2010年2月28日日曜日

2月のこれ一本

2月も終わり
こうしておっさんは日単位から月単位、年単位でルーチンワークを続けていくわけですが
そんなこんなで今月はあんまりこれっていう映画がなかったのが残念
あえていうなら「恋するベーカリー」
ロマンス部分よりコメディ部分が面白いってことで
おっちゃんとおばちゃんのイチャつきっぷりが、ホントにもう楽しかった
みんなもwebカメラ買ってセックスアピールしたらいいよ

MW (2009/日)

監督:岩本仁志
出演:玉木宏 / 山田孝之 / 山本裕典 / 山下リオ / 風間トオル / デヴィッド・スターズィック / 鶴見辰吾 / 中村育二 / 半海一晃 / 品川徹 / 石田ゆり子 / 石橋凌


ある島の住人が虐殺される中、なんとか逃げ延びた二人の少年
それから年月が過ぎ、タイで日本人女性の身代金目的の誘拐事件がおこる

けっこうな酷評が多い実写映画版ですが、個人的にはそう悪いもんでもないかな、という印象
原作は未読ですが、「カイジ」の時も書いたようなそうでもないような気がするけど、原作は原作、映画は映画でいいじゃない
個人的にはどっちかというと原作べったりで映画として成立してない「原作ファン向け」の方がおもしろみを感じません

序盤のタイ市街でのおっかけっこはしょうじきタルい
迫力がないわけじゃないけど、なんとなく単調な感じがしないでもないんで
でも結城が誘拐した娘を父親に引き合わせるくだりで「ちょっと面白いかも」と思いましたね
この主人公がダークヒーローというか良心の呵責うんぬんない悪そのもので、作品的に悪VS悪という感じが楽しい

そこからさすがに良心代表ってことで、結城の相棒ともいえる賀来が出てくるんですが、この男が本当に最後までよく分からなかった
結城と賀来の間にある絆的な二人を結ぶものがなんなのか、そりゃ恩人とか後ろめたさって理由が賀来側にはあるけど、結城側から見たら賀来はどんな男だったのかな
利用しようとしての関係としても、途中で賀来が電話して以降は結城としても利用価値がなくなってると思うんですが…よく分からない

作品的にかなり大ざっぱで、謎が謎を呼ぶようでそうでもなく、頭脳戦が展開されるようでそうでもない
MWの謎についても、真相を知った者を消すのは分かるけど、人が消えれば証拠が消えるわけないのは深く考えずとも分かるのに、物的な方は放置したまんまだし
重要施設にはあっさり侵入しちゃう上に米軍はふぬけそろい、そのクセに日本の刑事さんがしゃしゃりですぎ勘がよすぎ

ラストもそうなるのは分かるけど、もっと悪者どうし食いつぶしてあってフィニッシュとか、もうちょっと因果応報みたいな終わり方でもよかったかなあ、と
こういうラストからしても、じゃっかん微妙にわずかながら中二病くささがしますね

個人的評価:60点
オススメ度:玉木宏ことたまきんの姿勢の良さは異常




MW 予告

2010年2月26日金曜日

パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々 (2010/米・カナダ)

監督:クリス・コロンバス
出演:ローガン・ラーマン / ピアース・ブロスナン / ユマ・サーマン / アレクサンドラ・ダダリオ / ブランドン・T・ジャクソン / キャサリン・キーナー / ショーン・ビーン / ケヴィン・マクキッド / スティーヴ・クーガン / ジェイク・アベル / ロザリオ・ドーソン / ジョー・パントリアーノ / メリーナ・カナカレデス / ディラン・ニール / コンラッド・コーツ / ステファニー・フォン・フェッテン / オナ・グローアー / ジュリアン・リッチングズ / ボニータ・フリーデリシー


全能の神ゼウスの稲妻の力が盗まれた
その嫌疑をかけられ刺客を送られるポセイドンの息子パーシーだが、彼は稲妻のことを含め自身の立場や父のことを知らされずに普通の人間として暮らしているのだった


しょうじきスルーしようかと思ってたんですが、とりあえず観ずに作品についてうんぬん言うことはできないってんで鑑賞
というのもどう考えても子供向けなファンタジーって雰囲気だし、「ハリー・ポッター」シリーズを観たことない・・・というか興味がないんですね
そんな私が楽しめるのか、おっさんが子供向けなファンタジーに耐えうるのか、という感じで
結論から言えばイエス。けっこう満足して楽しめました

モーニングの割引サービスが吹き替え版だけだったのと、個人的に「吹き替え、字幕どっちが映画を楽しめるのか?そんなの観たい方で観ればいいじゃん」ってスタンスなので、この作品に関しては特にこだわりはないということで吹き替え版を
まったく関係ないですが、ほら、たびたび映画館に通ってると割引とかそういうのひじょうに助かるんですよ
世の中、金やで

ということでパーシーさん
冒頭からゼウスの中の人の声が、某オリンポス系アクションゲーのハゲの中の人の声だったのが個人的にはおもしろかった
いや、そこまで狙ってるとは思えないけど、皮肉をこめてキャスティングしたならグッジョブと言わざるえない
で、こういった子供向けファンタジーみたいな映画だと、導入パートをくどくどと丁寧すぎるほどに描いて、なかなか本題に入っていかないのにイライラする・・・という印象だったんですが、この作品は違いましたね
日常風景の描写はありますが、すぐにクリーチャーがパーシーを襲い、本題である稲妻を盗んだうんぬんの事件に巻き込まれていきます

かなりアクション性が高く、ドラマ性が薄いライトで乱暴なノリで突っ走るファンタジーなんですが、これが個人的には良い感じでおもしろかったですね
幻想的で美しい世界&まがまがしくも神秘的なクリーチャーがいる「世界を楽しむ」系じゃないです
テンポもかなり早く、次から次へと場面が変わってファミコン世代のファンタジーRPGをさんざんやってきた身としてはおなじみのクリーチャーが続々出てくるだけでもおもしろかった
わざわざ「これは○○だ!」と名前を出されなくても、「お、○○か」とクリーチャーの名前が出てくるから困らない

中盤のドラゴンボール探しとか、これはけっこうダレる展開かと思いきや、最初から最後までノリと勢いで押してくれるので飽きることなく楽しめましたね
それでも子供向けは子供向け、おっさん的にはちょっと受け入れるのがためらわれるシーンがあるのも確か
パーシーのお母さんがムニャムニャっとなった数分後のシーンでは、お母さんのことなんかなかったような態度でパーシーが気になる女の子を鼻を伸ばしてチェックする所とか、ね
あとは地獄の描写があまりにアレで、もっとハデス系の話は観たかった
さらにすべての真相を知ったパーシーが己の無実を証明するために言葉で説明するんですが、偉い神様たちは「なぁんだ、そうなんだあ」と疑うことなくあっさり納得するのもどうなんですかね
もっとイチャモンつけてなんかもうひと展開あっても、な気がしますが・・・まあ、そういうもんだと大人な心持ちを抑えて観てあげる優しさが必要です

ノリと勢いにまかせ、深いことをいっさい考えずにいられるならけっこうな良作
逆に子供だましはぜったい許せないという人は「ふーん」ていどの作品
ただ言えるのはCMでやってるような「父親が息子のために書いた…」とかそんな感じの感動作品じゃねえから、これ
どっちかというと劇中の神やデミゴッドとか以外の普通の人間は、見方によってはゴミのような扱われっぷりでしたね(石像をためらわずに壊す、ベガスから自分たちだけ脱出、最後の冷蔵庫のさすがに洒落にならない仕返しなど)
そんな感じで、ほら、たまには頭をからっぽにしてゆるい気分で観るのもいいじゃない
内容うんぬんとかどうでもいい、娯楽映画としてはよくできてると思うんで

個人的評価:85点
オススメ度:パーシーは意外とワイルドボーイ




パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々 予告

2010年2月24日水曜日

デス・サイト (2004/伊)

監督:ダリオ・アルジェント
出演:ステファニア・ロッカ / リーアム・カニンガム / クラウディオ・サンタマリア / フィオーレ・アルジェント / ミア・ベネデッタ / アントニオ・カンタフォラ


警部補のアンナのところにきた謎のEメール
それはプレイヤーと名乗る人物から、誘拐した人質の命を賭けたオンラインポーカーゲームへの誘いのメールだった

これはなんというか…どういったらいいかよく分からない不思議な作品でしたね
B級クソ映画であることは間違いないんですが、作りが妙にこなれてるわりに乱暴で全体的に軽々しく、パッとみはメジャー作品としてのB級っぽくも感じるけど明らかにクソB級という、なんとも言いようのない感じ
おっさんらしく野球で例えると、二軍のエースみたいななんとも言えない作風

最初は警察的に「ふざけたイタズラ」と判断されて、しかし実際に被害が出てから本腰を入れていくという流れ
そんな中でアンナははみだし警察官とコンビを組みつつ、ベッドではラブをメイクする仲になり共に捜査することに
ポーカーゲームの得意な少年を勝負に利用したり、そんな少年があっさり勝ったかと思ったら普通に人質が解放されたり、なんとなく犯人との頭脳戦かと思いきやそうでもないから困る

演出やカメラワークがいかにもB級臭いけど、死体の描写だけは力入りすぎ
そんなエグイ死体をずっと見せてくれなくていいから
しょうじき終盤まではつたないストーリー展開のわりに死体がインパクト強くて、どういうスタンスでこの映画を観ていっていいかちょっと考えざるえない
その終盤が個人的に楽しかったですね
それまでの流れをいっさい無視したアホっぽい展開…大好物です
その前の二つの扉の所でじゃっかん壊れかけてた話が、完全に斜め上に飛び出したようなアホなクライマックスにB級心をくすぐられます

被害者の死体に残されたカード、非道なポーカーゲーム、それらをふまえた犯人の動機が明かされた時に観た人ほとんどが思うのは「いや、その動機ってこれまでの事件と関係あんの?」
最後の最後こそ頭脳戦、心理戦、かと思いきやグダグダな最終局面とか素敵です
そしてなんともいえない終わり方を含め、ホントにクライマックスから一気にアホっぽい素敵展開になるのが楽しくてしょうがなかったですね
絶対にオススメはできないですが

個人的評価:50点
オススメ度:律儀で姑息な犯人とか新しい…のか?




デス・サイト 予告

2010年2月21日日曜日

アルマズ・プロジェクト (2007/米)

監督:クリスチャン・ジョンストン
出演:イワン・シュヴェドフ / イナ・ゴメス / ジェームズ・バブソン / ギデオン・エメリー / イゴール・ショイフォト / アレクサンドル・セルゲイエフ


ロシアの宇宙ステーション、アルマズ
その買い手が現れ、実際の状態を見るために視察団がステーションを訪れるが、原因不明のアクシデントが続くのだった

ノイズばりばりな手持ちカメラに船内&船外映像で構成された疑似ドキュメンタリーもの
ようするにこれってフィクション?ノンフィクション?とあれこれ議論させるのが目的、ってのがみえみえすぎて「そんな姑息な手にひっかかるか、あほうめ」と言いたい
なんとなく「4th kind」に似てるけど、こっちのがかなり乱暴なデキ

視察にきた面々が到着するや機器のトラブル、船員の謎の体調不良、外宇宙から送られてきた謎の信号、それらがどんどん悪化していって、やがて人間関係にも亀裂が入りはじめる、と
そんな中でアルマズの乗組員は視察団にはぜったいに言えない軍事的な秘密も抱えており、それが枷となって状況を安易に解決する方向にもっていけず泥沼状態におちいっていく
こう書くと閉鎖された空間での謎めいたパニックものみたいな感じもしまずが、固定カメラとハンディカメラでノイジーな映像をドキュメンタリー風な機械的な視点で見せられるので、しょうじき飽きてくる…というか同じような画面ばかりで眠くなってくる

それでもやっぱり「なにが起こってるんだ」という部分が気になって観ていくと、見たこともない病状や、ありえない船内トラブル、見えないなにかの存在によって死人がではじめて、ますますオチが気になってきます
そうこうしてるうちにアルマズ側の秘密と視察団側のぶっちゃけどうでもいいかなって感じな秘密が明かされます
どうでもいい、と思えるのもこの船内で起きていることの真相とはあんまり関係ないからですね
どんどんとカオスってくる状況、よく分からない映像の断片が出ては消えて…で、結局は、その、なんというか…思わせぶりな感じのまま真相については一切わからずじまいってのはどうよ?

トロイの木馬っていう発想はおもしろいし、それを受けてデビルマン的に観てる側に「他人事だとおもっちゃだめよ」というような展開もよかったと思うですが、マジでもうちょっとはっきりとした何かを説明しようよ
って、わけでこういうあざといほど「踊らせる気まんまん」な作品を観ると、逆に「ぜったいにブラックボックスについて考えてやるもんか。バーカ!バーカ!」と思わざるえない性分です

個人的評価:30点
オススメ度:2012年ネタはけっこうです




アルマズ・プロジェクト 予告

劇場版 天元突破グレンラガン 螺巌篇 (2009/日)

監督:今石洋之
出演:柿原徹也 / 小西克幸 / 井上麻里奈 / 福井裕佳梨 / 伊藤静 / 斎賀みつき / 谷山紀章 / 佐藤利奈 / 植田佳奈 / 阿澄佳奈 / 本田貴子 / 中村大樹 / 小野坂昌也 / 玄田哲章 / 檜山修之 / 池田成志 / 上川隆也


人間を地下へと押し込めていた元凶であるロージェノムとの決戦にのぞむ少年シモンと仲間たち
ドリルを武器に戦う巨大ロボット、グレンラガンを駆ってシモンは挑む

せっかく紅蓮篇を観てるんだから、完結編のこっちもね、という感じで
いわゆる暑苦しいほどに熱い少年熱血バトルものなわけですが、しょうじき「G.I,ジョー」の時とおんなじ感覚をおぼえずにはいられません
面白い、熱い、燃える、だけどくどい
とにかく、くどい

冒頭から前回からの続きで、敵の本拠地であるテッペリン攻略戦から始まり、ダイジェストな感じでロージェノムをプチっと殺っちゃって終了
まあ、でもこの作品の本題はここからで、年月が経って新たな脅威に立ち向かうストーリーがメイン
前作より話の展開的にはつぎはぎ感がなくなって、ひとつの作品としては無理なく楽しめる流れになってるのが個人的にはよかったですね
テンポも早くてはしょるところははしょって、見せるところはキチンと見せていきます

話の流れ的に「俺たちは負けねえ」→「だが、これならどうだ」→「クソ、でも負けねえ」→「だが、これならどうだ」という繰り返しなんで、しょうじき飽きる
部分部分を拾い上げればすごい燃える展開だけど、通してみると「くどい」
ハンバーグとカレーとラーメンのセットメニューのデザートに唐揚げが出てくる料理を水なしで食べるような感じ
燃えにせよ、笑いにせよ、泣きにせよ、間がとても大事なのは確か
たいがいの人は2時間ずっとたえず燃えられるわけがない
誰かがいってたけど、盛り上がる部分と抑えるべき部分をしっかり構築していった流れの中でこそ、本当に盛り上げたいところでの爆発力が大きくなる…まさにその通りだと個人的にも思ってます

この映画には本当にタメや余裕がなさすぎる気がしてならない
あれもこれもやりたい気持ちは分かるけど、もっと抑えるべきところは抑えてほしかったかなあ、と
でも逆に言えば2時間燃えっぱなしでも疲れない、という人には最高に面白い作品かもしれません

そんな感じで完結編の今作ですが、つまらなくはない、ホントにつまらなくはないんだけど、お腹いっぱいでげっぷが出そうなくらい燃え展開すぎて、それゆえに本当に燃える部分が目立たないもったいない作品だなあ、と個人的には感じました

個人的評価:70点
オススメ度:シモンのおっさん声にはやはり違和感が




劇場版 天元突破グレンラガン 螺巌篇 予告

2010年2月19日金曜日

恋するベーカリー (2009/米)

監督:ナンシー・メイヤーズ
出演:メリル・ストリープ / スティーヴ・マーティン / アレック・ボールドウィン / ジョン・クラシンスキー / ケイトリン・フィッツジェラルド / ゾーイ・カザン / ハンター・パリッシュ / レイク・ベル / メアリー・ケイ・プレイス / リタ・ウィルソン / アレクサンドラ・ウェントワース / エムジェイ・アンソニー / ノーラ・ダン / ロバート・カーティス・ブラウン / ブルース・アルトマン / ピーター・マッケンジー


ジェーンは夫と別れて10年がたち、子供たちもみんな家を出て行ってしまった
そんなある日、別の女性と再婚している元夫と二人きりで会う機会があり、互いに飲んで話してるうちに楽しい時間がすぎ、そのままベッドをともにしてしまうのだった


こういうロマンスものを観ることはあんまりない、というか他人の男女がイチャイチャしてんのとか見てておもしろいか?という考えな私ですが、この映画は予告をみた時点で気になってました
とりあえず主人公たちがおばちゃんとおっさんという設定が一番の肝ですね
それでいておしゃれでスタイリッシュな若い男女のロマンスものの延長として、単に年を重ねた男女が同じことをしてるってだけじゃないのがポイント

思った以上にコミカルで、いい年こいたおばちゃんとおっさんがハッスルする様をじゅうぶんに堪能できました
いちおは不倫ものというどろどろした内容ながら、かなりライトに描いてるので、変に力を入れずにコメディものでも観るような感覚で楽しめます
とにかく元妻であるヒロインのジェーンが良い感じにかわいくて、それを楽しんでるだけでもじゅうぶんにおもしろい
だけど、元夫であるジェイクのキャラもかなりユーモラスで存在感がありすぎる
ジェイクのとるジェーンに対する行動のひとつひとつが「いい年こいたおっさんのクセに」って感じでホントにおもしろい
さらにジェーンの娘の婚約者である男の中間管理職的な立ち居振る舞いも楽しい

元夫に新しい妻がいるってのを知りつつ、まだそんなジェイクとの間に愛がくすぶっていることを自覚して戸惑いながらも、なし崩し的に流されるジェーン
新しい妻との生活が心からの幸福でないと感じている所に現れた元妻にメロメロになりながらも、現妻との関係にふんぎりがつかないジェイク
そこへジェーンに好意をよせるさらに年上の男性が現れて・・・
という流れ展開していきます
序盤はジェーンとジェイクのハッスルっぷりを楽しみ、終盤はジェーンに恋心を抱く男をあわせた三人とライトでコミカルな関係を描く感じで
とにかくこのライトさがちょうど良い感じで、このくらいあけっぴろげに不倫を描いてくれると息苦しくなくていいですね

それでも話は不倫と知りつつ元夫との恋愛がうんぬんというばかりで、しょうじき飽きがこないでもない
特に話の内容のわりに尺が長いのがじゃっかん退屈さを感じずにいられません
ジェーンの家族を取り上げるんだったらもうちょい深く、さらにジェイクの現妻と子供を取り上げるんだったらもうちょい深く描いてもよかった気がします
まあ、でも現状でもおもしろいのは確かなんで、そんなに大きなマイナス要素にはならないかと

ラストはしょうじき「ん?」と思ったけど、そこまでにいたる流れを思い起こせば、こういう終わり方が一番しっくりくるかもしれません
こういうある意味でポジティブな感じは個人的にはいいと思いますね
というか、そんなラストより直前にあったジェイクのセックスアピールが強烈すぎて、ラストとかどうでもいい感じがしないでもないですが
不倫もののもどかしいロマンスというより、かなりコメディよりな作品でした

個人的評価:85点
おすすめ度:これ基本、パン屋の映画じゃねえから




恋するベーカリー 予告

2010年2月17日水曜日

メタルマン (2008/米)

監督:ロン・カーコスカ
出演:サミュエル・ネイサン・ホフマイア / レジー・バニスター / バーバラ・ジーン・バリール / キム・アーウィン・ディルダイン / リーア・グリムソン / スコット・レヴィ / P・デビッド・ミラー / アンソニー・アントヌッチ / ダーレン・レブレッチ


正義感の強いカイルは博士の研究で鋼鉄のパワードスーツを着用するが、それは肉体と同化するスーツであった
そんな博士の研究所に兵器開発を行っている企業がカイルを狙って襲いかかる

「アイアンマン2」公開前におさえておきたい作品ということで
ね、なんか回転のこぎりの刃を飛ばしてきそうなヒーローですね
まあ、予想通りというかなんというか…みごとにクソ映画で大満足
むしろ思った以上にクソでお腹いっぱいぎみ

カイルがメタルマンになったことで敵に両親を殺されるんですが、メタルマンの中でAIとして生きる博士は「これは復讐の道具ではない」とか言っちゃって、変なところでひねったことしなくていいよと言わざるえない
どっちにしろなんだかんだで敵は戦いをしかけてくるんだから
そんな敵さんたちも頭悪い人が揃ってて楽しめます
メタルマンに銃を突きつけてもすぐに撃たず、そのすきにやられる人をはじめ、どう考えても無駄な感じの生身で格闘戦をしかける人たち…
しかも、しばらくして前にめっためたにやられたことを忘れたかのように、同じように考えなしに襲ってきては同じように倒される前回と同じ敵の面々

そしてなにより親玉であるセバスチャンさんがまた頭悪くていい感じ
色々と専門用語を並べられても理解できず、挙げ句の果てにIQの話になってやっと「IQなら知っている」とお茶目な発言で心が和みます
後半では自ら誘拐犯として動き、金持ちの大企業のわりには直属の手下ふたりと雑魚三人しか出てこない潔さ

物語もクライマックスを向かえると、なんの脈絡もなく敵側のメタルマンが登場してデパート屋上のヒーローショーなみのしょぼい戦闘が繰り広げられたかと思ったら、なんかよくわからないうちに親玉のセバスチャンさんが蒸発して終了
いやあ、まあ、なんというか、あえて一言でいうなら「つまらない」
クソならクソなりに突拍子もないバカな所があればまだしも、普通につまらないわあ
ネットサーフィンとかしながら音だけ聞いてればだいだい把握できるレベル
というか、観なくてもいいレベル

そんなわけで「アイアンマン2」を観る前に、どうですか、ほら、事前にしょぼいものを観ておくとモノホンを前にした時に感動も大きいですよ
ぜひこの作品の続編も期待しております
「メタルマンレディ」でもいいんで

個人的評価:30点
オススメ度:鋼鉄無敵の攻めないヒーロー




メタルマン 予告

2010年2月14日日曜日

ジュリー&ジュリア (2009/米)

監督:ノラ・エフロン
出演:メリル・ストリープ / エイミー・アダムス / スタンリー・トゥッチ / クリス・メッシーナ / リンダ・エモンド / ヘレン・キャリー / メアリー・リン・ライスカブ / ジェーン・リンチ / ジョーン・ジュリエット・バック / クリスタル・ノエル / ジョージ・バートニーフ / ヴァネッサ・フェルリト / ケイシー・ウィルソン / ジリアン・バック / デボラ・ラッシュ / メアリー・ケイ・プレイス


かつてアメリカの家庭料理の新たな道を示し、TVでも活躍していたジュリア・チャイルド
そんな彼女のファンのジュリーは、30歳を前にどんどん先を行く友人たちと退屈さを感じてきた仕事の生活の中、365日でジュリアのレシピ524種の再現に挑戦するブログを立ち上げる

長身で某有名ネズミのような甲高い声、愛嬌のある笑顔がチャーミングな中年のおばちゃん、ジュリア
そんなジュリアおばちゃんを楽しむ映画ですね
料理ものというより、ジュリーとジュリアの私生活のコミカルさや苦悩みたいのを描いていってる感じで
ほのぼのしつつおかしくて、ちょっとシリアスで楽しいわりと万人向けな良質コメディでした

中年のおばちゃんと言われる年齢のジュリアは、外交官の夫の妻として家でなにもせずに過ごすのを嫌って趣味を探すんですね
で、結局は食べることが一番好きということで、自分でも料理を作ってみようとゼロからチャレンジをはじめます
一方でジュリーは出世や成功でどんどん先をいく友人たちを尻目に自分はピザ屋の2階のボロアパートで夫と不満はないけど満足もない日々を送っていたけど、なにかやりがいがほしいと料理に挑戦する
そんな二人の話が平行して進んでいく感じの内容

二人の話がそれぞれ別に進みながらも同じような展開と境遇が描かれ、ジュリアの物語をジュリーがなぞり、ジュリーの物語をジュリアがなぞるみたいに過去と現在が混ざりながら話は進んでいくと
そんな演出もおもしろいですが、やっぱりメインはジュリアおばちゃんのキャラ性
おてんばながら人なつっこい子供みたいなジュリアおばちゃんの仕草、言動、立ち居振る舞いすべてが愛嬌があって楽しすぎる
というか、このジュリアの役作りはマジでハマり役を楽しんでるなあ、と
ジュリアおばちゃんがたんに夫であるポールの名前を興奮気味に呼んでるだけでおかしいから不思議

一方でジュリーパートではブログをはじめたものの、そんな自分の書いたことの意味について悩みながらも、じょじょにブログの反応がでてきて・・・って感じの中、楽しむためにはじめたことが現実に影をおとしはじめる「目的と手段が逆になりはじめる」という悩みにおちいると
ブログにかぎらず、ネットを通じて自己表現したことがある人には痛いほどよくわかる話だと思いますね
趣味ではじめたことでなんでストレス感じなければいけないのか、って問題
自己表現に対し誰も反応してくれないなら反応してくれないで、逆に反響が出てきたら出てきた自分を犠牲にしてまで注目してくれてる人を楽しませなくちゃ、という悩みがでてくるわけで
そこら辺を楽しむのがジュリーパートで、料理が上達していくとか、おいしそうなのができたとかいう内容ではないですね

それぞれの私生活をコミカルに描いてるだけで楽しい内容で、個人的にはそれだけで満足なんですが、どうしてラストに向けて話が進む中で間接的ながらもジュリアの現在の気持ちを描いたのかが気になる
なんか微妙にリアルのジュリアが分からず屋みたいなマイナスイメージ植え付けかねないだろ、これは
実際はジュリアのパロディ番組を馬鹿笑いして見てるジュリーのシーンや、自分で暇つぶしのブログにすぎないと語るように、ジュリーはジュリアのにわかファンにすぎなく、しかも料理に向かう姿勢も良くはないわけで
しょうじきブログのネタという自分のオナニー行為のためにジュリアのレシピを利用してるにすぎない、と
そこら辺をよくあらわしてるのが、序盤はブログに反応がなくて「誰か見てる?」とかリアクション乞食しておきながら、終盤には「これはジュリアに向けて書いてるブログですから!キリッ」みたいに言われてもね
どう考えても悪いのはジュリーの方なのにジュリアをおとしめると同時に「でも悪いのは私なの」と分かった風に悲劇のヒロインを演じるとかありえない

映画的にやりたいことは分からんでもないけど、もうちょいジュリアをフォローしてくれれば個人的には完璧な作品だったのに…
そんな感じでちょっとだけ惜しいかな、と思える一本でした

個人的評価:80点(ジュリアおばちゃんに捧ぐ)
オススメ度:骨抜きネタやけに引っぱってたのに、あんだけで終わりとか




ジュリー&ジュリア 予告

2010年2月12日金曜日

サムライプリンセス 外道姫 (2009/日)

監督:梶研吾
出演:希志あいの / 水野大 / 片岡明日香 / しいなまお / 平瀬美紀 / 白善哲 / 綾部武 / 唐橋充 / 武富男夢 / 梶間広之 / 島津健太郎 / みひろ


あらくれものたちのふきだまりとなった無法地帯の森の中
11人の少女たちは暴漢に襲われ、体を切り裂かれ無惨な姿になりつつも命をとりとめたひとりの少女が人体改造され復讐のためよみがえる

これですよ、これ
エログロでバカでとってつけたようなアクションシーン、まさに好みのど真ん中を貫いてくれるクソB級作品ですね
やっぱりこういうのを観ると心が落ち着くわー
なんか久しぶりに帰ってきた我が家って感じ

戦国の世のようで着てる着物の生地は今風で、しかも携帯やらなんやら現代の小道具もあり、という時代劇ものと現代もののミックスされたカオスワールドが舞台
幕府の将軍によって人体改造をおこなう「からくり」が禁止された世情の中、暴漢に殺された11人の魂をこめた「からくり」の体になって復讐を誓う外道姫と、その「からくり」を施した博士を追う男の物語
なんとなく「片腕マシンガール」と同じ臭いがするこの作品ですが、ヒロインがよくある見た目は美人できれいだけどエグイことをするというのではなく、体中が傷とつぎはぎだらけの11人の死体をくっつけて再生されたボディってだけで異質かもしれません
なんかグラビアの世界から出てきたモデルあがりのねえちゃんが、しかたなくB級と分かりつつ出演しながらも「汚れ役はやーよ」みたいな中途半端な上品さがないのがいいですね

かかとがジェット噴射して加速つけて蹴りつけたり、左右のおっぱいを取り外してくっつけて砲丸投げしたり、胴体の回転カッターで抱きついて切り刻んだり、首からコードを出して相手の脳につないで記憶を見たり…とりあえずこの役を受けたヒロインの人は勇気あるなあ
他に出てくるキャラも少ないながら個性的で、クソ映画はクソなりにこだわりが見て取れるZ級には落ちることない観るに耐えうるクソ映画ですね
いや、褒めてるんですよ、マジで

話の展開も楽しめるようにうまく作ってあって、けっこう早い段階でラスボスと思ってた復讐の相手をあっさり外道姫が倒しちゃうのにはちょっと驚いた
さらにクライマックスではハイパーモードになった外道姫が千手観音みたいな姿になるんですが、それを打ち破る敵の技が触手チンコというセンスに脱帽せざるえない
というかあっさり打ち破られる千手観音モードの方がどうなんだよ、と

そしてすべてが終わったラスト
こういう作品には珍しいちゃんとした幕切れが用意してあって意外だったですね
まあ、ここで書いても観る人はいないだろうからネタバレしますが、「からくり」を禁止してる幕府の討伐隊によって外道姫は撃ち殺されて終わります
一度、外道に堕ちた者は地獄が相応しいって感じで悟った外道姫は潔く死を受け入れる、という感じで
たいがいこういう作品では「俺たちの戦いは~」で終わるだけに、ちゃんと最期を描いてくれて個人的には満足ですね

というわけで、たまにはあえてこういう映画を観て「こんな世界もあるのか」と違う意味で見聞を広めてみるのもいいんじゃないでしょうか
どっちかというと、個人的にはこういう作品の方を今までアホみたいに喜んで観てきたわけですが
B級クソ映画はいいものだ

個人的評価:60点
オススメ度:プリンセスでもなんでもないがな




サムライプリンセス 外道姫 予告

赤んぼ少女 (2007/日)

監督:山口雄大
出演:水沢奈子 / 野口五郎 / 斎藤工 / 板尾創路 / 堀部圭亮 / 亜沙美 / 生田悦子 / 浅野温子


施設から肉親が見つかったため南条家にやってきた少女、葉子
しかし、その南条家の洋館には葉子に襲いかかる姿を見せない何者かが潜んでいた

楳図かずおさん原作の映画化
とはいえ原作は未読といういつものパターンで鑑賞
いちおホラーだけど、どっちかというと悲哀ものっぽい感じでしたね
タイトルから想像してたアレな感じは薄いまっとうな作品でじゃっかんガッカリせざるえない
ほら、だって、あの「地獄甲子園」の監督だもの…なんか原作クラッシャーとしてもっとはっちゃけたのを期待しちゃうじゃない

葉子が南条の家にやってきた嵐の晩に、なにかに襲われるんですが目が覚めるとソファの上で、「まあ、夢だったんじゃね?」的にその場は収まります
そして新しい家族は優しく人当たりのいい父親と、葉子のことが眼中になく抱いたぬいぐるみだけが我が子と言ってきかない母親、あからさまに葉子を邪魔者扱いする家政婦
葉子はなんとか馴染もうとするけど、やっぱりこの館には「なにかいる」という確信を抱いていく、と
しょうじき館の謎みたいのはわりとどうでもよくて、その「なにか」と南条家、そして葉子をめぐる悲哀的なものを楽しむ作品かもしれません
怖いより気味が悪く、そんな風に思ってしまった自分が作り手の思うつぼみたいな

ややグロだけど、そうショッキングなシーンとか斬新なゴアシーンはないんで、家族で観ても安心できる…かどうかは分かりませんが
B級といえばB級ですが、そんなにふざけすぎてない…というか、わりと真剣に作ってあるんでそっち方面のクソっぽさを期待してると肩すかしかもしれません
まさにそっち方面を期待してたうちの一人がここにいますがね
まあ、普通に観るぶんにはなんの問題にもなりませんけど

途中で葉子の味方になる人が出てくるんですが、なんというか微妙に役立たずでちょっとおもしろかったですね
「安心しな、ベイビー」みたいな有能なバトル担当かと思ったらそうでもない感じがいい
そしてラストに向かってじゃっかんトンデモ展開になりますが、そんな中でも葉子と彼女を襲う存在との関係がなんかイマイチしっくりこない
葉子的には分かり合いたいんかもしれないですが、どうせなら徹底的に分かり合いたい姿勢か化け物として扱う姿勢かを貫いてほしかった
葉子役の人の演技のせいかもしれないですが、あんまり葉子側の悲哀が伝わってこないかなあ、と

そんなわけで原点に返って、というかいつもの自分を取り戻すためにタイトルで選んで観たものの、言うほどクソ映画じゃなかった現実
うん、楽しいことはいいんだけどね
私が期待してたのはもっと、こう、観終わったあとにグッタリくる疲労感と「アホか」とつっこめる作品だったので
新しさはないけど、古い感じの日本の怪奇話をきちんと描いてる感じがする作品でした

個人的評価:70点
オススメ度:月をバックにしたアレはちょっとカッコイイと思った




赤んぼ少女 予告

2010年2月9日火曜日

東京原発 (2002/日)

監督:山川元
出演:役所広司 / 段田安則 / 平田満 / 田山涼成 / 菅原大吉 / 岸部一徳 / 吉田日出子 / 綾田俊樹 / 徳井優 / 益岡徹 / 塩見三省


続く不況の中、財政難に悩む東京都
そこで東京都知事は東京に原発を誘致し、国からの数々の補助金と優遇制度を受けようと決める

社会派?ともいえなくないコメディ
原発について楽しく、分かりやすく、しかしブラックユーモアたっぷりに学べる学校教材には適さない教材映画ですね
東京に原発誘致すっか!という点ですでに出オチな感じがじゃっかんしますが、そんなバカ話につきあっていくうちに、観てる方にもぐさりと釘を刺されるような内容です

話的には、知事が原発誘致をまず一部の都庁の局長を集めて発表したことにより、そんな知事に反論する者あり賛成するものあり、おちゃらけてる者あり…という面々のシチュエーションコメディがメイン
突飛なことを言う無責任男っぽい知事、冷静で常識人の副知事の対比に個性的な局長の面々がぎゃーぎゃー騒いでいく感じで
あまりにありえない知事の発表だけど、おとぼけ口調ながらその有用性から経済効果を説明されるうちに「うん、まあ、いいんじゃないかな」と思えてくるから困る
そんな限定空間での劇をよそに、外の世界ではもう一本の筋である爆弾魔のエピソードが展開するので、ちょくちょく空気の入れ換えがなされて息苦しさや退屈はしません

そこから原発依存とは言うけど、実際は…って展開になり、原発の危険性と電力事情なんかの話でいっきに「あれ?原発ってやっぱダメじゃね?」の流れに
そこから先の展開はこの映画に興味をもった人に実際に観てもらうとして、「都知事かっこいいわぁ」と思うと同時に観てる側に投げつけられるメッセージが心に刺さります
かたっくるしい説教をこういうコメディの中でやってもらえるとお馬鹿な私でも分かりやすく理解できて助かります

基本はおもしろいけど、ちょっと気になる点もいくつかあるのも確か
それぞれのキャラの個性はいいんだけど、それほど良い味が出るってとこまで煮詰まってない気がします
あとは原発会議の決着の付き方があまりに急展開で物足りない
ミステリーもので「おまえが犯人なんだろ?」「はい」と犯人が即答するレベルで物足りない
これは個人的な感想なんですが、会議パートと爆弾魔パートがあまりに別々に展開しすぎて、なんかうまく絡まってないような気がしました

ラストはもう、ね
ちょっと肩すかしをくらったかのようなクライマックスに、ちょっとガッカリしてた所に最後の最後で「おい、まさか…」と思ってた展開が現実に
クリーチャーもので最後の最後に生き残った一匹がしれっと画面に出てくるレベルじゃない、ある意味で絶望的な終わり方はいいですね
ということで、ちょっと笑えてちょっと賢くなれるブラックユーモアたっぷりなコメディでした

個人的評価:70点
オススメ度:主要陣以外の棒っぷりが素敵




東京原発 予告

2010年2月7日日曜日

悪夢のエレベーター (2009/日)

監督:堀部圭亮
出演:内野聖陽 / 佐津川愛美 / モト冬樹 / 斎藤工 / 大堀こういち / 芦名星 / 本上まなみ / 小西遼生 / 池田鉄洋 / 市川しんぺー / いけだしん / 山本彩乃 / 長澤つぐみ / 芦田昌太郎 / 宮下誠 / いか八朗 / 堀井茶渡


ある男が目を覚ますと、そこは停止したエレベーターの中だった
目覚めた男を含め閉じこめられた、ヤクザ風な男、ジャージのおっさん、メンヘラ風なゴスロリ少女の4人は閉鎖された空間でお互いに隠し持ったことを抱えていた

エレベーターに偶然に閉じこめられた人たちの話が進むうち、単純な事故と思ってたことがどんどんエスカレートしていく
という邦画得意の密室パニックサスペンスもの
と言っていいのかどうか悩む一本
どうしてもこういう作品を観ると「運命じゃない人」と比べたくなるけど、しょうじきいってこの映画は練り混み不足かなあ、と

話的には男が目を覚ましたら、エレベーターに閉じこめられてて、そこに乗り合わせた他のクセのありそうな3人の男女と話してるうちに、だんだんと自分のことを深く話すようになっていく
それぞれが秘密を抱えていて、それは目覚めた男も同じだったって感じで
けっこう初期の段階から「ある矛盾」がひっかかって、観てる方も「ん?結局このエレベーターってどう動いてたの?」と思わせる手口はいいですね
そして、この手の作品の楽しみは「単純なようだけど、実はかなり深い出来事の断片」が、じょじょにつながっていって大きな何かが見えてくるという所
けど、この映画は早々にいわゆる種明かしがはじまるんですね
そこら辺はけっこう意外(種明かし編が早くに始まるという意味)で、先に期待を抱かせてもらえます

ただそこから肝心の部分がかなり荒削りな印象で、とりあえずちょっとひねったことやっとけばいいや、って感じがありありと見て取れます
それでも最後の着地点さえ間違えなければ、と最後まで興味をひっぱるダレなさはあるのでそんなに飽きずに観てられるのはいいですね

けっこうコメディタッチの所も多いですが、どれもかなりライトな笑い要素なんで、笑えない人はまったく笑えないどころか、くどすぎる上に寒いシーンにげんなりするかもしれません
けっこう管理人がらみのシーンに声を上げて笑ってる人がいましたが、これは個人的なツボ的な意味で「このシーンで笑えるのか」と思わざるえなかったですね
逆にオカマのグニャグニャの所はおもしろかったですが、誰も笑ってる人がいなくて、自分のセンスのズレを再認識

で、ラストのオチですが、ぶっちゃけクチコミ禁止とかそういうレベルほどのオチじゃないかなあ、と
後味は悪いし、別段「そうだったのか」とも思わないし、ネタの揃いはいいんですが、それをうまく料理できてない感じの練り混み不足みたいな
特にエンドロール後のシーンは意味ない気がしてならない
どうせならもうひとひねりして、「まあ、でもホントは○○なんですけどね」って終わってほしかった

そんな感じで観てる方を映画に引きずり込んで騙してくるような作品ではなく、ネタを披露してるだけな印象は否めません
いや、マジでネタはそう悪くないと思うんですが、もうちょっと観てる側も巻き込んで気持ちよく騙してほしかったかな

個人的評価:60点
おすすめ度:エロベーターとか興味津々です




悪夢のエレベーター 予告

2010年2月5日金曜日

インビクタス 負けざる者たち(2009/米)

監督:クリント・イーストウッド
出演:モーガン・フリーマン / マット・デイモン / トニー・キゴロギ / パトリック・モフォケン / マット・スターン / ジュリアン・ルイス・ジョーンズ / アッジョア・アンドー / マルグリット・ウィートリー / レレティ・クマロ / パトリック・リスター / ペニー・ダウニー


南アフリカの大統領となったネルソン・マンデラ
人種や肌の色で差別されない新しい国を目指す中、アパルトヘイトの象徴でありながら今や国の恥とまで言われるほど弱体化したラグビーに目を付ける

あれ?あれれ?イーストウッドのダンナ、どうしちゃったんでゲスか?
と言いたくなるほどうすっぺらい内容でした
白人と黒人のデリケートなテーマを、それこそ腫れ物を扱うようにおっかなビックリ取り上げて、しかも当たり障りない味付けをしてみました・・・というのがしょうじきな印象
さすがに軽くひくほど暗部をおさえたファンタジーで、ドラマ性もちぐはぐときたもんだ

長い白人支配は終わったけど、俺たち黒人も個人的な復讐心で同じことを繰り返すことはない
とりあえず過去は過去として赦すことで、未来につなげようぜ
さすがマンデラ、いやデラっちは聖人のようなお人やで
あんまりのヒーロー扱いに軽くあくびがでちゃうよ
まあ、それでも白人を赦すのも国益にとっての打算だったり、言葉の細かいニュアンスや態度から人種差別について「個人的な立場において」完全に中立という考えでないのかなって感じは見て取れるのはいいですね

そんな中でラグビーを使って国を盛り上げようと、チームの主将とコンタクトをとって話してるうちに、大統領と主将の間でなんか芽生えて盛り上がってくる、と
うん、そういう流れで徐々に真の友情に発展していく系は嫌いじゃない・・・んですが、その描写もじゃっかん薄目なのは否めない
もっとがっつり友情パワーを高めていくような展開があってもいいんじゃないでしょうか
そして、それ以上に主将のやる気がどんどん上がっていくのはわかったけど、それがチームメイトに伝わっていく過程がほとんど描かれてない気がするんですよね
そのクセにチームは「なんとなく」どんどん強くなっていって、ラグビーワールドカップを勝ち進んでいく、と

さらに「なんとなく」南アフリカの白人と黒人の溝がうまってきて、しまいには「なんとなく」みんながひとつになるみたいな
デラっちの家族問題にしろ、ドラマの部分がうすっぺらすぎて、みんながひとつになっていく様を見ててもあまり気持ちが盛り上がってこない
後半の無駄に長くて力の入ってるラグビーシーンより、もっとドラマに力入れようぜ
これラグビー映画なのか?ってくらいに後半はラグビーメインで困る
しかもラグビーに限らず、南アフリカの問題とか「予備知識があって当たり前」なスタンスで描かれてるんで、ほとんど説明がありません
さすがにもうちょっとラグビーのルールや国のバックボーンを説明してくれてもいいもんじゃなかろうか

それでも「がんばれボカ」とか細かいにんまりできる演出もあるし、とりあえずラストはけっこう盛り上がります
ラグビー経験者とかファンの人が見れば、いやってほど展開される試合に夢中になるかもしれませんね
個人的にはまったくラグビーに興味とかないんで、なんとなく迫力は伝わってくるけどそれ止まりな感じで
ダメな所が目立つけど、内容じたいはクソってほどクソじゃない、いわゆる「普通」な映画でした

個人的評価:50点
オススメ度:まったく緊張感がございません




インビクタス 負けざる者たち 予告

2010年2月3日水曜日

ジュラシック・パークIII (2001/米)

監督:ジョー・ジョンストン
出演:サム・ニール / ウィリアム・H・メイシー / ティア・レオーニ / アレッサンドロ・ニヴォラ / トレヴァー・モーガン / ローラ・ダーン / ジョン・ディール / マイケル・ジェター / ブルース・A・ヤング / テイラー・ニコルズ / マーク・ハレリック / フリオ・オスカル・メチョーソ


恐竜たちの徘徊する島の上空を飛行する機でガイドを務めることになった古生物学者のグラント博士
しかし飛行機は博士の制止を振り切って島に着陸してしまうのだった

節分といえば豆まき、恵方巻き、ジュラシック
ということで、1を公開当時に観て2はスルー、しかも登場人物とかストーリーなんざ時空の彼方に捨て置いてきたまま3を鑑賞
まあ、それでもなんとなく内容は把握できるあたり、さすがに作り込まれてますね…っていうか、普通にクソ脚本すぎて頭を使うことなくだらっとした鑑賞にたえうる作りになってますね

ジュラシックパークってどんな映画なんですか?
そんな問いに簡単に答えるには「3を観ろ」でいいんじゃないでしょうか
ホントにただ恐竜が出てきて、登場人物たちに襲いかかってぎゃあぎゃあ騒ぐパニックものという形の3ですね
設定?ストーリー?んなもん1、2で仕込みは終わってるんだから、もうなにも考えずに流されるままに楽しめばいいんだよ、と
ザッツ、ジュラシックパーク
頭の悪い人でも安心のシンプルなパニック映画

でも演出はわりといい所もあるんですよ
ただ、なんというか、盛り上がりが薄いというか、映画全編を通しての起伏がないんですね
のっぺりとした平坦な作品を観てる感じ
内装は高級料理店だけど、出てきた料理はスーパーで売ってる生タイプのラーメン、みたいな
けっして大きくつまらなくはない…んだけど、別段ここがおもしろいって所もない
なんか褒めてるようでけなしてる感じですが、ホントにクソすぎるってほどつまらない内容じゃないです

恐竜関係のCGはさすがに古くささはありますが、それでも完全空想世界のクリーチャーより、こういった恐竜をCGでぐりぐり動かしてくれると「おおっ」って感じるところもあります
特に草食恐竜たちの動いてる様はいいですね
個人的にはもっと、あんまり襲ってこない恐竜たちをのほほんと描いてくれるシーンが観たかった

ラストも「もうやけくそなのか?」と思わざるえないようなしめかたですが、まあいいんじゃないでしょうか
そのまま地球は恐竜たちと共存する世界になってしまえ
そんな感じで、おなじみの特価DVDコーナーから適当にサルベージしてきた…じゃなくて、節分ということで観たこの作品ですが、来年からは恵方巻きに続く節分ジュラシックブームがくるでしょう

個人的評価:60点
オススメ度:単独で二ヶ月のサバイバルとかタフすぎるボーイだ




ジュラシックパークIII 予告