2012年10月30日火曜日

10月のこれ一本

こたつはじめました
とか職場で言ったら普通に「はえーよ」というツッコミが…
いやいや、早くないっしょ
朝晩かなり寒いじゃんよ
アレか、朝起きてもおはよう言う相手がいないし、夜帰ってきても家は真っ暗なロンリーウルフなんざ寒くて当然ってか

まあ、そんなことより今月は「エクスペンダブルズ2」ですよ
チケットを購入するときにどれだけの人が正確にタイトルを言えたか気になるわあ
嘘、まったく気にならん
だいいち、こたつがあればそのまま眠れるんだぜ?
ガチ寝したら健康に悪そうだけどね
とにかく、冷えに冷え切って帰宅したところであったかいこたつに入ったときの幸福感エブリデイ楽しめるとか最高だろうが、あ?

そんなわけで11月、なんか知らんけど気になる映画がいっぱい公開されて鑑賞スケジュール考えるだけでわくわくしますね
ホント、こたつは麻薬的な魅力に満ちてるわあ

2012年10月29日月曜日

アルゴ (2012/米)

監督:ベン・アフレック
出演:ベン・アフレック / ブライアン・クランストン / アラン・アーキン / ジョン・グッドマン / ヴィクター・ガーバー / テイト・ドノヴァン / クレア・デュヴァル / スクート・マクネイリー / ロリー・コクレイン / クリストファー・デナム / ケリー・ビシェ / カイル・チャンドラー / クリス・メッシーナ / ジェリコ・イヴァネク / タイタス・ウェリヴァー / キース・ザラバッカ / ボブ・ガントン / リチャード・カインド / リチャード・ディレイン / オミッド・アブタヒ / ペイジ・レオン / シェイラ・ヴァンド / マット・ノーラン / J・R・カシア / ロブ・ブラウンスタイン / デヴィッド・サリヴァン / ジョン・ボイド / スコット・アンソニー・リート / マイケル・パークス / エイドリアン・バーボー / リンゼイ・ギンター / テイラー・シリング

1969年イランの米大使館が政治的理由から暴徒とかした現地市民に占拠されてしまう
からくも逃げのびてカナダ大使館に逃げ込んだ6人の職員を救うべく、CIAはトニーに策をろうするよう命じる

映画撮影とか言っちゃって人質を救出しようぜ!イエー!
というノリかと思ったらそうでもなかった
けっこうミッションがうまくいくかいかないか緊張感のあるシリアスな展開が続きます
かといって重苦しいだけの内容じゃなく、作戦が作戦だけにふざけたことを大マジメに取り組むコミカルさもありますね
ド派手なエンターテインメントとは違ってドンパチアクションもないし、なんか地味なんだけどグッと作品に引き込まれる魅力は十分にありました

人質を救出する案を模索するもCIA内部では決定的な作戦が浮かばない
そんな中で悩んだすえにトニーは異国の地で撮られるSF映画に目を付け、最悪な中でも最善の映画クルーとして人質を国外脱出させるハリウッド作戦を立案する
まずは米国内でもホントに映画を作るようにスタッフを雇い、オフィスを借り、脚本を買い、マスコミを利用するんすが、その様子がけっこうおもしろい
偽映画という嘘のために下地を作っていくんだけど、映画作りじたいが嘘とハッタリな世界という描写がいいんですよね
しょうじきそっちの路線で偽映画作りメインの作品とかもう一本作れるんじゃねえの、と
まあ、そこはそれとしてあまり映画作りの描写にこだわりすぎず、人質救出の展開にシフトしていくバランスはよくできてますが

映画で人質救出というトンデモ作戦を国内でなっとくさせ、なんとか現地入りしていよいよ作戦開始ってなっても命がけの人質たちにとっては「はあ?!」なわけで
そんな一筋縄ではいかないアクシデントやらなんやらで作戦はそううまくいかない
基本は、バレそう!?→ギリギリセーフ→次のアクシデントという感じなんですが、重苦しすぎず軽すぎずでほどよい緊張感が最後まで続いて良い塩梅

敵側にもキレ者の人物がいて、だましだまされつつ最後は主人公と一騎打ち…なんて少年マンガなエンターテインメントなノリがあってもいいかな、とちょっと思うところはあるけど、さすがにそこまでやると軽くなりすぎるかな
というかホントにドンパチなしでここまでエンターテインメント性を高めたのはすごいと思う
さすがにご都合主義がすぎるかな、と思わざるえない点がなくもないけど細かいことは気にしない方向で
ただ滑走路に武装したパトカーが乱入して、しかも飛行機の下をちょろちょろ走り回ってるのにも関わらずノーリアクションなのはどうか、とちょっと思ったわ

観る前に思ってたようなバカ騒ぎものじゃなかったけど、これはこれで十分におもしろい一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:アルゴくそ食らえ




アルゴ 予告

2012年10月28日日曜日

009 RE:CYBORG (2012/日)

監督:神山健治
出演:宮野真守 / 小野大輔 / 斎藤千和 / 大川透 / 増岡太郎 / 吉野裕行 / 杉山紀彰 / 丹沢晃之 / 玉川砂記子 / 勝部演之

全世界同時多発テロがおこる中、ゼロゼロナンバーのサイボーグ戦士たちにギルモア博士より小勇がかかる
そんな中、この事件の唯一の共通点である「彼の声」を聞いた009こと島村ジョーは…

つかみは「何が始まるんだ」という期待感がふくらみまくるんだけど、観ているうちに徐々にちょっと嫌な予感がしてきます
ことの真相が分かった時点で「うーん?」な感じになってオチで「はあ?!」という作品
個人的に原作は読んだことのない、アニメをちょっと観たことあるけどサイボーグ戦士たちのキャラをちょっと知ってるていどの知識です
そのていどの前知識でこの映画版を観た印象として「サイボーグ009ってこういう感じの内容なのかな」と違和感がなくもない

序盤から爆破テロを引き起こそうとするダークな感じの主人公、島村ジョー
各国にちりぢりになり、それゆえにそれぞれが属する国との関わりから立場のことなる正義をもつことになるゼロゼロナンバーの戦士たち
サイボーグ戦士どうしでの疑心暗鬼、対立も起きようとしていた…みたいなじっとりじめじめ系な重苦しい序盤の流れ
まあ、仲間同士であれこれ対立するようなしないようなって図式も今じゃ珍しい展開でもないし、ダークなヒーローものとして観れば問題ない、んだけど…
それでもちょっと怪しいからっていきなりギルモア博士がジョーに銃を向けるのは「え?」って思わざるえない

博士でいい年のじいちゃんキャラなくせに、付き合いの長い相手に怪しいからっていきなり銃を向けるか?
というか博士もふくめてゼロゼロナンバー側のキャラたちの絆とかそういうのって、そんなにうっすらしたものだったのかな、と
そして、そんな疑問よりもっと引っかかるのが事件の真相
いや、まあ、わかるけどさ、もっとシンプルに「すべてを利用して自己満足な目的を果たそうとする悪人」みたいなラスボスという共通敵がいてもよかったんじゃないかな
その上でこの真相とテーマを乗っけて描いてくれた方がすんなり受け入れられるかも

ちょっと描くのに難易度が高いことをやろうとして、「難しいことを簡潔に表現する」ことができずに誰かに伝える力の弱いオナニー作品になっちゃってるかな
「おまえの中ではうまくまとまってるんだろうな。おまえの中ではな」と言わざるえない
サイボーグ009作品としても、けっきょく一同が会することないし…というか途中で消えちゃうキャラもいるし、別に設定として009である必要なくね?と
オチもちょっと前のJRPGにありがちな「人には失望した。滅べ」「そんな悪い人間ばかりじゃねえ」「よし分かった。チャンスをやろう」 みたいな感じだし、もうなにがなにやらだし…

アクションは見応えじゅうぶんで、それだけでも楽しいっちゃあ楽しい
しかしながら俗に言う「エヴァ以降のアニメ」の悪い部分が出ちゃってる気がしないでもない一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:やったか?!はやってないフラグだってお母さんさんざん言ったでしょ!





009 RE:CYBORG 予告

2012年10月27日土曜日

ジンジャーデッドマン (2005/米)

監督:チャールズ・バンド
出演:ゲイリー・ビューシイ / ラリー・セダー / ロビン・シドニー / ライアン・ロック / マーガレット・ブライ / ジョナサン・チェイス / ジェームズ・スナイダー

強盗に父と兄を殺された過去を持つサラ
犯人が死刑となる中、アル中になってしまった母ときりもりするパン屋にジンジャーブレッドの粉が届けられ…

うわ、なんか久しぶりに観た気がするわ、こんなクソ映画
このパッケージからして覚悟はしてたつもりだけど、予想以上にひどかった
出だしの過去話で力尽き、あとは現場で酒呑みながら脚本書いて、その場で行き当たりばったりに撮影したんじゃねえのっていぶかしむくらいのデキ
ひらきなおって、もっとコメディよりにしてくれれば救いもあろうが、結果、ホラーとしてもコメディとしてもどっちつかずな中途半端なものになっちゃってますね
クソ映画すぎて逆に笑える、という要素がないのよ、これ

過去、目の前で兄と父を殺されたサラさん
数年後、アル中の母をかかえて細々とパン屋をきりもりしてるところに怪しい人物からジンジャーブレッドの粉が配達される
まあ、業者なんだろうと受け取ってパンを作り始めると、作業中に従業員がうっかり腕をちょっと切ってしまい、粉に血が「偶然」混ざってしまう
普段はどうか知らないけど、サラさんはこの日なんか気分が良かったのか巨大な人型のジンジャーブレッド、ジンジャーブレッドマンを作る
気づかずオーブンに成形したジンジャーブレッドマンを入れて焼いていると「偶然」停電がおき、さらに「偶然」電気トラブルでオーブンがスパークしてしまう
で、死刑になった因縁の強盗犯の魂の宿ったジンジャーデッドマン誕生というわけですが、いやいや、偶然の要素が多すぎだろ

いちお最初に粉を届けたのが強盗犯の母親で復讐が目的らしい…んだけど、ネタバレしちゃうけどラストでこの母親が自分で焼いた複数のジンジャーブレッドマンをサラのところに届けるんですが、うん、その、なんだ、原料を届けるより最初から自分で焼いた方が普通に確実だよね
本編中でも他にも話の展開が穴だらけでいちいちツッコミ入れるのもめんどう

ラストもひどいもので「押すなよ!ぜったい押すなよ!」的なノリでジンジャーデッドマンみずから死にポジションに移動する姿が切なくなるわ
精一杯やった上でのバカ映画、ひらきなおったクソ映画、そのどっちかに分類される雑な作りならB級脳的に楽しめるんだけど、これは単に作りが雑なだけでB級ものの魅力がまったくない
観てて苦痛になる系のクソ映画じゃないけど、まったくおもしろくない一本でした

個人的評価:10点
オススメ度:これで続編があるとか信じられんわ。人気あるのか?これ




ジンジャーデッドマン 予告


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2012年10月25日木曜日

バーレスク (2010/米)

監督:スティーヴン・アンティン
出演:シェール / クリスティーナ・アギレラ / エリック・ディーン / キャム・ギガンデット / ジュリアン・ハフ / アラン・カミング / ピーター・ギャラガー / クリステン・ベル / スタンリー・トゥッチ / デヴィッド・ウォルトン

田舎を飛び出してロスにやってきた少女アリ
仕事を探す中、偶然おとずれたクラブで繰り広げられる官能的な歌と踊りに感銘を受け…

前から気になってはいたけどなんとなく観てなかった作品
おとなのミュージカルドラマみたいな印象で観たわけですが、うん、とりあえず序盤は昔の名作ものっぽい雰囲気のある「どこか懐かし新しい」感じでおもしろかった
でも、最後まで観た後の感想としては「こんなもんかなあ」といった良くもなく悪くもないニュートラルな印象しかありませんでしたね

田舎から飛び出てきたポジティブ&アグレッシブな元気っ娘のアリは、ひとめ見て感銘を受けたクラブのショーに出たくて支配人に猛アタック
まったく相手にされないが、めげずに勝手にウェートレスとして押しかけ労働をはじめる
そうこうしてるうちにバーテンのジャックとも友だちとして仲良くなり、ようやくチャンスが巡ってくる…みたいなショー・クラブでのサクセスストーリーがメイン
最初にクラブに足を踏み入れた時に主人公の目にしたショーとか、そこから序盤のきらびやかな歌とダンスのミュージカルシーンはホントに楽しい

しかし、どうにもサクセスストーリーが軌道にのってくる中盤あたりからおかしくなります
そこまでは現代によみがえった古き良き時代の名作映画みたいなどこか懐かしくておもしろい展開だったのに、後半はなんかいろんなドラマを詰め込みすぎたせいかどうも視点が定まらない上に、けっきょくのところ中途半端な感じで終わっちゃってる
サクセスストーリー、婚約者のいるジャックとの関係、クラブのライバルとの関係、主人公とマダムの疑似母娘な関係、クラブの抱える金銭面の問題、そこに支配人のマダムのドラマが中途半端にからんできて、どんどんミュージカルというよりちょっとどろどろしたドラマがメインになってくるんですね

ちょっとどろどろした展開があっても次には歌と踊りでスカッと気持ちよくなれる、後半そういうところがない
なによりラストのドラマの締めくくり方が「なんかよく分からんけど全部うまくいった」としかいいようがない
とりあえずクラブの存続うんぬんを解決する手段は歌と踊りというファンタジーな要素であってほしかった
そして個人的に一番アレだった点は最後の曲のあまりに盛り上がらなさ
そこまでの展開がイマイチだったとしても作品をしめる最後の一曲で「うおおお!」と高揚するものがあればよかったのに、なんなんですかね…どうもグッとこない

そんな感じで出だしは最高だけど、ちょっと途中からの流れが個人的に肌に合わなかった一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:主人公の過去を掘り下げなさすぎ




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2012年10月22日月曜日

エクスペンダブルズ2 (2012/米)

監督:サイモン・ウェスト
出演:シルヴェスター・スタローン / ジェイソン・ステイサム / ジェット・リー / ドルフ・ラングレン / チャック・ノリス / テリー・クルーズ / ランディ・クートゥア / リアム・ヘムズワース / ジャン=クロード・ヴァン・ダム / スコット・アドキンス / ユー・ナン / ブルース・ウィリス / アーノルド・シュワルツェネッガー

バーニー率いる傭兵部隊に墜落した輸送機の積み荷を確保する仕事が持ちかけられる
無事に仕事が片づいたかと思ったところに謎の武装集団が立ちふさがり・・・

ああ、祭だ
細かいことなんざどうでもいい
ストーリーなんて邪魔くさいものはどっか放り投げておけ
シュワちゃん戻ってきたー!ヴァン・ダム蹴り出たー!出撃、チャック・ノリス!
ただただ、心の中で叫べばいいのさ
そんな映画でしたね

まあ、いちおそれなりなストーリーはあるんだけど、おまけ程度です
要するにスタローン軍団&ゲストVSヴァン・ダムな内容
まあ、ヴァン・ダム側にもっと悪役スターが欲しかった気もするけど、今回はスタローン側の出演陣がすごすぎるからこれ以上ごちゃごちゃしない今回くらいのキャストで十分かもしれません
だいたいの人はスタローン側のキャストの活躍を観たい、というか往年のアクションスターの共演&活躍を観たいってだけでしょうしね
そういう意味ではヴァン・ダムってヒールとしてピッタリかも

序盤からもったいぶらないアクションフルコース攻めでテンションがいっきに上がりますね
でもアクション映画としてすごいのはこの序盤だけかも
あとはスターたちの個人技を楽しむものになってます
キャストがキャストだけに、もうそれだけでホント十分すぎるくらい面白いですが
さらに、今作では登場するスターたちの過去有名作をネタにしたシーンがいくつかあって楽しかったわあ

この映画を観ようって人は大丈夫だと思いますが、前作を観てなかったり、出演者たちの過去有名作品をいっさい知らない、ヴァン・ダムを知らないって人には普通のドンパチやってるだけのバカ映画にしか思えないかもしれませんね
アクション映画の小ネタを拾えて、出演者にそれなりに思い入れがある人にとっては最高の祭映画でしょう
じゃっかんアクション要素が各キャラに分散しすぎて、アクション映画というジャンルとしては弱い気がしますが、そこは祭と割り切っていけばいいじゃない

次作ではゲスト枠をぜひ悪役側に使ってもらいたいですね

個人的評価:95点
オススメ度:戻りすぎワロタwww



エクスペンダブルズ2 予告

2012年10月21日日曜日

スーパー・チューズデー 正義を売った日 (2011/米)

監督:ジョージ・クルーニー
出演:ライアン・ゴスリング / ジョージ・クルーニー / フィリップ・シーモア・ホフマン / ポール・ジアマッティ / マリサ・トメイ / ジェフリー・ライト / エバン・レイチェル・ウッド / マックス・ミンゲラ / ジェニファー・エール / グレゴリー・イッツェン / マイケル・マンテル

民主党予備選、候補者であるモリスの選挙参謀を務める若きキレ者スティーヴン
選挙も大事な局面をむかえる中、スティーヴンのもとに対立候補の選挙参謀から内密な話があると持ちかけられ…


政治に詳しくない、しかもアメリカの選挙とかなじみがない、そんな私でも十分に楽しめた作品
タイトルから政治の世界の裏舞台で陰謀劇がうんぬんみたいなのを想像しますが、というか観る前までそんな作品かと思ってたけど、実際は人間ドラマ的な意味合いの方が強いかな
主人公がどっかで見た顔だな、と思って調べたら「ドライヴ」の人だったんですね
一見ひとが良さそうだけど奥底に眠るどす暗い部分がある、そんな主人公にピッタリのキャスティング
「ドライヴ」の時の怪しい魅力がまんまこの作品でも出てるんで、この役者さん本来の持ち味なんでしょうかね

モリス知事のブレーンであるポールを師と仰ぎ、選挙参謀のナンバー2としてオハイオ州での民主党予備選での戦いに余念がないスティーヴン
そんな中、通常では考えられないライバル候補の参謀から接触の連絡があり、怪しいとは思いつつも会うことに
モリスへの忠誠心と師であり友と想うポールへの気持ちは揺るぎないものの、その密会を機に優勢であった自陣の選挙戦に次々と不安材料があらわれはじめる…
と、表の顔であり光であるモリスに対する裏の顔で影として暗躍する主人公たちブレーンのダークな政治劇、というのが序盤の展開

しょうじき序盤だけ観ていると選挙戦を舞台にドロドロした裏側の駆け引き、みたいな黒い政治劇な印象が強いですが、それも徐々に変化してきます
その変化である部分、単純なドロドロした選挙の実情っぽい裏舞台を描く物語ってだけじゃないところがおもしろい
選挙戦から主人公の話へとシフトしていき、人間ドラマとしてのドロドロした部分が浮き彫りになっていくのを楽しむ作品かもしれません

若いながらもキレ者であらゆるものを利用して戦う主人公
その能力で問題をひとつひとつつぶしていく、んだけど…みたいなね
モリスのゆずれない正義心、ポールの貫く信条、悪く言えば汚い選挙戦の中でも「まっすぐなゆずれない部分」を描くことがいいスパイスになってますね
こいつはこういうキャラだ、という見せ方が生きてくる展開というか
しょうじき作品を総じてみれば佳作な感じは否めなくて、無理して観るほどじゃないけど観て損はしない、そんな一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:映画的というよりTVドラマ的おもしろさかも




スーパー・チューズデー 正義を売った日 予告


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2012年10月17日水曜日

トレーダーゲーム (2010/加・ベルギー・仏)

監督:ファブリス・ジェネスタル
出演:ジル・ルルーシュ / ヴァイナ・ジョカンテ / マイケル・マドセン

リスクのある刺激的な生き方を好むフランス人トレーダーのエルワン
ある日、彼は相場の動きと気候変化の関係に目を付け…

アイディアはいいんだけど、どうにもいかしきれずに結局は普通な作品に落ち着いちゃってる感じの内容
良く言えばテンポがいいんだけど、しょうじき展開が急すぎる感は否めない
とは言え特殊な知識がなくても楽しめる内容だし、ラストの主人公のとる行動も「そうくるか」とちょっと意外だし、あえて手を出す必要はないけど機会があれば観ても損はない…かもしれない作品ですね

ある相場の動きを見ていた主人公が「やべ、なんかこの動きのパターン見たことあるし」とひゃっほいして、それが気候の変化をあらわしたグラフだってことに行きつく
そんじゃってんでそのグラフを利用して過去のパターンを調べ上げ、相場の動きを予測するシステムを作り上げる
まあ、でもそんな簡単にいく話じゃなくて、大損ぶっこいて勤め先に大迷惑をかけちゃう…っていうのが序盤の展開
挫折と栄光、初心と慢心、経済を支配していたはずが、というのを描いていく作品です

全体的に作りが浅めで、どこか箇条書きっぽい
「主人公が○○しました」「結果、こうなりました」「次にこうなりました」みたいな印象が強くて、今までピンチだった主人公の立場が、次のシーンではそんなピンチな状況じゃなくなってるんですよね
ビジネスの成否、ロマンス要素、それぞれ深いところまで描いてなくて物足らない
というか気候の変化とかちょっと地域が変わっただけで違っちゃう要素で、どう相場を予測できるのか理解できんわな

まあ、色々とダメな部分ばかり目立ちますが、それも「もうちょいしっかり作ってればかなり面白い内容なのに」という思いゆえ
設定とか物語運びとかけっこう楽しめるのに、なんかもったいない感がする一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:ある意味、スカイダイビング映画




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2012年10月15日月曜日

推理作家ポー 最期の5日間 (2012/米)

監督:ジェームズ・マクティーグ
出演:ジョン・キューザック / ルーク・エヴァンス / アリス・イヴ / ブレンダン・グリーソン / ケヴィン・マクナリー / オリヴァー・ジャクソン=コーエン / ジミー・ユール / パム・フェリス / ブレンダン・コイル / エイドリアン・ローリンズ / マイケル・シャノン / アナ・ソフレノヴィック

1800年半ばのボルティモアで奇妙な密室殺人がおきる
それは作家ポーの小説とうりふたつの状況なのであった

ミステリ小説を真似た事件が次々おこる…!
まあ、ポーの作品を映像化してるという意味ではおもしろいけど、しょうじきミステリとしては古くさい
小説と同じことが現実で再現され…とか誰もが思いつくネタだし、今どきスパイスのひとつとして小ネタで使用するならまだしも。それをメインとして描く勇気はある意味すごい

自分の小説で書いたものと同じ事件がおこることに困惑するポー
そして事件はポーの愛する女性の誘拐という展開をみせ、犯人はポーにこんかいの顛末を小説として連載することを要求
女性を救いだすため、自分の作品と実際の事件を照らし合わせ、なんとか犯人を出し抜いて先回りしようとポーと担当刑事は奔走する
まあ、アレだ、この時点で犯人はポーの狂信者で屈折したファンなんだろうな、って予想がつきますね
とりあえずネタバレはしないけど、ミステリとしてこの作品のオチは「なんだかなあ」といった感じでした

それでもサスペンスとして観れば十分に楽しめます
事件がおきる→小説と照らし合わせ、犯人の次の一手をなんとか読み明かして人質を救い出すんだ、という流れはおもしろい
緊張感もあるし、あるていど「こいつ怪しくね?」みたいなクセのあるキャラがメイン&サブにごろごろいるので、犯人を予想しながら観れば楽しさも倍増かもしれません

個人的には最初の密室とか棺桶に生きたまま入れられるとか、そこら辺しかポーの知識はないんですよね
というか日本人にとってE・A・ポーとか微妙になじみ薄くないッスかね
なにはともあれ最近のブーム(?)である「戦う○○」みたいに、ポーがスタイリッシュアクションを繰り広げるような内容じゃなかったのはよかった
たまたまDVD化してから手にとって観たら「へえ、意外におもしろいじゃん」という楽しみ方が一番しっくりくるだろう一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:原題であるRAVEN、劇中にしばしば出てくる大鴉が作品的に生きてる、か?




推理作家ポー 最後の5日間 予告
 

2012年10月14日日曜日

映画くろねこルーシー (2012/日)

監督:亀井亨
出演:塚地武雅 / 安めぐみ / 大政絢 / 濱田マリ / サコイ / 峯村リエ / つみきみほ / 村山謙太 / 直江喜一 / 住田隆 / 山本耕史 / 京野ことみ / 佐戸井けん太 / 生瀬勝久


妻と別居し、売れない占い師として自分のキャラ付けに悩む鴨志田
迷信を信じて黒猫を毛嫌いする彼のもとにある日、二匹の黒猫の子猫たちが現れ・・・

黒猫嫌いで妻とも子供ともうまくいかず、仕事もパッとしない主人公が出会った黒猫たちと嫌々ながら暮らすうちに・・・ってドラマ版をなぞる感じで「お父さんも同じ道を歩んできたんだよ」的な過去話かと思ってたんですが、じゃっかん違いましたね
あくまでドラマ版につながり、そしてドラマのその後をみせる「ドラマくろねこルーシー」の完結編でした
そういった意味ではドラマ版知らなくてもこれ単体で楽しめる独立したものと思って観ると、しょうじきかなり薄っぺらい家族ドラマとしか思えないかもしれません

ペットという表現が適切かどうかしれませんが、とりあえず動物を飼うことで人が癒され変化が生まれるって感じな話・・・かな
占い師と悩めるお客さんという関係を、うまく黒猫と悩める占い師という関係でなぞって描けてるのは確か
ドラマ版ではたびたびクドいくらい過去話がはさまれましたが、この映画版まで観たことにより、そのクドさもひっくるめての「くろねこルーシー」だったんだなあ、と

そんな感じでホントにドラマ版から独立してるようで、めちゃめちゃドラマ版ありきな作りになってるのはアレですね
ドラマ版を観てた人向けっていっても過言じゃないくらい、この映画版だけ観ても話は分かるけど本筋みたいなものは理解できないかもしれません

あとは引きこもり少女とか、母ルーシーの飼い主とか、なんか微妙に投げっぱなしな感じがする
おりてくる天の声もそうだけど、ラストのあの奥さんみたいに伏線をひろってくれないのは残念
引きこもり少女は実は・・・とか、母ルーシーの飼い主はあの後・・・とか、天の声は実は・・・みたいのをこじつけでも良いから描いてくれてれば個人的には満足したんですが

それと家族の物語なのか、責任の物語なのか、決意の物語なのか、じゃっかん視点がさだまってない印象がしないでもない、そんな一本でした

個人的評価:80点(ドラマ版視聴者なら)
オススメ度:3代目育っとーる



映画くろねこルーシー 予告

2012年10月13日土曜日

マドモアゼル (1966/英・仏)

監督:トニー・リチャードソン
出演:ジャンヌ・モロー / エットーレ・マンニ

フランスのある村で繰り返される放火事件
村の女教師が怪しい行動を繰り返す中、村ではよそ者のイタリア人男に事件の嫌疑がかけられ…

たまには古い映画も観たくなるシリーズ
というわけでザ・悪女という主人公の魅力もさることながら、話じたいもしっかりとしていて人の奥にある自然な悪意みたいなのがあらわになっていく様も観ごたえがありますね
なにより古い作品ゆえの今の映画にない文法というか、表現というか、ひとまわりして新鮮さがよみがえる感じで観てるだけで楽しいんですよね
さっぱりした演出が逆に魅力になっている

序盤でウズラの卵にあんなことをして、村を洪水被害にあわせることで主人公のキャラを観てる側にうまく植え付ける
さらに数々の事件はすべてよそ者のイタリア人のせいになり、主人公もイタリア人の息子に学校でいじめといっていいほど理不尽に辛くあたる
そんな中でその息子が放火現場である手がかりを拾う…と、観てる側も「ああ、そんなストーリーか」と頭の中で先の展開を描くでしょう
だけど、それだけの作品じゃないんですよね、これ

主人公は単純に頭がアレな生まれついての悪意の塊みたいな存在か、というとそうでもない描写が展開してくる中盤以降、主人公の揺れる感情に視点がゆさぶられる感じが心地良いんですよ
観てて「こうだろ」と決めつけたい気持ちと、「どうなるんだ」という不安定さが意味不明と解釈せざるえないレベルにまで落ちない
完全には理解できないけど、なんとなく分かる
そんな主人公のキャラの一挙手一投足を追うだけでホントに楽しい

そしてラストもいい
かなり後味が悪い結末ではあるんですが必要以上に嫌な気持ちにはならないから不思議
過剰な演出はなく、淡々と出来事を描く冷たさで完全に映画の中に入り込めずに一歩ひいた「これは映画なんだ」視点で観ることができる
人の残酷さを描いたお話、といった割り切りみたいのがある

まあ、それもこれもこの作品が上映された当時にはまた意味が違ってとらえられたかもしれないけど、要するに今も昔も違う味で楽しめる色あせない一本であることは確かかもしれません

個人的評価:90点
オススメ度:ある意味、動物虐待映画




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2012年10月9日火曜日

アウトレイジ ビヨンド (2012/日)

監督:北野武
出演:ビートたけし / 加瀬亮 / 西田敏行 / 三浦友和 / 中野英雄 / 松重豊 / 小日向文世 / 田中哲司 / 塩見三省 / 桐谷健太 / 新井浩文 / 中尾彬 / 神山繁 / 名高達男 / 光石研 / 尾野真千子 / 菅田俊 / 白竜

代替わりをして政治の世界まで影響を与えるほど大きくなった山王会
警察も本腰をあげてつぶしにかかる中、色々と画策しつつ実を結ばない片岡刑事は刑務所内のヤクザ大友に目を付ける

山王会の命で動きながら不義の目にあった大友と木村が、彼らを利用しようとする企みを逆に利用する形でケジメをつけるために動く
本当にシンプルなストーリーですね
前作を半ば忘れた私でもはじまってみれば容易に話についていけます
ごちゃごちゃさせない続編を作ろうって思ったんでしょうね

山王会内部の反加藤派、片岡刑事と警察、大阪の花菱、大友たち、それぞれがそれぞれを利用してやろうと企み、時に手を組み時に敵対しつつ邪魔者を排除していく・・・
それぞれの組織(&個人)の思惑が交錯するんですが、観てる分にはまったく混乱しない作りで、シンプルなストーリーにちょうどいい緊張感のアクセントな感じで作用してます
みんな強烈な個性のキャラと顔立ちばかりなので、それなりに前作を観てさえいれば復習しなくても「ああ、あいつか」とすぐに登場人物を把握できる

それでもストーリーのシンプルさゆえの物足らなさもあるのは否めない
現代的な若い血で動く巨大ヤクザ組織VS古くさい義理人情ヤクザという図式がメインで、それはそれでおもしろいんだけど妙な変化球もない「置きにいった作り」と感じるところもある
あとはけっこう強大な相手かと思ってた山王会があっさり瓦解していく様がちょっと、ね
そこまでの前置きが長い分、ちょっとあっさりケリがつく方向にいっちゃうのが残念かな

今作で完結とかいいながら、なラストではあるんですが、まあ、個人的にはこの終わり方は「アリ」
そこまでシンプルでオーソドックスに展開してきた話が「そう終わるか」って感じで唐突に顔を横殴りにされて逃られたみたいな印象のラストはこの作品の暴力性と相まって良い感じ

そんな感じで前作ファン向けのアフターみたいな作りではあるけど、前作をおもしろいと感じた人は観て損はないんじゃないかな
これからのあるかどうか分からない新章に期待しつつ鑑賞後の余韻にひたれる一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:さすがにバストアップ多用がじゃっかん気になる



アウトレイジ ビヨンド 予告

2012年10月7日日曜日

ツナグ (2012/日)

監督:平川雄一朗
出演:松坂桃李 / 樹木希林 / 佐藤隆太 / 桐谷美玲 / 橋本愛 / 大野いと / 遠藤憲一 / 別所哲也 / 本上まなみ / 浅田美代子 / 八千草薫 / 仲代達矢

亡くなった人ともう一度あいたい、そんな願いをかなえるために死者との窓口になって引き合わせる仕事をするツナグ
高校生の歩美は、ツナグを受け継ぐために祖母の仕事の仲介人として働くことになり・・・

人情要素あり、ちょっとホラー要素あり、ロマンス要素あり、絆要素あり・・・しょうじき色々とやりたいのは分かるけど、手を広げすぎて全体的に薄くなっちゃった感がする作品でしたね
基本は死者との再会により、当事者の背景にあるドラマを描くよくあるパターンな話になってます
3つの短編+主人公の物語という構成も悪くないんだけど、どうも組立て方が間違ってるような気がしないでもない

現ツナグである祖母の手伝いとして、死者と生者の仲介人の仲介人として働く主人公
ツナグを受け継ぐか否か自分で決めるためでもある実習として色々な人たちと接し、ツナグという仕事の悲喜こもごもを知っていく
という話は話なんだけど、人生を学習することによる主人公の人としての成長物語・・・ってわけじゃないんですよね
主人公が最初っからなんか変に悟ってる印象が強くて、それほど深く悩まないうちにすぐに自分で答えを見つけちゃう

そんなあるていど完成された主人公を軸に、独立した個性あるオムニバスストーリーを展開するというでもなく、ひとつひとつの話がホントに中途半端に浅い
特に3つ目のエピソードの底の浅さと話の弱さが顕著
個人的には途中まで2つ目のエピソードがこの映画のメインなのかと思ってたんですが、まさかこのエピソードが3つ目になるとは・・・と、最後に持ってくるには「?」と疑問を抱く練り込み不足っぷり

あとは歩美の両親の死に関連した主人公周りのエピソードがアレでしたね
両親の死に関わるヒントが劇中でちりばめられるわけなんですが、そのヒントの順番がおかしい
最初のヒントで「ああ、それで死んだのね」って答えが分かっちゃうんですよ
どう考えても葬儀での陰口シーンを先に持ってきた方がいいんじゃないですかね
と、そんな感じで総じ作品として組立て方がなんか変な感じがする一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:なんだかんだひとつ目のエピソードが一番グッとくる




ツナグ 予告

2012年10月4日木曜日

バイオレンス・レイク (2008/英)

監督:ジェームズ・ワトキンス
出演:ケリー・ライリー / ミヒャエル・ファスベンダー / タラ・エリス / ジャック・オコネル / フィン・アトキンス / ジャメイン・ハンター / トーマス・ターグース / ジェームズ・バローズ / トーマス・ギル / ロレイン・ブルース / ショーン・ドゥーリー / ジェームズ・ガンディー


男女ふたりの恋人同士が美しい湖にキャンプに訪れる
しかし、地元の悪ガキたちに関わったがために嫌がらせが加速していき…

今のところ個人的に今まで観てきた映画の中で一番イヤな気分になったわ
性格的な問題かもしれませんが、ダメだ、こういうの
本当に悪意の塊を映像化したような作品で、嫌がらせを受ける主人公とともに観てるこっちもストレスがたまってくる
まあ、そういうのを狙った映画なんだろうし、そういう意味ではじゅうぶんに堪能した…のか?

美しい湖に遊びにきたカップル
しかし地元の悪ガキどもの傍若無人っぷりに、最初はスルーしてたけどいよいよキレてちょっかいをだしてしまう
それを機に悪ガキどもの度を超えた悪戯にさいなまれることに…っていう展開
悪ガキどももそこまで幼くなくて、子供っぽい感じなリアルク○ガキという感じはないけど、それでも少年たちに理不尽な仕打ちを受ける大人という構図はイライラ度高し

グロさは思ったほどじゃないけど精神的にヤバイ
個人的にガチで気分が観ててどんどん沈んでいきましたね
ラストも含め、予想できないような驚きの展開ってわけじゃないんだけど、ずっと「うわあ…」と陰鬱な気分から抜け出せません
まあ、こういう感じ方はホントに個人差があるだろうから、そんな言うほどじゃねえしって人にとっては最後まで観ても物足りないかも

ひとつ気になったのが少年たちのリーダーのバックボーン
犬うんぬんのことでうちに抱えた何かしらの痛烈なトラウマがあるように匂わしてるのに、けっきょくその辺りが描かれずに終わってしまう
その行動は衝動的なもの、という説明もできるだろうけど、劇中でずっと薄れることのなく持続する負のテンションの源としては「衝動的」って理由は弱いかなあ
過去の、または現行の凄惨な体験ゆえの…っていうセオリーのをあえて無視したのかなあ

そんなわけで個人的な気分はおいておいて、スリラー作品としてはそこそこの緊張感と恐怖感があってよくできてる一本でした
ぜひ三池監督あたりに日本版リメイクしてほしい

個人的評価:75点
オススメ度:残酷で悪いヤツほど安全圏に落ち着く…




バイオレンス・レイク 予告



バイオレンス・レイク [DVD]
アルバトロス (2009-10-09)
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2012年10月2日火曜日

ハンガー・ゲーム (2012/米)

監督:ゲイリー・ロス
出演:ジェニファー・ローレンス / ジョシュ・ハッチャーソン / リアム・ヘムズワース / ウディ・ハレルソン / エリザベス・バンクス / レニー・クラヴィッツ / スタンリー・トゥッチ / ドナルド・サザーランド / ウェス・ベントリー / トビー・ジョーンズ / アレクサンダー・ルドウィグ / イザベル・ファーマン / アマンドラ・ステンバーグ

12の地区から選ばれた男女24人による殺し合いバトル「ハンガー・ゲーム」
第12地区の代表として選ばれた妹に代わり、姉であるカットニスはゲームに立候補するのだった

さんざんハリウッド版バトロワだって言われてるけど、まあ、この手の殺し合いショーものじたいがネタとして珍しいものでもないから、そう気にすることでもない
むしろなんとなく「トワイライト」と同じ匂いがする方が個人的に気になった
内容とかまったく別ものだけど、なんか雰囲気というか活字をあまり頭を使わずにまんま映像化してるような作りとか、そこら辺が似てる
あと男女のあれこれ具合とかもね

カットニスたちの暮らす森に囲まれた貧しい地区と未来的で裕福なキャピトルの様子、という世界観
カットニスの周りの人間の設定、ゲームに絡む人物の設定
そんなこれからの物語の序章としての説明としての作品、という印象が強いですね
ちりばめられた伏線はちりばめっぱなしで、けっきょく「ハンガー・ゲームってのがあってだな。こういうゲームなんだわ」というだけの内容

かなりゲームが始まるまでの描写が長くて、ビジネスとしてのショーというゲームの位置づけを丁寧に説明してますね
そんな前置きは個人的にギリギリ許容範囲の長さ
そして、いざ本編のゲームがはじまるわけですが・・・確かにおもしろいんだけど凄惨さがイマイチ伝わってこない
狙ってあまり陰鬱にならないようにしてるんだろうけど、ちょっと人の生き死にが皮一枚の世界のわりには、それをあまり感じないかなあ

良かった点としては主人公がゲームとしての殺しをあるていど割り切ってる点はいいですね
うじうじ悩んで「ダメだ、殺せない」みたいなのを延々やるのかなあ、と思ってたら最初のひとりからけっこうえげつない殺し方するしね
かといって割り切りすぎて修羅化するわけでもない点もいい

ラストのしめ方があんまりにも煮えきらないんですが、それも最後まで観たら続編ありきゆえだってのが分かって合点がいきましたね
まあ、2やるからってこの投げっぱなし感はどうかと思うけど
シリーズ化が最初から決まってたとしても、やっぱり1はそれなりにきれいに終わらせるべきじゃないのかなあ
2から3とかの流れだったら「つづく」エンドも気にならないけど、ちょっとこれだとスッキリしないわな

そんな感じで確かにおもしろいし、世界観とか設定とかもいいし、ゲームじたいもまあ盛り上がる、けど最後まで観てみると「うーん・・・」とちょっとケチを付けたくなるそんな一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:いくらなんでも薬が万能すぎる件



ハンガー・ゲーム 予告

2012年10月1日月曜日

ボーン・レガシー (2012/米)

監督:トニー・ギルロイ
出演:ジェレミー・レナー / エドワード・ノートン / レイチェル・ワイズ / ジョーン・アレン / アルバート・フィニー / デヴィッド・ストラザーン / スコット・グレン / ステイシー・キーチ / オスカー・アイザック / コーリー・ジョンソン

CIAの極秘計画がメディアに流れる可能性が出てきたことから、組織は現行の計画の破棄を決定する
それにともないアウトカム計画の産物であり、アラスカで訓練中であったアーロンは命を狙われることになり…

ボーンシリーズのファンの間での悪い評判しか聞かないこの映画版レガシー
実際に自分の目で観てみると…うん、評判悪いのもうなずけますね
設定とストーリーをまんま前作からパクリ、別主人公を描いたサイドストーリー的な内容
もしくはボーンシリーズ好きがリスペクトして作った同人みたいな
だけどこれをボーンシリーズととらえないで「ボーンを真似て作られた特殊エージェントもの」として観ればそこそこのアクション映画と思える

話的にはすんごいシンプルで「やっべ、なんか組織に命狙われてるし。お薬奪ってそら逃げろー」ってだけ
CIAの幹部連中を追いつめるでもなく…というか直接対峙するわけでもなく、逃げながらバトってるだけだもんなあ
敵とのだまし合いみたいなものもなく、アクション部分もホントに単純に「動き回ってる」だけになってる

主人公にしてみても、薬にたよってる設定で劇中の展開でも薬の存在の重要性が大きいのに、「じゃあ、その大事な薬が切れたらどうなるのよ」という部分がぼやけてる
途中、主人公の体調不良になる展開があるのに、なぜかその最中に敵とのバトルを描かない
「このシチュエーションで突発的にバトルはじまったらどうなるのかな?」というアクション映画としておいしいシチュエーションをことごとくスルーしてる気がする

と、悪い点ばかり目立つのも「ボーンシリーズとして」観てるから
シリーズと無関係のアクション映画として観れば問題なくおもしろい
今どきのオーソドックスでいて、ちょい派手な良作アクションっていう評価になると思う
そんな感じでボーンシリーズとはほぼ無関係と割り切って観れれば、それなりに楽しめる一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:さすがにこれじゃ次作に向けての予算が確保できない、か?




ボーン・レガシー 予告