2009年11月30日月曜日

11月のこれ一本

はい、ね、あー、もう12月に突入ぎみですね
風邪ひいて、しかも家でひとりぼっちってホントにキツイですね
いろんな意味で
そんなわけで、手短にやっていくけどカンベンな!というAチーム的なノリはまだ通じますか
で、今月は「レイチェルの結婚」をおしときます
人を選ぶ作品かもしれませんが、私みたいにハマるとじわじわ後からきて、しかも余韻がいつまでも残ります
けっして手放しで良作とはいえないんですが、こんな映画が好きなんて俺ってカッコイイと自分に酔ってもいいじゃない

そういえば風邪には尻の穴、俗に言うアナルにネギことギーネーをぶち込むといい、という話がぷち有名ですね
その真偽とかはどうでもいいんですが、好きとか嫌いとか最初に言いだしたのは的に、このアナルギーネーの言い出しっぺは日頃どんなプレイをしててこんな思考に思い立ったのか興味が尽きません
気になって気になって睡眠時間以外、夜も寝られません
いつも夫に茄子プレイを強要されていた妻が復讐でもしたのがはじまりでしょうか
うん、本気でどうでもいい

人間、下ネタにたよるようになったら終わりやで

2009年11月29日日曜日

片腕カンフー対空とぶギロチン (1976/台湾)

監督:ジミー・ウォング
出演:ジミー・ウォング / クム・カン / ドリス・ロン / シャム・チンボー / ラウ・カーウィン / ロン・フェイ / ウォン・ウィンサン / ウォン・フェイルン


前王朝おかかえの武芸者を抹殺するために「空とぶギロチン」という特殊な武器を授かった武芸の達人である老人
ある日、二人の愛弟子が使命をまっとう中に片腕のカンフー使いに殺されたと聞き、その復讐に向かうのだった

なんでこの映画を観ようと思ったのか、賢明な人ならばこの作品のタイトルを見て頂ければ察しが付くと思います
まあ、アレですよ、こんな素敵なタイトルの作品を知って素通りできるわけないじゃない
片腕カンフーっておまえ、さらに空とぶギロチンて…微妙に分かりやすい対決のようでそうでもない抽象的なタイトルを気にならない方がおかしいでしょう

見始めてすぐに思うのが、その空とぶギロチンの形状ですね
外側と内側に鋭い刃がついたお盆、鎖みたいので結びつけてあってそれを振り回しつつ、相手の頭にお盆をかぶせて首ちょんぱ
あれ、これ、どっかで…?と思ってたら「片腕マシンガール」に出てきた敵の武器じゃないッスか
なにこのB級どうしのつながり、なにこの元ネタが発覚してもちっともうれしくない感
まあ、それはそれとして、この映画はだらだらとツッコミを入れながら見るのに最適な作品でしたね

特に中盤の武芸大会とか時代を先取りしすぎ
出てくる出場者が普通のカンフー使いだけじゃなく、三節棍、刀、ムエタイ、精神力で体を鋼鉄なみに堅くする、弁髪で首をしめる…くらいはわりと普通と言えなくもないですが、特に注目すべき猛者が二人
一人は日本から来た男、なんかじゃっかん勘違い気味の侍ファッションで、試合開始とともに普通にカンフーはじめたかと思いきや、実はメインの武器はトンファー
日本人の侍ならトンファー…ですよねー
さらにもう一人がインド人の男、こいつも普通に最初はカンフーアクションしてますが、その格闘スタイルが「ヨガ」ということで、「そのうち腕でも伸びるんちゃうんか?あ?」と思ってたら本当に腕が伸びました
ヨガなら腕が伸びても不思議じゃないですよねー

そんな中盤の尺かせぎも終わったところで、やっと宿敵同士の片腕カンフーと空とぶギロチン使いの対決が、武芸大会とかいっさい関係なくはじまります
しかし片腕カンフーさんは「あのギロチンをなんとかしないと…」と戦略的撤退をしながら考えます
さらにムエタイ野郎もギロチンさんと組んでカンフーさんを追い込みはじめるんですね
そこでカンフーさんは過酷な修行を開始して技を磨き、奥義的なものを身につけて戦いに挑もう…なんて考えはさらさらなく、敵を罠におびき寄せます
ガチバトルとか勝算のない、または低いことするのは愚かですよねー、って感じで知略っぽいものをめぐらせて戦いに挑む…なんかじゃっかん新しいカンフー映画のスタイルじゃね?
常に素足なムエタイ野郎を鉄板の床に改装した小屋におびき寄せ、周りに火を放っておいて自分は靴をちゃんとはいて戦うカンフーさんとか素敵です

さらにこんな知略風味のバトルはラストのギロチンさんとの戦いでも続いて、事前に仕掛けておいた斧を投擲する装置のある場所に誘導して、容赦なくその罠を使うカンフーさんマジで素敵すぎる
そんな斧の罠にまんまとひっかかり、斧をもろに体に受けながらもカンフーさんをガチバトルでは追い込むギロチンさんは半端ねえッス
しかも武器であるギロチンを失っても普通に優位なギロチンさんに、カンフーさんはあたりまえのように斧の罠を再び使ってギロチンさんの腹部に刺し、それに拳を突きつけて押し込む外道っぷり
まあ、なんというか、生き死にの勝負は勝てばいいってことですね

そんな一風変わったカンフー映画、あなたも見てみませんか
見ませんか、そうですか

個人的評価:70点
オススメ度:真の強者は勇敢さと賢さを合わせもつという




片腕カンフー対空とぶギロチン 予告

2009年11月28日土曜日

幼獣マメシバ (2009/日)

監督:亀井亨
出演:佐藤二朗 / 安達祐実 / 渡辺哲 / 高橋洋 / 志賀廣太郎 / 角替和枝 / 渋谷琴乃 / 佐藤仁美 / 西田幸治 / 高橋直純 / 古舘寛治 / 市野世龍 / 立花彩野 / 水野倫太郎 / 菅田俊 / 石野真子 / 笹野高史 / 藤田弓子


部屋から半径3km以内から外へでずに生活する35歳の中年ニート、芝二郎は母親に絶賛パラサイト
しかし急にそんな母が消息をたち、その行方をほのめかす手紙が二郎のもとに届き出すが、とうの二郎本人はガン無視する日々であった

あららら…
というのが正直な感想
TVドラマ版がよくできていておもしろかっただけに期待してたんですが、アナザーストーリーということをふまえても明らかにつまらなくなっててがっくり
全体的に映画を意識しすぎて、かなり窮屈なできになってましたね
展開としてのスケールアップを狙うのはいいですが、あまりに描写がいそぎすぎな上に詰め込みすぎ
さらに華がないと判断したのか、ヒロインとして安達祐実を用意したのが裏目にでてる場面が多い

話の流れ的に母の残したヒントを追っていることに終始しすぎて、肝心の一郎と二郎の絆みたいなものが薄味すぎる
さらにヒロインの可蓮が絡みすぎて二郎の成長物語というより、巻き込まれて仕方なく旅してる感じが強すぎる
実際、ヒロインが絡んでこないシーンはおもしろいし、ヒントを追う過程のちょっとしたシーンも楽しめます
あまりドラマ版と比べるのはアレですが、ぶっちゃけドラマのノリで作ってくれた方が個人的にはよかったかなあ、と
とにかくコメディパートが中途半端で、さらにドラマパートも中途半端、そしてたがいにまったく混ざり合ってないので、すっごいちぐはぐ感をおぼえます

駅での絶叫から留置所までの流れみたいなじゃっかんシリアスなシーンがいい感じなので、どうせなら全編シリアス路線でやってくれたら、とも
もしくは真逆に純然たるコメディとして描いてほしかった
「ネコナデ」がけっこうおもしろかったんですが、そこからさらに高みを目指そうとして分不相応なエリアに監督が手を出しちゃった感じ
ホントにあまりドラマドラマ言いたくないですが、あえて言おう「ドラマの2クール目を作ってそれでやれよ」と

それでも映画になっても二郎ちゃんのリアクション芸がほんとうに楽しい
できればマジでヒロイン抜きで一郎二郎コンビで困難に立ち向かっていってほしかったなあ
あとはまさかのAイチとBイチの共演があったりもしましたが、んなもんドラマ版のメイキング見てないとネタとして成立しないがな、みたいな
なんかダメなところばかり書いてる気がしますが、ついでに言っちゃうと二郎ちゃんをもっとかっこよくしてあげてほしかった
駅のホームでの暴走はよかったけど、あんな感じでもっと正の方向に爆発する二郎ちゃんを見たかったなあ

というわけで、ドラマ版を見た延長上で観るのはアリかもしれませんが、普通に映画としてつまらないから大困り
いきなり劇場版を観た人は「なにこれ?」な感じでしょうし、ドラマから入った人も「なにこれ?」というまさかのWなにこれ状態
人は忘れる生き物…この劇場版のことはきれいに忘れますね

個人的評価:10点
オススメ度:無理無理無理無理、りーむー




幼獣マメシバ 予告

2009年11月27日金曜日

曲がれ!スプーン (2009/日)

監督:本広克行
出演:長澤まさみ / 三宅弘城 / 諏訪雅 / 辻修 / 中川晴樹 / 川島潤哉 / 岩井秀人 / 志賀廣太郎 / 松重豊 / 寺島進 / 平田満 / 甲本雅裕 / 木場勝己 / 升毅 / ユースケ・サンタマリア / 佐々木蔵之介


番組ADの桜井米は、全国からよせられた手紙をもとに超能力者の取材にでる
しかし、どれもが「びっくり人間」ばかりという現実の中、ある人物を訪ねてついた店では謎の集団がパーティを開いていた

これも「ブラック会社~」と同じように思ってた作品のイメージと違いました
この映画って、カジュアルでおしゃれな感じのライトコメディ&ライトドラマティックな若人が大好きな内容かと思ったら、コメディとしてかなり楽しい、万人受けするタイプの良作コメディでした
本物の超能力者集団が、自分たちの存在を明るみにしたくないと思いつつもひたむきなヒロインにひかれて能力を披露するってな感じかと思いきや、どう見ても主人公は超能力者たちでヒロインとかおまけでした

というかヒロインが絡んでくる方がつまらなく、逆に超能力者たちがメインにすわってるシーンがめちゃくちゃおもしろい
とにかく笑いの間がうまくて、場内のみんなで周りを気にすることなく大笑いしてました
しかもけっこう笑いを誘うシーンがシンクロしてて、「あれ?笑ってるの俺だけ?」ということなく、同じシーンでみんなで声をあげて笑ってましたね
そういう意味でも万人受けするコメディだと思いました

話的には本当に超能力者たちがメインで、そこに細男とかがからんでくるみたいな感じでヒロインがサブシナリオのメインみたいな立場で入ってくる感じ
実際、ヒロイン不在の中盤までの細男とのからみだけでも十分におもしろい
というか、詳しくは言いませんがむしろ細男が主役でいいんじゃないのか、と思っちゃうほど
しょうじきヒロイン周りのエピソードとかもっと短縮してもいいんじゃないかっておもうくらいヒロインがおまけ
でも、おもしろいから不思議

ネタ的にもかなり個人的に好きな「こんなどうでもいいことが伏線だったのかよ」みたいなのが多く、後々に「その話も伏線として拾うのか」とコメディパート以外でも終始ニヤニヤして見てました
それだけに本当にヒロインが残念な子で仕方ない
個人的な趣向の問題なんですが、天然でユル系の口調な女の子を「ん?ほら、かわいでしょ」みたいな感じで演じられると反吐がでます
というか、おまえなんか公衆便所で小汚い浮浪者にファックされてしまえとか本気で…いや、なんでもない

ラストのオチも賛否両論ありそうですが、映画としてのまとめとしてはアリかな、と
まあ、じゃっかんそれまでの空気と違うというか、そこまでやらんでも気持ちよく終われるんじゃないか、とも思いますけどね
最後はちょっとクソ映画認定されてもおかしくない展開でした
個人的には好きですけどね!
別になくてもいいシーンな気もする、よく意味が分からない感じがしたけどね!

深く考えず、とりあえずゆるゆると笑いたい人にぴったりの、かなりわかりやすいコメディ作品でした

個人的評価:80点
オススメ度:透視能力の冷遇っぷりは異常




曲がれ!スプーン 予告

ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない (2009/日)

監督:佐藤祐市
出演:小池徹平 / マイコ / 池田鉄洋 / 田中圭 / 品川祐 / 中村靖日 / 千葉雅子 / 須賀貴匡 / 朝加真由美 / 北見敏之 / 森本レオ / 田辺誠一


プログラマとして就職した新入社員の大根田
しかし、そこは残業当然、理不尽な指示、ありえない人間関係のいわゆるブラック企業だった

思ってた内容とじゃっかん違って、その違いが良い意味で働いていたので、かなり楽しめましたね
大作の部類ではないですが、観る価値は十分にあると言えます
就職先にいる先輩たちがとんでもキャラで、ドタバタしながらも弱小ブラック会社が、それなりな働きをする所へと成長していく・・・という単純な話でもないのがよかった
実際、観るまではそんな悪く言えば「ありがちな」ドタバタコメディと思ってたんですが、意外なほど芯があって普通に見応えもありました

入社データのタイプミスからマ男と呼ばれるようになった主人公が、仕事のできないリーダーからいきなりイロハも教わらないうちに仕事を投げつけられ、さらに仕事仲間のサポートもしながら残業して与えられた仕事をこなした、それが入社当日のこと
そんなこれから訪れる限界にいたるまでの出来事をマ男が当時を振り返りながら巨大掲示板にスレッドをたてて書き込んでいく、というのが本筋
その課程でとんでもないブラックすぎる会社の実情、とんでもキャラたちのエピソード、マ男の過去、そして就職した理由が語られていくんですね
コメディパート、シリアスパートのバランスがよく、それでいていい感じに融合されてる良質なコメディ作品な印象

社会人として働いている人なら、演出的な誇張表現はあるけど絶対に主人公に共感できる部分はあると思います
能なしの威張るだけのリーダー、そのご機嫌とりばかりしている同じく能なしなナンバー2、情緒不安定でいじめられ役な同僚、そんな中で仕事面でもメンタル面でも支えになってくれる先輩の藤田さんがナイスすぎる
掃き溜めのような職場に似つかわしくないあまりにできすぎな人物の藤田さん
怪しい、怪しすぎるぜ・・・と勘ぐらずにいられません
まあ、それも制作側の思うつぼな感じなんですけどね

タイトルやあらすじを見る限り、仕事的にやばいくらいに追いつめられる話かとも思ったんですが、実際に見進めていくと仕事以外にもいろいろな面で主人公が追いつめられていく様がおもしろい、というと不謹慎だけど、そこはそこで映画的な娯楽作品を見てるという意味でおもしろい
だがそれがいい反面、さすがにちょっとひとつひとつの逆境が薄く感じなくもない
特に両親関係のエピソードは、分かるけどじゃっかん薄味で、やりようによってはもっとグッとくる展開もできたきがしないでもない

あとはプログラマという職業における過剰労働っぷりがあまりよく伝わってこない気がしましたね
普通のプログラマがどんな仕事っぷりなのか分からないのに、さらにすさまじい仕事現場と言われてもピンとこないというかなんというか
ゆえに仕事に追い込まれてる状況の緊迫感がイマイチ
さらに三国志ネタをいきなり出してこられても、そっち系の知識がないから、なんとなく言わんとしてることはわかるけどよく分からないネタがありましたね
で、もっともダメだったかな、と思ったのが主人公の引きこもりニート演技があまりにステレオタイプでリアリティがないところ
最近、個人的に見ているドラマの「幼獣マメシバ」の主人公のリアルすぎるニートっぷりを見てるとどうしてももの足らないものが

そんなわけで、本当におもしろいし楽しめるけど、もう一歩ぬきんでるものが足りない気がする、そんな作品でしたね
いや、けっしてつまらないわけじゃない、どちらかといえばおもしろい部類なんですが、あとひと味ほしいというか
あと、最後の最後に「結局、あの人ってよくわからなかったよね」という人の本性が分かるので、エンディングロール途中で切るのはやめましょう

個人的評価:70点
おすすめ度:ブラックじゃない会社の方が都市伝説だろ




ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない 予告

2009年11月22日日曜日

デス・プルーフ in グラインドハウス (2007/米)

監督:クエンティン・タランティーノ
出演:カート・ラッセル / ロザリオ・ドーソン / ヴァネッサ・フェルリト / ジョーダン・ラッド / ローズ・マッゴーワン / ゾーイ・ベル / シドニー・ポワチエ / トレイシー・トムズ / メアリー・エリザベス・ウィンステッド / クエンティン・タランティーノ / マーシー・ハリエル / イーライ・ロス / オマー・ドゥーム / マイケル・バコール / モニカ・スタッグス / マイケル・パークス / ジェームズ・パークス / マーリー・シェルトン / ニッキー・カット / エレクトラ・アヴェラン / エリゼ・アヴェラン


テキサスの美女三人組は今日もハメを外してバーに通う
しかし、そこに彼女たちをつけるように一台のドクロマークの車の姿があった

「イングロリアス~」で、自分の映画に対する感性を疑わざるえなくなったので、昔に買って積んでいたこの作品を引っ張り出して視聴
結論から言うと、めちゃくちゃおもしろいじゃないッスか、この映画
やっぱり「イングロリアス~」は個人的に受け付けない作風だったんですね

昔の低予算B級映画を上映しているスタイルで画面にはフィルムノイズや音飛び、カットの断絶なんかを再現してます
じゃっかんやりすぎでウザイ気がしないでもないですが、まあ許せる範囲内
なによりおもしろいのが、ちょっと古い時代を意識させる田舎を描き、そこに昔のフィルム風の演出しておきながら、普通に携帯はあるし今どきの車もちゃんと走ってるれっきとした現代が舞台になっており、そんなアンバランスさが絶妙にいい味出してます
どうでもいいまくしたてるような無駄なセリフも心地よく、それでいて所々に画面に注意を向けてくれるシーンをはさんでくれるので飽きない

それでも前半があまりに会話だけでだらだらしてるかな、やっぱり最近のタランティーノは個人的に理解できない作風なのかなあ、と思いもしましたが、そのギリギリの線でいっきに展開が加速していきます
マイクが美女三人組をイかせるシーンとか、まったくもってバカでB級で最高に素敵かっこいい
で、そこから再び新たな展開が始まるんですが、序盤の会話劇はじゃっかん退屈だったけど後半開始時のそれは最初のと違って普通に聞いてて楽しいから困らない
そこから「これはそういう映画なのか」と安心して観てると、クライマックスで「そっちにいくのかよ」と気持ちいい裏切り方をされて大満足

やっぱりこれですよね
小ネタがちりばめられてるのはなんとなく理解できますが、それが分からなくても普通に楽しめる
個人的に「イングロリアス~」は前半のだらだらした感じが全編続いてそのまま終わっちゃった感じに思えるんですよね
とはいえ、いくらこの映画がおもしろかろうと、本当にB級のノリがダメな人には合わないだろうな、と
あとは「ダーティ・メリー~」とか楽しめれば問題なくおもしろく思えるかと

そんなわけで、映画がおもしろいか否かなんてホントに人それぞれってことで
俺がおもしろいものがお前も絶対おもしろいわけはなく、その逆もまたしかり
自分の感性を人と比べても意味がないと再認識させられた作品でした

個人的評価:80点
オススメ度:モンスターカーはかっこいいのお




デス・プルーフ in グラインドハウス 予告

2009年11月21日土曜日

イングロリアス・バスターズ (2009/米・独)

監督:クエンティン・タランティーノ
出演:ブラッド・ピット / メラニー・ロラン / クリストフ・ヴァルツ / イーライ・ロス / ミヒャエル・ファスベンダー / ダイアン・クルーガー / ダニエル・ブリュール / ティル・シュヴァイガー / ゲデオン・ブルクハート / ジャッキー・イド / B・J・ノヴァク / オマー・ドゥーム / アウグスト・ディール / マイク・マイヤーズ / ジュリー・ドレフュス


ナチス占領下のフランス、家族を殺されながらも逃げた少女・ショシャナ
そして、年月がたったある日、ナチスを皆殺しにするために特殊部隊「バスターズ」がドイツに降り立った

久々のタランティーノ映画
いつものような軽快なセリフ回しと、派手なアクション、そしてとんでもキャラによる滑稽な立ち居振る舞い
テンポよく走るように最初から最後まで描ききる迫力
バスターズという特殊なスキルをもつ兵士たちが、どこかコミカルにナチスどもをぶちのめす
そう思ってた頃もありました
が、実際、そんな映画ではいっさいなく、とんでもないクソつまらない作品でしたね

なんといったらいいか、おもしろいならおもしろかった点を、つまらなかったならダメだった点を書けば感想にもなりますが、この作品はそんな善し悪しひっくるめて見所がまったくないんですよ
第一章の終わりで「あれ?なんだろつまらないな。でも、これからのための伏線だろうからなあ」と思いつつ見続けてもいっこうにおもしろくならず、かといって「これはひどい」という特筆すべきひっかかりもなく話は淡々と進んでいきます
おかずのない白米オンリーのご飯を食べてるような、なんともいえない怒りも喜びもない感情の起伏のなさ

なんか色々と小ネタを仕込んでたのか、他のお客さんからちょっとした笑い声が上がったけど、しょうじき自分には理解でいませんでした
特にバット男のもったいぶった登場とか、同族殺しのドイツ人の紹介シーンとか、意味が分からない
というか映画全体的に意味が分からないし、この監督が表現したかったことがいっさい伝わってこない
それでも分かる人には分かるし、監督もやり遂げたって感じなんでしょうね
あくまで個人的にだけど「レザボア~」「パルプ~」と楽しめたけど、この作品だけはホントに受け付けなかった

いちお内容的にはショシャナのナチスに対する復讐劇と、バスターズによるナチス討伐ミッションが、それぞれ目的はいっしょだけど別々に進んでいく感じ
思ったほどブラッド・ピットの出番はなく、誰が主役なのかよくわからない
展開的にも、何かしらのパロディやオマージュをちりばめつつ、それでも元ネタがわからなくても楽しめるのがタランティーノの良さだと思ってたのに
自分のようなにわか映画好きレベルには早すぎる内容だったね、ってくらい意味不明な作品でした

個人的評価:0点
オススメ度:誰かどこが見所だったのか教えてください






イングロリアス・バスターズ 予告

2012 (2009/米)

監督:ローランド・エメリッヒ
出演:ジョン・キューザック / キウェテル・イジョフォー / アマンダ・ピート / オリヴァー・プラット / タンディ・ニュートン / ダニー・グローヴァー / ウディ・ハレルソン / ジョージ・シーガル / ジョン・ビリングスリー / モーガン・リリー / ジミ・ミストリー / パトリック・ボーショー / トーマス・マッカーシー


2009年、ある地質学者により地球の崩壊まで間がないと判明
そして2012年、離婚した妻の所から子供たちをあずかって週末旅行を楽しむジェイクは、政府が隠していた間近に迫った地球崩壊の事実を知る

いかにもハリウッドらしい、大作っぽい大作なデキ
いわゆる「普通にけっこうおもしろい」が似合う作品ですね
上映後のお客さんの反応を見ても「・・・うん、まあおもしろかったよね」と、ちょっと言葉を濁し気味な感じ
さんざん予告であおられた作品ゆえに期待が大きすぎたのもじゃっかんの物足らなさの要因のひとつかも

マヤ文明の予言とか宣伝してますが、序盤から普通に科学的な地球滅亡の危機が判明して、しょうじきマヤ文明うんぬんの要素は「昔の人は知ってたんだね。すごいね」ていどの扱い
序盤から地割れの描写とかけっこうリアルで、滅亡まで向かう様子とかもわりと丁寧に描かれてます
そしてなにより、すごいテンポがよくてよくある「崩壊が始まるのは映画クライマックスで!」という出し惜しみなく、けっこう序盤からクライマックスがきます
道が段列し、ビルが崩れ、日常だった風景が瞬く間に崩れゆく様子を描きながら主人公たちがとんでもアクション以上のカーアクションや飛行機によるアクションを展開
個人的にはこういう日常が非日常に変わっていくさまを、きちんと画で見せてくれるのは大好きで、しかもこの作品みたいにすさまじいまでに力を入れてくるともう大満足

主人公たちが地図を手に入れるくだりまではマジで神映画認定してもいいくらいに文句なしのおもしろさ
なんですが、中盤からちょっとパワーダウンがはじまります
それでもダレそうになると、喝を入れるようにズドンとくるシーンが入るのでぎりぎり飽きはしませんが
こういう終末ものって、ようするに殺人鬼ものと同じで「どんなシチュエーションで崩壊を描くか」が楽しみの大きなウエイトを占めると思うんですね
そんな描写が序盤で出し尽くしてる感じがあからさまにするのはいかがかと

そんなこんなで終盤のクライマックスが、下がり気味のテンションの底になってしまってますね
終盤の山場になる大きなアクシデントが主人公たちが起こしたことが原因ってのもあるけど、なんか主人公を素直に応援できない
それくらい引き起こされたアクシデントは多くの人に迷惑どころか、命を危険にさらしてるんですね
しかも画もアクションも地味
緊迫感も画と音で誤魔化してるけど、ぶっちゃけゆるゆる気味
いや、別に特別つまらないってことはないんですよ
あまりに序盤が神展開すぎて、終盤の盛り上がりがあまりに普通すぎる「普通のパニック映画」止まり

なにより人間讃歌だか知らないですが、こういうパニックもので出てくるキャラのほとんどが「話の分かる良い人」ってのはつまらない
「笑う警官」の唯一の名ゼリフ「葛藤のない正義はマンガだ」を使うなら「葛藤のない人間讃歌は茶番だ」と言わざるえない
極限状態の中、互いに衝突して結果としてさらなるアクシデントを招きながらも、最後は団結して乗り越えるとかそっち方向が見たかったですね
ラストもラストで「言うほどじゃなかったね」みたいにくくるのはどうなんだ、と
常にポジティブな方に話をもっていくのはいいけど、なんか微妙に死んでいった人たちの描き方が軽いというか、結末も逆に考えれば人類的に相当すさまじい悲惨さになってるわけで
さすがに手放しで「良い話だなあ」とは言えない

そんな感じで、結局この映画でやりたかったことは序盤の崩壊の課程だけだったんじゃないかと邪推してしまう、そんな一本でした

個人的評価:80点
おすすめ度:普通の大作




2012 予告

2009年11月15日日曜日

笑う警官 (2009/日)

監督:角川春樹
出演:大森南朋 / 松雪泰子 / 宮迫博之 / 忍成修吾 / 螢雪次朗 / 野村祐人 / 大友康平 / 伊藤明賢


北海道警察での裏金疑惑が浮上した頃、札幌で一人の女性警官が殺害される
佐伯たち所轄の警官たちが捜査する中、道警本部のお偉方が事件に介入してくるのだった

あーあ、やっちゃった
というのが感想のすべてといってもいいかもしれない
予告を見たときは警察組織の暗部をサスペンスタッチで描くのかと思ってたんですが・・・
いや、内容そのものはおもしろいんですが、演出が最悪すぎるのもいいところ
この監督あたまおかしいんじゃないのか、と本気で思える台無し演出

ストーリーじたいは「ゼロの焦点」で足りなかったミスリードや、真相への道をたどってるように見えてなお拭えない疑念とか、本当に見てる人を引きつける話になってます(ラスト以外は)
でもなんていうか、要所要所の演出がひどく軽くてマンガ的なのが台無し要因になってる気が
シリアスな話なのに、演出がしょうもないカジュアルなTVドラマのそれな軽い感じで、ひどくちぐはぐさを感じますね
冒頭のおしゃれジャズミュージックにあまりに直球すぎるバーの映像からしてイヤな予感はしていたんですが、みごとにその予感は的中してしまいました
そのあまりに軽いノリに「これそういう映画なの?」と思った違和感が、見進めるうちに「これ普通の熱血くずれのおしゃれ刑事ものじゃん」と

あとはキャストがあまりに魅力なさすぎな感もあります
特に主人公の佐伯はもっと地味ながら渋さがある人か、逆に見るからにヒーローっぽい人がやった方がいいんじゃないかと
ここら辺も全体的に作品にながれるちぐはぐさを強調してますね

まあ、それはそれとして
話的には警官殺しの容疑者として手配された警察官、その人は裏金疑惑について公の場で証言する証人で、しかもあまりに迅速にその容疑者の警察官に対する射殺許可まででる
そんなできすぎたシナリオに、どう考えても警察内部の陰謀としか思えないと主人公たちが警察組織を裏切ってまで独自に捜査していく、と
順調に容疑者に対する疑惑がはれていくけど、なにか引っかかるものがつきまとう安心できなさといい、本当に話はおもしろい
ミスリードのさらにミスリードが用意されていたり、単純明快なヒーロー像としての正義の警察官を描いてるわけではない
設定、話だけ見ればかなり楽しめました

と良いところを出してしめたい空気ではありますが、そんなストーリーも最後の最後でクソ以下に成り下がりますけどね
もうどうしようもない気分でネタバレしたい心情を殺して、うっすらいいますが黒幕が出てきたシーンとか「おまえ笑わせたいんか?」と思うよな演出にげんなり
しかもそれを受けて「あいつをかならず倒す!俺たちの戦いはまだはじまったばかりだ!」と前向きに終わればいいのに、なんか微妙に主人公たちが報われないというかなんというか
しかもラストのアレはなんなんでしょうかね
意味不明なおしゃれ演出とか、マジで虫酸が走りましたよ
このクソ映画め!クソ映画め!ちんちんもげてしまえ!

個人的評価:30点
オススメ度:誰をターゲットにしてる映画なのかさっぱりですね




笑う警官 予告

ゼロの焦点 (2009/日)

監督:犬童一心
出演:広末涼子 / 中谷美紀 / 木村多江 / 杉本哲太 / 西島秀俊 / 崎本大海 / 鹿賀丈史 / 本田博太郎 / 黒田福美 / 野間口徹


巻一と結婚した禎子だったが、その夫が金沢で仕事の引継を終えて戻るはずの日に戻らない
不安になった禎子は金沢で夫の手がかりを探す中、巻一の過去からわきだした謎を追うのだった

原作未読で鑑賞
三大女優とか売り文句らしいですが、そんなんどうでもいい感じ・・・というか、佐知子以外の存在感が薄すぎな気が
こういうミステリーものではホントに感想は書きにくいんですが、とりあえず昭和な雰囲気はよく出てましたね
じゃっかん「別に映画じゃなくTVドラマでも」と思えなくもないですが、そこは「沈まぬ太陽」よりは映画っぽい作り

内容的には夫を探すうちに、禎子の知らない巻一の過去が露わになってきて、そこへちょっと引っかかりのある怪しい人物たちと接触しながら真相に近づいていく、って感じ
まあ、このてのミステリーの王道ではありますね
ただ、そんなちょっと怪しい人たちが出てくるのはいいんですが、もっと観てる側をミスリードさせる工夫があってもいいんじゃないのかなあ、と
あくまで主人公の禎子は真相に向けての一本道を進んでる感じで、「あれ?あいつちょっと怪しくね?でも、今はとりあえずおいとくか」みたいにわき道にぶれなさすぎ

そんな無視されたわき道の展開はというと、禎子抜きで勝手に完結していくオートサブシナリオっぷり
いや、むしろすべてが全自動的に話が進んでるといってもいいかもしれません
あるていど主人公が真相に近づいたかと思ったら、次からはいわゆる犯人が出てきて、禎子抜きで勝手に真相の解決編モードに入ります
実はこうだった、という展開がマジで主人公抜きで描かれるのはある意味で斬新
そして、すべて解明したあとに、主人公は「と、いうことだったのね!」的に真相の断片からみごとに超推理ですべてを見抜く全自動っぷり

しかも、そんな謎がすべて解けてからの展開がなんというか、一言でいえば「蛇足」でしかない
まあ、犯人の発狂はよかったけど、主人公と犯人のケリの付け方とか「え?はあ?」と言っても許されるレベル
ミステリーを観終わったあとのすっきり感は皆無
と、悪い点ばかり書いてますが、とりあえず「そうだったのか」感はそれなりに味わえますし、中谷美紀のちょっと大仰だけど力強い目力はひかれますね
ミステリー部分はアレな気がしないでもないですが、ドラマとしてみれば「ああ、あれ伏線だったのか」と思いながら楽しんで観られます

ミスリードで観てる側をだましてくれない物足らなさは別にして、本当に全自動で真相が語られる解決編までは普通に楽しめますし、だれません
それゆえにラストのどうでもよささが目立つ結果になってる気がしますが
そんな感じで、良くも悪くも古くさい、おもしろいけど大満足はできない、そんないわゆる「普通」の一本でしたね

個人的評価:70点
オススメ度:赤くて黒くて白い




ゼロの焦点 予告

2009年11月10日火曜日

マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと (2008/米)

監督:デヴィッド・フランケル
出演:オーウェン・ウィルソン / ジェニファー・アニストン / エリック・ディーン / キャスリーン・ターナー / アラン・アーキン / ネイサン・ギャンブル / ヘイリー・ベネット / クラーク・ピータース / フィンリー・ジェイコブセン / ルーシー・メリアム / ブライス・ロビンソン / ベンジャミン・ハイランド


結婚したばかりのジョンは、アドバイスから子育て前の練習に犬を飼うことにする
賢く手間のかからないラブラドール犬を選ぶのだが、家にきた子犬はとてつもなくバカ犬だった

積み映画を崩していく作業ということで
動物ものはけっこう好きなんで、これも発売と同時に購入してたんですがいつのまにやら悪夢の積みディスクタワーの礎になってましたね
まあ、それはそれとして、この映画ってもっと犬にクローズアップしたドタバタコメディかと思ってたんですが、「主人公のジョンの視点から見たマーリーのいる日々」みたいな感じで単純な動物映画じゃなかったです
誰もが想像するおバカなマーリーの行動に振り回されながらもほんわかするような展開は前半でほぼ出し切ってる感じかもしれません

話的にはいたってシンプルで、マーリーに振り回されながらも慣れてきたジョンたち夫婦が子供を作って子育てをはじめるけど、実は子育てはバカ犬の世話をするより何倍も大変だし、子供のために仕事のことや家のこと、色々な問題を考えなくちゃいけない大変さ
そこにバカ犬が加わることでしっちゃかめっちゃか…だけど、前向きに問題をちょっとずつ解決して進んでいくじゃない、って感じの映画
特別なことはなにもなく、バカ犬がいることで人よりちょっと大変さが増すけど、それでも普通の人並みな等身大の生活風景を「あくまでポジティブに」描いてます

いきなり犬を飼おうとするジョンに嫌な顔ひとつせずに大賛成する妻のジェニー
どんどん親友が出世していき、チャンスを持ちかけられてもぐちぐち言わずに家族をとるジョン
子育ての大変さにノイローゼ気味になってきつい物言いになったジェニーとケンカになるジョンだけど、なお前向きに、極力ネガティブなところを取り除いてある作りはいいですね
ある意味でファンタジーなくらいに暗く冷たい現実的な部分を見せません
けっこうあっさり感が強い印象で、ここら辺は人によっては物足りなさを感じるかもしれないですし、犬映画として見てると中盤の子育てパートがだるく思えるのも確か
それでも最後まで見れば、やっぱりちゃんとした犬映画だし、終わり方がなんとなく見えてきて「こういう映画なのか」と理解できるといっそう面白くなります
ホントに特別なことはなんにもないのに、普通の夫婦がバカ犬を飼いつつ家庭を築いていくだけなのに、それだけなのにおもしろい

それでも親友からチャンスを持ちかけられたシーンとか、隣人が自宅前で何者かに刺されたシーンとか、その後どうしたのかって描写くらいはしてほしかったかもしれません
仕事でのチャンスより家族を選んだのは分かるけど、その後に親友に心中を語る部分とかあってもよかったんじゃないか、と
隣人が刺されたという事件をうけての、なにかしらその後の発展があってもよかったんじゃないですか、と
あとはマーリーの成長につれてマーリー役の犬が入れ替わるのはわかるけど、さすがに別の犬すぎるんじゃないかというようなシーンも、細かいですが気になりましたね

ラストも犬を飼っている(いた)人なら「分かる分かる」と共感できますが、そうでない人にとっては「もうちょっと別のドラマティックな感じにできないのか」と思えるかもしれません
そんな感じで、犬好きなら十分に楽しめますが、そうでもない人は…というか、このタイトルで犬好き以外が観るわけないか

個人的評価:80点
オススメ度:犬も死に際に姿を消すのか




マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと 予告

2009年11月8日日曜日

アルティメット2 マッスル・ネバー・ダイ (2009/仏)

監督:パトリック・アレサンドラン
出演:シリル・ラファエリ / ダヴィッド・ベル / フィリップ・トレトン / ダニエル・デュヴァル / エロディ・ヤング / MC・ジャン・ギャブ’1 / ラ・フイヌ / ファブリス・フェルツジンガー


ともに戦った警官のダミアンと別れ、妹とともにバンリュー13区に戻ったレイト
それから3年、13区とパリ市街との間で新たな火種が生まれつつあった

いやあ、ガッカリだわ
続編にヒットなしとはよくいうけど、前作がすでにB級なノリなのに、さらにパワーダウンしてC級クラスに成り下がってしまった感がひしひしと
それでも前作は愛すべきB級映画だったのに、これはダメだ
前作ファンは観ない方が精神衛生上よろしいかもしれませんね

話は前作のラスト、レイトとダミアンが別れるところからはじまり、続編ものにしては珍しい正統続編路線でいくのかと思いきや、そこからのアクションがかなり大ざっぱ
1の時の流れるようなアクションではなく、どことなくぎこちなさが目立ちましたね
このぬるっとした流れるようなアクションがウリだと思ってるこのシリーズには致命的なんじゃないでしょうか
それでもダミアンパートになったら、いくぶん動きはましになってきましたが

そこから13区に抗争の火種をつける陰謀を描くんですが、このまま今作はストーリー重視でいくのかと思わせておいて、警視庁脱走あたりから「ストーリー(笑)」になり、バカアクションも盛り上がります
やっぱり筋肉野郎どものアクション映画に生半可なストーリーとか無理すんな、と
楽しめた脱走シーンですが、本当にこの映画のクライマックスはそこで終了
あとはもう惰性というか、あきらかに手抜き感が強くなってきます

クライマックスは、唐突に出てきた13区ならずもの軍団とともに敵地に乗り込むレイト&ダミアンですが、全員セガール状態VS一般兵でしかも奇襲かけてるって時点でセーフティすぎて緊張感のかけらもない展開に
ちょっと存在感があった敵側のハゲも、13区軍団のハゲ担当ダミアンにあっさりやられるし・・・いや、でもその決着のつけかたはちょっとおもしろかったけど
それよりなにより、クライマックスバトルで印象に残ったのは13区軍団のビッチVS一般兵×4だったのはどうなん?
そもそもクライマックスなのに主人公のレイト&ダミアンはほぼ活躍シーンないし
あとやたらといわくつきの13区軍団で乗り込んだのはいいけど、さすがに個々のキャラの描写が薄すぎて「おまえらなんのためにでてきたんだよ」と言わざるえない

そして問題のオチ
「え?おわり?」という以外に言葉がない
特に派手なアクションはいっさいなく、普通に敵本陣に乗り込んでラスボスを一般兵片づけるように倒してフィニッシュ
せめてその後の13区の描写でもあれば最後もしまったろうに、音と照明、画面の揺れだけで演出されても困る
そのシーンを見せろよ、と
しかもエンディングロール中のおまけ映像もアレじゃあ、もうため息しか出ないわ
マジで途中で予算なくなったのか?と疑いますね

そんな感じのこの作品、所々おもしろいシーン(特に前半部分)もあるだけにマジで残念すぎる
終わり悪ければすべて台無し、やっぱり続編は人柱にならずに周りの反応を見てから突貫するのが正しい見方かもしれません

個人的評価:40点
オススメ度:1を脳内で美化して満足しましょう




アルティメット2 マッスル・ネバー・ダイ 予告

僕らのワンダフルデイズ (2009/日)

監督:星田良子
出演:竹中直人 / 宅麻伸 / 斉藤暁 / 稲垣潤一 / 段田安則 / 浅田美代子 / 紺野美沙子 / 貫地谷しほり / 塚本高史 / 田口浩正 / 賀来千香子 / 宇崎竜童 / 柏原収史 / 田中卓志 / 山根良顕 / 佐々木すみ江


病院で自分の受けた手術について担当医が話しているのを立ち聞きし、自分が末期ガンだと知った中年の男・藤岡徹
落ち込む日々の中、ふとしたきっかけで最期の願いとして学生時代に組んでいたバンドを再結成に走るのだが

ひとことで言えばぜひ観るべき作品でもないし、ダメってほどクソ映画でもない
観てる分には楽しめるけど、別にすごい充実するわけじゃない「普通」な作品
よくある死を目の前に駆け込みで充足した密度の高い日々を送ろうと奔走するドラマ
まあ、実際はちょっと違って、末期ガンってのは勘違いで主人公が勝手に落ち込んでしまい、それを見ていた家族が「退院してから、父ちゃんが鬱になった!」と必要以上に気を使い始めることで、ますます主人公のガン意識が強くなっていく感じ

で、死ぬ前に青春時代の思い出であるバンドを再結成したいとはじまるんですね
そこからもよくある話で、みんなバラバラに仕事や悩みを抱えて生きてるわけで、そこを「死ぬ間際のわがまま」パワーで説得してまわると
それはそれで王道的な展開でいいんですが、メンバーの中でも大出世してエリート仕事人間化した山本を誘った時に、案の定いちど断られる
ってとこまでは分かる
だけどそこから山本が自宅でしみじみとバンド時代に使ってたギターを引っ張りだして見つめるくだりから、ちょっとしたら簡単にバンドメンバーに復帰したのがどうも
いや、ラストに向けての展開を考えれば分からんでもないが、それでも唐突感は否めない
もうちょっと苦悩とかドラマを見せてくれてもなあ、と

それ以外にもドラマの演出にしても、コメディの見せ方にしてもかなりあっさりしたできですね
大笑いはできないし、別に感動もできない、ただポンポンとテンポよく話が優等生的に進む感じで
ほんとにつまらなくはないんだけど、引きつけられるものがあまりないのは確か
個人的にはそんなあっさり演出もいいと思いますけど
あとは出てくるキャラが、ちょっとしたすれ違いはあるもののみんな良い人で観てて肩がこりません
中でも日暮さんは良い味だしててよかった
かけたメンバーの補充要員とか微妙なポジションながら、けっこうポイントポイントで存在感がありましたね
さらにこの映画の主人公って山本じゃねえの、ってくらい存在感があった宅麻伸も良い人でかっこよすぎ
で、あいかわらず主人公である竹中直人はうっざいおっさんだなあ、と

おっさんと言えば、この作品はあきらかにおっさん向けで、しかもコメディをみれる耐性を持つ人・・・というかなりピンポイントな趣味の人を対象にしてるようにしかみえないのはどうなんですかね
しょうじき若い人や日頃コメディ見ない人はクソ映画認定しかねない、そんな内容ではあります
終盤の主人公が山本に謝るシーンとか、そこら辺が楽しめるか否かで評価が大きく変わるかもしれません
というか、興味ない人はそんな終盤までみてられないのも事実

ということで、おっさん向けなファンタジー映画コメディ風って感じの一本でした

個人的評価:60点
オススメ度:末期ガンなんてなかった。そうでもない




僕らのワンダフルデイズ 予告

2009年11月6日金曜日

メタボ戦隊アホレンジャー (2007/米)

監督:キース・スピーゲル
出演:アリー・シーディ / ブライアン・オハローラン / ジャスティン・ヘンリー / フレッド・ハツェルトン / ビル・レイモンド / ジョン・ウォーターズ

かつてアメリカのお茶の間を一世風靡したモンスター特撮番組「Jr.ディフェンダーズ」
番組打ち切りから20年、転落人生を送っていた番組の登場人物の一人が誘拐される事件が起こった

ジャケットイラストに四人のおっさん&おばさんが痛い全身タイツ姿で描かれており、裏面には子役時代と20年後のおっさん&おばさんの比較写真があります
さて、容易に想像できると思いますが、過去の栄光はあるもののすっかり堕落して年をとった主人公たちが、事件をきっかけに昔の姿に戻ってコミカルに、しかし熱い思いで真のヒーローとして復活をとげる
というストーリー…じゃありませんから、これ
しょうじきパッケージ詐欺もここまでくると清々しい
むしろ普通はもっと面白そうな方向でパッケージは作るもんじゃないのかよ、と
さらに裏面にアホレンジャー血の掟7箇条とか、それぞれのキャラの持病(腰痛とかEDとか)も細かく書いてありますが、んなもん本編にいっさいでてこねーし
そもそもアホレンジャーなんて単語じたいでてこねーし

で、結局どんな話かというと、全編ドキュメンタリーたっちの映像で作られていて昔の映像はノイズばりばりで、現在のテレビなんかの映像はクリアに、本編は手持ちカメラみたいな粗くブレ気味で描かれてます
冒頭はJr.ディフェンダーズ(以下JD)放映当時の映像と、それを語る当時を振り返るインタビュー映像をまじえて過去の番組の栄光と転落を描いていきます
そして子役時代の成功から一転して転落人生を送っていたジミーのもとにインタビュアーのビルが「あの人は今」的なノリで訪れるんですね
で、その撮影中にJDの熱狂的なファンに誘拐されたジミーとビル、誘拐犯の狙いはJDの復活
そこで犯人は次に旧JDメンバーのミッチを拉致りにいく、と
だけど、ミッチは今は刑務所に入っていて…って感じで、次にカルト集団を立ち上げていたジル、最後にAV男優になっていたトミーのもとにいく

そんな誘拐事件もジル誘拐の時にテレビカメラにむかって犯人が「JD復活させる!」と宣言したことから、完全に事件がおおやけになります
一方で拉致られたメンバーもじょじょに乗り気になってきて、インタビュアーだったビルはもうノリノリ
犯人もJDに対する熱い思いをぶちまけて語るけど、真剣ながらも冷静に考えるとアホ丸出しな主張にすぎない
そして事件を知った元JDファンたちが全世界で犯人を支持し、JD復活の声が盛り上がっていく
そんなクライムロードムービーみたいのが主な部分ですね

前半はまだしも、誘拐が警察に知られながらあっさりメンバー全員をそろえられた経緯が、なんとなくうまくいったではなく、ちゃんとメディアを利用したという筋があるのが驚いた
丁寧に描かれているのか、あくまでノリで適当に作ってるのがよく分からない作品です
個人的にもかつての栄光をとりもどすリアルヒーローを目指した中年アクションコメディ路線より、こっちの静かなアホっぽさの方が好きですね
作中にも出演するジョン・ウォーターズの作風にじゃっかん似てる
まあ、個人的には「セシルB」の方が何倍も面白いと感じますが

リアクション芸人みたいに大声だして大げさにバカを演じるコメディを見るより、こういうコメディをもっと日本人は見た方がいいんじゃないでしょうか
このB級さに耐えられるかどうかは別にして
このB級さに耐えられるかどうかは別にして
大事なことなので(以下略)

個人的評価:80点
オススメ度:パンチ力はないけど、不思議な魅力があります

ザ・スピリット (2009/米)

監督:フランク・ミラー
出演:ガブリエル・マクト / サミュエル・L・ジャクソン / エヴァ・メンデス / スカーレット・ヨハンソン / ジェイミー・キング / ダン・ローリア / パス・ベガ / サラ・ポールソン / スタナ・カティック / エリック・バルフォー / ルイス・ロンバルディ / ジョニー・シモンズ / マイケル・ミルホーン / フランク・ミラー


街の平和を守る黒装束に赤いネクタイ、マスクをつけた男・スピリット
そんな彼の前に宿敵ともよべる悪の存在、オクトパスと呼ばれる男が立ちふさがる

休んでいい
休んでもいいが、すぐに連絡がとれるようにしておいてくれ
師走を前にじょじょに忙しくなってきた職場の上司からありがたい言葉をいただいたわけで
基本、映画館の中では携帯電話の電源は切ってるわけで
そんなわけで映画館に行けなくなったので、おうちで積み映画でも消化しようか、と

この作品、買う時に分かってたけどかなりのB級映画ですね
というかかなり微妙な作りに「あえて」してる臭いがプンプンしてきます
主人公の設定からして、銃やナイフで多少傷つけられてもへっちゃらで、傷の治りも早いタフさが売りですが、その他がちょっとアレな感じ
他のヒーローものの主人公みたいな圧倒的なパワー、常人をはるかにしのぐ身体能力、超科学のスペシャルウエポン、常識はずれの特殊能力、ええ、それらはいっさいありません
普通の人間よりは身体能力は高いですが、タフさ以外は街のちょっとすごい人レベル
戦い方もその場その場の環境を利用して高い所から突き落としたり、落ちてる物を投げたり、マンホールのふたで防御したり…そして決め技はマウントポジションからの拳によるめったうち
いや、なんというか、こんな微妙なヒーローとかどうなん?
すごいならすごい、ダメダメならアホっぽいギャグヒーローにするのが普通ですが、本当にこの主人公はすごさにしてもダメさにしても突き抜けてない中途半端な微妙ヒーロー
でも、B級脳な私としては、そんな主人公が大好きです

内容的には悪人のオクトパスが主人公と同じタフさを持っており、なぜ自分がそんな体になったか分からない主人公が謎を知るためにオクトパスを追う、と
その過程で主人公の過去が明らかになりつつ、オクトパスの野望が明るみに出てくる感じで
とにかく演出がアホスタイリッシュで素敵です
分かっててちょっとハズしたスタイリッシュさを演出する、アホスタイリッシュスタイルは本当におもしろい
冒頭からオクトパスと文字通り泥試合したり、便器をはめられて身動きとれなくなったり、女と見ればすぐに下半身でものを言うようになったり、ビルから落ちそうになったらズボンのベルトをハズしてパンツ丸出しでベルトをオブジェに引っかけようとしたり、絶体絶命の時に過去の女との関係を利用して脱したかと思ったら女に殺されかけたり、いちいち素敵で困らない
まあ、B級に対する許容があって、パロディをパロディと受け入れられる人限定のおもしろさかもしれませんが

主人公のスピリットもさることながら、敵のオクトパスもかなり素敵存在
クールで残忍な印象だけど、足と頭だけのアレを作ったシーンやナチスコスのシーンなんかのコミカルさや、クライマックスの取り引きのシーンで唐突に登場して「おまえ何がしたいんだよ」とニヤニヤしながら見れます
あざといはずしかたで見る側の笑いのツボをつついてくるけど、そんなに臭みはないんで軽い気持ちで嫌な感じなく素直に笑えます

それでもやっぱり映画として見ることは出来ないかもしれないですね
どうひいき目にみてもコミックをそのまま映像化した感じはぬぐえないですし、これを映画として真剣に見ようと思うと「ふざけすぎ」って感想になるでしょう
映画というよりひとつの映像作品って感じで楽しめばいいんじゃないでしょうか
あとはオクトパスと一緒にいた女がいまいちキャラ的につかみきれなかったのがなんとも
単なる小者にも見えるけど、実は影から操る真のラスボスともとらえられるし、よく分からないですね

そんな感じでB級耐性がある人は暇つぶしていどにはなる、そんな一本でしたね

個人的評価:60点
オススメ度:主人公が墓からはい出てきたシーンで爆笑




ザ・スピリット 予告

2009年11月2日月曜日

アルティメット・バトル 忍者VS少林寺 (2001/香港)

監督:ダグラス・クン
出演:シー・シャオロン / リー・サンサン / ジョン・チャン / チン・カーロウ / ケン・ウォン / トン・ニン / クォック・ンガチョン


幕末の時代、徳川埋蔵金のありかの地図を託された少林寺拳法の使い手が、一家を連れて追っ手から逃れるために故郷の中国に戻ってきた
そこへ追っ手の根来忍者軍団が襲いかかり、男は通りすがりの一人の男・チョウに娘を託すのだった

みなさんお待ちかねのVSシリーズ
今回は忍者と少林寺という一見、そんな意外性はない組み合わせですがよくよく考えてみれば、この二つ対決はけっこう斬新な気がしないでもないかもしれないと思えなくもない
物語は少林寺拳法の使い手の男が娘を通りすがりのちょっと強い拳法家の男に娘を託し、忍者にやられちゃう所からはじまります
というかここですでにタイトルにある忍者と少林寺の戦いは終わってしまってるいさぎよさ
ここから先は、というかこの映画の本編はこの通りすがりの男と娘の逃亡先での出来事という感じで

で、そんな追っ手に追われてたことはきれいに忘れて、二人は逃亡先の町でちんぴらのいざこざに巻き込まれてきます
正義漢は強いけど人が良すぎてちんぴらに利用されちゃうチョウですが、命を賭けた決闘の最中に自分は闘鶏と同じでしかないと気づくんですね
そして町にいた奇門流の拳法使いの男に弟子入りして、いろいろ修行してイメージトレーニングで少林寺拳法を習得したチョウの所に、敵の忍者軍団が娘のことに気づいて乗り込んでくる
って感じのお話ですが、いや、これなんというかB級的な見方をすれば普通に面白いです
大ざっぱな友情話、大ざっぱな主人公成長、大ざっぱな敵側のドラマ要素、と全体的に大ざっぱではあるけど、なんとも懐かしい香港アクション映画を観た気分

良い意味で少年マンガのバトルものなノリで、アクション部分も大ざっぱな感じでザックリおもしろい、みたいなね
かなり大ざっぱではあるけど、不思議とずるずると見続けているうちに認めたくはないけどガチで見入ってる自分がいるという現実
深夜や昼過ぎの映画枠でちょっと見るつもりが、ついつい最後まで見ちゃう系の作品ですね

なにはともあれ見所は個人的に意外とかっこいい忍者軍団の衣装と仕草
敵の中田が地元の女権力者とデキながらも、忍者であることを隠していたのがばれたシーンで女に刀を突きつける所とか本気でかっこいいと思いましたね
そんな忍者の描き方もさることながら、アウターは中国の人なんだけど設定が忍者なもんで、どうしてもセリフが日本語メインになってくるわけで
そして、その日本語がことごとく直訳っぽい言葉遣い&棒読みな素敵仕様で、シリアスな場面をことごとくコメディシーンに変えてしまうマジック
そんな直訳棒読みセリフも素敵ですが、それ以上に誰の指導か疑わざるえない素敵な言い回しがちょくちょく挿入されるのがツボにはいりまくり

例えば忍者の頭領(?)が娘の居所をつかんだ場面で手下に「早くやらなきゃ」と、しごくシリアスな顔でにらみをきかせながら言ってみたり、忍の掟を手下にまっとうさせるシーンで「君はやるべきことがあるじゃん」とやっぱり凄みをきかせた顔でフランクに言う仕草に惚れてしまいそうです
そんな忍者たちを十分に楽しめただけでじゅうぶんに有意義な時をすごせたなあ、と

いやあ、本当にB級っていいですねえ
特に外国での忍者の曲解っぷりはいつもハズレがないから困らない

個人的評価:70点
オススメ度:普通にバカB級アクションとしてもおもしろい(ストーリーをのぞく)

2009年11月1日日曜日

レイチェルの結婚 (2008/米)

監督:ジョナサン・デミ
出演: アン・ハサウェイ / ローズマリー・デウィット / ビル・アーウィン / トゥンデ・アデピンペ / デブラ・ウィンガー / マーサ・ジッケル / アンナ・ディーヴァー・スミス / アニサ・ジョージ / ロジャー・コーマン


姉のレイチェルの結婚式を前に、ある施設から出てきた妹のキム
家族、友人たちが結婚式に集まる中、素行の悪い娘としてレッテルを貼られたキムの周りの反応は冷たい

新作じゃないからアレだけど、それでも日曜日に自分を含めて3人とか過疎りすぎだろ、と
内容も地味だし、泣ける話でもないし、ロマンスでもないし、華やかな話ってだけでもない
それでもこういう映画こそ、もっと劇場に足を運んで観るべきだと思うんですよね
おもしろいとかつまらないは別にして

内容的には、いわくありげなキムが姉の結婚式のために施設から出てきて、幸せいっぱいな人たちに祝福の言葉をおくる・・・んですが、どうにも居心地が悪いというか落ち着かない様子を描いてます
キムの悪い噂や事実を知ってる家族、知人友人に囲まれ結婚式というおめでたい事柄を前に誰も言葉にしないけど、ちょっとした態度や対応からキムは疎外感をおぼえる、と
最初はそれでも幸せいっぱいな式になると思いきや、話の流れにつれてじょじょにキムのこれまでの行いや、家族たちの内面、その溝がくっきりしてくる

最近ではそう珍しくないですが、全編ホームビデオのような手ぶれありのドキュメンタリータッチな撮り方をしていて、それが本当に作品の雰囲気と合ってますね
知人と喧嘩したからあいつは悪い、家族のことを悪く言ったからそいつは悪だ、それでも奇跡的な団結力と愛ですべてが丸く収まる
そんなドラマティックな展開はいっさいなく、あくまでホームビデオ感そのままに、人物設定が「そういうキャラ設定だから、ぜったいこういう言動や行動はしない」ということ回避して、「そんなことをするような人には見えないけど、人間だものその場の感情でぶつかり合うさ」って感じで描いてます
リアルという言葉が当てはまるかどうか疑問はありますが、人間のままならない泥臭さはうまくでてると思いますね

そんな作風が逆にちょっと欠点にもなって、どうしても全編のっぺりした印象が強くなってしまい、しょうじき観ててだれるし飽きもくる
よその国のローカルな結婚式は新鮮ではあるけど、日本のちょっと奇抜さをプラスしたオーソドックスな式の様子を延々ながされたらげんなりするかもしれない
外国の見慣れない式の様子だけに耐えられた感はあります

そしてなによりおもしろいと思えるポイントはエンドロールにあります
そこで耳障りなほどに犬の鳴き声が曲中に割り込んでくるんですが、「え?なにか犬がキーワード的な意味があったのか?」と思わされます
そこから記憶をたどって作中のシーンを思い浮かべると、確かに要所要所で愛犬のプードルがさりげなく(?)でてくる場面がちょこちょこあるんですね
それでそれらのシーンの共通点ってなんだろうと考えていくと、個人的にひとつの答えが浮かんできて「そういうことか」と
もちろんそれが絶対のものって保証はないですし、特に深い意味はない雰囲気演出ととらえてもいいかもしれません

というわけで、けっこう人を選ぶ作品だと思いますが、はまればけっこうおもしろい映画だと思います
個人的にはヒロインよりお父さんの存在がすごくよかったですね
姉の言い分も妹の言い分も、父や母の言い分も知人友人の言い分もすべて分かるけど、それぞれがバラバラ
そこに善し悪しもなく、バラバラのようで根っこの部分はかろうじてつながってる、みたいなね
こういう作品はけっこう好きです

個人的評価:80点
オススメ度:愛情を求めたいじゃない




レイチェルの結婚 予告