2015年7月27日月曜日

人生スイッチ (2014/アルゼンチン・スペイン)

監督:ダミアン・ジフロン
出演:リカルド・ダリン / リタ・コルテセ / ダリオ・グランディネッティ / フリエタ・ジルベルベルグ / レオナルド・スバラーリャ / オスカル・マルチネス / エリカ・リバス

飛行機の中で乗り合わせた席が隣同士の男女
話している内に共通の人物がいることがわかり、さらにその人物との関係ある人たちが次々に同じ機内で現れる

いくつかの話が同時進行していく系じゃない、完全1話独立で描ききるオムニバスでした
各話のつながりというかテーマみたいな部分は「ブラック」っていうくらいで、そう深い関連はない感じ
そうなるとやっぱり当たり外れのエピソードが出てきてしまうのはしかたないのかもしれんね
個人的には後半の長ったらしいのより、前半の短い話の方が楽しめた

飛行機内での話からはじまり、レストランや車の話と独立したエピソードが次々に描かれ、ジャブのような短いものからじょじょに長めのものへ移行していきます
ただ終盤の長めのものが、そうまでして尺をとる必要があるのかといったふうで、エピソードじたいを薄めちゃってる気がしないでもない
どうせ力を入れて描くならもっと二転三転、意外な方向へ盛大に暴走してほしかったかも

全編、笑えない内容だけど笑えるブラックさがきいていて、個人的には「エンスト」がいちばん楽しめた
ボンビータや愚息もいいんだけど、そうまで長々やらんでも、と
あとはやっぱり締めの話が弱いかな
結婚式+ブラックから導き出される安易でありきたりな話から、どうオチをつけるのかと思ってたらちょっと肩すかしでしたね

DVDでおもしろそうな話だけチョイスして観るのもいいかもしれん一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:そして最初の話へリンクしていく、とかそういうの期待しちゃダメ




人生スイッチ 予告

2015年7月26日日曜日

ゾンビーバー (2014/米)

監督:ジョーダン・ルービン
出演:レイチェル・メルビン / コートニー・パーム / レクシー・アトキンズ / ハッチ・ダーノ / ジェイク・ウィアリー / ピーター・ギルロイ / レックス・リン

ジェンたち女子3人組は湖へ遊びにやってくる
しかし、そこのビーバーたちの造ったダムには医療用産業廃棄物が流れ着いており・・・

お約束のヌード&ファックサービスシーンで期待値も高まるが、思った以上に普通のパニックホラーでしたね
クライマックスに向けて悪ふざけの度合いも加速していくけど、もっと終盤のノリを要所要所に入れてほしかった
観客にツッコミを入れさせるタイプのコメディ要素もあるけど、大笑いまでは届かない

無駄にいちゃつき続けるバカな若人どもが、怪生物たちに襲われてパニック
序盤だけ観れば襲ってくる相手がゾンビなビーバーってだけなオーソドックスなモンスターパニックものです
だけど本番はゾンビ要素が加わってきてからで、くだらないバカさもどんどん増していって楽しめる

ゾンビのビーバーというネタくさいモンスターのわりに、ガチで笑いなしに殺しにくるって意味では意外性はありましたね
たぶんそこからのゾンビ要素ミックス展開が見せ場なんでしょうが、個人的に「ブラック・シープ」をちょっと前に観てただけにインパクトは薄い
犠牲者のチョイスとか、ちょこちょこ意外性をついてきてはいるけど「そうきたか」と思うほどではないのが残念

「ゾンビのビーバー?なにそれ、おもしろそう」という軽いノリと広い心でゆるく観るのがいいかもしれんね

個人的評価:70点
オススメ度:賢いのかそうでもないのかよくわからんゾンビーバーさん




ゾンビーバー 予告

チャップリンからの贈りもの (2014/仏)

監督:グザビエ・ボーボワ
出演:ブノワ・ポールブールド / ロシュディ・ゼム / キアラ・マストロヤンニ / ピーター・コヨーテ / セリ・グマッシュ / ナディーン・ラバキー / グザビエ・マリー / アーサー・ボーボワ / ドロレス・チャップリン / ユージーン・チャップリン / グザビエ・ボーボワ / アデル・バンシェリフ / オリビエ・ラブルダン / マリリン・カント / フィリップ・ロダンバッシュ / ルイ=ド・ドゥ・ランクザン / バンサン・オーベール

1970年代のスイス、出所したエディは友人のオスマンのところにやっかいになることになる
オスマンが病気の妻の治療費に頭を悩ませる中、チャップリンの死を知ったエディは・・・

チャップリン映画について詳しくない自分でも、使われている楽曲やら場面に彼に対する多大なリスペクトを感じる作品でした
わりと事件をおこすまでのエディとオスマンの関係を描く日常パートが長く、基本はコメディ調ながらドタバタっぽい騒がしさは控えめ
バカ騒ぎというより作り込まれたコントを観ているようで不思議と心を癒されました

金にこまった男と、その娘を含めて放っておけない友人がチャップリンの遺体の入った棺を盗みだして身代金を要求という、話だけでいうならホントにそれだけの内容
随所にちりばめられたチャップリン愛からくるネタを楽しむのが良い鑑賞姿勢かもしれません
遺体を盗んで金をせびるという最低で胸くそ悪い笑えない話なのに、それほど嫌な気持ちにならないのもチャップリンを題材にしてるゆえかも

そんなチャップリンネタに反応できなくとも、お調子者のエディと堅物のオスマンのコンビの掛け合いを観ているだけでもおもしろい
エディ&オスマンのふたりの存在に負けないサミラや他の登場人物たちも魅力的で、キャラクターもののコメディとしても楽しめる
ただ、個人的にはやっぱりチャップリンという大きな存在が中心にあってこその作品で、コメディとしてはちょっと落ち着きすぎてるというか下品さがなくて物足りない一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:どっこい映画になってます、みたいな




チャップリンからの贈りもの 予告

オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分 (2013/英・米)

監督:スティーブン・ナイト
出演:トム・ハーディ / オリビア・コールマン / ルース・ウィルソン / アンドリュー・スコット / ベン・ダニエルズ / トム・ホランド / ビル・ミルナー

仕事を終えて車を走らせるアイヴァン
彼はある理由から翌日の作業を他の者に任せ、病院へ向かっていた

なんどとなく「あれ、なんてタイトルの映画だっけ」と思い出すのに苦労した内容ともに地味な作品
ワンシチュエーションものは個人的に好きで、けっこう期待してたんですが、なんというか毒にも薬にもならない感が強い微妙さでした
グッドエンドでもバッドエンドでもいいんで、どっちかにおもいっきり振り切ってほしかったですね

なんかトラブルを抱えてる感で車を走らせる主人公
着信があったり、こっちから発信したりと車内での通話のみで状況が見えてくる、と
もうちょいジャブぎみな軽いところから、どんどん深みに落ちていくかと思いきや、わりと早々に本題に入る
しかも状況は序盤ですぐに見えてくるので、思ってたより複雑さやワンシチュエーションものでよくあるトリッキーさはないですね

自分がまねいた種による苦境に真っ正面から対処していく様は、男らしくて主人公的に魅力を感じられる
通話のみで展開する話も、想像で状況を想い描くのが楽しめるから飽きることはない
しかしそれらも「いったいどのような結末が待っているのか」という前提があってこそ
だけど、そんなラストが個人的にインパクトが足りないと言わざるえない

男をみせて状況に対処していく様の中で、ちょっと弱さをみせてついてしまった小さな嘘やごまかしから盛り上がるでもなく、精神が極限まで追いやられるほどテンパる展開もない
話的には収まるべきところに収まったんだろうけど、「うん、で?」と言いたくなる
グッドでもバッドでもいいんで、もうちょい「その先」を観たかったですね

個人的評価:65点
オススメ度:やっぱりマッドうんぬん言うのはネタなんですかね




オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分 予告

2015年7月20日月曜日

インサイド・ヘッド (2015/米)

監督:ピート・ドクター
出演:エイミー・ポーラー / フィリス・スミス / ルイス・ブラック / ミンディ・カリング / ビル・ヘイダー / リチャード・キング / ケイトリン・ディアス / カイル・マクラクラン / ダイアン・レイン

ライリーの頭の中の司令部で彼女を導く5つの感情たち
引っ越しによって感情が乱れたことをきっかけに、ひょんなことからヨロコビとカナシミは司令部の外へ飛ばされてしまう

よく言う子供はもちろん、大人でもじゅうぶん楽しめる作品でした
ひょうきんなキャラクターたちとドタバタアドベンチャーで子供も満足、その内にあるストーリー性で大人も満足、というありがちなパターンと言えなくもないですが
普通に作品にするとパンチが弱いから子供受けする要素を盛り込んでファミリー映画に仕立てた、と考えるのは邪推しすぎですかね

ヨロコビとカナシミが司令部を離れたことで感情のバランスが崩れ、それがライリーの行動や言動に影響を与え、さらにそのことで内面世界にも大きく作用してくる負のスパイラルを乗り越えていこうって流れ
感情の話であり、記憶の話であり、子供の成長の話でもある
順を追ってライリーの内面世界が描かれるために、かなり分かりやすい作りになっているので観てても肩はこらない

ヨロコビ無双の胡散臭ささ、悲しい気持ちを押し殺す危険さ、子供からちょっと大人へ、カナシミの役割、ホントにすべての要素が分かりやすく表現されている
ただ展開的に「うまくいきそう」からの「ダメでした」の繰り返しでちょっと退屈な感じは否めない
あと、思ってた以上にカナシミのキャラがウザい

想像の範囲内での安定したおもしろさ、観ても大きくハズレた感はしないので安心して鑑賞できる一本ですね

個人的評価:75点
オススメ度:リプレイ&デストロイ




インサイド・ヘッド 予告

2015年7月19日日曜日

奇跡の2000マイル (2013/豪)

監督:ジョン・カラン
出演:ミア・ワシコウスカ / アダム・ドライバー / ローリー・ミンツマ / ライナー・ボック

オーストラリアにて愛犬とともに砂漠の横断を計画するロビン
そのために荷運び用のラクダを手に入れ、調教しようとするのだった

砂漠の旅という人生をなんたらで、自分を見つめなおすとか、そういうめんどくささが思ったよりひかえめだった
色々と意味は観た人が考えればいいとして、とにかく旅そのものを描いてる感が強い
けっこうコミカルな部分が多く、過度なドラマティックさを期待してると肩すかしをくらうかもしれん

そんなことより砂漠を横断しようぜ、って感じで旅に必要なラクダと金をなんとかせにゃと気張るロビンさん
まあ、でも準備も本番の旅もそううまくはいかねえ、という様子を描いた内容でした
人生の縮図たる出会い&別れ、自分見つめなおしロードムービーの要素もあるけど、やっぱりラクダと出会う人たちとの旅の様子を楽しむ旅映画に近い印象をうけました

世捨て人の様相でストイックに自分の力のみで旅に挑むわけでもなく、周りの人の好意には積極的に甘える
そのくせにグイグイ絡んでくるめんどくさい連中はノーサンキューで、変に頑なな面がある
あっさり旅の目的を見失ってみたり、強い想いで歩みを進めたり、矛盾する様子が観ていて楽しい

砂漠であっさりなくしたコンパスを見つけたり、アクシデントと解決がご都合展開くさいところもある
けど、ディギティとエディさんという萌えキャラの存在にいろんな意味で大きく支えられている作品でした

個人的評価:80点
オススメ度:ラクダやつらおとぼけフェイス系かと思いきや、キレ顔がマジで怖い




奇跡の2000マイル 予告

悪党に粛清を (2014/デンマーク・英・南ア)

監督:クリスチャン・レブリング
出演:マッツ・ミケルセン / エバ・グリーン / エリック・カントナ / ミカエル・パーシュブラント / マイケル・レイモンド=ジェームズ / ジェフリー・ディーン・モーガン / ジョナサン・プライス / ダグラス・ヘンシュオール / ナナ・オーランド・ファブリシャス

1871年のアメリカ、デンマークに残してきた妻と息子を迎えるために兄と駅へ訪れたジョン
駅馬車でアメリカでの住まいへ向かう途中、乗り合わせた男たちに妻が教われ・・・

余計な装飾のないウエスタン、そして復讐劇、地味ではあるけど骨太さが感じられてとても楽しめた
凄腕の主人公でもなく、超絶な悪党でもない両者の別に派手に撃ち合うでもない戦い、なのに不思議と見入ってしまう魅力がありますね
さりげないスタイリッシュさもあるので、おっさんじゃなくても鑑賞に耐えうると思う

復讐のために銃をとった主人公だけど、悪党どもや町の人間たちの逆恨みをかって理不尽な復讐の連鎖でうんぬん、ってな話
押さえられた感情の演技と、荒れた土地の渇きっぷりが相まって雰囲気だけでも存分に酔える
感情のままにぎゃあぎゃあ喚くうるささがないのが、物足りないと思えることなく逆に作品に没入できる

陰影のエッジのきいた映像と、やりすぎないスタイリッシュ演出の中で寡黙な復讐劇がたまらない
単純な話のようで町長やシェリフ、姫などの登場人物たちの内情がいい感じで絡んできて作品を盛り上げる
確かに地味さは否めないけど、けっしてやりすぎず物足りなさすぎずなバランスが絶妙な一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:善とか悪とか内容もわりと分かりやすい




悪党に粛清を 予告

2015年7月15日水曜日

青鬼 ver.2.0 (2015/日)

監督:前川英章
出演:中川大志 / 平祐奈 / 松島庄汰 / 久松郁実 / 勧修寺玲旺 / タモト清嵐

いじめが原因で不登校になったシュンを心配して家を訪れようとするひろしと杏奈
その途中、珍しい蝶を追いかけてひろしは化け物がでるという噂のジェイルハウスへ迷い込んでしまうのだった

うん、内容が内容だけにゲームな感じの作品でしたね
2作目にしてふざけちゃってる作りなイメージだったけど、1よりは確実にバージョンアップしてて意外に楽しめた
単なる死にっぷりのバリエーションを楽しむのではなく、話じたいに重きをおいているのはよかった
あくまで「1よりは」という前提ありきですけど

ひろしが蝶を追っていきついたジェイルハウスでは、シュンをいじめていた3人の男女が忍びこんで動画配信しようとしているところで、なんやかんや4人で中に入って化け物である青鬼に襲われてパニックに
という前作を作りなおしてるだけなのか、という流れだったけど、途中からシュンと杏奈もからんできてから本編スタート

思ったより青鬼による惨殺っぷりはマイルドな表現におさえられていて、そっち方面のグロさや気持ち悪さを期待してると物足りないかも
あるていど正解ルートとクリア必須アイテムが分かってる状態ゆえに、死と隣り合わせの探索感などきどき要素は薄い
流れの都合で怪我が思い出したように悪化したり、青鬼が追いかけてきたり、なんか意味ありげなゴースト直樹がでてくるというツッコミ要素も満載

それでも確実に前作よりはバージョンアップしてる
なんか特撮系にでてくるような無駄にカッコいい男どもが揃ってるんで、出演者目当てで観る人がいちばん楽しめる作品なんでしょうね

個人的評価:40点
オススメ度:リセット万能すぎるだろ




青鬼 ver.2.0 予告

2015年7月13日月曜日

リアル鬼ごっこ (2015/日)

監督:園子温
出演:トリンドル玲奈 / 篠田麻里子 / 真野恵里菜 / 桜井ユキ / 高橋メアリージュン / 磯山さやか / 平岡亜紀 / 冨手麻妙 / 秋月三佳 / 菊池真琴 / 安田聖愛 / 緒沢あかり / サイボーグかおり / 堀口ひかる / 柴田千紘 / 横田美紀 / 佐野光来 / 吉田芽吹 / ほのかりん / 星名利華 / 屋敷紘子 / 三田真央 / 澤真希 / IZUMI / 宮原華音 / 村上穂乃佳 / 桃奈 / 日高七海 / 岩崎風花 / 佐々木萌詠 / 最所美咲 / 石丸奈菜美 / 田あさみ / 坂本亜里紗 / 麻生真桜 / 安竜麗 / 奥田ワレタ

女子高生のミツコは修学旅行へ向かうバスの中にいた
そこへすべてを斬り裂く風が襲いかかり、ミツコ以外の乗員はみんなまっぷたつにされてしまうのだった

原作もこれまでの映画もノーチェックなんですが、これって過去作の話なり設定なりを知ってないとダメなのかな
スクリーンに映し出されたもの、劇中で語られたものだけではどうしても説明不足な気がしてならない
たぶんこうだろう、という自分の中での想像はできるけど明確な答えが与えられないことによる気持ち悪さは否めない

修学旅行のバスの中、自分以外はみんな死んでしまい、その元凶となった風から逃げるミツコ
逃げまどううちにある学校へたどりつき、そこでは今までのことが夢だったかのように新たな学校生活が待っていた、というお話
状況が不明のまま、さらに状況不明な事態が重なり連なっていく中、わけのわかないままに振り回される主人公といっしょに観てる方も泥沼にはまっていく

ミツコ、ケイコ、いずみと主人公が切り替わりながら、バタバタと死んでいく人たちの殺人ショー、っていう低俗で単純なスリラーならよかったんですが・・・
いつまでたっても、どこまでいっても事態が把握できなくてすっきりしない
深い意味なんてない、シュールがテーマな作品なんだろと自分を納得させて「うん、わけわからん」と投げ出したくなります

シュールさに負けるな、と想像力を働かせて説明不足は補完できないこともないけど、かなり危険な賭けにでた試金石映画と言わざるえない一本でした

個人的評価:50点
オススメ度:予告のノリでもヤバそうなのに、本編はさらにヤバかった。いろんな意味で




リアル鬼ごっこ 予告

2015年7月12日日曜日

バケモノの子 (2015/日)

監督:細田守
出演:役所広司 / 宮崎あおい / 染谷将太 / 広瀬すず / 山路和弘 / 宮野真守 / 山口勝平 / 長塚圭史 / 麻生久美子 / 黒木華 / 諸星すみれ / 大野百花 / 津川雅彦 / リリー・フランキー / 大泉洋

母を亡くして身よりのなくなった9歳の子供である蓮は、親戚に反発してひとりで生きていくと街へ飛び出す
そこで出会った熊徹のあとを追ううちに、バケモノの街へ迷い込んでしまうのだった

うん、まあ、良くも悪くもない、正真正銘の普通におもしろい作品でした
ただしフラットな感じではなく、いいなと思える部分と負の意味で引っかかる部分が相殺された普通さ
良い面だけをみてとれるなら、血生臭さひかえめなハートウォーミング重視のNARUTO的に楽しめるかもしれん
だけどどうしても個人的には視界に入らないように、気にしないようにできないマイナス要因が枷になってしまいましたね

バケモノと人間、大人と子供、師匠と弟子、大きな違いがある熊徹と九太だけど、どこか似たもの同士で反発しあいながらも互いに互いの欠けてるところを埋めあっている
そんなふたりの関係が深まっていく様子を描いているドラマでした
こういう男同士の師弟関係でありながら、実は互いに教え教わっている話は嫌いじゃない・・・というか少年マンガっぽいノリは好みな部類

劇中の言葉や小物が後々の展開に作用するところに丁寧さが感じられ、王道な部分もふくめてありきたりさより素敵さが勝る魅力がある
序盤のノリのまま、めきめきと力をつける弟子とそうはさせない底力を見せる師匠みたいな熱い拳と拳の血をこえた父子の話を観ていたかった
九太が生物的な意味で年をとって成長する、それはいいとしても長年のブランクからの人間界との絡みにどうにも嘘くささをおぼえずにいられない

少年のままの一夏の経験、みたいな話なら別だけど少年から青年への年月の経過の重みがファンタジーと割り切っても希薄に感じる
ライバルキャラとも、もっと初期、中期と幾度かバトルした方が生きるだろうし、そういう個人的に気になる点が大きすぎて良い点を蝕んでしまってるもったいない作品でした

個人的評価:70点
オススメ度:七夕っぽいあざとい演出してまで夏イメージを前面に出さなくてもいいと思うんだ




バケモノの子 予告

ターミネーター:新起動 (2015/米)

監督:アラン・テイラー
出演:アーノルド・シュワルツェネッガー / エミリア・クラーク / ジェイ・コートニー / ジェイソン・クラーク / イ・ビョンホン / J・K・シモンズ

スカイネットの機械軍によって支配された未来
抵抗軍を率いるジョンは、母のサラを殺して歴史を変えようとする敵のたくらみを阻止すべくカイルを過去へ送るのだった

新たな戦いでありながら、過去作を想起させるニヤリとできるシーンが多く楽しめました
じゃっかんお祭り作品な感じで贔屓目な甘い見方になっちゃうけど、やっぱり今この時代にシュワちゃんがガッツリ絡んでくれるターミネーターは感慨深いものがある
しょうじき色々と大きなツッコミどころを誤魔化されてる感はあるけど、個人的にはシリーズらしさは失われてない印象でした

未来から過去へサラを守るために送られたカイルだけど、たどり着いた時間軸ではすでに過去が変わってて戦いはもうすでに始まっていた、と
サラ&旧型ターミネーターのおじさんと共にスカイネットをぶっつぶして未来を変えようぜ、ってな話ですね
なんかタイムトラベルものとしての過去の改変と未来へのつながり、という部分でなんかでっかい落とし穴がある気がしないでもないけど、まあ、そこらへんの考察はそういうのが好きな人にまかせることに

とりあえずシュワちゃんのチャーミングさと、過去作にあったシーンを思い出させる描写に身をゆだねて、深く考えずに観ているのが一番たのしめる
娯楽作品、と割り切ってみてても鑑賞後に何も残らないガッカリ感はないですね
ただホントに時間軸うんぬんについて深く考えながら観てると、なんか腑に落ちない引っかかりを感じる人もいるかもしれんね

新しいのにどこか懐かしい、よく言われるフレーズがしっくりくる一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:この時間軸での続きは気になるような、これで終わった方が無難なような




ターミネーター:新起動 予告

2015年7月6日月曜日

アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン (2015/米)

監督:ジョス・ウェドン
出演:ロバート・ダウニー・Jr. / クリス・ヘムズワース / マーク・ラファロ / クリス・エバンス / スカーレット・ヨハンソン / ジェレミー・レナー / ドン・チードル / アーロン・テイラー=ジョンソン / エリザベス・オルセン / ポール・ベタニー / コビー・スマルダース / アンソニー・マッキー / ヘイリー・アトウェル / イドリス・エルバ / ステラン・スカルスガルド / ジェームズ・スペイダー / サミュエル・L・ジャクソン

アベンジャーズの活躍によってロキの杖は奪還される
そして、トニーは杖を解析することで平和維持システムの可能性を見いだすのだった

またどうせアイアンマンと愉快なヒーローたちみたいなお祭り映画だろう・・・と、いつものようにひねくれた心構えで鑑賞
そしていつものように期待は裏切られる、ただし今回は良い方向に傾いたから喜ばしいかぎりでした
ヒーローたちそれぞれにちゃんと見せ場があり、連携アクションも多めでとても楽しめました
内容もことの発端は地味だし、ウルトロンの思想がライトノベルのラスボスみたいで軽いな、と最初は思ってたものの鑑賞後にはそんなマイナスイメージも吹き飛んでましたね

究極の平和を目指すんだったら人々を守るより、今の人類をどうにかせんといかん、ってなファイナルアンサーで敵対するウルトロン
それに対抗するアベンジャーズというヒーローものの王道っぽい話でした
いつまでもうじうじと引きずらないていどに、各キャラの弱い面も描かれていたのもよかった
2作目ゆえにアベンジャーズのヒーローたちの扱いもだいぶ手慣れた感があって作品も安定してましたね

ヒーローとしてではない各個としての内面や対比うんぬんの部分もいいけど、やっぱり個人的にはアクション部分が気持ちよすぎてたまらなかった
オープニングのつかみから気分は高揚しまくりで、見せ所のあざとさに気づきつつも盛り上がらざるえない
ストーリー進行の退屈さの直前にナイスなタイミングで展開されるアクションシーンは、ただ派手に暴れてるだけじゃなくて飽きないように様々なバリエーションで画面をにぎわせて楽しませてくれる

欲を言えばウルトロンのほかにロキのような憎めない敵役が登場してくれてれば、なんて思いもあるけど、これ以上なんらかの要素が増えたらごちゃごちゃしすぎるかもしれんね

個人的評価:90点
オススメ度:おまけのぐだぐだ日常トークはほしかった




アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン 予告

2015年7月5日日曜日

チャイルド44 森に消えた子供たち (2015/米)

監督:ダニエル・エスピノーサ
出演:トム・ハーディ / ゲイリー・オールドマン / ノオミ・ラパス / ジョエル・キナマン / パディ・コンシダイン / ジェイソン・クラーク / バンサン・カッセル

スターリン政権下、モスクワでMGBとして働くレオ
スパイ容疑で追っていた男から出たのは、自分の妻の名だった

とりあえず鑑賞後に最初に思ったのは、作ってて削るべきところに苦心したんだろうな、ってこと
本来の事情は分からないけど、なんとなく元々もっと長い尺(になるはず)だったものから、劇場公開作品としてまとめるために「あった方がいい場面」を切り捨ててる印象
いろんな要素が絡み合って濃厚で見応えはあるけど、悪く言えば単純に詰め込みすぎ

レオさんがMGB内でのごたごたに翻弄されつつ、子供の連続殺人事件も追うことになる、と簡単に内容を記すには乱暴すぎるかもしれんくらいにいくつかの要素が折り重なって互いに結びついている
しょうじき殺人事件扱いするのがタブーな情勢で、それでも事件を追うシンプルなミステリーかと思ってたら、意外にめんどくさい事情がからんでくるドラマでしたね
ミステリー要素に重きをおいて観る人によっては、殺人事件の描かれ方の扱いに物足りなさをおぼえるかも

レオの過去、殺人事件の犯人との対比、ワシーリーとの因縁、妻との確執、それぞれがちょっとずつなにか足りない感がする
それでも苦労してまとめたんだろうなと同情するか、まとめきれない力不足を批判するかはその人しだいってことで
個人的には時代背景の説明やら、この作品の背景は無知な私でも分かるようにできてて、作品世界には没入できただけに同情の方に傾く

もっと長尺になってもいいから細部までこだわって撮りきったバージョンを観てみたい、不完全な感じはするけど嫌いじゃない一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:モスクワで数々の殺人事件を解決したTVシリーズのレオさん、その衝撃の過去が明らかになる劇場版みたいな




チャイルド44 森に消えた子供たち 予告

コードギアス 亡国のアキト 第4章「憎しみの記憶から」 (2015/日)

監督:赤根和樹
出演:入野自由 / 坂本真綾 / 日野聡 / 松岡禎丞 / 日笠陽子 / 藤原啓治 / 甲斐田裕子 / 川田紳司 / 茅野愛衣 / 石塚運昇 / 森久保祥太郎 / 小松未可子 / 瀬戸麻沙美 / 東山奈央 / 早見沙織 / 高森奈津美 / 松風雅也 / 伊瀬茉莉也 / 寺島拓篤 / 島崎信長 / 花江夏樹 / 井口祐一 / 小野友樹 / 石川界人 / 逢坂良太 / 室元気 / 菅生隆之 / 子安武人 / 武虎 / 宮田光 / 立木文彦 / 石原夏織 / 能登麻美子 / 櫻井孝宏 / 福山潤

アキトたちwZERO部隊は大型飛行艇ガリア・グランデへ突入を開始する
そこでは多くの無人ナイトメアを率いるアシュレイが復讐に燃えて待ち受けていた

ため回だった3章を受けて、という流れなんだから激しいたぎる展開を期待してたんですが、予想以上に熱くて楽しめました
さすがに話もここにきて各人の背景も見えてきて、作品全体を覆っていたベールがはがされていくクライマックス感も心地いい
さすがに次もあるってんで、アキト、レイラ、シン絡みの核となるとこは不明ですが、「次でまとめきれるのか?」と不安になるほど謎は残されてないのはよかったですね

なんか絆を深めた一行が戦いにおもむく中、アキトの内面の変化もありつつ、ユーロピアとブリタニアの思惑が浮き彫りになってくる、という内容
なんか裏があるだろ、っていう人たちの思いが描かれて全体のストーリーがすっきりしてきましたね
クライマックスに向かうゆえにシリアスに陥りすぎる流れの中で、空気の読めないアシュレイの存在がいい感じで息抜きになっている感じ

とにもかくにも最初っからバトルが展開することで勢いがつき、後半のいっきに話を進めてる急ぎ足感が気にならなくなっている
3章における、こういう劇場公開作品でため回を作るとかどうなの、と思うところもあった
そんな前作が無駄になっておらず、単作としては疑問あるものの3、4章というひとくくりで考えれば作りとして悪くない

今やこういう分割上映商法にも慣れてきたものの、ひとつの映画としてはやっぱりどうなの、という引っかかりはある
まあ、さすがにこのシリーズ作品にいおいて、個別の章でうんぬん言ううるさい人はいないでしょうけどね

個人的評価:70点
オススメ度:やけにキレイに終わるな、と逆に不安を抱かせといてのエピローグも分かってらっしゃる




コードギアス 亡国のアキト 第4章「憎しみの記憶から」 予告

2015年7月4日土曜日

劇場版「進撃の巨人」後編 自由の翼 (2015/日)

監督:荒木哲郎
出演:梶裕貴 / 石川由依 / 井上麻里奈 / 谷山紀章 / 嶋村侑 / 小林ゆう / 三上枝織 / 下野紘 / 逢坂良太 / 細谷佳正 / 橋詰知久 / 藤田咲 / 神谷浩史 / 小野大輔 / 朴ろ美

人を喰う巨人の脅威から壁の内側で暮らす人類
その中でエレンは巨人化する能力を身につけたが、制御不安定な力ゆえに捕らえられ審議されることになる

とりあえず謎の部分とかの作品じたいの話が完結するとは思ってなかったけど、それでも先の展開をチラ見させられるとモヤモヤせざるえない
そんなストーリーの核心部分を切り捨てて観れば、前半よりバランスのとれた内容で楽しめました
あくまでこの作品が初見であるかもしれんけど、エヴァのようなデビルマンのような分かっちゃいるけど過剰演出による燃え展開は熱い

エレンの次への戦いへのつなぎの人間関係、そしてバトルは女型巨人とのやりとりに集約されている
ただ、前編からの謎は謎のままだし、後編になってさらに謎は深まるばかり
後編からの新キャラもけっこういるけど、わりとキャラ同士の掛け合いも多めなので不自然さはあまり感じなかったかも
個人的に前みたいにバトルばかりで観てて疲れることがなかったのはよかったですね

なんの前触れもなく女型巨人が登場したり、その正体に対する超推理とかツッコミどころがあるものの、再編集ゆえのつなぎ目の不自然さはそれほど感じませんでした
気が滅入るような残酷さばかりでなく、仲間とともに戦う手段があることで熱い要素が増えたのもいい感じ
人と巨人、巨人と巨人、どの戦いも見応えがありました

だからなんなんだよ、という頭を使う作業は放棄し、描かれる戦いだけならじゅうぶん楽しめる一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:さすがに間があいたし、いまさら進撃の巨人かよ感は否めない




劇場版「進撃の巨人」後編 自由の翼 予告

アリスのままで (2014/米)

監督:リチャード・グラツァー / ウォッシュ・ウエストモアランド
出演:ジュリアン・ムーア / アレック・ボールドウィン / クリステン・スチュワート / ケイト・ボスワース / ハンター・パリッシュ

3人の子供たちの母親である50歳をむかえたアリス
ある日、言葉につまってしまったことをきっかけに病院へいくとアルツハイマーの疑いがあることが分かり・・・

海外製の難病作品、っていえばとことんキッツイ流れか、逆にあえて明るい流れになるか、というイメージ
なんだけど、そもそもこの作品は難病ものとはまた違うかもしれないですね
タイトルの通り、主人公であるアリスという人物の物語という印象の方が強い
病気から家族の薄まった絆やら、夫との愛をうんぬんという内容を期待してるとちょっと軽く感じてしまうかも

じょじょにアリスの物忘れの度合いが気になるレベルになってきて、アルツハイマーであることが確定的になる中で、他の家族の事情、特にリディアとアリスの関係が描かれていく
病気ゆえの心が痛くなるような描写もあるけど、基本はアリスのアリスとしての姿を見つめるのが正しい見方なのかもしれないですね
もっと記憶を失っていくつらさや悲しさを全面に出してドラマを描くこともできたろうけど、あえてそうしてないのかな

病気の進行によって主人公の記憶だけではない、人としての部分がそぎ落とされていく画的な移り変わりは確かに観ていてキツイ
だけどそれ以上に不自然さを感じないまでに、アリスとしての芯の部分が失われないのがおもしろい
病によって人が変わったようにネガティブに、もしくはポジティブに、無理して自分をねじまげない姿は素敵ですね

逆に言えばあまりにアリスのまますぎて、なんか無理に闘病するわけでもなく、悲しみに浸食されるでもない姿は観る人によって軽く感じてしまうかも
難病もの、アルツハイマーものを観ようという気構えは諸刃の剣かもしれません

個人的評価:75点
オススメ度:遺伝するうんぬんのとこは、もっと掘り下げてほしかった気がしないでもない




アリスのままで 予告