっさん的に懐古的なものを感じずにいられない「昔ビデオで観てた映画作品」みたいなどこか懐かしい雰囲気に包まれてます
懐かしい、んだけどそれでいて新しい…なんとも陳腐な表現ですが個人的にそうとしか書き表せない
また映画のはじまりをリスペクトしてる部分が強い話なんですが、特に映画に関して蘊蓄がなくてもじゅうぶんに楽しめる
「映画愛が~」とか言いつつも小難しいところはいっさいありません
全体的にコミカルな作りではあるんですが、そのなんとなく子供向けっぽい邦題に似合わずどっちかといえば中年以上の年齢層向けな印象が強いですね

総じてかなり楽しい作品なんですが、もうちょっとヒューゴとジョルジュの絆っぽい部分を深く描いてくれてもよかったかもしれません
「信じていたのに」とか言われても「え?そんなに絆深まってたんだ」とちょっとひっかかりを感じました
駅で行き交う人々を優しく丁寧に描いている作りはいいんですが、メインであるジョルジュまでもじゃっかんその他おおぜいに埋もれてしまってる感がしないでもない

と、そんな感じでちょっとクリスマス映画っぽい感もあるけど、まったりと観るには最適な一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:ある意味で犬映画でもある




ヒューゴの不思議な発明 予告

2012年3月1日木曜日

アイリス (2001/英・米)

監督:リチャード・エアー
出演:ジュディ・デンチ / ケイト・ウィンスレット / ジム・ブロードベント / ヒュー・ボーンビル / エレノア・ブロン / アンジェラ・モラント / ペネロープ・ウィルトン / シオバン・ヘイズ / ジュリエット・オーブリー / サミュエル・ウェスト / ティモシー・ウェスト / ジョーン・ベイクウェル / クリス・マーシャル






作家のアイリスは愛する夫と暮らし、年老いてなお執筆を続けていた
しかしある日、彼女にアルツハイマーの症状があらわれ…

個人的になんか好きな老人もの
そのすじのエキスパートが必要なスキルを失う事態におちいる、という設定に新しいものはないけど主人公であるふたりの老夫婦をみてるだけで楽しめる作品ですね
闘病ものと単純にくくれるような作品でもなく、状況はかなり深刻だけどけっこうコミカルに描かれてるところもあります
現在の老夫婦パートの物語と同時に過去のふたりの物語が平行して描かれていく作り

知的でユーモアもあって魅力的なアイリス
そんな彼女のことがいつになっても大好きな夫が幸せに暮らしている中、突如としてアイリスにアルツハイマーの症状があらわれ…というお話
序盤の活発的なアイリスの描写があるのが後々の展開に重くきいてきますね
そして現在の物語のシーンにシンクロするように描かれる過去の描写、これもまたうまい
日本の同じような老人の闘病ものはじとじとなしめって冷たい展開が多いけど、ホントに海外の作品では温かみが感じられるのが多い気がします
この作品では温かさにプラスして作風が重くなりすぎない作りになってますね

状況だけみればどんどんひどくなってるんだけど、あんまりそう感じさせないようにあえて作ってる感じ
そして過去のふたりのロマンスもところどころに挿入され、アイリスという人物が分かってきたところで…っていうふうな流れですね
そんな重すぎない物語はそれはそれでいいんですが、もうちょっと「泣かせ」にはしってもよかったんじゃないかな、と
大泣きはしないけどほろっとジーンとくる話っていうのが個人的に好きなんですが、この作品はじゃっかんほろっとくるよりニュートラルによってるポジションかな
もうちょっとで感情的にゆさぶられるんだけど、そこまでいかない
かといって特になにも感じないってわけでもない
うまく言えないけどそんな感じ

しょうじき記憶には残りづらいけど「普通に面白い」一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:楽しいだけでもない。辛いだけでもない




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