2016年6月27日月曜日

TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ (2016/日)

監督:宮藤官九郎
出演:長瀬智也 / 神木隆之介 / 尾野真千子 / 森川葵 / 桐谷健太 / 清野菜名 / 古舘寛治 / 皆川猿時 / シシド・カフカ / 清 / 古田新太 / 宮沢りえ / 坂井真紀 / 荒川良々 / 瑛蓮 / みうらじゅん / Char / 野村義男 / ゴンゾー / マーティ・フリードマン / ROLLY / 福田哲丸 / 一ノ瀬雄太 / 藤原一真 / 柳田将司 /木村充輝 / 関本大介 / ジャスティス岩倉 / 烏丸せつこ / 田口トモロヲ / 片桐仁 / 平井理央 / 中村獅童

修学旅行のバス移動中に死んでしまった高校生の大介
地獄におちた彼はそこでバンドを組んでいるヘルズのキラーKと出会う

軽快なボケに絶妙のツッコミ、ベタでたいしておもしろくないギャグでもハイスピードで強引にぶっこんでくるノリのよさがよかった
けっこう攻めてる下ネタ、ニヤリとできるロックネタ、なにげに豪華なゲスト出演者ネタと基本のコメディ要素にかぶせてくるトッピングがいちいちおもしろい
最初こそずっとこのテンションでいくのか、と不安にもなったけどちょこちょこ現世シーンがはさまるのでいい感じに気持ちが切り替えられる
キラーKはもちろん、バカだけどハートは強い素敵キャラの大介、その他のキャラたちも主張がはげしくみんな魅力的
とにもかくにも深く考えずにこのコメディのジェットコースターに身を任せていればいい、という感じでした
ちょっと鑑賞後に心配になるほど何も残らないので物足りなさをおぼえなくもないけど、この作品はけっきょくなんだったのか気にかけたら負けなのかもしれない

個人的評価:75点
オススメ度:個人的にはベース対決が熱かった



TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ 予告

日本で一番悪い奴ら (2016/日)

監督:白石和彌
出演:綾野剛 / YOUNG DAIS / 植野行雄 / 矢吹春奈 /瀧内公美 / 田中隆三 / みのすけ / 中村倫也 / 勝矢 / 斎藤歩 / 青木崇高 / 木下隆行 / 音尾琢真 / ピエール瀧 / 中村獅童 / 白石糸

北海道警の巡査、諸星は先輩に誘われて点数を稼ぐことの大切さを知る
そしてアドバイスを実行し、情報源となるスパイを作っていくのだった

どろっどろの泥沼に堕ちていく粘着質なものとは逆をいく、娯楽性の強い作りになっているところが良い方向に作用していた
所々で笑いを誘うシーンも多く、特に諸星のスパイがそろってからは殺伐とした話の中でも息抜きできる部分が増えて退屈しない
長い話の中で何度も浮き沈みを繰り返すため、主人公がどんな最後を迎えるのか、とラストまでの求心力になっていてそういう部分でも飽きることはなかった
お気楽で笑いを誘う犯罪行為の描写もあるけど、きちんとダメ絶対な線引きは描かれているため、バカ騒ぎの中にも危機感は強く受け取れる
なにより主人公である諸星の虚勢、ハッタリが見え隠れするキャラ、そしてそんな役を演じた綾野剛がほぼほぼこの作品を支えている太い柱になっていて良かったと言わざるえない

個人的評価:80点
オススメ度:主人公の年齢と見た目に違和感はあるけど、あえてメイクで老いを表現するよりはいいかな



日本で一番悪い奴ら 予告

2016年6月26日日曜日

二重生活 (2016/日)

監督:岸善幸
出演:門脇麦 / 長谷川博己 / 菅田将暉 / リリー・フランキー / 河井青葉 / 篠原ゆき子 / 宇野祥平 / 岸井ゆきの / 西田尚美 / 烏丸せつこ

大学院での論文について悩む白石珠
そんな彼女に教授から無作為に選んだ人物を理由なく尾行してみないかとアドバイスを受ける

考え続けることを放棄するのを許さない哲学的な作品でしたね
尾行によって人様の秘密を暴く、背徳的でスキャンダラスさを楽しんだりするドラマではなくて、しょうじきそっち方面を意識して観てた身としてはじゃっかんめんどくささを感じたのは否めない
主人公のことがつかめそうでつかめなず、こういう人間かと思った次には別の側面が見えてくる
その時その時で想像し、行動や言動から主人公の心をのぞきこんで人物像を思い描くのがけっこう楽しい
そしてけっきょくは自分自身を見つめざるえない地点へ誘われ、想像力を働かせる大切さが身にしみる
ただ、途中でめんどくさくなって考えるのを放棄したくなる誘惑があり、それに身を任せてしまってたら途端に退屈な印象の作品になってたかもしれない

個人的評価:75点
オススメ度:哲学ドラマ、こういう作風にはなれてないので個人的には新鮮に感じたけど、これ人を選ぶ映画だろうな



二重生活 予告

10 クローバーフィールド・レーン (2016/米)

監督:ダン・トラクテンバーグ
出演:メアリー・エリザベス・ウィンステッド / ジョン・グッドマン / ジョン・ギャラガー・Jr.

自動車事故から目覚めると見知らぬ場所に監禁されていたミシェル
そこに男が現れ、外の世界は汚染されたと語り出す

とりあえず「クローバーフィールド」の名を冠しない方が良かった気がしないでもない
監禁サスペンスとしては持続する緊張感で楽しめたし、へたに「クローバーフィールド」を意識しない方が鑑賞後に満足できたかも
まあ、それはおいといても、怪しすぎるハワードの存在、真実と嘘の入り交じる主人公周りの状況には自然と引き込まれた
ハワードのことをあるていど知る人物のエメットがいることで、主人公とともに怪しんだり心をおちつけたり、どっぷり感情移入できる
冷静に考えれば滑稽な描写やツッコミどころもあるけど、あえてそういう部分を作って観客の息抜きを誘ってるのかな、と
内容はいいんだけど、予告やタイトルとかそこら辺でちょっと存してる感じの一本でした
そして「クローバーフィールド」を大画面で観たくなる衝動を植え付けてくれる

個人的評価:80点
オススメ度:ミシェルさん機転がききすぎ



10 クローバーフィールド・レーン 予告

機動戦士ガンダム サンダーボルト DECEMBER SKY (2016/日)

監督:松尾衡
出演:中村悠一 / 木村良平 / 行成とあ / 大原さやか / 平川大輔 / 咲野俊介 / 佐々木睦 / 土田大

宇宙での連邦とジオンの戦いが激化の一途をたどる
そんな中、連邦の兵士イオはサンダーボルト宙域での戦いの中、ジオンのスナイパーであるダリルと出会う

ふたりの主人公、それぞれの勢力にて描かれるエピソードからうかがえるテーマが分かりやすく明示されていてそれほど頭を使わなくても楽しめる
楽曲の使い方は観る人それぞれの趣味の部分があると思うけど、予告から想像してたよりとがってるものは個人的には感じられず、けっこう主張しすぎず画とフィットしていたと思う
両主人公、どっちに視点をおいていいか迷う部分もあるけど、それゆえに俯瞰的に話をとらえられることができる
反面、どこか作品に入り込みきれない、一歩引いたところで観せられている感覚も否めない
それぞれの登場人物がみんな死と隣り合わせであがいている姿、モビルスーツによる激しい戦い、けっしてすっきりとはしないけどちょっとクセになる世界観に酔えた一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:続きは、あるのかな



機動戦士ガンダム サンダーボルト DECEMBER SKY 予告

2016年6月20日月曜日

貞子vs伽椰子 (2016/日)

監督:白石晃士
出演:山本美月 / 玉城ティナ / 佐津川愛美 / 甲本雅裕 / 安藤政信 / 菊地麻衣 / 田中美里

呪いのビデオを見てしまった夏美は友人の有里と話し、貞子に詳しい大学の教授に相談する
一方、街へ引っ越してきた女子高生の鈴花は隣の空き家に不気味なものを感じ取るのだった

見えてる地雷感がハンパない作品だけど、思ってたよりおもしろくて驚き…という表現すら申し訳ないくらい良い意味で普通にホラー映画として楽しめた
序盤の夏美の演技とビッチキャラっぷりに、また学芸会映画かと失望しかけたけど、極力ネタに走りすぎない、それぞれのベースからホラー要素を抽出してうまくまとめられている
まとめられているといっても、原作のドラマ性とか無視して貞子と伽椰子という化け物が人を呪い殺す、というシンプルな設定で、あくまで娯楽としてのホラーとしての話ですが
貞子に関しては、その呪いの回避方法とかルールみたいなものを犠牲者を通してうまく説明されているので、伽椰子との対決までの流れに拒否反応を起こすほどの無理矢理感はない
まあ、それでも多少の強引さはこういうホラー映画では目をつむるのが礼儀かも
貞子、伽椰子それぞれが都市伝説として語られているというこの作品だけで独立している設定なので、これまでの両シリーズを全制覇どころか、なんとなく知ってるていどでも問題なく鑑賞できる一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:これは続編が観たい(グダらない前提で)



貞子vs伽椰子 予告

クリーピー 偽りの隣人 (2016/日)

監督:黒沢清
出演:西島秀俊 / 竹内結子 / 川口春奈 / 東出昌大 / 香川照之 / 藤野涼子 / 戸田昌宏 / 馬場徹 / 最所美咲 / 笹野高史

元刑事の大学教授である高倉は、ひょんなことから未解決の失踪事件を調べはじめる
そんな中、隣人の西野に奇妙なものを感じつつも近所付き合いが深まっていき…

嫌な雨に濡れて服が肌にじっとりとまとわりつく気持ち悪さ、そんな悪い意味で胸くそ悪さだけが残る作品でした
上っ面だけのガッカリサスペンスじゃないのはよかったけど、この鑑賞後の気持ち悪さはどうにもいただけない
ザ・香川照之劇場なんだろうな、と思ってはいたけど、その想像を上回る怪演っぷりだけは見応えがあった
あざといくらいに目と耳にうったえる、ザラつくような不安感をあおる演出も同じ感じの繰り返しで、素人目にも「またこの見せ方でくるの?」と思ってしまう
娯楽的な要素は皆無で、ただただ気持ち悪さで攻めてくるので、心身ともに良好な状態で観ないとキツいかもしれない

個人的評価:65点
オススメ度:ストーリーも観てる側も救われないわ



クリーピー 偽りの隣人 予告

2016年6月19日日曜日

帰ってきたヒトラー (2015/独)

監督:デビッド・ベンド
出演:オリバー・マスッチ / ファビアン・ブッシュ / クリストフ・マリア・ヘルプスト / カーチャ・リーマン / フランツィシカ・ウルフ / ラルス・ルドルフ / トマス・ティーマ

どういうわけか2014年の世で目覚めたヒトラー
とりあえず状況を把握するために情報の入手につとめていると、TV会社をクビになった男と出会う

現代によみがえったヒトラーがカルチャーショックを受けながら、出会った人々とおもしろおかしくコミュニケーション…と分かっていても笑い転げられる
かなりブラックな部分や風刺、パロディネタまでダレることなく笑いのパンチをくりだしてきます
いわゆる本人はいたって本気の行動や言動が周りからみれば滑稽にみえる、というパターンのコメディながら、けっこうヒトラーさんの順応力が高すぎておもしろい
こういう時代を飛び越えてきた人の珍騒動というと、人としてあまりにバカな行動が目立つが、ヒトラーさんはパニクりながらもどんどん現代にとけ込んでいくのがいい
基本的にコメディ要素が強いけど、ヒトラーであることの不気味さを常にまとっていて、手放しで笑ってる場合じゃないと心の奥底の警告音が聞こえつつもニヤニヤが止まらない
こういう作品のラストはどんな方向へも落とせる卑怯さはあるし、オチ的にも十分に読める、それでもおもしろいと言わざるえない

個人的評価:85点
オススメ度:ハゲのメガネぷるぷるシーンに場内大爆笑



帰ってきたヒトラー 予告

レジェンド 狂気の美学 (2015/英・仏)

監督:ブライアン・ヘルゲランド
出演:トム・ハーディ / エミリー・ブラウニング / デビッド・シューリス / クリストファー・エクルストン / タロン・エガートン / ポール・ベタニー

1960年ロンドン、街を牛耳りつつあったギャングのレジーとロンのクレイ兄弟
ある日、レジーはフランシスという女と出会い、彼女に惹かれていく

マシンガンで蜂の巣にしたり、拷問や暗殺が画面を支配するギャング映画とはちょっと違う感じが好き嫌い分かれるかもしれない作品でした
ギャングというスタイルではなく、生きざまがギャングという生々しい人間くささがおもしろい
ロンドンを支配しているというわりに、好きな女とロマンスを楽しんだり、問題児なロンに悩むレジーの姿が人間として魅力を感じずにいられない
比較対照であるロンの異常っぷりがあるからこそ、レジーがまともなカタギに見えながらもギャングとしての本性を隠しきれない様がよくあらわれている
派手さやギャングとしてのバイオレンス描写を期待しているとアレかもしれないけど、じっくり腰を落ち着かせて登場人物たちによる人間ドラマを観る感覚で鑑賞すると十分に満足できる

個人的評価:75点
オススメ度:ひとり二役、分かってはいても違和感なく作品に集中できる



レジェンド 狂気の美学 予告

2016年6月16日木曜日

アウトバーン (2016/英・独)

監督:エラン・クリービー
出演:ニコラス・ホルト / フェリシティ・ジョーンズ / マーワン・ケンザリ / ベン・キングズレー / アンソニー・ホプキンス

愛する女性ジュリエットとの出会いにより、裏家業から足を洗うケイシー
しかしふたりの幸せの時間は長く続かず…

可能な限り期待値を下げて鑑賞すれば「あれ?意外とおもしろい」と思える
どこかで観たようなカーアクション、銃撃戦、肉体を使ったアクション、そしてありきたりすぎる筋書きとBGMの使い方、華のない主人公、こう書き出してみるとどうしようもなさが目立つ
それでも微妙にひねったラストとか、退屈な話の流れを短いカットでいきおいつけてみせる演出とか、そして低予算をなるべく悟られないような努力は雑すぎるクソB級映画とはきすてるにはちょっともったいない
特に主人公以外のキャラ、ゲランとハーゲンのボス、大ボスコンビの存在感、その魅力は光るものはある
おそらく制作側も撮っててどんどんこのふたりのキャラがおもしろくなってきただろうけど、ちゃんとラストは地味主人公へ話を戻した勇気は認めざるえない
何かを期待せず、暇つぶしていどの感覚で観るのに手頃な一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:映画ネタをちりばめるのは最近のアクション映画の流行なのかな



アウトバーン 予告

2016年6月13日月曜日

64 ロクヨン 後編 (2016/日)

監督:瀬々敬久
出演:佐藤浩市 / 綾野剛 / 榮倉奈々 / 夏川結衣 / 緒形直人 / 窪田正孝 / 坂口健太郎 / 筒井道隆 / 鶴田真由 / 赤井英和 / 菅田俊 / 烏丸せつこ / 小澤征悦 / 金井勇太 / 芳根京子 / 菅原大吉 / 柄本佑 / 椎名桔平 / 滝藤賢一 / 奥田瑛二 / 仲村トオル / 吉岡秀隆 / 瑛太 / 永瀬正敏 / 三浦友和 / 宇野祥平 / 菜葉菜 / 三浦誠己

ロクヨン事件を模倣したかのような誘拐事件が発生する
その被害者の実名がふせられた状態であることから、広報官の三上は記者たちへの対応に苦悩するのだった

前編で未解決だったロクヨン事件、そこへ模倣したかのような事件が発生し、盛り上がる要素満載なんですが、けっこうあっさりと話が進んで見応え不足な印象
ストーリーとしてまとめに入っていくのは分かるけど、様々な問題が噴出して主人公を苦しめ続けた末にちょっとスッキリする前編の濃厚さと同じものを期待していただけにちょっとガッカリ
あまりに前編にエピソードのウエイトをかけすぎて、この後編で描かれている要素がスカスカに思えなくもない
絡み合った話が思ったより抵抗少なくしゅるしゅるとほどけ、要所要所ではグッとしまる部分はあるものの、観ていてあまり感情にうったえてくるものがない
話として頭ではおもしろいと思えるけど、どうにも二時間サスペンスを観ているような感覚が拭いきれない一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:後編は三上より目崎のダンナの演技が熱い



64 ロクヨン 後編 予告

エクス・マキナ (2015/英)

監督:アレックス・ガーランド
出演:ドーナル・グリーソン / アリシア・ビカンダー / オスカー・アイザック / ソノヤ・ミズノ

山奥の施設でAIの研究をすることになるケイレブ
彼は女性型の機械の体をもつAIエヴァと対話をはじめる

人とAI、そこから展開する話としてはいくつか思いつくことから、内容じたいよりその味付けに興味をひかれざるえない
はたして無機と有機、閉塞と開放という観ている側の思いをコントロールするかのような描写が秀逸でした
狭苦しい施設に息苦しさをおぼえてきたところに、緑にかこまれた情景へ場面転換したり、機械感が丸だしなデザインのエヴァを時に本物の人のように錯覚させられたり、そのストレスのない誘導が視覚的に心地良い
話も雰囲気重視で難解なお堅いものではなく、ケイレブやネイサン、エヴァに対して「実はこういう思惑があるんじゃねえの」と先読みを楽しませてくれる
そして、そんなこっちの思考をちゃんと理解して話が帰結へ向かうから最後まで満足感をえられる

個人的評価:90点
オススメ度:なんでもないシーンでチクチクきたり、ここぞってところでザワザワくる感覚がたまらない



エクス・マキナ 予告

2016年6月12日日曜日

教授のおかしな妄想殺人 (2015/米)

監督:ウッディ・アレン
出演:ホアキン・フェニックス / エマ・ストーン / パーカー・ポージー / ジェイミー・ブラックリー / ベッツィ・アイデム / イーサン・フィリップス

大学の哲学科の教授エイブには色々な噂が立っていた
そんな教授と話しているうちに教え子のジルは彼に惹かれていく

だらしない体にネガティブな思考の根暗な教授が、生きる目標を得ることでどんどん輝いて魅力的になっていく、と言葉で簡単にあらすじを書くとこの映画がドラマティックなものに思える不思議
実際はけっこうブラックコメディの要素が強く、また雰囲気に頼ってる部分も大きい
合わない人には合わない、おもしろいかどうか聞かれても「ちょっと自分で観て確認して」としかいいようがないところがある
背徳的でリスキーな行為に生き生きとしていく教授、それをポップな曲で演出することで危うさの中にも、これまでの流れを全否定するようなどんでん返しがくると微かながら明るい期待をもたせてくれる
観ていてずっと奇妙というか、むずがゆいというか、痛かゆい感覚が個人的して、この作品の雰囲気に完全にノリきれたかというと微妙な感じがする、煮えきらなさが残る一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:途中で変調するサイコスリラーにすれば観やすい、けど普通すぎるか



教授のおかしな妄想殺人 予告

マネーモンスター (2016/米)

監督:ジョディ・フォスター
出演:ジョージ・クルーニー / ジュリア・ロバーツ / ジャック・オコンネル / ドミニク・ウェスト / カイトリオーナ・バルフェ / ジャンカルロ・エスポジート / クリストファー・デナム / レニー・ベニート / デニス・ボウトシカリス / エミリー・ミード / コンドーラ・ラシャド / クリス・バウアー / アーロン・ヨー / グレタ・リー

リー・ゲイツがMCをつとめる人気財テク番組「マネーモンスター」
その放送中に武装した男がスタジオへ乱入してくるのだった

早々に犯人の目的も露わになっていく感じで、想像してたようなワンシチュエーションものな内容ではなかった
作品全体に軽いノリで悪態をつかれているような雰囲気が漂い、笑えるようでまったく笑えない皮肉に満ちている
高級スーツを着た司会者がバカみたいにパフォーマンスする番組、そこに大金が絡んでようが人の命がかかってようがマルチタスクの娯楽のひとつなTVショーとして処理されている現実
そういう部分が分かりやすく小馬鹿にされている感じはよく現れている
だからといって心に重く響く社会派な空気感は薄く、この作品じたいも皮肉の対象のよなショーの一部になっている軽さがある
それを狙っているのかどうかは分からないけど、とりあえず緊迫のサスペンス、主人公と犯人の頭脳戦みたいな頭の良さげな部分はない
TVに映るクズどもを観ているこっちが悪者になった気がしてくる不思議な作品でした

個人的評価:75点
オススメ度:本気で悪いことを認識できていない危機感



マネーモンスター 予告

二ツ星の料理人 (2015/米)

監督:ジョン・ウェルズ
出演:ブラッドリー・クーパー / シエナ・ミラー / オマール・シー / ダニエル・ブリュール / リッカルド・スカマルチョ / サム・キーリー / マシュー・リス / エマ・トンプソン / ユマ・サーマン / アリシア・ビカンダー / リリー・ジェームズ

数年姿を消していた天才料理人として有名なアダム
彼はロンドンで店を開くべく古い知り合いに声をかけはじめるのだった

核となる話にちりばめられたドラマのことごとくが浅い感じで、どうにも全体的に薄味になり、結局、なんか良くも悪くも普通なデキになっちゃってる感じ
傲慢を絵に描いたような凝り固まった主人公のキャラクター、テンポよく展開していく序盤の開店までの流れはノリノリで楽しめる
だけど借金問題やら恋愛要素やら主人公の外側に広がる話にイマイチ面白味を感じられなかった
もっと店の内側、スタッフとの人間関係をじっくり煮詰めていった方が好みだったかも
ひとりじゃなく他の人を頼ろうぜ、というテーマも日本人的には馴染むものではあるけど、家族という意味合いであることから、しっかり集中していないとちょっとしっくりこないかもしれない

個人的評価:70点
オススメ度:武闘派シェフにしてもセクシーさを狙いすぎな筋肉キャラな主人公



二ツ星の料理人 予告

2016年6月6日月曜日

サウスポー (2015/米)

監督:アントワン・フークア
出演:ジェイク・ギレンホール / レイチェル・マクアダムス / フォレスト・ウィテカー / オオーナ・ローレンス / カーティス・“50セント”・ジャクソン / ナオミ・ハリス / スカイラン・ブルックス / ボー・ナップ / ビクター・オルティス / リタ・オラ / ミゲル・ゴメス

43戦全勝のボクシング王者ビリー・ホープ
あるイベントで同階級のボクサーであるミゲルに挑発され乱闘騒ぎになり…

この作品の中に余分なものはいっさいなく、それでいて多くのドラマを築きあげて作られた完成度の高い内容でした
起承転結がしっかりした骨太さで、ボクシングドラマとしても観ても、家族の絆のドラマとしても見応えが十分で相当な満足感が得られる
主人公の周りの脇を彩る人物たちのドラマすら捨て要素的な飾りではなく、本筋にしっかりからんで終局へ向かう一本の流れにつながっていくのがたまらない
BGMの使いどころもよくできていて、ドラマを盛り上げる演出も含めて全体的にストレスを感じないていどにためるだけためて一気に爆発する心地よさがある
序盤の王者としての主人公も、その後の彼の姿も常にぼろ雑巾のような陰気さが漂うけど、それゆえにラストで大きくいきてくるのもいい
守る力の強さを実感せざるえない一本でした

個人的評価:95点
オススメ度:娘の恨み言が観てるこっちにも心に突き刺さる



サウスポー 予告

デッドプール (2016/米)

監督:ティム・ミラー
出演:ライアン・レイノルズ / モリーナ・バッカリン / エド・スクレイン / T・J・ミラー / ジーナ・カラーノ / ブリアナ・ヒルデブランド / ステファン・カピチッチ / レスリー・アガムズ / ジェド・リース / カラン・ソーニ

赤いコスチュームにマスク姿のデッドプール
彼はフランシスを探しながら、悪党どもを殺しまくるのだった

チョイ悪なかわいげのあるキャラの主人公、なんてものを大きくはみだした下品なクソ野郎っぷりが楽しめた
機関銃のような軽口、皮肉、下ネタがだんだんと耳になじんできて最後にはデッドプールが愛すべきキャラになっている
ストーリーじたいは物足りないくらいシンプルだけど、強烈な個性でうまく誤魔化せている
というか、深く考えずにこのバカなノリを楽しんだもん勝ちなんでしょうね
けっこう細かく映画ネタもつっこんできて、そのひとつひとつはライトなものなんでマニアじゃなくてもニヤリとできる
アイパッチなあの人の、マーベルヒーロー映画のお約束までネタしてきて本当に良い意味で小憎らしい一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:オチが見え見えだけにコロッサスさんの説教が長いのはテンポ悪い



デッドプール 予告

2016年6月5日日曜日

ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出 (2015/英)

監督:ジュリアン・ジャロルド
出演:サラ・ガドン / ベル・パウリー / エミリー・ワトソン / ルパート・エベレット / ジャック・レイナー / ロジャー・アラム

1945年、戦勝気分にうかれるロンドン
エリザベス王女は妹のマーガレットともに街で民衆たちと勝利を祝いたいと王に願うのだった

とにもかくにもエリザベス王女役のサラの笑顔とチャーミングな振る舞い、魅力的な声にメロメロにならざるえない
内容的にも世間知らずな王女さまが実際に街でいろんな人と出会うことにより…みたいなベーシックなストーリーながら、妹の存在がいきていてありきたり感が薄くなっている
危険な目にあいながらも、すべてをひっくるめてノーテンキに楽しむ妹がいるからこそ、姉としてエリザベスは宮殿にいては分からない街や人の実状を吸収していく課程がいきてくる
姉という立場からあるていど現実を把握しているエリザベスと、ちょっと訳ありな兵士ジャックとの対比
それを戦後に向けての現実を前にバカ騒ぎする街の一夜と重ねて描かれ、ひじょうに分かりやすい作りになっている
軽快な音楽にあわせてコミカルに動き回るキャラたちによって、変な堅苦しさもなくて素敵な主人公を愛でる楽しい作品でした

個人的評価:80点
オススメ度:人混みの中で妹は見つからないけど、ジャックとはあっさり出会えすぎだろ



ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出 予告

団地 (2016/日)

監督:阪本順治
出演:藤山直美 / 岸部一徳 / 大楠道代 / 石橋蓮司 / 斎藤工 / 冨浦智嗣 / 竹内都子 / 濱田マリ / 原田麻由 / 滝裕可里 / 宅間孝行 / 三浦誠己 / 麿赤兒 / 中山卓也 / 堀口ひかる / 川屋せっちん / 小笠原弘晃

ある団地に越してきた山下夫婦
月日が経ち、その山下の夫が姿を消したことにより団地で様々な噂が飛び交う

団地で他人を避けるように床下に隠れる夫、というシチュエーションだけで普通じゃないが、実際の作品は予測をはるかにこえるものでした
最初に真城が部屋を訪れた奇妙なやりとり、ここで観る側の「普通じゃない」と思わせる感覚をいい感じで広げてくれる
そこからは団地でどんなことがおこっても違和感なく受け入れられ、この映画の内容ならありと思わせてくれる
そんなふうに思わせてくれる覚悟を入念にストレッチするがごとく作品内で描き、話を運んでいく巧みさはすばらしい
ただただ変なコメディというわけでもなく、山下夫婦の息子のことや、住人たちの問題でチクリとくる部分があるのもいいアクセントになってました
にぶい強さに観てても心が腐らないのも気分が落ちなくてよかった

個人的評価:90点
オススメ度:よく分からん、と気持ちはすっきりする不思議さ



団地 予告

探偵ミタライの事件簿 星籠の海 (2016/日)

監督:和泉聖治
出演:玉木宏 / 広瀬アリス / 石田ひかり / 要潤 / 谷村美月 / 小倉久寛 / 吉田栄作 / 寺脇康文 / 神尾佑 / 今野麻美 / 螢雪次朗 / 金児憲史 / 品川徹 / 片桐竜次 / 渡辺邦斗 / 寺井文孝

脳科学者の御手洗のもとへ、解決してほしい難事件のネタを抱えておしかけてくる小川と名乗る女
死体が流れ着く島について興味を引かれた御手洗はさっそく現地へ向かうのだった

TV放映されたエピソードは観ていないけど、なんとなくイメージ的に日本版のシャーロックみたいなものかと思ってましたが、まったく違うものでしたね
というより探偵ものとして、どんな超個性的な設定がされているのか期待してた思惑すらすかされた感じ
それが悪いわけではなく、現代の探偵ものからちょっと外れているという意味ではこういうのもありかと思った
様々な事件のピースを極力あとの残らないように縫合する存在である、解決する手段として影の存在に徹する主人公はおもしろい
ただ、その影の薄さに映画として華が足りないと思ったのか、にぎやかし役としての助手がいるんだけど口を開く度にウザいばかりで、その存在は逆効果だと思う
ネタバレはしない方向で言うなら事件そのものもまさに偶然が重なりあったものなんで、あえて映画として観る価値があるか、と言えば微妙かもしれない

個人的評価:70点
オススメ度:全体的に現実味が薄い気もする



探偵ミタライの事件簿 星籠の海 予告