2015年1月26日月曜日

ビッグ・アイズ (2014/米)

監督:ティム・バートン
出演:エイミー・アダムス / クリストフ・ワルツ / ダニー・ヒューストン / ジョン・ポリト / クリステン・リッター / ジェイソン・シュワルツマン / テレンス・スタンプ

男性優位な時代のアメリカ、画家のマーガレットは夫と別居して幼い娘をかかえ仕事をさがしていた
そんなある日、画を売っていたウォルターと出会いひかれていくのだった

アーティスト特有の病んでる世界をファンタジックに描いていくと思いきや、けっこうコミカルなテイストで楽な感じで観ていられました
追いつめられていくマーガレットを息苦しい思いで見守っていなくちゃならん重い雰囲気なテイストなのは助かった
というかマーガレットよりウォルターに惹かれざるえない

元夫に悩まされて娘を抱えて再出発しようとした矢先、引っかかった男がまたクズ野郎だった、とかみ砕いて言えばそんな内容
とにもかくにもウォルターのクズっぷりが暴走していく様がおもしろい
画家として妻として母としてマーガレットが病んでいく姿以上に、このウォルターさんの存在が強烈になっていきますね

夫婦関係がどろっどろになっていって、ウォルターがどんどんぶっこわれていくにつれて、どこか滑稽な印象が強くなってくるから観ていて疲れない
話じたいはどんどん深みにはまっていく重い流れなんだけど、反比例してコミカルな色が強くなっていく雰囲気が個人的に好み

ただ、どんどん魅力を増していくウォルターに対して、マーガレットの存在が作品的に弱くパッとしないものになっていく感じがするのがもったいないかな
強烈な個性のぶつかり合いっていうか、むき出しの感情暴走合戦な掛け合いが見たかった気がします

個人的評価:80点
オススメ度:ここまでクズ男側に惹かれるとは




ビッグ・アイズ 予告

シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア (2014/ニュージーランド)

監督:タイカ・ワイティティ / ジェマイン・クレメント
出演:イカ・ワイティティ / ジェマイン・クレメント / ジョナサン・ブロー / コリ・ゴンザレス=マクエル / スチュー・ラザフォード / ジャッキー・バン・ビーク

ニュージーランドのヴァンパイアの記録映画が撮られることになる
そこでヴィアゴ、ディーコン、ヴラド、ピーターの共同生活しているヴァンパイアの家で撮影が開始される

もう予告をみた時からこいつは観るしかねえ、とかたく心に決めていた映画
しょうじきバカ丸だしな日本版予告編のデキはイラっとくるけど、それでもなお「おもしろそう」と思わせる奇妙な魅力があったんですよね
で、実際に鑑賞してみるとホントに愉快であっと言う間に時が過ぎていきました
ヴァンパイアをゆるキャラ化したようなバカバカしいだけじゃない、という嬉しい誤算もあってホントに楽しめた

性格もヴァンパイア年齢も異なる四人が共同生活している家でのヴァンパイアライフを、ドキュメンタリー風に撮影している作品ですね
個人的に知識が足らなくて今回はじめて知ったんですが、こういうドキュメンタリー風なのをモキュメンタリーっていうらしい
こんな映画で、と言っちゃ失礼だけど、ひとつ賢くなれました

いかにも人が想像してるヴァンパイアっぽい演出を意識してるヴィアゴのファーストシーンから、もうこの作品にまんまと心を奪われざるえない
そんなだから、今時のヴァンパイア生活は人の思い込みとは違った、もっとゆっるゆるなもんだって感じのコメディになるかと思いきや・・・
普通にヴァンパイアとして人は殺すし、バカバカしい日常の中にも時折はさまれるシリアスな展開作品の魅力がさらに増してますね

途中から普通にディーコンメインになっていって、思ったよりヴィアゴの中途半端なキャラがもったいなかったけど、まあ、不満らしい不満はそれくらい
ヤバイことになると思いきや妙にゆるい描写におさまったり、逆にふいに深刻な展開になったりコメディとしても個人的に趣味にあっている映画でした

個人的評価:90点
オススメ度:おまけていどだけど、最後の最後まで観た方がいいですね




シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア 予告

2015年1月25日日曜日

アニー (2014/米)

監督:ウィル・グラック
出演:ジェイミー・フォックス / クワベンジャネ・ウォレス / ローズ・バーン / ボビー・カナベイル / アドウェール・アキノエ=アグバエ / デビッド・ザヤス / キャメロン・ディアス

里親のもとで同じ境遇の子供たちと親が迎えにくる日を夢見る少女アニー
ある日、市長選候補のスタックスに道で偶然助けられたことにより、彼の選挙戦略のためにいっしょに住むことになる

はい、相変わらず超有名作品ながら、ベースになってる話は今までいちどもふれたことがないにわかですね
元がミュージカルっていうくらいの知識はあったんで、劇中でいきなり歌って踊りだしても驚きはしませんでしたが
そんな曲をふくめ、全体的におもいっきり現代的なアレンジがしてあるってのは素人目にも分かり、元を知っていても楽しめるんじゃないのかな、と
逆に原作レイプっていう意見もでるかしらんけど

親はないし里親はいじわるだけど、仲間たちと愛と夢にあふれて前向きに生きるアニー
金はあるけど愛も夢も希薄なスタックス
そんなふたりが打算の中でも疑似親子生活をやっていくことで、トラブルがありつつなんか良い感じになっていく、と
個人的な感じとして、この作品にある要素から日本のドラマがいろいろと影響を受けてるのかなあ、と思いましたね
あのドラマってこの作品のこの部分に触発されてるのかな、というのが所々ありました

まあ、それはそれとして、内容的にはほどよく間抜けな悪役と超絶善人という主人公周りの人間模様で、とがりすぎない安定感のあるまるみをおびた優等生な印象
ネット動画やSNSの現代風味、意地悪な人たちがほどよいスパイスになり、嫌みすぎない優等生っぷりな作りになっている
愛だの夢だの恥ずかしげなく言える古くさいノリも悪くない
むしろ現代劇風にみょうにリアルで人間関係の深淵をうじうじやられるより爽快で良いかもしれん

予定調和っぽさで、過度な刺激や良い意味での毒気は薄い「まあ、観て良かったかもね」とド安定な一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:さすがにイジワル里親の良い人化が唐突すぎるだろ




アニー 予告

アップルシード アルファ (2014/日・米)

監督:荒牧伸志
出演:小松由佳 / 諏訪部順一 / 悠木碧 / 高橋広樹 / 名塚佳織

戦争によって荒廃したニューヨーク、双角のもとで働くデュナンとブリアレオス
ある仕事の最中にであった男と少女の任務につき合うことになるのだった

多くの人が思うだろうメタルギアソリッドを観ているような感覚
ドローンやタロスたちのデザイン、そしてストーリーがそう思わされざるえない
映像的な技術はリアルさを極めていく一方でいいんだけど、いいかげん技術として美しい&すごいの先を模索した方がいいんじゃないか、と言いたくなりますね

話としては戦後処理としてドローンなんかをぶっこわしたり、双角にこきつかわれるデュナンとブリアレオスが出会った男と少女の任務に巻き込まれて、って感じ
なんか知らんけど戦ってるうちに希望がわいてきて、敵役のタロスたちが機動させようとしている巨大兵器をなんたら~みたいなひとむかし前のゲームシナリオなノリ

思った以上にトンデモ兵器による過剰演出な戦闘の印象は薄く、それでいてストーリーも先が読めまくる安易さ、しかもドラマ部分も言葉ばかりで軽い印象が否めない
こういうSF作品として話をもっと作り込むか、逆にぶっとんだアクションを貫くかしてほしかったですね
今という時点での映像技術を確認するだけの内容だった気がしないでもない

なんかこの設定で続きも狙ってる感がしてるけど、もうちょっと見た目以外の部分でがんばってほしい一本でした

個人的評価:60点
オススメ度:期待してたBGM関連もイマイチ盛り上がらんのよね




アップルシード アルファ 予告

2015年1月22日木曜日

神様はバリにいる (2014/日)

監督:李闘士男
出演:堤真一 / 尾野真千子 / ナオト・インティライミ / 菜々緒 / 玉木宏

日本で事業に失敗し、バリで死に場所を探す祥子
そこでガラの悪い大富豪なアニキと出会い・・・

タイトルだけをみるとバリを舞台に美しい自然うんぬんなヒューマンドラマな作品みたいな印象だけど、めちゃくちゃドタバタコメディですね
アニキのキャラを堪能する、ってのは言うまでもないけどアニキとテルちゃんの序盤の顔芸合戦がおもしろくてしょうがない
基本的にバカ騒ぎなコメディで笑わせてもらえるんですが、ちょっとアニキの金をばらまくような行動にやっぱり負の感情がわいてくるのが押さえられませんでした

人生に見切りをつけた主人公が異国の地で破天荒なキャラと出会うことで、自分を見つめなおして立ち直っていくっていうパターンですね
まあ、話うんぬんよりアニキとヒロインの掛け合いやらのキャラ祭りを楽しもうっていう内容かもしれん
途中乱入なKY杉田も良い味してるし、そんな個性豊かな登場人物をみているだけでも愉快

アニキの行動原理や名言(?)は魅力にあふれ、それはそれでいいんですが「縁で回ってる」と言いつつ、なんか金で縁をバラマいてる感が個人的にして気になった
特にテルちゃんがアニキ化してきてから、ふたりの顔芸の楽しみがなくなり、バカ騒ぎよりアニキの金の使い方が引っかかりまくる
うがった見方かもしれんけど、けっきょくは金で縁を買ってるんじゃねえの、と

ラストでちょっとはそんな部分も解消するものの、テルちゃんとの別れ際の金のやりとりで再びもやもやした気持ちが再燃
まあ、そんなことは気にせず、気にすることじたいが私が人間的にアレなんだって思えば良質なコメディとしておもしろかったですね

個人的評価:75点
オススメ度:アニキが偽善者だと思う自分がアレなのか




神様はバリにいる 予告

スパイ・レジェンド (2014/米)

監督:ロジャー・ドナルドソン
出演:ピアース・ブロスナン / ルーク・ブレイシー / オルガ・キュリレンコ / エリザ・テイラー / カテリーナ・スコーソン / ビル・スミトロビッチ / ウィル・パットン

引退したエージェントのピーターへかつての同僚から仕事の依頼がある
その仕事の途中、彼は次期ロシア大統領の秘密を知り、さらにCIAからも追われることになってしまう

引退したおっさんエージェントがスパイアクション、ってこの映画界からアクション俳優がいなくならないかぎり作られ続けるんですかね
という負のイメージを抱えたままに鑑賞しましたが、意外にも堅実な作りで楽しめました
ありきたり、どこかで観たことある、という印象は否めないけど

引退した老エージェント、愛する者を殺される、重大な秘密を知ってしまい多方面から命を狙われる、ライバルはかつての弟子・・・
うーん、もうこの前知識だけでこの作品を観たことにしても問題ないんじゃなかろうか、と言いたくなってしまう
それでもけっこう引き込まれる作りになっているので、バカにできない
なにより元エージェントの身なのに、障害になるなら躊躇なく雑魚な現エージェントを撃ち殺す主人公の姿が冷徹で素敵

かつての弟子とのやとりもぬるすぎず、けっこう容赦ないやりとりで緊張感があっておもしろい
話の展開も次々に飽きさせないように新事実が浮かび上がってきて、最後まで牽引する魅力が持続する手堅い作り
最後の最後で「その要素まで取り入れますか」って感じで、このてのスパイアクションにおける主人公周りの問題要素が追加され、どんだけ集大成なんだよと思わず笑みが浮かぶわ

よくあるスパイアクションであるのは仕方ない、でもここまで「よくある感」を盛りつつ丁寧に仕上げてくれれば見応えはあると言わざるえない

個人的評価:80点
オススメ度:もし戻らなかったら、という戻らないフラグすらネタにしてくるから油断できん




スパイ・レジェンド 予告

2015年1月19日月曜日

アゲイン 28年目の甲子園 (2014/日)

監督:大森寿美男
出演:中井貴一 / 波瑠 / 和久井映見 / 柳葉敏郎 / 門脇麦 / 太賀 / 工藤阿須加 / 久保田紗友 / 西岡徳馬 / 村木仁 / 浜田学 / 安田顕 / 堀内敬子

28年前に高校球児だった坂町のもとへ当時のチームメイトの娘が訪れる
彼女から野球部OB参加によるマスターズ甲子園の話を聞くが、坂町にはまったく興味をおぼえなかった

また中高年が安心して観つつ、軽い感動に酔える系統の作品だろ、と安易に想像がつきます
結局のところその通りの内容なんだけど、どうにもところどころで観ていてストレスがたまるんですよね
複数登場人物の空気読めない言動やウザイ態度が目につく場面があって、イライラしてくる
話が進んでくるにつれてストレスの度合いも下がってくるんですが、どうにも第一印象が悪かった

話としてはおっさんたちがもういちど甲子園で野球やろうぜ、っていうもの
なんだけど、過去にちょっと込み合った経緯があり、それも理由のひとつになって主人公たちは乗り気じゃない
さらに家庭やらの事情や問題も重なって、めんどくさい状況が描かれる
と、ドラマとしては単純に青春をやりなおす、という以外にも見所があっていいし、家族の絆うんぬんも手垢まみれな安易要素だけど、まあ、悪くない

個人的に受け入れづらかったのが、そんなドラマの問題部分の描き方
それぞれ自分勝手な思い込みや都合でネガティブになるのはいいんだけど、あまりに空気読めなさすぎな描写は観ていてストレスが積み重なる
特に序盤でその傾向がひどく、主人公まで同様なだけに観てて心が安まるキャラや要素という逃げ場がなくてつらいんですよね

あるていど主人公が前向きになってくると、やっと安心して観ていられるようになるんですが、時すでに遅し
最初の悪い印象をそのままずるずる最後まで引きずってしまい、普段なら気にならない些細なKY行為&言動にも引っかかりをおぼえてしまう
あとは、主人公の実の娘との間のエピソードがじゃっかん希薄で、キャッチボールでお茶を濁してる感も気になる
もっと実の娘の方を大事に描こうよ、と言わざるえない

という感じで小さいストレスの積み重ねで全体的な印象が悪くなりましたが、広い心であんまり気にせずに観ていければリアルおっさん演技を堪能できてじゅうぶんに安心して楽しめる作品かもしれません

個人的評価:60点
オススメ度:おっさんらしい演技はいいけど、学生らしい演技はイラっとくるだけ




アゲイン 28年目の甲子園 予告

サン・オブ・ゴッド (2014/米)

監督:クリストファー・スペンサー
出演:ディオゴ・モルガド / ローマ・ダウニー / グレッグ・ヒックス / エイドリアン・シラー / アンバー・ローズ・レバ / ダーウィン・ショウ / セバスチャン・ナップ / ルイーズ・デラメール

奇跡と言葉の力により弟子と支持者を増やすイエス
しかし律法に背く行為だとユダヤの大祭司ににらまれてしまう

とりあえず個人的に宗教的なアレな感じでもないし、しょうじきイエスの話について詳しいわけでもないです
あくまでひとつの映画としてこの作品を鑑賞してみました
しょぼいVFXと前半のダイジェストっぽい描き方から、ちょっと残念感は漂いながら、クライマックスはちゃんと力を入れてましたね
さすがにこの映画ゆえのストーリーとして意外性があるわけじゃないけど、主人公の暑苦しいくらいにくどい痛みの演技は強烈に印象に残ります

とりあえず主人公であるイエスが弟子と支持者を増やして、エルサレム入りするまでの課程は最小限のダイジェストっぽく描かれてる感じ
元々の話を詳しく知らない身ながら、有名な場面をチョイスして映像化してつなぎあわせてるように思えた
そんなふうにずっとドラマ性もなくダイジェストで終わっちゃうのかな、と思ってたらエルサレムでの話がはじまる中盤からが本編でしたね

ローマ軍とその総督の圧制に苦しむユダヤ人に、暴力とししての力ではなく奇跡と言葉の力で向き合い支持者を増やしていく主人公のイエスさん
でも本筋はローマ軍じゃなく大祭司との対立部分だったんですね
最初は小者かと思ってた大祭司がどんどん前面に出てきて、代わりに冷徹なマシンキャラかと思ってた総督がけっこう人間的に描かれてておもしろかった

でも、やっぱり宗教的な知識があった方がよりいっそう深く楽しめる感じがするのは否めない
有名(だと思われる)なシーンの映像再現に心動されながら観るのが正しい鑑賞姿勢なんでしょうね
映画としてはドラマティックな部分を求めると物足りないかもしれないけど、終盤の人として当然ながら苦痛にあえぐイエスさんの姿だけは見応えありました

個人的評価:70点
オススメ度:さすがに海上浮遊シーンは笑いそうにならざるえない




サン・オブ・ゴッド 予告

2015年1月18日日曜日

ジャッジ 裁かれる判事 (2014/米)

監督:デビッド・ドブキン
出演:ロバート・ダウニー・Jr. / ロバート・デュバル / ベラ・ファーミガ / ビンセント・ドノフリオ / ジェレミー・ストロング / ダックス・シェパード / ビリー・ボブ・ソーントン

弁護士のハンクは母の死の報を受けて故郷へ帰る
そこで久しぶりに再会した父とはそりが合わなかったが、帰り際にそんな父に殺人の容疑がかかり・・・

悪徳弁護士の息子と公正判事の父による法廷サスペンス、かと思いきやベッタベタな親子ドラマでした
でも、嫌いじゃないどころか、むしろこういうの好きですね
どこか古くさいというか懐かしいというか、ホントにきをてらわない感じのベタな演出が逆に心地よい
じゃっかん邪魔な要素もあるけど、こういうストレートに攻めてくる作品は最近ではちょっと珍しいかもしれませんね

いろいろと過去に確執があってそりのあわない父の弁護をすることになった主人公が、裁判を通して色々と話す機会が増えたことで衝突がありながらも距離を縮めていく、みたいな親子ドラマが描かれます
裁判が進むにつれて親子の間の過去やらが見えてきて、ふたりの間や家族の間にある問題が分かってきます
裁判シーンよりこの親子のやりとりによるドラマ部分のウエイトが大きいですね

個人的にちょっと気になったのが主人公の女性問題
元カノとうっかりバーで手を出しちゃった女の子、まあ、地元での主人公の過去の一端を見せたかったのかしれんけど別にいらないような気がしないでもない
そんな女性問題が何かしらの裁判上でのひらめきにつながるってわけでもなかったし

あとはこのあまりにもベタな演出が受け入れられるか否かって部分も大きいかもしれん
個人的にはラストをふくめ「いま、このタイミングでか」と古くさい引っかかりを感じないといえば嘘になるけど、これはこれでアリだと思えたので楽しめましたが
日本人、特におっさんおばちゃんはこういうベタなノリの方が素直におもしろいと感じるかもしれんね

個人的評価:85点
オススメ度:法廷サスペンスじゃない裁判ものってのも良いカニね




ジャッジ 裁かれる判事 予告

ジミー、野を駆ける伝説 (2014/英)

監督:ケン・ローチ
出演:バリー・ウォード / シモーヌ・カービー / ジム・ノートン / フランシス・マギー / アシュリン・フランシオーシ / アンドリュー・スコット / ブライアン・F・オバーン

1932年アイルランド、活動家のジミーは10年ぶりに故郷へ帰ってきた
彼は地元で畑仕事をして静かに暮らすつもりだったのだが・・・

主義とか主張とか、宗教や社会なんてどうでもよくって、けっきょくのところ人生ってやつはままならねえなあ、って印象が強い作品でした
それぞれに歩んできた人生ゆえに堅く結びつきもすつし、強烈に反発もする、分かってはいるけど分かり合えないというおもしろさがありました
じゃっかん警察や教会側が悪く描かれてはいるけど、それは作品を彩る要素として必要なだけで、争いの方向にばかり目をとられちゃいけないな、と思わざるえない

話としては集会所で民衆に自由に娯楽や教育を提供するジミーに、伝統やらを重んじる教会側が反発して圧力をかけてくる中で問題がおきたり、ジミーたちがより強く結束したりする感じ
ジミーたちが善で神父が悪だ、という人々の自由をうたう単純な話にも思えるけど、やはり人と人の対立のドラマが見所かもしれん
嫌な奴としか思えない神父さんも、最後にはただの敵役なキャラじゃないってのが分かるしね

だけど、個人的にはもっと、抑圧されながらも熱く絆を作り上げる人情とかそっち系のヒューマンドラマなのかと思ってたんで、意外に頭を使わされて疲れた
もちろん、そういった要素もあるんだけど、ただそれだけの作品として観ると物足りないかもしれん
ジミーとヒロイン、神父らの生きてきた道うんぬんをちょっと意識しないと楽しめない、と断言するのは言い過ぎかな

しょうじき地味だし眠気を誘うシーンも多いんで、ちょっと人を選ぶ作品かもしれません

個人的評価:75点
オススメ度:自由に楽しんでるだけなのに、色々とレッテルをはられるのはたまらんね




ジミー、野を駆ける伝説 予告

2015年1月12日月曜日

トラッシュ! この街が輝く日まで (2014/英)

監督:スティーブン・ダルドリー
出演:リックソン・テベス / エデュアルド・ルイス / ガブリエル・ウェインスタイン / マーティン・シーン / ルーニー・マーラ / バグネル・モーラ / セルトン・メロ

ゴミ山をあさって生活する日々の少年ラファエル
ゴミの中から財布を見つけるのだが、なにやらそれは警察がやっきになって探しているものだった

3少年の大冒険というとあまりにノリが軽すぎる表現かもしれないけど、ホントに少年たちの活躍にハラハラドキドキ、そしてスカッとしました
警察から洒落にならない暴力を受けつつも、財布の謎を解くためにひたすらまっすぐに突き進む姿が素晴らしい
すべては正しいことだから、というまっとうな理由ながらもその行動力や信念は賞賛せざるえない

ラファエルがゴミ山でひろった財布、それをやっきになって探す警察だけど、警察を信用してない彼はガルドとラットという仲間とともに独自に財布に隠された謎を解こうとする、というお話
どんなに苦境に立ったり、先の見えない状況になったり、痛みを味わってもけっして折れることなく明るく前向きに行動する姿が痛快
貧しさという部分からくる負い目みたいのもみじんも感じさせないため、痛快大冒険みたいな印象が強い

とは言え主人公たちが陥るピンチも生ぬるいものではなく、さんざん警察に追われまくり、暴力を受け、ゴミ山を燃やされる・・・等の絶望から諦めてもしょうがないような仕打ちばかり
それでもめげない、振り返らない3少年の姿はホントに素敵すぎる
追跡者役の刑事も子供相手に容赦ない鬼畜っぷりで良い味だしてますね

ラストも冷静に考えれば「それって正しいことなの?」と思えなくもないけど、とても子供らしい感じの行動なんでこれはこれで
そんな感じでとことんポジティブに突き進む少年たちの姿に、心が爽快にいやされる一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:ブラジルって電車内で大暴れしてもリアクションうっすいのか?




トラッシュ! この街が輝く日まで 予告

96時間 レクイエム (2015/仏)

監督:オリビエ・メガトン
出演:リーアム・ニーソン / フォレスト・ウィテカー / ファムケ・ヤンセン / マギー・グレイス / ダグレイ・スコット / サム・スプルエル / リーランド・オーサー / ジョン・グライス / アンドリュー・ハワード / ディラン・ブルーノ / アンドリュー・ボルバ

元妻から相談を受けていたブライアン
そんなある日、元妻殺害の濡れ衣で警察に追われることになってしまう

なんというか、しょうじきブライアンというおっさんが家族のためにドンパチやる内容に飽きた
それゆえに普通のアクション映画として観れば暇つぶしにはなるけど、別段これがすごいとか見所みたいなものはなかった感じ
いちおシリーズ通しての話としては元妻の死、という大きく動いた部分はあるけど、それ以外の部分が平凡すぎる

ストーリーはよくある濡れ衣を着せられた主人公が、逃避行&バトルの中で真相に迫っていくというもの
こんなありきたりすぎる話がブライアンだから、96時間というシリーズものだから許されるわけないでしょうよ
とりあえず元妻を殺しておいてショッキングさを演出したんだからオーケイとか安易にもほどがある

ストーリー展開はありきたりではあるけど、まあ、普通に緊張感は持続するから観てて飽きることはない
だけど楽しくはないわな
で、アクション映画にストーリーを求めるな、という感じでアクション要素に重点をおいて鑑賞してみてもイマイチなんですよね
動きの激しいシーンになると、短いカット割り&落ち着きのないカメラワークで迫力とスピード感を演出してるんだろうけど、なにやってるかよく分からんしアクションとしてどこを見せ場にしてるのか不明すぎる

シリーズ内の展開として赤ちゃんとか生まれるみたいだし、次につなげるネタを仕込むのはいいけど、ここらで一回しっかりと作品を練り込んで作った方がいいんじゃなかろうか
どんどんうっすい惰性続編を量産されても、ね

個人的評価:50点
オススメ度:もはやスーパー父ちゃんが普通に見える




96時間 レクイエム 予告

シン・シティ 復讐の女神 (2014/米)

監督:ロバート・ロドリゲス / フランク・ミラー
出演:ミッキー・ローク / ジェシカ・アルバ / ジョシュ・ブローリン / ジョセフ・ゴードン=レビット / ロザリオ・ドーソン / ブルース・ウィリス / エバ・グリーン / パワーズ・ブース / デニス・ヘイスバート / レイ・リオッタ / ジェイミー・キング / クリストファー・ロイド / ジェイミー・チャン / ジェレミー・ピベン / クリストファー・メローニ / ジュノー・テンプル / ステイシー・キーチ / ジュリア・ガーナー / ニック・スタール / レディー・ガガ

上院議員ロアークの牛耳る罪の街シンシティ
そこで生きるアウトローたちの生きざまを描く

オムニバスながらひとつの世界観としてまとまっていた感じのした前作
この作品では話の展開にしてもひとつの流れの中で複数のエピソードを展開していて、流れの途切れがなくなってました
しかしながら、そんな流れを楽しんでいると、ふいにラストエピソードで違和感というか淀みを感じずにいられない
言い過ぎかもしれんけど、ナンシーの復讐劇はどうにも作品的に蛇足だったんじゃなかろうか

ロアーク相手にギャンブルの真っ向勝負を挑むジョニー、前の女エヴァに振り回されるドワイト、ハーティガンの敵としてロアークを狙うナンシー
それぞれのキャラのエピソードが交錯しつつ、各人にマーヴが助っ人参戦する、という内容
要所要所で暴れたり存在感を出しまくるマーヴさんが今作でも素敵ですね

ドワイトのエピソードが主軸になってる感が強く、それはそれでミホとか良キャラがはっちゃけるからおもしろいけど、さすがにジョニーの話がついでみたいになっちゃってる気がしないでもない
まあ、でもジョニーはジョニーでロアークとの対決という意味では観てておもしろかった
だけど、ナンシーの復讐劇、このエピソードだけはどうにも物足りないというか、なんというか・・・

とりあえず前作で植え付けられたロアークに対する強大さっぷりが、なんとも軽々しく覆されて残念
個人的にそういった意味で作品じたいがちょっと軽くなっちゃった印象を受けました

個人的評価:75点
オススメ度:大スクリーンで観るマーヴさんは格別ですな




シン・シティ 復讐の女神 予告

2015年1月11日日曜日

劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス (2014/日)

監督:本広克行
出演:花澤香菜 / 野島健児 / 佐倉綾音 / 伊藤静 / 櫻井孝宏 / 沢城みゆき / 東地宏樹 / 山路和弘 / 日高のり子 / 神谷浩史 / 石塚運昇 / 関智一

武装密入国集団の検挙から咬噛の存在を知る常守
そこで彼女は単身で海を渡りシーアンへと向かうのだった

アニメ第2期とはなんだったのか、と言わざるえないくらいに1期とダイレクトにつながってる感じの内容
世界の広がり、人間関係うんぬん、アクションのスケールアップ、すべてにおいて2期の存在がかすむ
なによりちゃんとそこに生きている咬噛について描いているのが大きい
作品全体としての続きをにおわせる部分は仕方ないとして
、内容も単品としてそれなりにまとまっている(あくまで続編として)

シビュラの管理の外、内戦状態に収拾がついていない外国の戦場で主人公の常守が咬噛を追い、行動をともにするようになるって感じの流れ
咬噛はいったい何を考えているのか、シビュラはシーアンで何をしようとしているのか、という中で軍やら傭兵やらが遠慮なく戦いを挑んでくるからアクション面も満足できる
世界設定については最小限に、人物設定については説明はいっさいないので、アニメ1期くらいは最低限観ていないとついていけないですね

刑事ドラマよりアクション部分の要素が強くなり、どことなくゲームのメタルギアソリッドシリーズを想起するのは仕方ないかもしれんね
ちょっと作り手目線なストーリー展開と描写は鼻につくけど、今後の展開も気になる話ではありました
実弾の速射性とドミネーターのもっさり性の対比だったり、単純暴力とシステムの対比もおもしろかったですね

個人的評価:85点
オススメ度:文字通り世界が広がったんで、次作があるならば楽しみです




劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス 予告

映画 ST赤と白の捜査ファイル (2015/日)

監督:佐藤東弥
出演:藤原竜也 / 岡田将生 / 志田未来 / 芦名星 / 窪田正孝 / 三宅弘 / 柴本幸 / 水上剣星 / ユースケ・サンタマリア / 安達祐実 / 鈴木梨央 / 田中哲司 / 林遣都 / 瀬戸朝香 / 渡部篤郎

百合根がSTを離れる日が迫る中、赤城が殺人の容疑で逮捕されてしまう
赤城のことを信じる百合根はSTメンバーと敵対しながらも捜査を開始する

映画版ありきで終了したTVドラマでしたが、この映画じたいがそんなTVシリーズの真の最終回といった感じの内容でしたね、的な
どこまでも緊張感のない雰囲気に重厚さのかけらもなく、映画を観ているという感覚すら皆無な、あくまでTVドラマを観ている印象でした
良く言えばSTらしい、劇場版だからって気負いのない内容なんだけど、悪く言えばわざわざ映画化するようなもんじゃないと言わざるえない

話的には殺人容疑のかかった赤城が百合根を遠ざけて一匹狼で真犯人を追おうとするけど、けっきょくキャップとふたりでドタバタ捜査することになる、という軽いノリ
事件うんぬんっていうより、百合根と赤城&STメンバーのドタバタした掛け合いと、少年マンガチックな仲間うちの友情ドラマな部分が大きい
事件のテキトーなしょぼさと犯人のキャラはマッチしてるし、あえてこのノリにしたんでしょうが、劇場版だっていうことでスケールの大きいなにかを期待していると残念な思いをしますね

とにもかくにもドラマの延長戦として、STっていうTVシリーズがどう終わるか、っていう部分だけを楽しみに観るのが正しい鑑賞姿勢でしょう
そんな感じでファン向けの内容と雰囲気で、大きい&多くのなにかを期待せず、TVを視聴する感覚でいれば楽しめる一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:31歳児の赤城さんのキャラが光りまくるわあ




映画 ST赤と白の捜査ファイル 予告

THE NEXT GENERATION パトレイバー 第7章 (2014/日)

監督:押井守
出演:真野恵里菜 / 筧利夫 / 福士誠治 / 太田莉菜 / 千葉繁 / 堀本能礼 / 田尻茂一 / しおつかこうへい / 藤木義勝

警視総監の交代劇が進む中、第2小隊の解体が加速する
隊長の後藤田は先代の残した遺産を頼りにしようとするが・・・

まあ、そんな予感はしてたけど、まんま長編劇場版の前説
劇場アニメからのつながりとか、アニメ版と話が連結していく感じはおもしろいけど、やっぱり続けて長編劇場版を観ないとなんともいえない
このエピソード単体ではどうにもこうにも成立しておらず、しょうじき劇場に足を運んでまで観る価値はないかもしれん

劇場アニメの続きっぽい話の流れの中、南雲さんやら後藤さんやら懐かしい名前や姿が登場
そういう意味ではアニメ版のファンとしては嬉しいし、5月公開の作品への期待値が上がらざるえない
今までの単発エピソードと違い、雰囲気からしてシリアス路線で引き込まれる

だけど、やっぱりこのエピソードはこれとして、それなりなオチをつけてほしかった
嵐が来るとか、俺たちの戦いはこれからだエンドな投げっぱなしっぷりにはガッカリ
これまでのスケジュール通りにすぐに続きが観れるならいいけど、次までちょっと間があくのもなんとも

とりあえず長編公開の直前に気持ちを高めるために観るのはいいけど、すぐに飛びついて観るべき内容ではなかったですね

個人的評価:50点
オススメ度:やっぱりアニメの劇場版2がめちゃめちゃ観たくなるな




THE NEXT GENERATION パトレイバー 第7章 予告

2015年1月4日日曜日

毛皮のヴィーナス (2013/仏・ポーランド)

監督:ロマン・ポランスキー
出演:エマニュエル・セニエ / マチュー・アマルリック

舞台「毛皮のヴィーナス」の演出家であるトマ
満足のいかなかったオーディション後、大遅刻でひとりの女ワンダが会場にやってきて・・・

なにげに予告で気になっていた作品です
思ったほど官能的なものではなく、なんともそっち系の作品だったのね、というちょっとしたガッカリ感が否めませんでした
それでもトマの狂信的に支配されていく課程での形相とか、迫力はあったし雰囲気も最後まで楽しめました

演出家と女優という映画の設定に、どんどん舞台の内容が食い込んできてその境界があやふやになっていく、言うなればそんな作品・・・みたいな
演技としてなのか、演技ではないのか、だんだんそこら辺はどうでもよくなってきて、ワンダというよりどんどんトマの存在に引き込まれていきます
そんな彼を時に甘く誘惑し、酔わせ、怒らせ、苛立たせ、完全に支配していくワンダさんも素敵

だけどどうにもラストが近づくにつれて不穏な空気、これれは個人的にですが嫌な感じがしてきます
入れ替わりまでは盛り上がってきて楽しめたんですが、けっきょくオチで「ああ、そういう方向にしちゃうのね」と軽く脱力
私としてはもっと現実的なオチを期待してたし、こういうのも悪くないけどあまり好きな終わり方じゃないかも

こういう突き放しっぷりが意図してる部分かもしれないので、単純につまらんかったと言えないっていう曖昧な部分が良くも悪くもストレスになる一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:ふたりの熱演には見事に目を奪われるけど、しゃべりっぱなしで観ててちょい疲れる




毛皮のヴィーナス 予告

シン・シティ (2005/米)

監督:ロバート・ロドリゲス / フランク・ミラー
出演:ブルース・ウィリス / ジェシカ・アルバ / ミッキー・ローク / クライブ・オーウェン / ベニチオ・デル・トロ / イライジャ・ウッド / ブリタニー・マーフィ / デボン青木 / ジョシュ・ハートネット / ロザリオ・ドーソン / マイケル・クラーク・ダンカン / ニック・スタール / カーラ・グギーノ / マイケル・マドセン / ジェイミー・キング / アレクシス・ブレーデル / ルトガー・ハウアー

シン・シティの刑事ハーティガンは連続幼女殺人の犯人である、この街の上院議員の息子を追っていた
他、屈強な男マーヴ、恋人につきまとう男を追うドワイトのエピソードを描きまとめる

続編を間近にとりあえず前作を復習しておこう、と鑑賞・・・したものの、どうも何か他の作品を観ていたと記憶違いしてて、この映画は初見だったっていう、ね
おそらく予告だけ印象に残ってて、同じ雰囲気の作品を観たことでアレがナニして勘違いしたらしいッス
という個人的な事情はどうでもいいとして、ここまで個人的な趣味に合う映画をみごとにスルーしていたことを後悔せざるえない
そして、続編を前にそのことに気づけてよかったわあ

内容としては舞台設定を共通にし、ほぼ同じ時間軸で前後しながら展開する3つのエピソードからなってますね
冒頭の男と女のシーンから、どうにもハードボイルドを和訳されるとインチキくさい感じがして、こういうノリのまま本編もやられるとイヤだなあ、と感じた
だけど、いざ主エピソードが展開しはじめると、そのバイオレンスでジャンクな雰囲気に安心

特徴的なモノクロ基調な作りもすかした感じがせず、俗っぽいというかB級というか、気取らない印象で雑味が心地よい
そんな世界でおっさんたちが自分ルールではっちゃける姿を観ているだけでおもしろい
独特で個性的なキャラクターという偶像をとことん描くことで突き抜けてていいですね
個人的にはやっぱりマーヴさんが最高と言わざるえない

なんだろう、むしょうにゲームのGTAがやりたくなった一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:この世界の重力はかなり軽いな




シン・シティ 予告

2015年1月2日金曜日

百円の恋 (2014/日)

監督:武正晴
出演:安藤サクラ / 新井浩文 / 稲川実代子 / 早織 / 宇野祥平 / 坂田聡 / 沖田裕樹 / 吉村界人 / 松浦慎一郎 / 伊藤洋三郎 / 重松収 / 根岸季衣

親元でパラサイトしつつ自堕落に暮らす一子は、妹との喧嘩が原因で家を出ることに
一人暮らしのバイト生活の中、ボクサーの男と出会い・・・

体当たりで挑んだ演技、という言葉がしっくりきまくる映画でした
最初と最後の一子のギャップも含め、内容もすごい分かりやすく描かれているので画と話ともにすんなり観てて目と頭に入ってきて楽しめた
心底、人間としての斉藤一子を心から応援したくなります

親のすねをかじりまくり、働かず、女を捨てて自堕落に生きる主人公が、家を出て男と出会うことで変わっていく、って文字にするとアレですが、ホントに良い意味で主人公の汚らしさを演じきってて感嘆する
「~という設定」みたいなキャラ付けの上辺だけじゃなく、生きている一子がそこにいますね
そんな主人公を追って観ているだけでも十分おもしろい

話的にも底辺をすべり這いつくばって、負け犬のように生きながら諦めみたいな人生を捨ててる感じの主人公が、ボクシングに出会ってからがまたいい
戦ってみてはじめて感じること、見えるものっていう部分にしてみても徹頭徹尾で分かりやすい作品でした

個人的評価:90点
オススメ度:100円ショップの歌の微妙な中毒性がやばい




百円の恋 予告

2015年1月1日木曜日

ギターを持った渡り鳥 (1959/日)

監督:斎藤武市
出演:小林旭 / 浅丘ルリ子 / 中原早苗 / 渡辺美佐子 / 金子信雄 / 宍戸錠 / 二本柳寛 / 木浦佑三 / 青山恭二 / 野呂圭介 / 弘松三郎 / 近江大介 / 高田保 / 青木富夫 / 天草四郎 / 鈴木三右衛門 / 水谷謙之 / 片桐恒男 / 原恵子 / 清水千代子

ギター一本で函館の地へやってきた男、滝伸次
そこで知り合った秋津組に身を寄せることになる

まあ、アレだ、いちいちカッコイイ主人公をとにかく描きたいってのがひしひしと伝わってきます
1959年制作という時代はまったく感じない、というと嘘になるけど意外と主人公たちに古くささがないように思えた
黒幕、ライバル、ヒロイン、とバランスのとれたキャラがうまくまとまっていて楽しめました

内容的には見知らぬ土地へやってきた主人公が、ヒロインとイチャつきつつ現地でのいざこざに巻き込まれ、悪を討つというシンプルなもの
今でこそわざわざ映画でやるほどのもんじゃないけど、ちょっとスカッとしたい時に軽い気持ちで観る娯楽作品としておもしろい
組の暴力行為に手をかしたり、良い子ちゃんなだけじゃない無頼漢チックな主人公が魅力的

個人的に劇中歌であった「地獄のキラー」がこの作品で歌われていたのが分かって嬉しかった
どこかで聞いたことある歌だったんだけど、なんとなく忘れてたんですよね
と、いうことは過去に一度この作品を観ている、ということなんだろうけど記憶がない自分のアホっぽさに恥らざるえない

そんな感じでガッツリ観る系ではないけど、ちょっとした軽い気持ちで鑑賞するにはピッタリな一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:滝&ジョージの存在は男でも惚れるわ






ブラック・シープ (2006/ニュージーランド)

監督:ジョナサン・キング

羊恐怖症のヘンリーは15年ぶりに兄のアンガスの牧場を訪れる
一方、牧場の研究施設へ忍び込んだ男により廃棄されるべき羊の実験体が放たれてしまう

2015年は羊年ってわけで、新年一発目はこの作品に
これは発売当時、どうにも気になって輸入DVDを購入したものの放置していた作品
英語力が皆無な私は、むかし翻訳サイトをたよりに台詞を理解しようとしたけど、どうにもめんどくさくなってしまったんですよね
まあ、でも今回とおして鑑賞してみたんですが、わりとざっくりだけと内容が分かるくらいシンプルなものでした

話としては科学実験によって新種の羊を生み出そうとしていたものの、羊を凶暴化させて人を襲うウイルスを持つ廃棄されるべき実験体が放逐されてしまう
というゾンビものの亜流っぽい内容ですね
どんどん凶暴化した羊が増えていって人間を襲いまくり、主人公の羊恐怖症の弟が逃げながら兄と対決する、みたいな感じで

もともと温厚そうな羊が人を襲う獰猛さむきだしな感じがけっこう恐ろしく感じられ、B級のチープながらグロさもあって恐怖感はそこそこある
羊がおならしたり、車を運転したり、パニックの最中でもけっこうコミカルな描写も多々ある敬愛すべきB級っぷり
羊から羊だけじゃなく、羊から人への感染とか、新種誕生の秘密とか単純になりすぎないように考えられている一方で、感染羊の最終対処法とかウイルスの対応策とかテキトーな感じなアンバランスさも個人的におもしろく思えた

日本でもこのDVDを発売してくれんかなあ
できればB級さをきちんと理解した吹き替え版収録のDVDになってくれると嬉しい・・・けど、今さら販売されることはないだろうな

個人的評価:80点
オススメ度:これ助かっても普通にみんな羊恐怖症になるよね




ブラック・シープ 予告


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