2009年9月30日水曜日

9月のこれ一本

最近またちょっと見たい作品を手元におくだけで安心して、そのまま積んでしまうというダメなオタクの傾向が強まってきましたが、みなさんいかがお過ごしでしょうか
僕は健康に問題はありませんが、労働という仕組みを作った社会を一生呪い続けます

ということで、今月は順当にいって「グラン・トリノ」なんですが、あえて老若男女、ライト映画好きからちょっとこだわる人まで、オールマイティにそこそこ楽しめる「FISH STORY」を推しておきます
しょうじき名作と呼ぶには微妙な感じがしなくもないですが、それでも本当に平均的にみんな楽しめる内容になっていると思います
「俺、けっこう映画とか見るんだけど、『FISH STORY』とかが最近は面白かったな。今度みてみる?」というリア充会話の基本としても利用できますぜ、だんな
そこで「『オーガズモ』とか面白かった」、「『徳川セックス禁止令』がよかった」、「『痴漢ドワーフ』みたいのがいいね」なんて口が裂けても言えませんからね!

で、この先の劇場公開作品で気になってるのが「カイジ」と「ATOM」ですね
予告編とか流れるのを見る限り、この二作品からは「ひどい死臭」がただよってきます
「カイジ」は限定ジャンケンはいいとして、その先の展開は実写化しちゃいけない気がしてならない上に、予告の映像表現がやばすぎるくらいにVシネマっぽい
「ATOM」は吹き替えがけっこうよさげだけど、かなり内容が薄っぺらい…というか予告である通りの展開ですべてな感じがします
個人的に大嫌いな「WALL.E」と同じ臭いがするんですね

そんなわけで、とりあえず「ウォッチメン」も積んだままだし、「ミーシャ」もDVD買ったけど積んじゃったし、とりあえずそこら辺をはやく崩していきたいです

2009年9月29日火曜日

愛の伝道師 ラブ・グル (2008/米・カナダ・独)

監督:マルコ・シュナベル
出演:マイク・マイヤーズ / ジェシカ・アルバ / ジャスティン・ティンバーレイク / ロマニー・マルコ / ミーガン・グッド / ヴァーン・トローヤー / ベン・キングスレー / オミッド・ジャリリ / テルマ・ホプキンス / ジョン・オリヴァー / ジェシカ・シンプソン / カニエ・ウェスト / ヴァル・キルマー / マリスカ・ハージティ


愛の伝道師であるグル・ピトカ
彼のもとに恋人を敵チームのライバルに寝取られたホッケー選手の立ち直らせる依頼がくる

良い映画を観たあとって、無性にクソ映画にチャレンジしたくなるよね
ということで、かの権威あるラズベリー賞を受賞だかノミネートされただかって作品を視聴
いやあ、クソ映画だわ
まるで面白くない
ここまで笑えないコメディを作るのも才能といってもいいかもしれません

コメディっていうジャンルは、笑わせることを主体にしている以上、作り手の予期せぬ所で楽しむことができる「素敵ポイント」が見つけづらいんですね
それゆえに内容で勝負せざるえないんですが、肝心のギャグが最初っからスベリっぱなしでどうにもこうにも
笑いのセンスが古くさい上に、こじんまりとまとまった限定空間でのギャグしかなく、馬鹿馬鹿しいほどはっちゃけて大風呂敷を広げるような笑いはありません
英語のニュアンスをギャグにしてるシーンや、会話で笑わせようとしてるシーンが多いので、ぶっちゃけ原語を理解できないと面白くもなんともない
日本のバラエティ番組でたまにある「あいうえお作文」を第三者が英訳して、あっちの人たちに披露しても訳が分からない…みたいな状態

それでも終盤の展開や主人公のピトカのキャラは面白いと思うんで、もっと破天荒な恋愛セラピストが一見バカなことをやりつつもちゃんとみんなを笑顔にしていく、という主軸で対象者をもっと多くの人数にしていけば楽しめた…かもしれません
とにかく「ちんこちんこ」言ってれば笑ってくれると思ってるんでしょうかね
こういうギャグが通用するのは「オースティンパワーズ」がヒットした時代までです
ようするに、あの頃からまったく進歩していない、と

ストーリーとか特に語るような内容じゃないですし、つまらない…というか、むしろ寒い印象しかないコメディってどうよ

個人的評価:20点
オススメ度:これで笑える人は安上がりで幸せ者だ




愛の伝道師 ラブ・グル 予告

2009年9月27日日曜日

フィッシュストーリー (2009/日)

監督:中村義洋
出演:伊藤淳史 / 高良健吾 / 多部未華子 / 濱田岳 / 森山未來 / 大森南朋 / 渋川清彦 / 眞島秀和 / 大川内利充 / 江口のりこ / 波岡一喜 / 山中崇 / 高橋真唯 / 恩田括 / 石丸謙二郎 / 中村有志 / 芦川誠 / 野仲イサオ / 大谷英子 / 田村圭生 / 草村礼子 / 上田耕一


はい。ということで、あえてあらすじは書きません
というのも、この作品を知らない人はなんの事前情報もないままに観た方が確実に楽しめると思ったからです
かういう私も内容については知らないままに観たんですが、そりゃもうめちゃめちゃ楽しめましたからね
だからこそ、あらすじの段階でのネタバレもしない方がいいと判断しました

かなり抽象的に書いていきますが、序盤からボーッと見ているといきなりガツンと強力な衝撃を受けるでしょう
そして、その衝撃によって「うわ、なんか知らないけど、この映画ぜったい面白いわ」と感じると思います
なんとなく「20世紀少年」のノリなのかなあ、と感じるところもありますがあんなクソ映画と比べる方が失礼すぎる…とか思わず暴言を吐きたくなるくらいにこっちの方が格別に面白い

シーンがポンポンと変わって話が進むんですが、どんどん深読みして見進めた方がいいとアドバイスしておきますね
「これが、こうなるから、こうつながって…」と独自の解釈と推理を展開しながら観てた方が楽しめます
まあ、それでもなにも考えずにありのままの話を追っていても、複雑そうにみえてすべてキチンと一本のすじにまとめてくれるのでそう肩に力を入れてなくでも問題ないです
コメディ、アクション、青春ドラマ、ホントに熱くていい話な感じのエピソードもあって、どっちかというと大人向けのファンタジーともいえなくもないですね

「アフタースクール」ほど洗練されてはいなくて、じゃっかんテレビドラマっぽい臭いはするけど、そんな荒削りな部分もまたいいじゃない、と思いますね
個人的にはこういう楽しい作品は大好きで、自分の作品チョイスのセンスのせいでそうそうこんな映画には出会えないんですが、たまにふっと「フィッシュストーリー」みたいなのに遭遇すると心の満足度が一気に満タンになります
結局のところ、ここに書ける感想なんざそうないんで、「見てみればいいと思うよ」としかいいようがない
誤解しないように書き足すと、別にすっごい期待をもって観る作品ではけっしてないってことだけは理解していただきたい

あくまでも、まっさらな状態で観た方がより楽しめる作品ゆえってことなので
気軽に見たら「あら、面白いじゃない」レベルの映画です

個人的評価:90点
オススメ度:「2012」も近々公開されるし、2012年って特殊な年なんですかね




フィッシュストーリー 予告

※予告を見ない方が本編を楽しめます

2009年9月25日金曜日

痴漢ドワーフ (1972/米)

監督:ヴィダル・ラスキ
出演:アンヌ・スパロウ / トニー・イーデス / クララ・ケラー / ワーナー・ヘッドマン / ゲルダ・マドセン / トルベン


大人になっても背が伸びず、小人のような体躯の男・オラフ
彼はオモチャをエサに町の少女を誘拐、監禁する

類い希なるときめく邦題
こんな胸の高鳴りは「徳川セックス禁止令」の時いらいですね
「痴漢」と「ドワーフ」ただこの二つの言葉が合わさっただけで、なんでこんなに魅力的になるんでしょうか
これを見かけて手に取らないやつは男じゃない
痴漢ドワーフ…ああ、痴漢ドワーフ、ふふ…痴漢ドワーフ…

まあ、でも内容は微妙ですけどね!
細かい映画的な演出はよくできているんですが、とにかくストーリー的な進展がほとんどない
誘拐した女をヘロイン漬け、売春させる、オラフが覗き行為でニヤニヤ、同じ建物内で部屋を貸してる人にばれそうになる、でもばれない…序盤以降はずっとこの繰り返しです
それでも音痴ママンとか、オラフのマジで卑しい笑みは破壊力ありますね
特にオラフ役のトルベンが本当にはまり役というか、おまえマジなんじゃないのか、と思わざるえない
そして、なによりこの映画でのメインディッシュはどう見ても売春婦にされた3人の少女のポルノシーンという事実

かなりブラックコメディよりのホラーで、曲の使い方とか、これでもかってくらいに繰り返される音痴ママンのリサイタルとか、その歌に合わせたファックシーン、ラストの警官が銃を渡すシーン、オラフのオチの付け方と、けっこう小粋な演出があってにくめません
で、内容的に卑しいオラフが女の子たちに陵辱&調教する…という話ではなく、商売品である売春婦たちの世話をしつつ、たまに覗き見であひゃあひゃするという感じ
オラフの存在感はすごいけど、なんとも活躍してくれる場面が少ないのが困り種

で、まあ、これを紹介しても観る人はいないだろうからネタバレしつつ書くけど、下宿人の女が隠してある売春部屋を見つけ、「警察に行かなくちゃ」と言いつつ自室できちんと着替えはじめ、あまつさえ「警察に行く」という目標を見失ったのか再び売春部屋のある場所に戻るんですね
そこでオラフとママンに見つかって、下宿人の女も売春婦化されてしまうという素敵シーンがあります
さすがにこの女が捕まっても犯られる前に助け出されるんだろうなあ、と思ったそばから薬注入&ファック突入
数少ない素敵ポイントの中でも、かなり素敵な場面ですね

そんなわけでじゃっかんの物足らなさはあるけど、十分に素敵な映画でした
ええ、もちろん絶対にオススメはできないですけどね

個人的評価:40点
オススメ度:痴漢ドワーフ

2009年9月22日火曜日

男と女の不都合な真実 (2009/米)

監督:ロバート・ルケティック
出演:キャサリン・ヘイグル / ジェラルド・バトラー / エリック・ウィンター / ジョン・マイケル・ヒギンズ / ニック・サーシー / ケヴィン・コナリー / シェリル・ハインズ / ブリー・ターナー / ボニー・ソマービル / ジェシー・D・ゴインズ / イヴェット・ニコール・ブラウン


テレビ局のプロデューサーをしている効率重視で仕切屋の女・アビー
そんな彼女の番組に低俗で有名な男・マイクがコメンテーターとしてやってくる

観にいくのを最後まで迷ってたけど、けっこうコメディ的によくできているって評判なのでみてみました
いやあ、面白いわ、これ
全編下ネタをからめたコメディながら、あんまりいやらしさがないというか、下世話な感じがしない
それでいて下品な台詞をペラペラしゃべるだけの薄い作品でもなく、まちがいなくコメディとして一級品の内容でしたね
印象的にロマンスもので、カップルで見に行くか男厳禁で女性だけで楽しみましょうっていう感じがしますが、ところがどっこいわりと男目線で話が進むんで、おっさんの一人映画にも十分たえられます

恋愛下手なアビーが、とにかく低俗ともいえる直球的な考えの持ち主であるマイクを番組に迎え、下品な彼の言動や行動に最初はイライラしながらも、やがて言うとおりに男と接してみたらうまくいって超ご機嫌・・・みたいな内容
とにかくヒロインのアビーがマジでかわいくて困る
いや、性的ないやらしさではなく、仕草やリアクションがいちいちかわいい、というかかわいらしいといった方が合ってるかもしれません
あまり映画の登場人物に惚れるタイプではないけど、アビーだったら迷わずパンツを脱ぎます・・・失敬

コメディとしての完成度も高く、一人であひゃあひゃ笑ってましたね
時にバイブパンツのシーンは終始にやにやしまくりです
下品なセリフがポンポン飛び出しますが、なんというかライトな感じでギリギリ許せるおふざけ感の中で言ってるし、ここでもヒロインのキャラがかわいすぎてそれだけでなんの不満もありません

あとは猫ですね
いや、本気で猫がいい味だしてます
猫は有史以来、リセットボタンを押すために生まれてきましたが、この作品でもそんな猫パワーは健在です
しかも自分がかわいいと分かってての仕草が、そうと理解しながらもそれでもかわいいから、もう、ね

で、結局、恋愛ってなんなんだって話になり、ようするに言葉を並べて言うもんじゃない、と
見た目でもあり、心であり、その人のことを分かる人といるのが一番いいと思えればいいじゃないって感じで
ええ、もちろん「ただし、金持ちかイケメンに限る」ですけどね!

そんな感じでわりとマイナーな作品というか、祝日の午後いちのかきいれ時に自分をふくめて10人も入ってない映画とは思えないおもしろさでしたね
「カムイ外伝」でぎゃふんとした気力をいっきに回復できました

個人的評価:90点
おすすめ度:セサミストリートで「勃起」とか言わない




男と女の不都合な真実 予告

カムイ外伝 (2009/日)

監督:崔洋一
出演:松山ケンイチ / 小雪 / 伊藤英明 / 大後寿々花 / イーキン・チェン / 金井勇太 / 芦名星 / 土屋アンナ / 山本浩司 / PANTA / 佐藤浩市 / 小林薫


忍の世界から抜けた「抜け忍」となったカムイ
ある日、領主の馬の足を切った男と出会い、漁師たちの村に行き着くのだが

なんか短時間だけど休日サービス出勤しようぜ!というありがたいお言葉をいただいたので、予定を変更して観にきたわけですが
おっさんながら実は原作はちょっとだけしか知らないという状況で視聴
しょうじき、予告とか見た時は「うわ、なんか微妙そうだなあ」とも思いましたが、まあ、「火天の城」「BALLAD」「TAJOMARU」と乗りかかった船なんで
などと、はやくもじゃっかん義務感めいたもので観たわけですが

序盤から非常に忍者アクション満載で、まさに最初からクライマックス状態
戦闘も大げさになりすぎず、地味というより渋い引きの戦い演出が展開して、個人的にはとても好みでしたね
ただ、ね・・・なんというか、もうちょっとCGの使い方はどうにかならんかったのか、と
バトルパートもそうですが、それ以上に動物系のCGの使い方がひどすぎる
さすがに生の動物でどうにかできるとは思わないが、もうちょっとCGであることを目立たないようにできんものかと

そんなこんなで引きの戦闘は評価できる
そしてストーリーが進む段階でも邪魔にならないていどの適切なナレーションが入るのもいい
なにより、忍の冷酷さと生き死にの淡々と描き方、かつての同胞や愛するものの死のあたりまえのような描き方は好印象
だけど、見た人は分かると思うけど、ストーリーがあまりに「ない」
さすがにネタバレはしないけど、どう考えても中ボス倒した所で終わるラストとか、漁師の村に着いてからの退屈さすら感じる引き延ばしっぷり
マジで序盤の追忍との戦闘がこの映画のクライマックスでした

しかも登場人物も濃いようで薄く、領主の軍兵衛のエピソードとか、どう考えてもストーリーの水増しで入れたとしか思えません
いわゆる本気で作ったけど、結果的にできたのがちょっとアレなデキだった作品
毎度言うけど、こういう本気のフルスイングをスカってる映画ほど見てて痛々しいものはないですね
良いところも多いだけに、もっとがんばれたんじゃないんですかね

話もよくある暗いものを背負った男がひとときの安寧の日々を手に入れるけど、無惨な結果になるという感じ
そこにプラスアルファはないです
マイナスはありましたが
なんで最初のノリで最後までいけなかったのか
というか渡衆関連はもっと短くして、原作無視でもなんでもいいから、いちおうの決着はみたかったなあ
マジで「え?こいつ倒して終わり?」でしたからねえ

個人的評価:40点
おすすめ度:忍の頭はなにをしにきたんですか、っていう




カムイ外伝 予告

2009年9月20日日曜日

チョコレート・ファイター (2008/タイ)

監督:プラッチャヤー・ピンゲーオ
出演:ジージャー / 阿部寛 / ポンパット・ワチラバンジョン / アマラー・シリポン / タポン・ポップワンディー / イム・スジョン / ソーミア・アバハイヤ


日本人ヤクザの父親と地元タイの暴力団の母親の間に生まれた少女・ゼン
ゼンは脳の発育に問題がありながらも、見たものをすばやく吸収する能力を秘めていた

この監督は「マッハ!!!!!!!!」以来でしたが、今作も全開ガチンコバカアクションを見せてくれるだろうと視聴
だけど、この監督にいったいなにがあったのか、と思うほどにドラマパートに力を入れてる序盤にビックリ
脳の発育に問題がある、という知的障害者をヒロインにすえて、劇中のある理由から金が必要になり母親が貸し付けていた借金の帳簿をたよりに、一筋縄ではいかない悪党どもの所へ金を取り立てに行く
その過程のドラマがちゃんと描こうとしてる努力は認めます
だけど、なんか説明が足りないというか、察しようと思えば察せるけど、もっと説明してくれてもいい気がしますね

まあ、そんなドラマパートもアクションパートにどんどん飲み込まれていって、途中から重苦しいドラマよりアクションを見てくれ!って感じの思いが伝わってきます
というか、がんばってドラマパートもやってたけど、お家芸のアクションパートを進めるうちに、どんどんノリノリになってきちゃって最終的にはスタイリッシュバカアクションに落ち着いちゃいました、と
いやあ、でもさすがにアクションは見応えがあっていいですね
テレビや実物を見て吸収した格闘能力を武器に、ヒロインの少女がガチ殴り&ガチ蹴りですからね
見てても思わず「おわ、あぶね!」「これは痛そう…」ってシーンがてんこ盛りです

冒頭からして見てる作品を間違えたのか?と思うような始まり方といい、日本のヤクザとタイの暴力団、オカマ構成員、障害者のヒロイン…もう、この監督は独特の世界観をもちすぎて素敵すぎる
外国映画にありがちな日本人ヤクザのセリフが違和感ありまくりな片言しゃべりってのもなく、ホントに日本大好きなのかと思うくらいに普通の邦画なみに日本語を話せる役者さんをそろえる気概やよし
欲を言えば、クライマックス前のバトルに出てくるカクカク少年みたいな強烈キャラをもっと出してほしかった
それでも、いろんなシチュエーションアクションを楽しめるからアクション分は満足してますが

そしてなにより衝撃的だったのが、本編おわったあとのおまけ映像、いわゆるNG集ですね
いや、これマジでやばいだろって感じの映像が次から次へと
なあ、ホントは死人とかでてるけど隠してないか?と思わざるえない

そんなわけで、本格的なアクションパートが始まるまでの前置きは長いけど、それほど退屈はしないし、阿部寛だしってことで楽しめました

個人的評価:80点
オススメ度:マジでホントに死人でてるだろ、これ




チョコレート・ファイター 予告

グラン・トリノ (2008/米)

監督:クリント・イーストウッド
出演:クリント・イーストウッド / ビー・ヴァン / アーニー・ハー / クリストファー・カリー / コリー・ハードリクト / ブライアン・ハウ / ジェラルディン・ヒューズ / ドリーマ・ウォーカー / ジョン・キャロル・リンチ / スコット・リーヴス / ブライアン・ヘイリー / ウィリアム・ヒル


妻に先立たれた老人ウォルトは、異常なまでに頭が堅く親族との関係もうまくいってない
そんな彼が隣に住むアジア人たちと不器用ながら接していく

たまにはおうちで引きこもって映画を楽しむのもいいじゃない
というか、劇場に足を運ぶのもいいけど、どうにもディスク化された作品の積みタワーっぷりが尋常でなくなってきたので
そんなわけでこの作品なんですが…最高としか言いようがない

まさにイーストウッドが自分の能力を過大にも過小にも表現せず、今だからこそできることを出している「いい塩梅」な映画
退屈であくびがでる、さすがに派手派手しくて画面に合ってない、曲が浮きすぎていて作品の邪魔をしている、そんな要素がひとつもないのがすごい
完璧な作品でありながらけっして観てる側をしめつけず、あるていど肩の力を抜いて観させてくれる余裕もあり、それでいてラストに向けて画面に釘付けにさせてくれます
よくある感動もののような「押しつけ」感がまったくなく、それが物足りないどころか心地良い

内容的には頑固ジジイゆえに親しくしようとしてくる人たちと溝を作ってしまいがちな主人公
だけど実際は頑固なだけじゃなく、不器用さが大きな要因にあるんですね
そこへまったくの異文化であるアジアのモン族の家族と交流をもっていくことにより、顔を見ると悪態しかとれない身内たちとは違う自分の一面を取り戻していく
ウォルトとは別の不器用さをもつモン族の少年と親しくなっていくことで、「生」を実感していく、と
まあ、そんな単純な話ではないってのは分かってますが、この作品はとにかく言葉や文字で語るものじゃなく、とにかく観て感じたものがすべてだと思いますね

そんなかっこいいものじゃない、だけどかっこいい男の生き方を貫く主人公とかマジで惚れるわ
そんな考えじゃダメだってのは分かるけど、それでもウォルトさんに男をたたき込まれたい気分にさせられる
まさに男の、とりわけおっさん向きの作品でした
渋い大御所の役者さんを起用するのはいいけど、がんばりすぎちゃってる若手の派手派手しい演出大好きな監督にまかせ、商業的な成功を露骨に狙って若い女性層を意識したキャスティングの「なんちゃって感動大作」はウンザリなんですよ
地味でも渋すぎでも若い女性たちに「は?」って思われようといいじゃない
元がおいしいものに余分な味付けや装飾はいらんのですよ

という感じで、世の疲れ切ったおっさんどもはぜひ観ましょう
ラストの泣きとも感動ともちょっと違う、なんともいえないジーンとくる感情に浸りましょう

個人的評価:100点
オススメ度:身内ほど厄介な他人はいない



グラン・トリノ 予告

2009年9月18日金曜日

TAJOMARU (2009/日)

監督:中野裕之
出演:小栗旬 / 柴本幸 / 田中圭 / やべきょうすけ / 池内博之 / 本田博太郎 / 近藤正臣 / 松方弘樹 / 萩原健一


畠山家の次男として生まれた直光は、兄と幼なじみの女の子、そして盗みに入った所を召し抱えた少年・桜丸とともに幼少を過ごした
そして、時は過ぎそれぞれが大人へと成長した頃、家は相続問題でゆれることになるのだった

いやあ、まったく期待してなかった、というかむしろ観るのやめようかと思ってたこの作品ですが、かなり楽しめましたね
ただし、B級脳で観た結果ですが
多襄丸が出てきたあたりから「あれ?ん?」と思いはじめ、姫様がああなった時には「これもろにB級じゃねえかよ」と、脳をB級モードに移行しました
B級といってもノリが少マンガな感じで、そういったマンガ的な演出が好きな人にとっては面白いでしょう
ええ、個人的には大好きなジャンルです
ツッコミながら観るのに最適

そんな感じなんで、ライトでエンターテインメントな時代劇といっても、時代劇に変わりはないんでしょ?と渋いのが好きな人が見に行くと火傷します
個人的には中途半端なエンターテインメント時代劇映画より、この作品くらい極端に娯楽に傾いてくれてる方が好みかもしれません

話的には色々と心を気づけられた主人公の直光が、己の正義とちょっとした遊び心で道草し、そのうちに相続のドタバタに隠された陰謀をしってブチギレ、みたいな
それにしても先代の多襄丸のキャラがいい味だし過ぎていて困らない
ある意味でコントとも思える死ななさっぷりは一見の価値があります
あとは姫様のビッチ演技とかも素敵

話はけっこうテンポよく進んで、場面もころころ変わるんで、飽きることなく最後までいけます
ストーリーもそう複雑ではないんで、頭からっぽにしてゆったり楽しむのが正解かもしれません
良い意味で「見終わったあとに何も残らない」作品
観てる最中は確かに楽しいんだけど、ほんとにあとに何も残らない潔さ
それをクソ要素と言う人もいますが、個人的には娯楽作品ってのはそのくらい後味がよく、なにも残らないくらいがちょうどいいと思いますね
変に説教くさい要素や、続編をにおわす意味深なフリを入れられるよりマシです

欲をいえば、クライマックスにラスボス直属の兵と、直光たちのとんでも無双アクションがあれば爽快感があったんですが
でもラストのバカ台詞(個人的な意見で)で最後までツッコミが入れられて楽しめましたね
だけど、あくまでB級の少年マンガ的なノリに適応できる人以外は、しょうじきクソ映画認定できる内容なので、各自の趣味をよくふまえた上で見に行った方がいいでしょう

個人的評価:80点
おすすめ度:俺が多襄丸だ




TAJOMARU 予告

ココ・アヴァン・シャネル (2009/仏)

監督:アンヌ・フォンテーヌ
出演:オドレイ・トトゥ / ブノワ・ポールヴールド / アレッサンドロ・ニヴォラ / マリー・ジラン / エマニュエル・ドゥヴォス / レジス・ロワイエ / エティエンヌ・バルトロミュー / ヤン・デュファス / ファビアン・ベア / レシュ・レボヴィッチ / ジャン=イヴ・シャトゥ / リサ・コーエン


1800年代のフランス、孤児院で育ったガブリエルはナイト・クラブで唄を歌って生計を立てていた
ある日、歯に絹着せぬ物言いのガブリエルのことをココと呼ぶ男に出会ったことで人生が大きく変わろうとしていた

けっこう見終わってから「え?」って感じの人がいたけど、この映画のタイトル通りの話です
つまりはシャネルとして成功する前のストーリー、アヴァン・シャネルなんですね
そんなわけなんで苦労して成功した後の話はほとんどふれられません

しょうじき「こういう人生をたどってきた」とかの実話ドラマは、テレビで見るくらいで十分だよなと思ってました
だけど、そんなことなんかどうでもいいくらい、普通に映画として面白かったですね
ヒロインのわがままで自分本位で、自由で不器用、それでいてかっこいい、そんな姿を楽しむ映画です
逆に言えば、「なにこのビッチ」と思う人は見進めてもまったく楽しめないでしょう

そして、けっこうロマンス分が豊富にあり、そっち系のラブラブチュッチュ作品を避けてきた自分ですが、そうイヤな気分にはならなかったから不思議
全編通してクールで淡々と進むオシャレっぽい作りなんで、ハリウッド的な「お前らのチュッチュしてるとこ見せつけられて何が楽しいか」みたいな印象はなし

いやあ、でもヒロインの「周りがそうだからって、なんで合わせにゃならんのよ。おかしいもんはおかしい」というところは素敵だわ
部屋にいる時の服装、馬に乗るときの服装、海に行くときの、パーティに出るときの、劇場へ行くときの、それぞれの服装は場所によって合うものを着るのが当たり前
でも、この作品内の時代的には女性はどこでも羽付き、フリフリ、コルセットでぎゅっとしめたドレス、という悪い意味での女性らしさだけを求められていた時世
そこへ、その場その場に合った服を自作して、自分を通すココ姉さんかっこいいッス

そんなココ姉さんゆえにどうしても世間から浮いてしまうのも確かで、そんなだからあまりの世界とのギャップに「何をしたらいいか分からない」という不器用さも抱えてるのがいい
そんなココ姉さんと、出会った二人の男性との間で認め合ったり、ぶつかり合ったりしながら、姉さんが自分の道を見つけるお話ですね
女性向きかと思いきや、実は効率的な物事の考えをしやすい不器用な男も楽しめる内容になってます

とにかくヒロインのココ姉さんに感情移入できるか否かで評価が大きく変わるでしょう
あと、淡々とし過ぎてるゆえにクライマックスとよべる終盤がちょっと退屈かもしれません

個人的評価:70点
おすすめ度:ゲイシャは奴隷




ココ・アヴァン・シャネル 予告

2009年9月13日日曜日

火天の城 (2009/日)

監督:田中光敏
出演:西田敏行 / 福田沙紀 / 椎名桔平 / 大竹しのぶ / 寺島進 / 石田卓也 / 山本太郎 / ペ・ジョンミョン / 上田耕一 / 熊谷真実 / 水野美紀 / 前田健 / 福本清三 / 西岡徳馬 / 渡辺いっけい / 河本準一 / 遠藤章造 / 笹野高史 / 田口浩正 / 内田朝陽 / 石橋蓮司 / 夏八木勲 / 緒形直人


ある小さな村で一門をたばねて宮大工をしている又右衛門
そんな又右衛門の所に安土の山に城を築く命を下しに織田信長がやってくる

いやあ、思った通り、というか思った以上に地味ですね
子供連れやナウなヤングが観にきていたりもしましたが、ご愁傷様と言わざる得ない
というかそこここからあくびが聞こえました
個人的にはおっさんなんで楽しめましたが、マジでそういったおっさん向けの内容
色々な難題をかかわり合う人たちとの男気パワーで乗り越え、いろいろと衝突がありながらもオラッシャーって感じで団結していく体育会系な人情ドラマです

熱い、とにかく熱い又右衛門が「やってやるさ」精神で問題を乗り越えていく様はかっこいい
というか、西田のおっさんかっこよすぎだろ、と
他にも山の男の心意気とか、石大工の大人っぷり、さらには無茶言いつつもきちんと心を察することができる信長・・・
そして、それを陰ひなたで支える女たちの構図、それが好きな人なら十分に楽しめるでしょう

内容的には、まんま城を作るためにあれこれしつつ、アクシデントを乗り越えていくってだけの単純な話
単純だけど所々に飽きさせないよう仕掛けが用意されているんで、そうは退屈はしないと思います
だけど、どう控えめに見てもヒノキのくだりが山場になっていて、以降、後半がちょっと物足らないのは事実
しかも画面的な変化に乏しいんで、地味さが強調されてしまってます
特に大岩のアクシデントから後は、しょうじきそんなに盛り上がりません

あとこれだけはみんな感じると思うんだけど、又右衛門の娘って浮いてるよね
田舎の小娘にしては着てる物も姿もキレイすぎる
映画の画的な問題かもしれませんが、存在じたいがこの作風に合ってない
どっちかというとライト時代劇より、本格時代劇に近い雰囲気が台無し
そして、武の信長と匠の又右衛門の二人の立場が違えども、熱い心意気をぶつけあうシーンがもっとあってもいいと思う
へんにクールに流す演出がちょっと気になりましたね

ラストもちょっとアレっていうか、城があまりにチープというか、なんというか・・・
最後くらいは又右衛門の魂の叫びくらい入れてしめてほしかったのに、なんか小ぎれいにまとめちゃってるのもイマイチくいたらなかったかな

それでもやっぱりおっさんたちががんばる姿は、おっさんだからこそグッとくるものがありました

個人的評価:70点
おすすめ度:城は燃えません




火天の城 予告

キラー・ヴァージンロード (2009/日)

監督:岸谷五朗
出演:上野樹里 / 木村佳乃 / 寺脇康文 / 眞木大輔 / 小出恵介 / 中尾明慶 / 田中圭 / 小松彩夏 / 小倉久寛 / 田中要次 / 高島礼子 / 北村一輝 / 北村総一朗


ドジでノロマで不幸の塊だったひろこ
そんな彼女が結婚を控えて引っ越しを進める中、あやまって大家さんを刺し殺してしまう

なんというか、のっけからギャグがだだすべりで寒いことこの上ない
やばいなあ、地雷だったかなあ、と思って見進めていたら、死にたがりの女・小林と出会った所から面白くなってきました
というか、ひろこオンリーのパートはまったく面白くないですね
ようするに単に小林がいいキャラだったって映画でした

劇中でもあるけど、殺人・死体移動・逃亡・証拠隠滅しておいて、とにかく結婚式を挙げてから自首するとか、そんな考えの時点でひろこに嫌悪感しかおぼえない
「シリアル・ママ」の殺人癖のあるママさんみたいにぶっとんでくれれば、不道徳さが逆に面白くもみれるんですけど
いくら特別な思いのある、大好きなおじいちゃんに幸せになったと報告したいからって、人殺しであわよくば証拠隠滅しようとしてるヒロインをどうして「面白いね」と思えるかっちゅうの

肝心のギャグパートもびっくりするほど笑える所とどん引きする所の温度差が激しい
「ここで笑え」的な押しつけがましいコントチックなのも個人的にはあまり好きじゃないんですが、それでも要所要所で一人でクツクツと笑いながら見てましたよ
ええ、一人で寂しく笑いながら見てましたよ
条件反射とか、出ちゃったあたりは爆笑してましたね
ただ笑いのツボが他の人と違うのか、周りでそこで笑ってる人はいなかったですけどね!

そして、クライマックスのおじいちゃんがらみのエピソードはしょうじき「ここで感動しろ」とまたも押しつけがましい展開に
だから、まったく同情できないひろこがどんな気持ちになろうと、ぜんぜん泣けないし感動とかしない
むしろ逆に失笑するわ
まあ、確かに流れ的にそうならないといけない展開なのかもしれないけど、ちょっと引っ張りすぎ
むしろ、小林関連のラストの「俺が必要だろ」の方がグッときた

で、ラストもラストで「お、そういうことか」と思うんですが、相変わらず「自首とかなかった」と言わんばかりに普通にハネムーンに旅立って幸せそうに旦那とイチャイチャするひろこに軽く殺意を感じましたね
ほんっとにヒロインに一分の同情もできない内容とかどうよ?

そんな感じでコメディとしては微妙だけど、荒削りゆえに退屈な部分もあるけど、飛び抜けて面白い所もあるのは確か
どっちかというとライトなコメディが好きな人向けですね
あと、子供連れで見に行くと「出ちゃった」のシーンで後悔するぞ

個人的評価:50点
おすすめ度:結局はひろこの不幸でみんな幸せになる



キラー・ヴァージンロード 予告

2009年9月11日金曜日

X―MEN ファイナルディシジョン (2006/米・英)

監督:ブレット・ラトナー
出演:ヒュー・ジャックマン / ハル・ベリー / ファムケ・ヤンセン / イアン・マッケラン / パトリック・スチュワート / アンナ・パキン / ケルシー・グラマー / レベッカ・ローミン・ステイモス / ジェームズ・マーズデン / ショーン・アシュモア / アーロン・スタンフォード / ヴィニー・ジョーンズ / ベン・フォスター / エレン・ペイジ / ダニエル・カドモア / キャメロン・ブライト / ダニア・ラミレス / ケン・レオン / オマイラ / エリック・ディーン / マイケル・マーフィ / ショーレ・アグダシュルー / ジョセフ・ソマー / ヘイリー・ラム / ケイデン・ボイド / ジュリアン・リッチングズ / アーロン・パール / アンソニー・ヒールド / ビル・デューク / スタン・リー / オリビア・ウィリアムズ


ミュータントとして力を制御する道を選んだ組織「X-MEN」
死んだと思われていた仲間が突如として姿を現し、時を同じくしてミュータントを人に戻す薬が開発され、それを狙ってマグニートーが動き出すのだった

ウルヴァリンの続きがちゃんと「X-MEN」に続いているのか気になって見てみました
が、はい、あの、その…ファイナルディシジョンっていわゆるディレクターズカットみたいなもんじゃなかったんですね
1、2があって、このファイナルディシジョンは実質的な3だったと見終わってから気づきました
見ててなんかキャラの説明もしてくんないし、あるていど設定知ってることを前提にできてる説明不足感はひしひしと感じていたんですが…
いきなりシリーズ完結編を見るとか、自分のドジっぷりに萌えた。嘘

そんなことでけっこう重要っぽいキャラがバンバン退場なさっていって、しかも過去のしがらみとかもビシビシ描いていってますね
そんなんだから見ながら「そんないきなり伏線もなしに言われても」となんども思い、なんだこの説明不足映画はとか毒づいちゃいましたね、そりゃあ
いろいろと文句を書こうと思ってたけど、そりゃシリーズを1から見ないで文句言うのもアレなんでやめておきます

それでもあえて言えるのは、なんかアクションシーンが少ないよね、と
色々と詰め込んであって、それぞれのエピソードが絡み合うような形で一つに収束していくっていうパターンの展開なんですが、アクション映画はもっとシンプルでもいいと思うんです
そりゃ複雑なストーリーが展開するのもいいですが、それによって肝のアクション部分が薄くなっちゃね、と
見ててもなんか話を追ってるだけで時間が過ぎていってしまい、ちょっとだけ退屈にも思えました
それでもさすがにクライマックスは盛り上がったし、マグニートーおじいちゃんやジャガーノートおじちゃんのかぶりものタッグが画面に出てくるだけで顔がほころびます
というか、あのマスクは撮影時に誰か止めてやれよ

ストーリー性が強いわりに個々のエピソードがそれほどうまくまとまってないのも気になりましたね
しょうじき翼をもった少年のエピソードとか必要性がよくわかりません
まあ、でも本当に前作までの流れとか知らんので偉そうに語れませんけどね

個人的評価:60点
オススメ度:そりゃ普通は前作までは見てるだろ




X―MEN ファイナルディシジョン 予告

ウルヴァリン X-MEN ZERO (2009/米)

監督:ギャヴィン・フッド
出演:ヒュー・ジャックマン / リーヴ・シュレイバー / リン・コリンズ / ダニー・ヒューストン / テイラー・キッチュ / ライアン・レイノルズ / ウィル・アイ・アム / ダニエル・ヘイニー / ドミニク・モナハン / ジュリア・ブレイク / マックス・カレン / ピーター・オブライエン


幼い頃に兄のビクターとともに家を出て戦場を渡り歩いてきたジェームズ
驚異的な再生能力と鋭利な爪をもつミュータントのジェームズは、兄と意見の相違から分かれから幸せに暮らしていたのだが

いくら平日とはいえ、公開初日の午後いちの客が入りやすい時間帯に10人ちょいしか入ってない場内とかどうよ?
と、思ったりもしましたが観てみて納得な感じでしたね
一言でいえば、「映画一本つかって序章を作ってみました」といった風で
あと、これ見に行く際には最低限のX-MENの知識がいります
映画の「X-MEN」は観てませんが、ゲーム版をプレイ済みなのと、ちょっとだけキャラとか知ってたんで助かりましたけど、マジでなにも知らない人にとっては「は?」って感じかもしれません

ハリウッド系のなんだかよくわからないが、エフェクトが派手ですごいことをやってる気がする
というアクションが最近の主流みたいですが、この作品ではけっこうシンプルで何をやってるのか分かりやすい動きなのはいいですね
スタイリッシュバカアクションではあるけど、ちゃんと何をやってるのかわかります
ただ、ね・・・褒めるところがそこ以外に見つからないのが残念すぎる

まずはけっこう豪華にCGを使っているようで、ヘリ墜落とかラストバトルとか急にCGがしょぼくなるのが気になります
ラストの敵もゲームやってても思いましたが、なんでそんな魅力のかけらもないやつなんだよ、と
あとはストーリーが、というかオチの付け方がクソすぎる
詳しくは書きませんが、内容的に序章であることにあまえすぎて一本の作品として完成させることを捨てすぎ
数ヶ月後にすぐ続編を予定してるならまだしも
というか、これがすでにある劇場版「X-MEN」に続くのかなあ?

それでもオチ以外はけっこう話も楽しめました
テンポがいいというか、じゃっかんはしょって話を進めてる感じもしないでもなかったですが
それはアクションパートも同じで、「盛り上がってきた!」と思ったら「え?もうバトルシーン終わり?」という所もちらほら
全体的なアクションのボリュームもちょっと物足りない感じ
個人的にはゲームであった巨大ロボ(名前わすれた)との上空から落下しながらのバトルとか楽しみにしてたんですが・・・
さらにいうと、ゲームではけっこうウルヴァリンの皮膚が裂けたり、体に穴があいて内蔵見えたりの無茶なアクションが多かったんですが、映画だとそこら辺がまったくない
せいぜいひっかき傷ていどができるくらいで、直接的な過激描写がないのがなんとも
も、もしかして、これ予算足りてないんじゃなかろうか、などと邪推もしますよ

うーん、なんとも期待してただけにちょっとガッカリな内容でしたね
でもね、これを観てストーリーを理解した後にゲーム版をやると、内容が分かって面白いかもしれません
ちょっとアクションは単調だけど、内容も映画以上に過激ですし

個人的評価:60点
おすすめ度:とりあえず主人公のかっこよさは異常




ウルヴァリン X-MEN ZERO 予告

BALLAD 名もなき恋のうた (2009/日)

監督:山崎貴
出演:草なぎ剛 / 新垣結衣 / 大沢たかお / 夏川結衣 / 筒井道隆 / 武井証 / 斉藤由貴 / 吹越満 / 吉武怜朗 / 波岡一喜 / 菅田俊 / 香川京子 / 小澤征悦 / 中村敦夫


いつも時代劇に出てくるような着物を着ている姫の姫を見る現代の少年、真一
ある日、木の根本に埋まっていた古い紙を見つけたとたん、真一は戦国の世に飛ばされてしまった

とりあえずクレヨンしんちゃん版は観てません
アニメのロマンス部分に特化した、ラブラブちゅっちゅな恋人同士で観るような映画
と、思ってたんですが、どうみても子供向け映画でした
些細なグロ表現どころか、血や泥、土などの臭いがいっさいしない今時の綺麗なライト時代劇
それゆえにぜんぜん重い作風でもないし、ユーモアがふんだんにちりばめられていて、本当にライトな印象ですね

それでもこの手の綺麗な時代劇にありがちな、なんか時代劇の皮をかぶせただけっていう違和感は少ないです
現代パートと戦国パートの融合もけっこうきっちりしていて、上っ面だけという感じじゃなくて好印象

ただねえ、なんというか子役の真一があまりにゆとり行動というか、クソガキっぽいことするのが目に余る
合戦の最中に大人を振りきって様子を見に行ったり、形見の脇差しのくだりといい・・・
あとは又兵衛側に肩入れするって意味をきちんと考えてるのか?となんども思いましたね
善も悪もない人間同士の戦いである戦で、その一方に肩入れするってことは、その敵を間接的にでも殺しているのと同じだと思うんですがね
そういった所でこの映画での敵側の人間くさい描写がなかったのも個人的にはイマイチだったかなあ、と
そこら辺は子供映画とみればしかたないですが

内容的には本当にCMなんかで流れてるラブロマンス系な話ではなく、どっちかというとまんまタイムスリップアドベンチャーものって感じの方が強いですね
それでもロマンス部分も丁寧に作られていて、無駄にいつまでもイチャイチャしてるんだって臭さはなく、ジーンとくる風な演出でロマンス嫌いにも耐えられるものでした
ただ、やっぱり真一のリアルクソガキっぷりがアレなんで、そこら辺が気にならない人はかなり楽しめると思います

又兵衛関連のオチの付け方も、最初は「そりゃいくらなんでもねえよ」と思ったけど、すぐにちゃんと「そうなった」理由が語られるのでよかったですね
ただ、その理由をちょっとくどくどと語りすぎな気もしましたが、やっぱり「子供向け」って言葉ですべて片づけられちゃうんでしょうか

そんな感じで、真一に対する印象を良い方向でとらえられればかなり良作に思えるかもしれません
まあ、個人的には耐えられなかったですが、それでも映画的には十分に楽しめましたね

個人的評価:70点
おすすめ度:的側でも人が死んでるんやで




BALLAD 名もなき恋のうた 予告

2009年9月6日日曜日

サブウェイ123 激突 (2009/米)

監督:トニー・スコット
出演:デンゼル・ワシントン / ジョン・トラヴォルタ / ジョン・タトゥーロ / ルイス・ガズマン / マイケル・リスポーリ / ジョン・ベンジャミン・ヒッキー / ジェームズ・ガンドルフィーニ / ゲイリー・バサラバ / トニー・パタノ / アンジェヌー・エリス / ジェイソン・バトラー・ハーナー


地下鉄の運行管理をしているガーバー
ある日、急停止した地下鉄から車両をジャックしたと謎の男から連絡が入る

なぜ1車両だけジャックされたのか、なぜ1000万ドルの要求なのか、なぜいち運行管理人が交渉相手に選ばれたのか・・・
そして、交渉人と犯人、警察、市長、メディアを巻き込んで緊迫の頭脳戦が展開される
とか、そういう内容じゃいっさいありません
「フォーンブース」とかそういった類の映画じゃないですね
まあ、なんというか、いつものアメリカンな「楽しければOK牧場」で力任せなB級娯楽作品

結果、個人的に大好物なB級サスペンス風アクションだったわけですが、ちょっと行儀が良くなっちゃった「トランスポーター3」より、こっちの方がもろに好みですね
とりあえず自分はB級脳なんで、そこら辺は察する感じでお願いしたいですが
とにかく、ほんとに最初は「フォーンブース」系かと思ったんですが、犯行の理由とかじょじょに分かってくるにつれて、ことの真相よりアクシデントとトラボルタのキャラを見るための映画だってのが分かります

いやあ、キレてるわあ
トラボルタさんの演技とは思えないリアルキチガイっぷりは、やっぱりいいですねえ
マジでそのキチっぷりと電波っぷりを堪能しました
うん、こりゃ頭脳戦とかやるキャラじゃない
でも、劇中ではそれなりの知恵者っぽい役ではあるんですが、そんなのどうでもいい感じで
一方のデンゼル・ワシントンも渋さが絶妙で、地味になりがちな主人公の立場がそうならずにすんでます

あとはときおり入る無駄にスタイリッシュな演出がB級さを強くしてます
そこに「おいおい」とツッコミたくなるような、輸送車が事故おこしすぎとか、うっかりスナイパー、ヘリうんぬんの主人公サイドの凡ミスっぽい要素も「分かっててやってる」ゆえに個人的なB級好きを満足させてくれます

クライマックスも本当にパワープレイ、しかもじゃっかん投げぎみな物足りなさ
典型的なごり押し展開・・・だけど嫌いじゃないです、こういうの
決着の付け方の迷走っぷりとか、マジでB級すぎる

それでもラストシーンは個人的にひじょうに良かったとおもいますね
なんというか誰しも汚い大人っていうか、清廉潔白なヒーローなんていない、誰しも汚れた側面をもってそれでも胸を張って生きてるのがこの世界なんだよ、と
ただこの終わり方は許せない人は許せないでしょうねえ
しょうじきすっきりした終わり方じゃないんだけど、逆にそんなひねくれた終わり方ゆえに記憶に残りやすいかもしれません

いやあ、実に満足できた一本でした
普通の映画好きな人がどう思うか、は考えない方向で

個人的評価:70点
おすすめ度:楽しんだもん勝ち




トランスポーター3 アンリミテッド (2008/米)

監督:オリヴィエ・メガトン
出演:ジェイソン・ステイサム / ナタリア・ルダコーワ / フランソワ・ベルレアン / ロバート・ネッパー / アレックス・コボルド / ジェローン・クラッベ / エリック・エブアニー / デヴィッド・カンメノ / シルヴィオ・シマック / デヴィッド・アトラッキ / ティモ・ディールケス / セーム・シュルト


たぐいまれなる格闘術と運転技術の持ち主のプロの運び屋フランク
ある日、隙をつかれて誘拐されたフランクは、車から離れると爆発するブレスレットをつけられて、強引に運びの仕事を依頼されるのだった

そんな感じで公開期限が切れそうだったのですべりこみで見てきました
なんというか、普通に面白かったですね
じゃっかん悪い意味で
いやあ、2までのノリを期待して見ると痛い目みます

うん、けっしてつまらないわけではない
トランスポーターシリーズとしては作りもなれてきたのか、キャラの使い方、演出も安心してみれるし、雑味感がなくなって、娯楽作品として普通に楽しめる内容になってます
でもさ、だけどさ、これまで「トランスポーター」見てきて、その新作ってことで期待してるのはそんな安定感じゃないんですよね

内容的にはやっとタイトル通り、運び屋としての活躍を描いていってるんですが、前作まででさんざんツッコミが入っただろう「運び屋とか関係なくね?」ってのを巻き返したかったんでしょうか
だけど、今回はそれが裏目に出てると言わざるえない
普通に運び屋アクション映画にしてしまうと、ホントに閉じた世界になってしまい、ストーリーの流れに関係なく窮屈で小さなまとまりになってしまいますね
ようするに地味さが目立ってしまう
そこに車から離れられないという条件もあり、よけいに全体的にちっちゃくまとまっちゃったね、って印象が強い

シリーズ定番ともいえるアクションはあるんですが、さすがに見飽きた感が強く、それでいてプラスアルファな部分であるとんでもアクション成分が圧倒的に不足してる
このての作品では、毎回、どんだけ斬新でとんでもなシーンを入れられるかどうかで「飽きを感じさせない」ようにするもんだと思うんですが、肝心のとんでもシーンのインパクトが弱く、というか印象的にアクションそのものが弱くなった気がしますね
あとは敵のキャラがびっくりするほどキャラ的に弱い
いくらなんでももうちょっとぶっとんだキャラ付けしてほしかったなあ、と

それでも自転車のシーンとか、前作までを踏襲してるシーン、車の上にちょこんと座るフランクさんとかのシーンは面白かったかな
ストーリーは、まあ、あいかわらずってことでひとつ
いや、でもほんとに雑味がなくなって見やすくなったけど、なんかもの足らない内容でしたね

個人的評価:50点
おすすめ度:アンリミテッド(笑)




トランスポーター3 アンリミテッド 予告

2009年9月3日木曜日

ひみつの花園 (1997/日)

監督:矢口史靖
出演:西田尚美 / 利重剛 / 加藤貴子 / 田中規子 / 鶴田忍 / 角替和枝 / 内藤武敏


お金が大好きな咲子は銀行勤めの最中に強盗に人質としてさらわれてしまう
咲子を乗せた逃走犯は樹海の奥地で事故をおこし、咲子をのぞいてみんな死んでしまう
無事に生還した咲子だが、ニュースで犯人たちが5億円を持っていたと知り、そのありかに心当たりのある彼女は樹海の奥地を目指す

ほら、君のスカートの奥のひみつの花園を見せてごらん
なんて内容じゃねーから、これ
いわゆる脱力系コメディってやつですね
しょうじき、こういったジャンルはどっちかというと嫌いなんですが、見始めて初めて知ったのでなんとも

とりあえず面白くなってくるのは、最初の強盗のくだりが終わってから
逆にいえば冒頭で挫折する人もいるだろうなあ、と
かなり心が広くないと最初の数分でクソ映画認定はいるでしょう
とにかく最初の方のコメディとしてのおもしろおかしさがすべりすぎ
あまりに狙いすぎてて逆にさむいことこの上ない

それでも大学のくだりでじょじょに面白くなってきて、チューリップちゃんが登場するシーンで面白さMAXになります
そこからは普通に楽しいようなすべってるような微妙な空気でゆるゆると
まあ、とりあえずヒロインの性格を許せるか否かでこの映画を楽しめるかどうか決まるんじゃないでしょうか
「どこか行くの?おごり?じゃあ、その分お金ちょうだい」そんなことを平然と言えるビッチを許せるかといえば、個人的には全力でNOですけどね

とにかく映画全体的に押しつけがましさが目立ちますね
「ほらほら脱力系だよ?ん?ほら、ゆるーくいこうよ。ね?面白いでしょ?ね?ね?」って常に言われてる気分
最初は気にならなかったけど、見進めているうちに許容範囲をこえました
そんな個人的な心持ちを抜きにしても、クライマックスからラストにかけてどんどん作品のノリが失速していってるのが分かります
特にあのラストはどうなんだよ、と
というか「だからなんなんだよ」と

というわけで面白いと思える人には面白い、ダメな人はまったくダメな作品かもしれません

個人的評価:40点
オススメ度:じゃっかんナウなヤング向き、なのかな?

2009年9月1日火曜日

ディスタービア (2007/米)

監督:D・J・カルーソ
出演:シャイア・ラブーフ / サラ・ローマー / キャリー・アン・モス / デビッド・モース / アーロン・ヨー / ホセ・パブロ・カンティージョ / マット・クレイヴン / ヴィオラ・デイヴィス


暴力事件により発信器付きで監視された自宅謹慎をうけた少年ケール
ヒマを持てあましてご近所さんの人間観察という名の覗きを楽しんでいたのだが

まったく予備知識なしで観たんですが、マジで「え?なにこれ?」ってくらいに終盤までどの方向に転がるのか分かりづらかったですね
冒頭、ほのぼのしたシーンから一転して重くて暗い話になり、そうかと思えば謹慎に入った途端に主人公は下半身直結型の青春コメディのキャラみたいになり、ライトな青春ごっこが始まります
そこでちょっとサスペンスの要素が入るんですが、すぐにまた青春ごっこに戻り、またサスペンスな展開がはじまり…と、ころころ雰囲気が変わります

それが終盤まで続くんですが、しょうじき青春コメディとしては凡作、サスペンスとしても凡作、だけどこの二つの繋ぎ方と演出としてのハズし方がうまくできている
あまりにどっちつかずな感じなんですが、コメディでもサスペンスでも「どっちに転んでもいいや」と途中から思い、とりあえず無心になって楽しめばいいじゃないと視聴
とにかく見る側の思考の誘導がうまくできていて、ぐっと引き込ませておいて「はい、残念でした」とハズしておいて、油断した所に「いや、でも実は…」と誘い演出が入り、十分に引きつけておいた所で…以下ループみたいな
少年マンガのサスペンスものみたいな感じですが、個人的にはガキっぽいながらも単純ゆえに肩の力を抜いて身を任せて楽しめましたね

覗き見してるうちに隣人の美人さんと知り合い、悪友とともに三人でドタバタ青春ごっこをするんですが、そうなるとクライマックスの展開的にヒロインの美人さんが大きく関わってくると思うのが道理ですよね
だけど、ホントにこの作品はハズしの映画で、とにかくこっちの想像と期待を裏切ってくれて困らない
私みたいな「どうせこうなるんだろう」と斜に構えたライトな映画脳な人は楽しめます

ただ残念な点もいくつかあるんですね
クライマックスの展開は急に躍動感のあるものになっていいんですが、ぶっちゃけパワープレイがひどい
ちょっと遠い例えをすると「心理戦で展開してた物語のラストが殴り合いのガチバトルだった」って感じで
あとは冒頭のシーンが本当に印象強くて、すっごい映像的に力強いんですが、最後までそのシーンをいかした展開がなかったのが残念
あの経験があったからこそ、って行動や考えを主人公がもってくれると思ってたんで

それでも主人公を縛り付ける発信器というアイテムを上手く使い、閉じこめられてる感がしてたのにそれに救いをもとめざるえない展開とか、うまいなあと
どこまでもB級なんだけど、最後まで見ても後悔しないどころかちょっと楽しめちゃう一本でしたね

個人的評価:70点
オススメ度:結局、コメディかサスペンスか、そのどっちでもないのか?




ディスタービア 予告