2010年4月30日金曜日

4月のこれ一本

ことしの桜は天候のアレがナニしてずいぶん長く楽しめましたね
暖かくなり、色とりどりの花が咲き乱れて目にも優しい季節になりました
みなさん、お元気でしょうか
僕はもうダメかもしれません
肉体的な意味で

ゴールデンウィークとか、そういう連休いらないですから
商売繁盛してるんだからいいだろ、ということもありますが「同じ給料でガッツリ働かされる」ってなんかおかしくないですかね
定休の金曜休みもないし、疲れ、怒られ、しまいにはヘトヘトで帰宅したら家の窓ガラスが割られてるってどうなんですかね
乾いた笑いってマジででるんですね

「母なる証明」みてください!

2010年4月25日日曜日

母なる証明 (2009/韓国)


監督:ポン・ジュノ
出演:キム・ヘジャ / ウォンビン / チン・グ / ユン・ジェムン / チョン・ミソン








人より鈍い男トジュンは、彼を愛する母と暮らしていた
トジュンは鈍いゆえに他人に利用されやすく、それが災いしてある事件に巻き込まれてしまうのだった

韓国産のミステリーということで発売前から期待値が高くて、思わずディスクを予約してあったのも忘れてDVDを借りてきてしまう痴呆っぷりをさらけだしたわけですが
いやあ、これはおもしろい
本当におもしろいわあ
ふだん韓国の映画に慣れてないからこそ楽しめた面もありますが、ミステリーとしてもドラマとしてもかなりいい感じに仕上がってますね

作中でははっきり言いませんが(翻訳で規制されてる可能性もあるけど)、トジュンはいわゆる知的障害者に近い描写になってます
そんな鈍さが肝になっていて、子を心配する母親も生きてくると
話的には鈍さを利用されて濡れ衣を着せられた息子を、おばちゃんパワーを全開にして「お母さんは見た」的な悦子テイストの作品
それよりなにより、冒頭の草むらで悲しげに音楽に合わせて踊るママンの映像を観ただけで、もうこの映画が気になってしかたなくなるでしょう

「息子はやってない、ぜったいに守ってやらなくちゃ」という展開から「誰もたよりにならねえし、自分でやるしかねえぜ」というババア根性で独自に捜査をはじめる
どんどん状況は悪くなりながらも、なんとかちょっとずつ手がかりが見つかってパズルのピースがはまっていく、と
重要な展開が鈍い息子の記憶が戻るのがたよりって乱暴な一面はありますが、そんなことをあまり気にさせないような演出が個人的にツボでした
非日常のような日常というか、なんかの歌の歌詞でもあったような「知らない国の結婚式の曲を聴いてる感覚」みたいな変な斬新さがあっておもしろい

真犯人が分かる終盤の流れがスピーディで「おお、おお」と思ってるうちに「そう来たか」と解答編がはじまるのもいいですね
この真犯人にしてもいいのか悪いのか、なんともいえない微妙さが逆に心地良い
と、そんなことより本題は真犯人が分かった以後の展開
これが本当に最後の最後まで楽しめるようにできていて、実はミステリーの形をとった母子のドラマを主体に撮りたかったのかとも思えます

しょうじき韓国映画あまくみてました
ミステリーとしてもいいし、ドラマとしてもいい、こんな作品を観るとテンションが上がらざるえない

個人的評価:90点
オススメ度:この母にしてこの子あり?




母なる証明 予告



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2010年4月23日金曜日

タイタンの戦い (2010/米)

監督:ルイ・レテリエ
出演:サム・ワーシントン / リーアム・ニーソン / レイフ・ファインズ / ジェイソン・フレミング / ジェマ・アータートン / アレクサ・ダヴァロス / タイン・スタペルフェルト / マッツ・ミケルセン / ルーク・エヴァンズ / イザベラ・マイコ / リーアム・カニンガム / ハンス・マシソン / アシュラフ・バルフム / イアン・ホワイト / ニナ・ヤング / ナタリア・ボディアノバ / ニコラス・ホルト / ヴィンセント・リーガン / ルーク・トレッダウェイ / マーティン・マッキャン / ポリー・ウォーカー / ピート・ポスルスウェイト / エリザベス・マクガヴァン


海で拾われ、漁師の息子として育てられたペルセウス
ある日、神々に反旗を翻したアルゴス兵たちと神の戦いに遭遇、それに巻き込まれハデスによって両親と妹を殺されてしまうのだった

ハゲでマッチョな軍神とか出てきませんから
最近の映画ゲーム関連でのギリシャ神話の流れはなんなのかわかりませんが、この作品もそんなギリシャ神話もののお話
CGで表現されたクリーチャーたちとの戦闘が、いちいちかっこいいアクション作品でした

天涯孤独になったペルセウスを拾ったアルゴス兵たちに連れられて城にきたものの、そこにハデスが出てきて「俺、次の日蝕にすごい怪物とき放って、この国つぶすから」と言われてさあ大変
しかもペルセウスは実は半分神様の血が流れるデミゴッドという存在だと分かり、なんとかしようというアルゴス兵の仲間たちと怪物をやっつける方法を知るために旅にでる、という内容
なんかリメイク作品らしいですが、にわかな私としては原作とか知らないんだからね!みくびらないでよね!

見所はやっぱりCGバリバリのアクションシーン
いやあ、本当にすごい迫力でスピード感もあっておもしろい
特にクラーケンさんがマジでかっこよすぎで小便もらしました
ああ、このCGバリバリと分かっていながらも燃える戦闘シーンはいいわあ
そして、この映画はみごとに見所がそれだけってところも潔くていいわあ・・・なんて思えねえから
序盤の前置きと戦闘以外の冒険パートが、マジでクソつまらないことこの上ない

ペルセウス以外の旅のお供が出てくるのはいいんだけど、その人間関係的な絆とか友情とか信頼、愛みたいなものが、うすっぺらいアドベンチャーパートのおかげでまったく観てる側に伝わってきません
仲間がピンチになったり自己犠牲で戦いを切り抜けても、まったくなんの感慨もないからどうしようもない
もう、ね、ここまで露骨に「CG駆使したクリーチャーバトル撮りたいだけッスから!」と開き直ってる作品とか言葉もありませんね
観てても「あー、はやく次のクリーチャー出てこねえかな」としか考えられない退屈っぷり

あとは主人公がいまいち魅力がない
もう思い切って神の力を解き放って能力者バトルすればいいじゃない、と
人間にこだわるのはいいけど、その決意とか悲壮感が伝わってきませんから
そんなこの作品ですが、戦闘シーンだけは本当にいいんで、他のことをしながら盛り上がる音楽が流れてきたら画面を見るくらいでちょうどいいかもしれません

個人的評価:50点
オススメ度:クレイトスはやくきてくれー




タイタンの戦い 予告

ウルフマン (2010/米)


監督:ジョー・ジョンストン
出演:ベニチオ・デル・トロ / アンソニー・ホプキンス / エミリー・ブラント / ヒューゴ・ウィービング / ジェラルディン・チャップリン / マリオ・マリン・ボルケス / エイサ・バターフィールド / リック・ベイカー / デヴィッド・スコフィールド / エミール・ホスティナ / ジェシカ・マンレイ / ロジャー・フロスト / クライブ・ラッセル / アントニー・シャー / ニコラス・デイ


1891年イギリス、兄が行方不明になったと連絡があり、久しぶりに故郷へ帰ってきたローレンス
そんな故郷では満月の晩に凶暴な獣が人を襲うという噂が広がっているのだった

しょうじき主人公が狼男で、満月の晩にデストローイを繰り返すだけの映画かと思ってました
実際は泥臭くて手堅い昔ながらのホラー映画になってて、予想以上におもしろかったですね
地味におもしろい、気づくとすっかり見入ってしまってエンドロールだったという不思議な魅力がありました

序盤から主人公=狼男だろって感じで観てると「え?」と思う展開になり、そこからぐいぐいと引き込まれていきます
主人公が役者という設定も生きて「狼男とはなんなんだ」という点から、主人公と狼男の関係、その正体の描き方が観てて楽しい
キーになる登場人物はそんなにいないけど、それぞれが本当に怪しい
「実はこいつが?」と考えながら観られるのはいいですね

話の展開も飽きてきたな、と思うちょうどいいタイミングで新たな展開になったりするので退屈しませんでした
じゃっかん行間を読む能力がいりますが、単純なホラーが根底にありつつ、けっこうサスペンス要素も入ってて味わいぶかい内容に
そんなホラー要素も古き良き伝統的なものをきちんと踏襲していて、「悲しみ」「愛」「不幸」「葛藤」「歪み」がいい感じで混ざっていて、個人的にはかなり正統派なホラー映画だな、と感じました
いや、まあ、そこまでホラーは観てない知ったかですが

けっこうグロシーンもあって、アクションは見応えがあります
軽いノリの作風ではなく、全体的に重苦しい感じなので、思った以上に観る方も腰を据えて構えてなくてはいけないかもしれません
あとはオチがちょっと読めすぎるところがあり、さらに微妙に食い足りない感はあるかもしれませんが、これはこれで現代向けリメイクとして「懐かしくて新しい感じ」は出ていると思いますね

ウリである変身シーンもCGのすごさを全面に出すというより、けっこう演出重視になってるので変に浮いてる感じがなくてよかったなあ、と
そんな感じで個人的にはかなり楽しめた一本でした

個人的評価:85点
おすすめ度:銀弾の設定説明がちょい不足してる気も




ウルフマン 予告

2010年4月21日水曜日

π〈パイ〉 (1998/米)


監督:ダーレン・アロノフスキー
出演:ショーン・ガレット / マーク・マーゴリーズ / スティーヴン・パールマン / ベン・シェンクマン / パメラ・ハート






すべては数式であらわすことが出来ると考える男、マックス
彼は株価の変動を数式化しようと試みるのだった

ないよりはあった方がいいですが、あまり大きすぎるのもちょっと
観始めたとたんになんともいえない自主制作くさい、才能はあるけど荒削りで作り手のオナニーはいってる映画だなあと気づきます
雰囲気というかイメージ的には塚本晋也の「鉄男」とか、そこら辺とおなじ臭いがするタイプ
これは本当に好き嫌いがまっぷたつに分かれることが容易にわかりますね

頭痛に悩まされては薬を飲んだり注射したりしてるマックス
ある時に彼は重大な発見をしたことで、身の回りでおきていることが見え始めてくる、といった感じの内容
数学的なことがいっぱいでてきますが、しょうじき雰囲気を楽しむのが一番いいのかもしれません
話的にはどう考えても作り手のオナニーでしかない
だけど、本当に雰囲気を楽しむ分にはかなりおもしろくて引き込まれます

とにかく主人公の存在感がすさまじく、お手軽にキチガイを観察したい人にはもってこい
マックスが見ているものは現実が虚構か、どっちにしろ現実的な感じはしないんですが、終盤になるにつれて超展開がおこってある意味で現実的になります
個人的には「○○の名前がうんぬん」って所までの流れはおもしろかった
そこからラストまでは、なんというか、こういう雰囲気作品ではありがちな作り手にしか分からないオナニーの絶頂タイミングに付き合わされて終了…なんで、あまりおもしろくはないかもしれません

とりあえずこれを観て「こういう映画とか観てる俺カッケー」とか、「僕とか知的ですから分かりますね」とか思わない方が無難でしょう
ホントに雰囲気だけ味わって、中身なんかクソ以下と割り切った方が楽しめます

個人的評価:70点
オススメ度:碁盤は宇宙




π〈パイ〉 予告



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2010年4月20日火曜日

ヘンリー・プールはここにいる ~壁の神様~ (2008/米)

監督:マーク・ペリントン
出演:ルーク・ウィルソン / ラダ・ミッチェル / アドリアナ・バラザ / ジョージ・ロペス / シェリル・ハインズ / リチャード・ベンジャミン / モーガン・リリー / レイチェル・サイファース / ベス・グラント


ある田舎町に家を買って引っ越してきたヘンリー
その家の壁に浮かび上がった染みがもとで、そっとしておいてほしいヘンリーの所に次々と人が訪れるのだった

なにこのキリスト映画
出だしはけっこう好みな展開だったんだけど、あまりにあまりな内容でガッカリ
わりと序盤でヘンリーの境遇が匂わされるんで書いちゃいますが、ようするに「先がない」ヘンリーが逃げるように引っ越してきたのに、なんか壁の染みが神様だとかいってきかない近所のババアのせいで静かにさせてもらえない…という映画ですね

とにかくババアがうざい。うざすぎる
壁の染みを神様だと言い張ってヘンリーに断りなく庭に入って祈る、仲間を引き連れて無断で庭に入って祈ってお供えもする、頼みもしないのに庭の手入れをはじめる、用事があるからと勝手に家の中に入ってくる、一日だけの約束で仲間たちを壁に祈らせるが次の日には団体で庭を占拠する
なにこのババア…普通に観ててイラっとくるわ
しかも神様を信仰する純粋な好意からきてるから質が悪い
ヘンリーがいちいち文句いうけど、もう強行手段にうったえてもいいんじゃねえのってくらいクソババアすぎる

このババアの他に隣人の母娘がキーになっていて、この二人とヘンリーの関係はよかった
この娘が実はむにゃむにゃって感じだけど、その後にああなって、それを受けて終盤にああなるという流れはおもしろい
ヘンリーと母親との関係はちょっと安っぽいけど、まあアリな方向で
そして、そんな二人との関係とともにノスタルジックな展開があるのも良い味だしてましたね
ヘンリーの身体のことメインで描くのかと思いきや「古き良きあの頃」みたいなのを描く方向にもっていけばいっそう個人的に好みだったかもしれません

確かにババアはうざくてイラッとくるのは確かですが、雰囲気的にそう悪いもんじゃないと思ってたこの作品
ラストで大きく印象が変わりましたね
いくらなんでも安っぽすぎやしないですかね、この終わり方
どんだけキリストなんだよと、布教でもしたいのかと
素敵な終わり方と言えなくもないけど、個人的には一番ダメな部類のオチでした

そんな感じで、どうですか
慈悲の心であなたも隣人の家に不法侵入して神を、救いを説いてみませんか

個人的評価:20点
オススメ度:約束より神。なんか矛盾してる気がしないでもない




ヘンリー・プールはここにいる ~壁の神様~ 予告



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2010年4月19日月曜日

アリス・イン・ワンダーランド (2010/米)

監督:ティム・バートン
出演:ミア・ワシコウスカ / ジョニー・デップ / ヘレナ・ボナム・カーター / アン・ハサウェイ / クリスピン・グローヴァー / マット・ルーカス / アラン・リックマン / マイケル・シーン / マイケル・ガフ / バーバラ・ウィンザー / ポール・ホワイトハウス / ティモシー・スポール / スティーブン・フライ


20歳を前にパーティで婚約を申し込まれる少女アリス
答えを出せないまま、アリスは洋服を着たウサギを追いかけて不思議な世界に迷い込むのだった

大人になったアリスが再び不思議の国を訪れて冒険をする
ベースはそんな感じですが、それと同時に大人のアリスは不思議の国についての記憶がないのがおもしろい
現在の大人のアリスは、以前に不思議の国を訪れたアリスと同一人物なのか、という点が物語と同時進行していくことで「アリスの焼き直しかよ」という今さら感が薄くなってますね
あとは20歳になろうという少女が精神年齢10歳くらいなんじゃねえの、ってくらいにガキっぽい言動と行動、考え方をするアリスのキャラが見所

話の流れは、赤の女王が恐怖によって支配したアンダーワールドにおいて「アリス」が女王の力の象徴たるジャヴァウォッキを倒す予言が示され、聖なる剣を手に入れて白の女王とともに世界を取り戻そうぜ・・・という感じ
まあ、でも不思議の国の記憶がないアリスは使えない状態で、さらに保身的なとこばかり大人っぽいアリスの態度は煮えきらない、と

この映画は本当によくできていて、まさに老若男女だれでも楽しめる内容になってます
映像、テンポ、キャラクターすべてにおいて平均以上のデキで盛り上がるところも笑えるところもバランスよく配置してあります
デートにも、ファミリーでも、友達とも、一人でも楽しめるオールマイティっぷりはすごい
反面、あまりに優等生すぎて、映画のクオリティは高いけど、なんか「優等生すぎてつまらない奴」みたいな妙な退屈感があるのは確か
平均的におもしろいけど、ずば抜けて「おお、すげー」と思えるものがあまりない
あとはデップさんが際だちすぎて、他のキャラたちがイマイチ弱い気がしないでもない

で、これは本当に個人的なことですが、この作品で初劇場3Dデビュー(昔の赤青セロハンは別にして)したんですが、しょうじき3Dとかいらんわあ
部屋の中でサングラスして映画を観てる感じで、思った以上に彩りもキャラの輪郭もボケボケな印象でした
3Dもすごいことはすごいですが、スクリーンの上下左右の枠からは出られないのは当たり前で、飛び出し感も「飛び出す絵本」みたいな平面的なもの
さらに3D効果が薄いシーンを長時間ながめてると、個人的に頭痛がしました
観終わったあとに外に出てると、妙に目に違和感がありちょっと気持ち悪くなるしまつ
これは個人的に、あくまで個人的な感想として、このていどの3D演出をとるより、はっきりくっきりな2Dで映画を楽しんだ方がいいかなあ、と

そんな感じで大人版アリスですが、本当になにか観るものがないかって時に観にいくのに最適かもしれません
誰が観ても大きくはずれになる心配はないでしょう
だけど、この映画のためって心持ちで気合い入れて観にいっても「うん、まあ、おもしろいね」ていどなのも事実

個人的評価:70点
おすすめ度:ザ・普通におもしろい




アリス・イン・ワンダーランド 予告

2010年4月18日日曜日

プレッジ (2001/米)

監督:ショーン・ペン
出演:ジャック・ニコルソン / ベニチオ・デル・トロ / ロビン・ライト・ペン / サム・シェパード / ヴァネッサ・レッドグレイヴ / ミッキー・ローク / ヘレン・ミレン / アーロン・エッカート / トム・ヌーナン / ロイス・スミス / ハリー・ディーン・スタントン / パトリシア・クラークソン / デイル・ディッキー / コスタス・マンディロア / マイケル・オキーフ / ポーリーン・ロバーツ / アイリーン・ライアン / ブリタニー・ティップレディ


老警官ジェリーが定年を向かえた日、幼い女の子の殺人事件がおこる
ジェリーは被害者の母親と犯人を必ず見つけると約束し、退職後も独自の捜査をはじめるのだった

前にTVでやってたのをなんかおもしろそうと録っておいて放置してた映画
もう積み体質は骨の髄まで行き届いてるプロ仕様ですね
それはそれとして、個人的に最近ミステリーものに興味津々なお年頃で、いつまで続くか知りませんが今のところはミレニアム三部作、川は静かに流れ、で今は笑う警官(スウェーデン版)を読んでいるところで…という話なんかどうでもいい、と
この作品、なんともいえない味があっておもしろかったですね
「俺、こういうの考えたんだけど、どうよ?」というちょっとひねた作風を、きちんと丁寧に描いていることでアイデアだけの浮ついた感じになってないから良い

話的には退職まぎわの事件を警官を辞めたあとでも追うジェリーが、現職警察官たちが気づかない点に目をつけて真相に近づいていく、というタイプ
よくある感じではあるんですが、そう思ってると裏切られます
おっちゃんが地味な捜査を独自に展開していって、地味な空気感と地味な展開で地味に真相に近づいていく様が、地味なんだけど引き込まれるものがある
俳優さんの力が強いということも大いにありますが、本当に「なにが起こっているんだ?」「これからどうなるんだ?」と地味に先が気になる

良い意味で地味なんだけど、退屈してきた所にちょっと派手な演出が入るんで飽きずに見続けられる作りにはなってますね
犯人が誰か、というかラストがどういう話に転がるのかって点が気になって気になってしかたない
それと同時にジェリーの立ち位置がどんどん怪しさをはらんでくるのも見所かもしれません
むしろ犯人とかどうでもよくて、ジェリー映画なんじゃねえのといっても過言ではないかと

で、オチであるラスト
賛否両論あるのがありありと目に浮かぶような終わり方ですね
後味が悪いのは確かですが「はあ?」っていうふうにはならない、なんか個人的には妙に納得してしまうラストでした
いろんな意味で「そうくるのか」といった感じ
じゃっかん複雑ですけど、かろうじて理解できるレベルなんで、なんか観終わった後に自分が知的な人間になったような気分にさせてもらえます

ということで、深夜映画もけっこういいのがやるんだなあと再認識
エログロバカ映画や脳みそからっぽアクションばかりじゃないのね

個人的評価:80点
オススメ度:幼女なつきすぎ




プレッジ 予告



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2010年4月16日金曜日

第9地区 (2009/米・ニュージーランド)

監督:ニール・ブロムカンプ
出演:シャルト・コプリー / デヴィッド・ジェームズ / ヴァネッサ・ヘイウッド / ジェイソン・コープ / ナタリー・ボルト / シルヴェイン・ストライク / ジョン・サムナー / ウィリアム・アレン・ヤング


ある日、南アフリカの上空に現れた巨大な円盤
その中には遭難したかのような状態のエイリアンたちが乗っており、政府は地上の隔離地域「第9地区」にエイリアンたちを住まわせるのだった

公開されてから評判になり、なんかえらく高評価をえている映画と聞いたら観にいかない理由がないじゃない
今までにないエイリアン映画という噂通り、ホントに新しいタイプの作品でしたね
知能を持っていてあるていど会話もでき、あくまで人類に保護されている立場のエイリアン
民族間の対立という問題を人類VSエイリアンという図式にして描き、不当に迫害されるエイリアンの姿や彼らの人権擁護団体、軍隊、対エイリアン対策団体、ジャーナリズムと「もしもエイリアンが人類の庇護の元に生活をはじめたら」という様子がリアルっぽく作られてます

で、この作品は結局、どんな内容なのか?
という点が一番の関心ごとなんですが、しょうじき「どんな映画なのか手探りで楽しむ映画」という感じですね
そんなわけで内容については詳しく書きません
それでもちょっとだけネタバレすると、単純な民族対立をエイリアン相手に置き換えただけの社会派作品として観ればいいんじゃないでしょうか
ただあくまでもB級映画なので、「おい、話が違うじゃねえか」という無粋なツッコミは受け付けません

主人公のヴィカスがまたいいキャラで、最初は「なんだこの地味で嫌みなおっさんが主人公?」と思ってましたが、ある出来事があってからどんどん魅力が増していって、最後にはいろんな意味で素敵キャラに変貌するから困らない
エイリアン側の面々も個性的なエビたちで、エイリアンの内部でも立場が弱いやつらという設定(?)なんで、ここまで人類に翻弄される姿はブラックジョーク的な意味でおもしろい
そして、そんなエイリアンに対する扱いのひどさを「新しくておもしろい」なんて思ってると、「立場を代えてみればエグいことやってたんだなあ」と思い知るでしょう

話の展開はかなりハイスピードで「次はこういう展開になるんだろうなあ」と予想してると、良い感じに期待を裏切った展開になり、けっきょくクライマックスまで「これ、どうなるんだ?」という期待感をもって観れて飽きません
そんな期待が大きくなると、どうしてもラストの展開いかんでは反動でガッカリくるのが心配ですが、この作品は個人的には最後の最後まで楽しめました
ドーン、バーン、プシャーって感じで頭悪いの大好きな私にしたらもう大満足

という中身を詳しく書けないもどかしさはありますが、ホントにどんな内容か知らないで観た方がかなり楽しめるのは確か
意外なB級テイストがツボだった「アバター」とじゃっかん同じノリで楽しめました
万人受けはしづらいかもしれませんが
あとはとりあえず、続編も作れそうな感じですが、あえてこれで終わってくれた方が個人的にはいいかな、と
その後の話にはあまり魅力を感じない
まあ、そういいつつ続編ができれば観るけどね!


個人的評価:95点
おすすめ度:猫まっしぐら




第9地区 予告

2010年4月14日水曜日

みなさん、さようなら (2003/カナダ・仏)

監督:ドゥニ・アルカン
出演:レミ・ジラール / ステファン・ルソー / マリー・ジョゼ・クローズ / マリナ・アンズ / ドロテ・ベリマン / ジョアンヌ・マリー・トランブレイ / ピエール・キュルジ / イヴ・ジャック / ルイーズ・ポルタル / ドミニク・ミシェル / トニ・チェチナト / ソフィー・ロレイン / ミツ・ジェリナ / イザベル・ブレ / マルキータ・ボワ / ミシュリーヌ・ランクト / ドゥニ・ブシャール / シルヴィ・ドラポー


父の具合が悪いと母から連絡をうけたセバスチャン
父とは正反対の性格と生き方ゆえに良好な関係とはいえない中、彼は彼なりのやりかたで世話をはじめる

死の宣告を受けた中での残った時間の生き方と、仲の良くない息子との和解の行方
ありがちだわ
あんまりにありがちだけど、こういう話に無条件でひかれるから困る
好きになった人が不治の病でした、みたいなナウなヤングが死に際にキャッキャウフフって話にはまったくひかれないけど、こういうおっちゃんとか子供が死に対して向き合っていくというのは大好物です

とりあえず見所はスケベで感情を優先に動く父と、理知的に考え行動して手堅い幸せをつかんだ息子のかけあいですね
父は人情味があるといえば聞こえは良いが、いわゆる古いタイプの人間で融通が利かない
息子はすべてにおいて幸せを手に入れてるようで、効率重視のあまり冷徹な印象もうける
そんな二人が「歩み寄ることなく」闘病生活の中で絆を確認していくというお話
父は死を前にしても融通の利かなさはそのままで、息子は直接せっしても反発するだけだと悟ってからは間接的に、それこそ金に糸目をつけずに父の闘病生活をバックアップしていく、と

息子の行動がまたすごくて、金にものをいわせて治療環境を一変したり、高額な治療を易々と受けさせ、時には父のもとを訪れる人を金で買う徹底っぷり
さすがに引くわと思うような手段でも金に物を言わせる様子とか、しょうじき観ててイヤな気持ちにならなくもない
本当に父子そろってどんだけ不器用なんだよ、と
友人達に囲まれて幸せそうな父のかたわらで、まるで舞台をプロデュースしてるがごとくクールな装いをくずさないセバスチャン
この不器用で微妙な距離感がちょっと楽しい

そして、こういう映画を観るってことは「泣きたい」からで
そりゃたまには心の汗を流したいわけで
だけどこの作品は微妙に泣けないわけで…
不器用な父と子、それぞれ頭では分かってるけどなかなか素直になれない
そんな二人を無意識のうちにもつなぐヒロインの一人であるジャンキー娘
設定もよく、シチュエーション的にも「おお、泣きのシーンきたか」と思える所もあるんですがイマイチ気分が高ぶらない
なーんか全体的にすかした雰囲気が強く、必要以上に行間を読むことを強要されている感じもあって、「分かる人には分かると思うけど?」みたいな嫌味が画面からにじみ出てる気がしないでもない
まあ、というか普通にもっとちょっとずつ溝を埋める段階を経て、終盤の盛り上がりにもっていった方が…
行間を読めなくもないけど、しょうじきじゃっかん取って付けた感動ものっぽい印象もありました

そんなこんなで設定はおもしろいんだけど、なんとも盛り上がらない微妙な空気感が漂います
最後まで観た後の感想として、主人公の息子がひょうひょうとしすぎててイマイチ好きになれないままの状態で終わってしまった
もっと感情的で泥臭いドラマが観たかったなあ、と

個人的評価:50点
オススメ度:ご都合主義的な良い人ばかり




みなさん、さようなら 予告



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2010年4月11日日曜日

桜リタルダンド




そんなわけで散歩がてらひとり花見をしてきたわけで
もういろいろとひとりでいるのに慣れてきてる感じがアレでナニですが
画像は携帯カメラな上に撮影とか普段しないんで、やっぱりアレでナニですが
と、言い訳を先行しておいて免罪符にしておく姑息さ





楽しそうにしやがってチクショウチクショウ…
それでも、さすがにそう思わずにいられませんね







なんか知らんけど、うちのトコでは鯉のぼりのめざしを吊すのが風習らしいですね
4月の桜と5月の鯉のぼりの夢のコラボ!
ていうか、その組み合わせってしょうじきどうなんですかね





てなわけで、たまにはいきなり映画以外の更新してもいいよね
あと、巷にあふれる桜ソングの中で、いまのところ一番いいなと思ってる曲を貼っておきます
なんという趣味の押しつけ、という感じですが気にしない


ロボゲイシャ (2009/日)

監督:井口昇
出演:木口亜矢 / 長谷部瞳 / 志垣太郎 / 斎藤工 / 竹中直人 / 生田悦子 / くまきりあさ美 / 松尾スズキ


芸者として成功した姉にいびられながらもたくましく生きるヨシエ
ある日、姉と影野製鉄の御曹司に家に招かれるが、そこは芸者の暗殺集団を組織する場所だった

オー!ロボゲイシャー!イエー!
分からんでもないが、さすがにこれはあえて言うわ
「もっとタイトルをひねれよ」
内容をよく表しているという意味では、まさにそのタイトルまんまのアホ映画
まあ、しょうじき多くを語らなくても予告編を見ればほぼすべてが語られている気がしないでもないですね

話的には姉妹でいがみあってるうちに、なんとなく暗殺集団である裏芸者として働くようになり、なんとなく組織での地位を競い合うために肉体を機械兵器に改造して張り合っていく…みたいな
そのうち組織に利用されてるだけだと気づいたヨシエが煙たがれる、という潔いほどの黄金パターン
しょうじきストーリーとかどうでもいいんで
とりあえずこのくだらなさが許容できるか否かが大きな問題でしょう

手刀で斬られたり、ロボゲイシャのロボっぷりに気づいた時に、いちいち「うわあ!○○だあ!」と相手が見れば分かることを説明台詞で叫んでから逝ってくれるから楽しい
あとは竹中直人関連のふざけすぎのシーンも、この作品なら違和感ないというかむしろおもしろくてしかたがない
他にはびっくりするほど命中率の低い銃撃シーンも見所です
目の前で雨のように銃弾をあびせあられてもけっこう普通に当たらないし、当たっても蜂の巣というにはほど遠いくらいポツポツと体に穴があくだけです
こういうシーンを分かっててあえてやってる監督のあざとさが気にならんでもないですが、まあ、クソB級映画にいちいち噛みついてもしょうがないじゃない、と

本当に最初から最後までくだらなくてどうでもいい話なんですが、それでも冒頭のシーンがどこからつながってるのか分からないのはどうなのかと
冒頭でロボゲイシャがバーンと天狗たちと戦って、その後に話を戻して「なんでこんな体になったのか」という過去から現在に話を追っていく流れなんですが、どう考えても冒頭のシーンにつながる要素がないから困る
わざとやってるのかどうか知らないですが、さすがにそこはキチンとしようよ、と
そんなマジレスしてるのが悲しい気がしないでもないですが

というわけで、現代のクソB級映画の見本的なものとして立派に作られてる一本でした
いろいろあるけどクソ映画って何がいいのか迷っちゃうとお嘆きのあなた、この作品をとりあえず観ておけばクソB級映画の現代史が垣間見えるでしょう
知らんけど

個人的評価:60点
オススメ度:ホントにエビフライネタ好きだな




ロボゲイシャ 予告



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2010年4月9日金曜日

シャッターアイランド (2010/米)

監督:マーティン・スコセッシ
出演:レオナルド・ディカプリオ / マーク・ラファロ / ベン・キングスレー / マックス・フォン・シドー / ミシェル・ウィリアムズ / エミリー・モーティマー / パトリシア・クラークソン / ジャッキー・アール・ヘイリー / ジョン・キャロル・リンチ / テッド・レヴィン / イライアス・コティーズ / ロビン・バートレット / ジョセフ・シコラ / ジョセフ・マッケンナ


連邦保安官のテディと相棒のチャックは、精神を病んだ囚人が収容される刑務所がある孤島にやってきた
そこで密室状態の収容施設から忽然と姿を消した女性について捜査をはじめる

いかにも怪しげな島で謎を解く
この設定にわくわくせずにいられません
しかも上映前に脳のとらえ方による錯覚とか、ラストにつながるヒントが劇中にちりばめられているとか、けっしてまだ観てない人にネタバレしないでくださいなんて言われたらテンション上がるじゃない
そりゃこっちも「やってやるさ」と気合い入れて「映画に騙されないように」注意深く観るってものよ

テディが島に降りたって、消えた女性の足取りを追いつつ、この施設に隠された謎とテディの過去が絡んできて真実とはなんなんだって感じの内容です
出てくる人物たちがホントにみんな怪しくて、「おまえ、実は・・・?」とか「あからさまに怪しいけど、それだけに逆に・・・?」ってふうにあれこれ推理しながら観留のが楽しすぎる
さらに、意味ありげなカメラワークとかカット割りがあって、そこに隠された映画的な演出の裏側を探るのもおもしろい

長丁場の作品なんですが、次々に怪しい人物が現れ、謎が混沌としていくのでまったく飽きない
それどころか観終わった時に「え?もう終わり?」ってくらいあっというまにエンディングになって、かなり作品に集中していられるのはすごい
それもこれもオチがどうなるのか気になって仕方ない&自分の推理が当たってるのか気になる、という点にありますね
こういう内容だけに「このシーンがあれだった」とか言えませんが、とにかくホントにいちいち各シーンが怪しくて楽しい

で、ラスト
ぶっちゃけ「これはひどい」と個人的に言わざるえない
冒頭から「こいつ○○だろ」って疑いつつ観てたら、ほぼ自分の思ってた通りで、というか思ってた以上に単純な話でガッカリ
しかもネタバレパートがやけに長い
あまりに長いもんだから「そう思わせといて?」と、もうひとひねり何かあるかと思ったらそうでもない
最後の最後のシーンで一発逆転するか、と思いきやそんなこともなく、結局はネタバレシーンで語られたものがすべてでしたね
せめてもうちょっと「観てる側の想像に任せるよ」みたいなあいまいな良い意味での気になる終わり方してくれた方がうれしかった
いや、もちろんそれまでの話を一蹴するような大どんでん返しをさらっとやってそのままエンドロールの方が好みですが

とりあえず肝心のオチがあまりに普通すぎてあれですが、そこにいたるまでの展開はかなりおもしろくて見応えがあったのは確か
そして、そのオチをふまえた上で作品を思い返すと、本当に色々と劇中にヒントがあって、「ああ、そういうことね」と思えるでしょう
そういう意味では、最近のトリックもののひねくれ感がない、良くも悪くも素直な昔風のミステリーでした

個人的評価:75点
おすすめ度:「ヒントが隠されてる」と事前に説明ない方が純粋に楽しめる気がします




シャッターアイランド 予告

2010年4月7日水曜日

テネイシャスD 運命のピックをさがせ! (2006/米・独)

監督:リアム・リンチ
出演:ジャック・ブラック / カイル・ガス / JR・リード / ロニー・ジェームス・ディオ / ポール・F・トンプキンス / トロイ・ジェンティル / ネッド・ベラミー / フレッド・アーミセン / エイミー・ポーラー / ティム・ロビンス / デイヴ・グロール / ベン・スティラー / ミート・ローフ / コリン・ハンクス / エイミー・アダムス / ジョン・C・ライリー / デヴィッド・クラムホルツ


ロックを極めようとハリウッドにやってきたJB
そこでギターの路上演奏しているKGの腕前にほれこんで弟子入りするのだが

いやあ、ナイスクソ映画
久々にアホ丸出しコメディ観て大満足したわ
個人的には「ズーランダー」とか手放しで褒めちぎる派なので、そこら辺がおもしろいと思える人ならもうこの作品を観た時点で僕と心の友になれます。半強制的に
しょうじき、そんなに期待しないで観たけど、もうテンション上がりっぱなしでしたね

いきなりロックミュージカル調ではじまり、JBとKGの出会いとテネイシャスDの結成までもうテンポ良すぎるってくらいポンポンと話が進みます
もう、ホントにアホすぎてくだらなすぎて、下品でどうでもいい、そんなこの映画は最高にアホ(褒め言葉)
それ以上やったらくどくなる、という寸前でギャグを切り上げたり、ちょっと長いコメディシーンでも間に別の場面をはさむことで、かなりちょうどいい味付けの笑いになってます
それでいて、一見どうしようもないコメディシーンも実は計算高く笑いを誘うよう作られていて、それが分かっていても楽しい
大爆笑する、というよりツッコミを入れて楽しむタイプ
そういう意味では受動的なコメディが好きな人には向かないかもしれません

そしてウリのひとつである(?)ロックミュージカルシーンも半端ない
かっこいいサウンドに乗せたアホな歌詞、全力全開でバカをやりながらじゃっかん外してるのが逆に気持ちいい
調べてみると普通にテネイシャスDとしてCDとか出してるし
思わず購入しようか悩むけど、これは一回きいたら満足レベルといえなくもないから困る
そういうことを踏まえて考えると、映画音楽として企画ものってだけじゃない力強さがあるのもうなずける
やっぱりリピートして曲だけ聴きたいか、と聞かれると微妙ですが

ストーリー的にもよくある展開ながら、ハイスピード&ハイテンション、そしてダレてきそうになるとロックミュージカルが始まって引き締めなおしてくれるんで、ホントに飽きずに観ていられます
しかも悪魔のくだりがでてきて、あきらかに「実はこいつが…」と思ってると、ね…
いろんな意味で外してくれるけど、油断してると「おい!」とつっこまざるえない展開になるから楽しすぎる

そしてクライマックスですよ
もう、さすがにこれはないわ
もちろん褒め言葉としての「ないわ」
作ったヤツ頭おかしいだろ、とひゃっぺん言うわ
でもオチは…うーん?って感じでしたが
まあ、総じてさっと現れてババっとやっつけて、余韻を残すスキを与えずに嵐のように去っていく、そんな潔いアホさかげんが素敵でしたね

最後に、この映画に対する評価はマジで「個人的」なものとして最高です
つまらない、笑えない、という人も多いでしょう
そこらの温度差かげんは、人それぞれ趣味に対するツボのベクトルと沸点が違うってことでひとつ

個人的評価:90点
オススメ度:JBマジキモかっこいい




テネイシャスD 運命のピックをさがせ! 予告



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2010年4月5日月曜日

地獄の変異 (2005/米・独)

監督:ブルース・ハント
出演:コール・ハウザー / エディ・シブリアン / モリス・チェストナット / レナ・ヘディ / パイパー・ペラーボ / ダニエル・デイ・キム / マーセル・ユーレス / リック・ラヴァネロ / キーラン・ダーシー・スミス


ニコライ博士が発見した地底に広がる巨大な川
その調査に協力するため、ジャックたちダイバーチームは地底にもぐるのだが

「ディセント」系の映画を探してたら、これを紹介してるとこがあって観てみようと
とりあえずタイトルからしてB級マキシマムですが、内容もそんなタイトルに恥じない立派なB級でしたね

出だしはいわくありげな男たちが、人里離れた山奥の廃教会の地下にもぐるところからはじまるわけですが、本編もこの展開でそのままいけばよかったのに、と思わざるえない
そんなプロローグから一転してジャック率いる、ナウなヤングたちが軽いノリで地底探検でテンション上がりまくり
もう本編はじまったとたんに「あれ?これやばいにおいがする・・・」とワンコイン特価DVDコーナーにおいてある作品と同じにおいが
そして、思った通りに毒にも薬にもならない、どうでもいい展開が延々と続くことになるわけですよ

でもこの映画、それなりに金がかかってて地底の状況や、そこをダイビング用のマシンとかを使って進んでいく様は
ほんとによく描かれてます
低予算の典型である「暗がりを利用した暗部美術」より、くっきりはっきり洞窟や地底水路を描いているんですよね
まあ、それが逆に「見えすぎてて迫力がない」という結果になってる気がしますが
見えすぎてると、やっぱり想像力とかなんともいえない圧迫感みたいのが薄くなってしまうなあ、と

そしていよいよ登場のクリーチャーさんなんですが、しょうじき見せ方が悪すぎて、印象的にしょぼく感じずにいられません
だけど、それは見せ方の問題であって、クライマックスでの見せ方が本来のあり方な感じ
いや、ホントにクライマックスシーンでのクリーチャー描写が、今までのはなんだったのかと言いたくなるくらい別ものみたいにカッコイイ
さらにこのクライマックスから作品的にもおもしろくなってくるんですね

とにかく、この監督はけっこういいセンスがあると思うんですが、いかんせん作風がつまらなくて退屈なのが、ね
ときどき深く描写せずにチラ見させておいて、それが実はっこう重要なシーンだったりとか、そういうギミックセンスは良い
そこらへんがクライマックスからラストへかけて描かれるんですが、しょうじき「おまえこの最後だけやりたかっただけちゃうんか」と言いたくもなるような
信頼、変異、そして進化・・・みたいな
こんなB級映画でラストに「そういうことか」と思わされるなんて・・・

そんなわけで、「ディセント」系ではあるけどそうでもない
そして無理に観なくてもいいけど、深夜とかでやってたらダラダラと観る価値はちょっとだけある、そんな作品でした

個人的評価:50点
おすすめ度:最初にもぐった奴らの目的がよく分からない




地獄の変異 予告



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2010年4月4日日曜日

板尾創路の脱獄王 (2009/日)

監督:板尾創路
出演:板尾創路 / 國村隼 / ぼんちおさむ / オール巨人 / 木村祐一 / 宮迫博之 / 千原せいじ / 阿藤快 / 津田寛治 / 笑福亭松之助 / 石坂浩二


拘置所を抜け出す男、鈴木がいよいよもって刑務所いきとなる
しかし、ここでも鈴木は脱獄を試みるが、あっさりと捕まってしまうのだった

なんというか、よく「人を選ぶ映画」という言い方をしますが、これはホントに人を選びすぎ
お笑い芸人としての板尾創路の芸が好きな人なら間違いなく楽しめるでしょう
逆に「これはどっちかというとミステリー」だ、って感じで観てると「はあ?」と思うでしょう
個人的には、この映画は間違いなくコメディです

無銭飲食で捕まった鈴木が、脱獄してはすぐに捕まるを繰り返し、それが12年つづく
脱獄を楽しんでいるのか、それとも?というのが主な求心力となり、鈴木の不気味なキャラクターがよくできてます
舞台も昭和初期っぽい感じで、そんな中での世界を楽しむ雰囲気系の作品でもある気がします

まあ、でも内容は脱獄して捕まるの繰り返しなんで、しょうじきちょっと退屈なのは否めない
次はどうやって脱獄するのか?というトリック的なものを楽しむのではなく、とにかく「なにが鈴木にそうまでさせるのか」を楽しむ映画
ホントにそれをメインとした作品だったら、まだ普通におもしろいと思う人もいたかもしれないですが、とにかくクセがありすぎて困る

特にラストが、ね
これは個人的にも観終わった直後、「はあ?なにこのクソ映画」と素直に思いました
だけどしばらくすると、大事なことなので3回いいました的な「板尾創路の脱獄王」というタイトルから、なるほどね、と
これは「板尾創路の」、あくまでも「板尾創路の」なんですね

そう考えると、それまでダメだなあと思ってたところもすべて「板尾創路の」効果で「ならしかたないな」と思えてしまうから困る
それでも「なぜ逃げるのか?」ということの答えが、わざわざ説明されなくても「そういうことか」と観てて分かるのに、いちいちセリフとして説明されるのはクドかった

そんなこんなで、ネタバレ回避しつつ書くのはけっこう難しいので、あまり深くいえませんでしたがとにかく板尾創路だと
そういう映画なんだと
一歩間違えば、というか人によってはマジでクソ映画認定するでしょう
まあ、クソ映画認定しない人でも「すごくおもしろいね」とはいえないでしょうが

個人的評価:65点
オススメ度:エンディング曲は意外によかった




板尾創路の脱獄王 予告

2010年4月2日金曜日

劇場版マクロスF 虚空歌姫~イツワリノウタヒメ~ (2009/日)

監督:河森正治
出演:中村悠一 / 遠藤綾 / 中島愛 / 小西克幸 / 神谷浩史 / 福山潤 / 豊口めぐみ / 保志総一朗 / 三宅健太 / 小林沙苗 / 井上喜久子 / 杉田智和


地球を離れ、新天地に向けて銀河の中心へと旅だった移民船団マクロス・フロンティア
そこで歌姫であるシェリルのコンサートが開かれる中、謎の生物兵器が襲撃にあい、会場にいた早乙女アルト、ランカも巻き込まれてしまうのだった

小さいながらも、いちおうは初代マクロスをリアルタイムで観てた世代で、シリーズもFをのぞいてすべて視聴済み
おっさん的にナウいヤングがフィーバーするアニメはキツい年代ということで、Fだけはスルーしてたわけでして
まあ、でも、ほら、ロボットものなら「おっさん」が「映画館」に「一人」で「アニメ映画」を観にいってもおかしくない・・・ぜんぜんオーケイだと信じたい
ぶっちゃけ「ホッタラケの島」の方が何倍もハードル高かったわ

そんなわけで、事前にTVシリーズを予習しておいたんですが、16話までしか観てない中途半端な知識で鑑賞
しょうじき、もっとバリバリのTV版つぎはぎ編集ものかと思ってたけど、そんなに気にならなかったですね
むしろ一本の映画としてがんばってまとめようとしてて好印象な感じ
内容もTV版の映像をいちどクラッシュして、混ぜこんで、練りこんで、もう一回かたちにした感じで、展開的にも明らかにTV版とは違うところもあり・・・というか、もう劇場版はこれでひとつの独立したものとして考えた方がいいかもしれません

それでも、TV版を観てなくても楽しめる
と言い切れないのがキツいですね
前知識がないとどうしても説明不足な感じは否めないし、TV版を観てたことを前提に「そうくるか」という作りをしてるんで、この映画単体で観ても「?」が浮かぶでしょう
よくも悪くもファン向けのサービス映画化って感じで

内容的にも序盤のシェリルが舞台上で展開する演出が見事で、エロカワイイ感じがよく出ててかなり楽しめるし、そこからバトルシーンへと流れていく様子も迫力ある上にハイテンポで展開していくから飽きません
全体的にテンポがよく構成されていて、というかじゃっかんテンポが速すぎる感じも否めないですが、どんどん話が先に進むのは気持ちいいですね
そんなテンポがいい流れの中でも、中盤から延々つづく若者たちのラブコメ展開がキツいわあ
もっとバトルが観たかったんですが、けっこうキャッキャウフフなシーンが多くて・・・その、なんていうか、あくびがとまりませんでした

それでもクライマックスは燃える&ハイスピードな展開が続いて、それまでの(おっさん的な)退屈さが吹き飛んだんでいいですが
作品がスクリーン上映されることをちゃんと意識した構図とか、分かってるじゃないと上から目線で思いましたね

そんなハイスピード&ハイテンションさは申し分ないこの映画、ただひとつだけ気になるのは勢いにのってラストまで話は進んで終わるんですが、冷静に考えてみると「かなりうすっぺらい内容」なんじゃないかと言わざるえない
二人のヒロインの間で揺れる主人公、なんとなく謎が展開さてつつ生物兵器ヴァジュラが襲ってくる・・・それだけなんですよね
この作品が前編という形で話的に「完結編に続く」みたいなスタイルなんでしかたないところもありますが、それでもあまりに内容が薄すぎる
それだけが気になりました

という感じで、こんな脂ぎった加齢臭が気になりだすお年頃のおっさんがマクロスFとかどうなんですかね
お願いですから引かないでください

個人的評価:70点
オススメ度:突撃!ラブハート!




劇場版マクロスF 虚空歌姫 予告