2017年12月31日日曜日

カンフー・ヨガ (2017/中・印)

監督:スタンリー・トン
出演:ジャッキー・チェン / アーリフ・リー / レイ / ソーヌー・スード / ディシャ・パタニ / アミラ・ダスツール / エリック・ツァン / チャン・グオリー / ムチミヤ

中国の考古学者ジャックをインドの女学者が訪ねてくる
そしてふたりは失われた伝説の財宝を探すことになる

本当に頭をからっぽにして観ていられる、楽しさだけに特化したジャッキーアドベンチャー映画でした
タイトルから子供だましなコメディ要素が強い印象がするけど、けっこうアクションもしっかりしていてガッカリ感はない
ロケーションとシチュエーションを変えて、常にコミカルなドタバタアクションが続き、笑い要素がいいアクセントになって飽きることはなかった
ジャッキーさんも年齢的にいい感じにハッスルアクションがはまってきてて、そして派手なアクロバティックは若手に任せ、作品的な見栄えも保たれている感じ
なにより楽しそうに体を動かしているジャッキーさんの姿を観ているだけで、こっちまで楽しい気持ちにさせてくれる一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:なにげに動物を愛護などっかの団体から苦情がきてもおかしくない気がする



カンフー・ヨガ 予告

2017年12月27日水曜日

8年越しの花嫁 奇跡の実話 (2017/日)

監督:瀬々敬久
出演:佐藤健 / 土屋太鳳 / 北村一輝 / 浜野謙太 / 中村ゆり / 堀部圭亮 / 古舘寛治 / 杉本哲太 / 薬師丸ひろ子

結婚目前の幸せな日々を過ごす尚志と麻衣
しかし、突然に麻衣は難病を患い昏睡状態におちいってしまうのだった

予告を観た時は「ああ、いつものアレか」という印象しかなかったけど、意外と評判がいいというので鑑賞
はたしてスイーツ要素もなく、難病もので泣かせるだけのインスタント感もない素敵なドラマでした
特に主人公の心の動きをあらわす演技が秀逸で、わざとらしさが薄いために「こういう場面になったら、こういう態度になっちゃうんだろうな」という自然さがいい
発病前、闘病中、リハビリ中、そしてその後と展開するストーリーは難病ものとひとくくりにするのはもったいない、見応えのある人間ドラマに満足
脇を固める渋い登場人物たちも良い人たちばかりながら、日常のリアル感でファンタジーくささなくてよかった

個人的評価:80点
オススメ度:色々と気を配った細かい演技指導があったんだろうな、と思わざるえない



8年越しの花嫁 奇跡の実話 予告

2017年12月24日日曜日

フラットライナーズ (2017/米)

監督:ニールス・アルデン・オプレブ
出演:エレン・ペイジ / ディエゴ・ルナ / ニーナ・ドブレフ / ジェームズ・ノートン / カーシー・クレモンズ / キーファー・サザーランド

医学生のコートニーは死後の脳の記憶について調べようと友人に実験の協力を求める
そして、その実験は自身で行い臨死体験をするのだった

オリジナル版は観たことあるけど、たぶんこんなにホラーよりの作品じゃなかった気がする
そんなホラー要素が濃くなった分、かなりエンターテインメント的に観やすくなり画面映えもいい感じになってる
けっこうもとの作品のストーリーがいいだけに、単純に臨死体験したらなんかホラーっぽい恐怖体験まですることになっちゃった、みたいな軽すぎないのもいい
はじめて観る人でも先がきになる展開に、自然と作品に引き込まれていくと思う
ただ、それら良い部分をすべて覆い隠すように地味ベールが作品全体を包み込んでしまっている感じ
特にキャストの華のなさが素人目にも分かり、教授以外のメインどころにもうひとり光る人がいれば良かったのにな、と思わざるえないザ・佳作臭がもったいない一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:許しをこう理由が自分本意すぎやしないか、と



フラットライナーズ 予告

2017年12月18日月曜日

DESTINY 鎌倉ものがたり (2017/日)

監督:山崎貴
出演:堺雅人 / 高畑充希 / 堤真一 / 安藤サクラ / 田中泯 / 中村玉緒 / 市川実日子 / ムロツヨシ / 要潤 / 大倉孝二 / 神戸浩 / 國村隼 / 古田新太 / 鶴田真由 / 薬師丸ひろ子 / 吉行和子 / 橋爪功 / 三浦友和

作家の一色正和のもとに嫁いできた亜紀子
しかしふたりが暮らす鎌倉は人ならざるものが共存する土地で、亜紀子は戸惑いをかくせないのだった

日常にひそむ妖怪と黄泉の国でバカ騒ぎ、という子供っぽい作品の印象を予告からは受けてたけど、実際の本編はけっこうゆったりまったり楽しめる内容でした
鎌倉の日常と人ならざるものたちの関係を、クライマックスに向けて準備運動のようにつづっていくためにトンデモ妖怪映画感がないのはよかった
一色夫婦のやりとりがいちいち微笑ましく、そこに妖怪のたぐいが話にアクセントをあたえるように絡んでくる日常がおもしろい
作品の盛り上げとして黄泉の国のあまりに現実離れしすぎている場面が必要だったんだろうけど、個人的には日常のドラマだけでじゅうぶんだった気がする
むしろ鎌倉編だけでよかった
クセのある役者さんが集まりつつも、その中にけっこう自然体な演技が多いので観ていても不快感がない
とにもかくにもあの予告が、観る前の観客に本編に対する悪い印象をすりこんでいると言わざるえない

個人的評価:70点
オススメ度:無理に今の日本のVFX技術を表現する要素を盛り込まんでもいいのに



DESTINY 鎌倉ものがたり 予告

オリエント急行殺人事件 (2017/米)

監督:ケネス・ブラナー
出演:ケネス・ブラナー / ジョニー・デップ / ミシェル・ファイファー / ジュディ・デンチ / ペネロペ・クルス / デイジー・リドリー / ウィレム・デフォー / ジョシュ・ギャッド / デレク・ジャコビ / レスリー・オドム・Jr. / マーワン・ケンザリ / オリビア・コールマン / ルーシー・ボーイントン / マヌエル・ガルシア=ルルフォ / セルゲイ・ポルーニン / トム・ベイトマン

名探偵とうたわれるポアロはオリエント急行に乗り、ロンドンへと戻ることになる
その道中、列車に乗り合わせた美術商から護衛の依頼を持ちかけられるのだった

名優を集めての名作のリメイク、ってことでしたが画になるシーンと娯楽要素、ドラマチックな演出で現代風な作りになってました
しょうじきミステリー要素は薄く、というよりオチを知っていた方が各役者さんの細かい演技が楽しめる
名優たちの競演と会話劇、というインパクトは大きいけど、さすがに慣れてくると流れるような台詞のBGMで睡魔がおそってくる
ポアロの性格の柔和化とか、アクションさせるとか賛否はあるかもしれないけど、これが現代風なんだと納得するしかないのかもしれない
ポアロや登場人物たち、それと美しい背景の画になる場面の印象は強いけど、作品としてもうひとつ強烈ななにかが足りないような気がしないでもない一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:これで初めてポアロにふれる人なら、その人柄からすんなり入り込めるかも



オリエント急行殺人事件 予告

2017年12月17日日曜日

スター・ウォーズ 最後のジェダイ (2017/米)

監督:ライアン・ジョンソン
出演:デイジー・リドリー / ジョン・ボヤーガ / アダム・ドライバー / オスカー・アイザック / マーク・ハミル / キャリー・フィッシャー / ルピタ・ニョンゴ / アンディ・サーキス / ドーナル・グリーソン / アンソニー・ダニエルズ / グウェンドリン・クリスティー / ケリー・マリー・トラン / ローラ・ダーン / ベニチオ・デル・トロ

帝国軍の猛攻の前に反乱軍は一矢を報いつつも被害甚大となる
そしてレイは最後のジェダイことルークに、己の中に目覚めたものについての対処をこうのだった

かなりうがった意見として、旧作を否定した内容だって言われても仕方ない気がしないでもない作品でした
個人的には新たな希望へとバトンをつなぐ話として楽しめたけど、思った以上に話が進まなくて残念
スターウォーズという大きな作品として、次へつなぐための序章その2ってスタンスな印象が強く正式なナンバリングタイトルの続編を観ている感は薄かった
クライマックスへ向かうために作品テーマの表明といろんなことの整理、時代の大きな流れより限定時間軸での地続きなエピソード7、8な作りとしてはこうなるのも仕方ないかもしれない
もちろん観ていてドキドキや気持ちが高ぶるシーンも多いけど、しょうじき冷ややかな目になってしまう部分の悪い印象が強すぎた
コミカルなシーンが多くて楽しく観られるけど、無駄にアドベンチャーしてた前作の方が万人受けしそう

個人的評価:70点
オススメ度:ルークさんの最初と最後の受ける印象の違いは良かった



スター・ウォーズ 最後のジェダイ 予告

2017年12月13日水曜日

婚約者の友人 (2016/仏・独)

監督:フランソワ・オゾン
出演:ピエール・ニネ / パウラ・ベーア / エルンスト・ストッツナー / アントン・フォン・ルケ / マリー・グルーバー / シリエル・クレール / ヨハン・フォン・ビューロー / アリス・ド・ランクザン

フランスとの戦争で婚約者フランツを亡くしたドイツ人のアンナ
ある日、フランツの墓に花を手向けていたフランス人男性のアドリアンと出会い話を聞くことになる

嘘と幸せがたまらないほどにせつなく、観ている側の心にじわじわとしみ入ってくる
婚約者を殺された女性が、その敵方だった男と関係を深めていくなかで、いまだ戦争を引きずる周囲から~というロマンスな物語かと思ったらそう単純でないのもおもしろい
話が進むにつれてアドリアンとアンナ、周囲の人たちの気持ちが明かされていく構成がすばらしく、そのはかなさに痛み酔いしれてしまう
ミステリーの部分もあくまで人の心に作用するところが大きく、なにかあっと言わせる謎を秘めているというより、それが明かされた時の登場人物の心のゆれ動きに見応えがある
いろいろと謎めいた部分がありながらも、けっきょくは愛の物語に流れるように帰結する切ない一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:列車見送りシーンのハンス父ちゃんのあんな笑顔を観たら、もう何も言えんわな



婚約者の友人 予告

2017年12月10日日曜日

パーティで女の子に話しかけるには (2017/英・米)

監督:ジョン・キャメロン・ミッチェル
出演:エル・ファニング / アレックス・シャープ / ルース・ウィルソン / マット・ルーカス / ニコール・キッドマン

パンクライブへ友人たちと乗り込んだエン
その帰り不思議な音楽に誘われて奇妙なパーティを行っている館へ足を踏み入れ、そこで気になる女性ザンと出会う

最高に笑えて最高にノリノリでちょっぴりジーンとさせられる、人には勧めづらいけど勧めたくなる映画でした
どこか古いイメージの宇宙人描写やMV風のシーン、それが今はかえって新しく新鮮に見える奇妙さがたまらない
思った以上に俗っぽくてアホな方向に振り切れてるけど、よくあるバカなだけのコメディじゃなくて中身もきちんとあるからおもしろい
音楽と青春のドラマとして、そしてラブストーリーとしての芯がしっかりしている感じ
主人公のエンとザンのパンクを通し、かみ合ってるようなそうでもないような不安定さが若さ弾ける青春ものっぽくていい
観ている間、ところどころで声をだして笑ってしまい、だけれどラストではちょっとやられる展開に良い気持ちで鑑賞できた一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:まあ、でもこの真面目な不真面目さが合わない人には合わないかも



パーティで女の子に話しかけるには 予告

2017年12月6日水曜日

エンドレス・ポエトリー (2016/仏・チリ・日)

監督:アレハンドロ・ホドロフスキー
出演:アダン・ホドロフスキー / パメラ・フローレス / ブロンティス・ホドロフスキー / レアンドロ・ターブ / イェレミアス・ハースコビッツ

両親とともにサンディエゴに移り住んできたアレハンドロ
変わらず抑圧的な父に悩まされる中、詩との出会いで詩人を目指すことになる

良い意味でさらに狂気じみた幻想的な作風に、次はどんなシーンが展開するのかと新鮮な驚きと笑いがない交ぜになる
そんな最初から飛ばしまくる予想できない場面の連続の奇抜さももちろん、主人公の成長の物語としても見応えあって楽しめた
観ていて「自分の普通ってなんだ」とアレハンドロの青春に疑問を抱きつつ、なんか作品に洗脳されそうなむずがゆさがなんともいえない
かなり詩的な表現が多く、なにを意味するのかと深く考察するほどにはまっていき、けっきょくは流れそのものに身を委ねているだけで満足になる
大事なところは監督みずから出演して語るので、本筋を見失うことなく雰囲気だけの内容になってないのもいい
特に前作から続くクセのある父との関係もいい感じで表現されていて、このほどよく狂った幻想に現実をねじ込んだ世界を次作でも堪能したい

個人的評価:85点
オススメ度:コントにおちるギリギリのコミカルさがたまらない



エンドレス・ポエトリー 予告

人生はシネマティック! (2016/英)

監督:ロネ・シェルフィグ
出演:ジェマ・アータートン / サム・クラフリン / ビル・ナイ / ジャック・ヒューストン / ヘレン・マックロリー / ポール・リッター / レイチェル・スターリング / リチャード・E・グラント / エディ・マーサン / ジェレミー・アイアンズ / ジェイク・レイシー

1940年、戦時下のロンドンで情報省映画局へ脚本家として雇われたカトリン
彼女はダンケルクで兵士を救った姉妹の話を聞き、映画にできないかと考える

映画製作ものであり、戦争ものであり、恋愛ものでもあり、様々な要素が観ている側を楽しませる最高の娯楽映画でした
けっこう粋なシャレがきいているシーンも多く、ニヤリとさせられる場面がちりばめられていておもしろい
演出的にここで感情をこっちに引き寄せておいて、ふいに別方向へ落としこむ、という手法が分かっていても言いなりに感情をコントロールされるのが心地いい
それぞれのキャラもみんな輝いていて、登場するすべての人物たちの行動や言動が生き生きしている
派手なアクションでスカっとする気持ちよさとは違う、映画としての本質部分で楽しませる娯楽作品に笑えてしんみりして幸せを味わえた一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:事実に基づかない版のダンケルクの方が個人的に好み



人生はシネマティック! 予告

2017年12月3日日曜日

探偵はBARにいる3 (2017/日)

監督:吉田照幸
出演:大泉洋 / 松田龍平 / 北川景子 / 前田敦子 / 鈴木砂羽 / リリー・フランキー / 田口トモロヲ / 志尊淳 / マギー / 安藤玉恵 / 正名僕蔵 / 篠井英介 / 松重豊 / 野間口徹 / 坂田聡 / 土平ドンペイ / 斎藤歩 / 前原滉 / 天山広吉 / 片桐竜次 / 今村美乃 / 栗山英樹

札幌のススキノにあるバーを拠点とする探偵と用心棒兼運転手の高田
ある日、高田が連れてきた後輩から人探しのありふれた依頼を受けるのだったが…

さすがに3作目だけあって各キャラの良さを最大限にいかしていて、その掛け合いが楽しい
内容じたいはよくあるヤクザがらみのトラブルで、ストーリーに新鮮味はないけどライトなタッチでテンポよく話が進んで飽きることはなかった
ドラマじたいに深みがあるようでそうでもなく、もうちょっと込み合ってぬかるんだ人間模様でドロドロなところがあってもよかった気がしないでもない
あとはオチの真相部分を懇切丁寧にすべて説明する演出は分かりやすいけど、そこは濁して雰囲気で余韻を残す方が個人的には好みかも
ハードな展開を装いつつ、軽すぎることなくライトに刹那的な楽しみを味わえるザ・普通な映画でした

個人的評価:75点
オススメ度:うにいくら丼ならしかたないな



探偵はBARにいる3 予告

2017年11月29日水曜日

gifted/ギフテッド (2017/米)

監督:マーク・ウェブ
出演:クリス・エバンス / マッケンナ・グレイス / ジェニー・スレイト / リンゼイ・ダンカン / オクタビア・スペンサー

7歳のメアリーと暮らすフランクは乗り気ではない彼女を学校へ通わせる
メアリーには天才的といえる数学の才能があり、それが仇となって学校で問題をおこしてしまう

思ったより身内の争いのどろどろ感は少な目だけど、もの足らなさはなくて感情にうったえる部分はしっかり引き締めてくる作品でした
まあ、なにはともあれメアリーのキュートさと、するっと観ている側の感情へもぐりこんでくる演技で笑顔も涙も引き出されるがままにならざるえない
そこへ陰があって不完全さが目立ちながら憎めない父親のフランクがまたいいんですよね
数学の才能を輝かせながらも子供としてのキラメキが上回るメアリー、不器用さが魅力に転じるフランク、そしてストーリーにからんでくるすべての人々がみな素敵すぎる
なんてことはないスペシャルな話ながら、気づけば自然に感情をさらして一喜一憂している気持ちよさに包まれる
完全にあざとさを感じない、と言えば嘘になるけど作品に身を任せて心地よく内容に没入できた

個人的評価:85点
オススメ度:フレッドの一瞬の演技がまたいい


gifted/ギフテッド 予告

2017年11月26日日曜日

ローガン・ラッキー (2017/米)

監督:スティーブン・ソダーバーグ
出演:チャニング・テイタム / アダム・ドライバー / ライリー・キーオ / ダニエル・クレイグ / セス・マクファーレン / ケイティ・ホームズ / キャサリン・ウォーターストン / ドワイト・ヨーカム / セバスチャン・スタン / ブライアン・グリーソン / ジャック・クエイド / ヒラリー・スワンク / メイコン・ブレア / ジム・オヘア / デビッド・デンマン

急に仕事をクビになったジミー
彼は弟を誘って現金強奪計画を実行することにする

クライムものなのに最後には不思議とニヤリとさせられてイヤな気分にはならなかった
派手でスタイリッシュな演出はなく淡々と進むんだけど、その行動が計画にどう作用していくのか読みづらいのがおもしろい
想定外のアクシデントに見回れ、しかもアホっぽい素人集団の滑稽さと、よくよくみれば知性を感じる計画のギャップがいい
あまりネタバレするのもあれだけど、ラストの流れの小粋さが本当によくて、そこに至るまではもちろんだけど、最後の最後に作品としての良さが凝縮されている
配役と話の運び方が秀逸で「いい映画を観た
」という満足感が味わえました


個人的評価:85点
オススメ度:ジミーの娘さんが良い子すぎる



ローガン・ラッキー 予告

ジャスティス・リーグ (2017/米)

監督:ザック・スナイダー
出演:ベン・アフレック / ヘンリー・カビル / エイミー・アダムス / ガル・ギャドット / エズラ・ミラー / ジェイソン・モモア / レイ・フィッシャー / ジェレミー・アイアンズ / ダイアン・レイン / コニー・ニールセン / J・K・シモンズ / キアラン・ハインズ / アンバー・ハード / ジョー・モートン

スーパーマン亡き後、世界は謎の侵略者の襲撃と不安から暴走する人たちで混乱していた
バットマンことブルースはチームを作り、これに対処しようと動き出す

なんか妙に昔のアメコミものっぽい大ざっぱな作りな作品でした
ここまでの複数の映画の集大成としてヒーローたちが集い、巨悪と戦うってわりにはちょっと大味で子供っぽい気がしないでもない
最初からクライマックスと言わんばかりに、敵の正体やら目的やらがあっさり明かされ、物語の終盤部分を切り取って描かれている感じ
様々なヒーローが集い、戦うというのは気分的にも画面的にも盛り上がる、けどどうしてもチームの力強さがいまいち伝わってこない
そこへきてバットマンの存在がいっきに薄くなる展開になるし、中ボスかと思ってた微妙なやつがラスボスだったり、しょうじき内容よりもお祭り騒ぎを楽しむ映画かもしれない
あと、個人的には映画版バリーのウザさがどうにかならんものかと
さすがに先のあるシリーズになるんだろうけど、今後を期待するにはちょっと不安が残る一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:バットマンさんがすっかり雑魚専に



ジャスティス・リーグ 予告

2017年11月19日日曜日

GODZILLA 怪獣惑星 (2017/日)

監督:静野孔文 / 瀬下寛之
出演:宮野真守 / 櫻井孝宏 / 花澤香菜 / 杉田智和 / 梶裕貴 / 諏訪部順一 / 小野大輔 / 三宅健太 / 堀内賢雄 / 中井和哉 / 山路和弘

巨大怪獣ゴジラの破壊行動によって人類は地球から脱出、移民できる星を探す旅にでる
しかし移住可能な地は見つからず、ハルオは地球に帰還すべきだと行動を起こすのだった

作品の設定と主人公周りとゴジラについての情報、それをつらつらと説明されただけな印象の内容でした
話的にもこれから、ってところでぷっつりと切れ「え?終わり?」という肩すかし感が強い
ゴジラとの一戦に集約された戦いも、そこにいたるまで延々と会話劇で作戦が進み、画面的には盛り上がってるけど観てる方のテンションは思ったより上がらない
しょうじき設定を持て余しすぎで、別にゴジラを扱う必要ないんじゃないのか、という懸念が大きくならざるえない
それでもラストの展開はさすがに盛り上がるし、最後の最後まで観れば消化不良な部分がちょっとはスッキリする
それが納得できるかどうかは別だけど、この序章っぽい作りは分からないでもない

個人的評価:70点
オススメ度:いろいろと世界観がぶっとんでておいてけぼりな気持ち



GODZILLA 怪獣惑星 予告

機動戦士ガンダム サンダーボルト BANDIT FLOWER (2017/日)

監督:松尾衡
出演:中村悠一 / 木村良平 / 古川由利奈 / 逢坂良太 / 杉田智和 / 行成とあ / 大原さやか

一年戦争が終わり、ダリルはジオンの生き残りたちと地球で新たな作戦を実行しようとしていた
一方、イオも新型のアトラスガンダムで地上で戦いに身を投じるのだった

盛り上がる戦闘シーンと意外な方向からせめてくるBGM、マッチしてなさそうな良い意味でのカオス感がおもしろかった
モビルスーツの武装のギミックも、実際にアニメとして動くと分かりやすくてかっこよく、そのアイディアをいかしたバトルの連続は見応えがある
水中戦というと微妙な印象が強いけど、ここまで迫力あるものに仕立てられているのはすごいと言わざるえない
ただ話が広がった分、どうしても中途半端な終わり方になってるのは残念
かぎられた尺でうまくまとめてある感じはするけど、それでも単体の作品としては風呂敷をたたむ段階にまで至ってない
確実に次作があるのをほのめかすおまけ映像もないし、ちょっとこれだけ観せられても反応は難しい

個人的評価:75点
オススメ度:素人目でも分かるジャズ演奏シーンの力の入れよう



機動戦士ガンダム サンダーボルト BANDIT FLOWER 予告

2017年11月15日水曜日

ジグソウ ソウ・レガシー (2017/米)

監督:マイケル・スピエリッグ / ピーター・スピエリッグ
出演:マット・パスモア / カラム・キース・レニー / クレ・ベネット / ハンナ・エミリー・アンダーソン / ローラ・バンダーボート / マンデラ・バン・ピープルズ / ポール・ブラウンスタイン / ブリタニー・アレン / ジョシア・ブラック / トビン・ベル

密室でバケツをかぶらされて鎖でつながれる5人の男女
回転するノコギリに引き寄せられる中、罪を告白するゲームが開始される

久しぶりにどんなトリッキーな死に様ショーが見られるか、と期待してたらそっちとは違うところで楽しめた
あまり内容にふれると作品としての肝が失われるのでアレだけど、けっこうゲームの外側の展開がおもしろい
ジグソウことジョン・クレイマーは生きていた?彼のファンや後継者の模倣?と最後まで飽きることなく観ていられる
伏線のはり方もいい感じで、観ていてちょっと「うん?」と思う部分も最後にはスッキリと解消される
こっから先、新たなシリーズとして継続もできるかもしれないけど、あえてここで終わった方が無難な感じはする…けど、想像を上回る展開で次作も観てみたい気もする

個人的評価:80点
オススメ度:だけどジグソウってタイトルはソウシリーズのパチモン映画感が拭えない



ジグソウ ソウ・レガシー 予告

2017年11月13日月曜日

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。 (2017/米)

監督:アンドレス・ムシェッティ
出演:ジェイデン・リーベラー / ビル・スカルスガルド / フィン・ウルフハード / ソフィア・リリス / ニコラス・ハミルトン

弟が行方不明になってしまったビルは友人たちと間をみては捜索していた
そんな中、町では同様に子供たちの失踪事件が相次ぐのだった

薄暗い闇の中からぼんやりとしたナニかが襲いかかってくる恐怖、という雰囲気はまったくなくて、はっきりくっきりダイレクトアタックしてくる作風の映画でした
青春の甘美と辛酸が絡み合うひと夏の少年少女たちの物語、その隙間をこじ開けるような怪奇さがマッチしていて楽しめた
原作が有名すぎるゆえに色々と言いたい人もいるのは分かるけど、個人的にはそれほどズッコケ感はなく思えた
ペニーワイズさんにしても、恐怖をあおる描写にしても姿があまりにはっきり現れすぎていて娯楽的な怖さや生理的な嫌悪による不気味さが強い
観る側の想像力を刺激されて恐怖心が雪だるま式に大きくなっていく、という雰囲気ではないので、そういう意味では作品内容とちょっとズレてる気もしないでもない
目に見えない恐怖より、目に見える恐怖ってのが今時なのかは知らないけど、娯楽ホラーな方面としては見栄えもする一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:まあイットだけでは寂しいのは分かるけど、この日本のサブタイセンスは…



IT/イット “それ”が見えたら、終わり。 予告

2017年11月12日日曜日

ザ・サークル (2017/米)

監督:ジェームズ・ポンソルト
出演:エマ・ワトソン / トム・ハンクス / ジョン・ボヤーガ / カレン・ギラン / エラー・コルトレーン / パットン・オズワルト / グレン・ヘドリー / ビル・パクストン / ベック

サークル社の顧客対応部門で働くことになったメイ
給与や環境面で仕事にやりがいを感じながら、プロフィールや健康状態などを管理されるシステムに驚きと戸惑いをおぼえる

SNSの利便性や問題点とかいまどきポップソングの歌詞にもなってるくらいありきたりなテーマだけど、悪い意味で退屈することなく鑑賞できた
しょうじき無駄に豪華なキャスティングだという思いは常にちらついて、作品内容のパンチ力不足がさらに目立つ感じ
極端な思考や感情に傾く人間の姿は分かりやすいけど、けっきょくは便利なものも利用する側しだいといういつもの所に落ち着く
SNSだけに関わらず、そういったものは便利さと窮屈さを分かった上でつきあっていくくらい理解してる上で、警鐘を鳴らす先につながる何かがほしかった
キャストもいいし映画としての作りは安定しているだけに、なにかそこにプラスアルファがあればな、と思ってしまった一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:ニコとかムカとか翻訳表現にむずむずする



ザ・サークル 予告

2017年11月8日水曜日

シンクロナイズドモンスター (2016/加)

監督:ナチョ・ビガロンド
出演:アン・ハサウェイ / ジェイソン・サダイキス / ダン・スティーブンス / オースティン・ストウェル / ティム・ブレイク・ネルソン

彼氏に家を追い出されて生まれ育った町へ戻ってきたグロリア
ダラダラと日々を過ごす中、ソウルに巨大怪獣が現れたというニュースに驚く

Z級なクソ映画かと思いきや意外と本気の怪獣映画か、と思いきややっぱり低予算でクソなZ級映画でした
いよいよ怪獣が現れて主人公とシンクロしてる、とおもしろくなってきそうで変にシリアス路線に傾いたり、けっきょくは主人公とつるむ地元の連中がうだうだやってるだけの印象が強い
もっとぶっとんだ頭の悪いバカ騒ぎを期待してたんだけどそうでもなく、低予算ながらチープバトルで盛り上がるわけでもなく、とガッカリ
肝心の所を見せない演出も、そればかりだとストレスばかりがたまって気持ちよくなれない
終盤はオスカーにイライラしっぱなしだし、かといってラストですっきりするでもない
おもしろくなりそうな素材をいかしきれてない出オチ作品な感じでした

個人的評価:55点
オススメ度:予告を見ておもしろそうと期待を膨らませるだけで十分


シンクロナイズドモンスター 予告

グッド・タイム (2017/米)

監督:ジョシュア・サフディ / ベニー・サフディ
出演:ロバート・パティンソン / ベニー・サフディ / バディ・デュレス / タリア・ウェブスター / バーカッド・アブディ / ジェニファー・ジェイソン・リー

知的障害をもつ弟ニックと銀行強盗をするコニー
しかし弟だけが警察に捕まり、なんとかコニーは保釈金を工面しようとするのだった

ちょっとぐらい状況が悪くなっても主人公補正で難局を乗り越える、というクライムアクションとは毛色の違った感じで楽しめた
前へ前へ進もうとするほどに底なし沼にはまっていくような、どんどんゴール地点からかけ離れていく様がおもしろい
そんな転落っぷりが哀れに思いつつも、主人公の無計画で頭の悪い判断っぷりが滑稽ですらあって飽きさせない
かといってバカ映画ってわけでもなく、なんだかんだで状況が終息していくのとは真逆の展開に破滅の足音を聴くのが楽しめた一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:この雰囲気はけっこう人の好みを選ぶかも


グッド・タイム 予告

2017年11月6日月曜日

ブレードランナー 2049 (2017/米)

監督:ドゥニ・ビルヌーブ
出演:ライアン・ゴズリング / ハリソン・フォード / アナ・デ・アルマス / シルビア・ホークス / ロビン・ライト / マッケンジー・デイビス / カーラ・ジュリ / レニー・ジェームズ / デイブ・バウティスタ / ジャレッド・レト / バーカッド・アブディ

ブレードランナーのKはあるレプリカントの居場所を訪れる
後日、その現場の地中より埋められていた箱が回収され…

前作をきちんと引き継ぎつつ、変に神聖化しすぎていなくて、悪い意味での影を引きずることなく鑑賞できた
主人公のKの存在感もしっかりしていて、彼を中心に肉付けされていく世界観に心地よく酔える
広がりというか、引きの美学みたいに画面に見える外の領域まで想像でき、人類の手からこぼれ落ちていくような異世界感がいい
ドンパチ重視の派手さにとらわれず、ちゃんと次の段階の話を掘り下げられていて、話の流れに身を任せているうちに退屈する間もなくラストまで鑑賞できた
けっこう集中力を消耗するけど、鑑賞後の充実感が大きい一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:前作との間をつなぐ3つの短編は観ておいた方がいいかもしれん



ブレードランナー 2049 予告

2017年11月5日日曜日

マイティ・ソー バトルロイヤル (2017/米)

監督:タイカ・ワイティティ
出演:クリス・ヘムズワース / マーク・ラファロ / トム・ヒドルストン / ケイト・ブランシェット / テッサ・トンプソン / アンソニー・ホプキンス / イドリス・エルバ / ジェフ・ゴールドブラム / カール・アーバン / 浅野忠信 / ベネディクト・カンバーバッチ / タイカ・ワイティティ

ソーはロキを連れて父を探すために地球を訪れる
そこでドクター・ストレンジと名乗る魔術師に出会い、父の居場所を知るのだった

独自のファンタジー色にSFとアドベンチャー要素を足しつつ、盛り上がって楽しい中にもなんか微妙さが臭いたつ作品でした
テクノサウンドとレトロさを感じさせるSF美術が、ソーの世界観に意外とマッチしていい方向に胡散臭くておもしろかった
最強すぎるヘラの闘いっぷりも魅力的だったのは想像通りだけど、それ以上にグランドマスターさんのキャラが強烈すぎた
全体的に掛け合いの中でジョークが多くて最初は笑えるけど、だんだん飽きてくる
BGMとともに熱いバトルに盛り上がって十分に満足なんだけど、どうしても「ガーディアン・オブ・ギャラクシー」が頭の中でチラついてこっちの見劣り感が気になってしまった

個人的評価:80点
オススメ度:珍しく邦題のサブタイの方がしっくりくる


マイティ・ソー バトルロイヤル 予告

彼女がその名を知らない鳥たち (2017/日)

監督:白石和彌
出演:蒼井優 / 阿部サダヲ / 松坂桃李 / 村川絵梨 / 赤堀雅秋 / 赤澤ムック / 中嶋しゅう / 竹野内豊

日々を自堕落に過ごす十和子と一途に彼女を支える陣治
ある日、十和子は水島という男と出会い、彼にひかれていく

思ったより胸くそ悪い感じがなく、色々と意見はあるかもしれないけど、個人的には愛と呼べる結末のラブストーリーに思えた
とにもかくにも役者さんたちの演技が素晴らしく、クズでゲスで哀れな姿に自然と見入ってしまう
特に十和子の内弁慶っぷりがいい感じ
ミステリー要素はオチだけみれば「うん、まあそうなんだ」という印象だけど、そこに至るまでの話と演出のリードによってガッカリ感はなかった
本当に人間としてアレな十和子と陣治だけど、その関係は暗闇に浮かぶおぼろ月のような鈍く輝く愛が見て取れた

個人的評価:80点
オススメ度:じゃっかん陣治のしゃべりに引っかかる部分もある



彼女がその名を知らない鳥たち 予告

2017年10月29日日曜日

ゲット・アウト (2017/米)

監督:ジョーダン・ピール
出演:ダニエル・カルーヤ / アリソン・ウィリアムズ / ブラッドリー・ウィットフォード / ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ / キャサリン・キーナー / スティーブン・ルート / ベッティ・ガブリエル / マーカス・ヘンダーソン / キース・スタンフィールド

黒人男性のクリスは彼女である白人女性のローズの実家にいくことになる
クリス宇は黒人であることを気にしていたものの笑顔でむかえてくれた家族たちだったが、そこで働く黒人の使用人たちに戸惑いをおぼえるのだった

映画やドラマから得たていどの黒人差別意識の問題に対する知識ながら、この映画のその問題を逆に利用する作りはすごく楽しめた
しょうじきネタバレをするといっきに冷める内容のため、なんとも言えない部分が多いけど鑑賞中に意識をうまくコントロールされて、文字通り白から黒へひっくり返るように感覚を転じられる瞬間がきもちいい
伏線の回収とかけっこうブラックなコメディの要素もあるし、ほぼ全編にわたって奇妙さがつきまとうので飽きるこもなかった
真相がわかった時のなるほど感ももちろん、鑑賞後に「あの時のアレは、そういう意味だったんだ」と心地よい納得感が味わえる一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:なんかガッカリB級アクションを連想させるタイトルだけがもったいない



ゲット・アウト 予告

2017年10月25日水曜日

バリー・シール アメリカをはめた男 (2017/米)

監督:ダグ・リーマン
出演:トム・クルーズ / ドーナル・グリーソン / サラ・ライト / E・ロジャー・ミッチェル / ジェシー・プレモンス / ローラ・カーク / アレハンドロ・エッダ / ベニート・マルティネス / ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ / ジェイマ・メイズ

副業で密輸の手伝いをしているパイロットのバリー・シール
ある日、あやしい男に声をかけられCIAの仕事をすることになる

なにはともあれトムさんの胡散臭くてチャーミングな演技が輝いていた
内容もブラックユーモアの味付けの娯楽的な要素が強く、脚色がしてあるとはいえ実話ベースの作品であることを忘れさせられた
ひょうひょうとした主人公にのせられながら、どんどん事態は悪い方向に向かっていって、どんな災難にみまわれるのか楽しみながら観ている自分に気づく
そんなおとぼけ姿の中で、ときおり本当にヤバイ表情を見せるバリーが利いている
確かにバリーはあ犯罪者としてアレだけど、周りの人物や組織もたいがいだし、それを娯楽作品として楽しんでる自分も同じ穴のむじなと思わされた
スナックむさぼる感覚で、事件とその背景の時代をあわせて学べるいい教材かもしれん

個人的評価:80点
オススメ度:トムさんじゃなければ、作品の魅力も半減どころじゃない



バリー・シール アメリカをはめた男 予告

2017年10月22日日曜日

斉木楠雄のΨ難 (2017/日)

監督:福田雄一
出演:山崎賢人 / 橋本環奈 / 新井浩文 / 吉沢亮 / 笠原秀幸 / 賀来賢人 / ムロツヨシ / 佐藤二朗 / 内田有紀 / 田辺誠一

超能力者である斉木楠雄はただ普通に高校生活を送りたいと願っていた
問題が起きたら来年から中止という文化祭がせまる中、斉木はその能力で事件や事故を回避しようと考える

とにもかくにもブームなのか知らんけど、万人に分かりやすい笑いである顔芸メインの顔芸映画でした
さらには独白ボケ&ツッコミ、豊富なキャラたちで笑いのジャブが連発されるうちに「あれ?もう終わり?」とあっと言う間に時が過ぎる
ちょっと子供向けっぽいコメディかとも思ったけど、良い方向の福田監督作品として楽しめました
ギャグじたいは薄味ながら、本当に役者さんたちのキャラ作りと演技で引くほどの寒いシーンがないのはよかった
ただ個性豊かな登場人物が多いのはいいけど、じゃっかん魅力を発揮しきれてないもったいなさも感じられた
続編もかなり作りやすいだろうし、TVドラマシリーズでもいいので続きを観てみたい

個人的評価:80点
オススメ度:なんとなくニーチェ先生もまた観たくなる



斉木楠雄のΨ難 予告

あゝ、荒野 後篇 (2017/日)

監督:岸善幸
出演:菅田将暉 / ヤン・イクチュン / 木下あかり / モロ師岡 / 高橋和也 / 今野杏南 / 山田裕貴 / 河井青葉 / 前原滉 / 萩原利久 / 小林且弥 / 川口覚 / 山本浩司 / 鈴木卓爾 / 山中崇 / でんでん / 木村多江 / ユースケ・サンタマリア

ジムが取り壊される話が出る中、新次の次の相手として因縁ある裕二が決まる
そんな中、新次は自殺した父親を追い込んだ人物が健二の父親だと知らされる

ひたすらに熱い闘いと人間ドラマに鑑賞後、なんとなく体温が上がった感覚とともに言われえぬ感情が満ちてあふれそうになった
狂犬のような新次のファイティングスタイルが盛り上がる裕二戦、それでいてどこかやるせないドラマ、さらに心が安らぐシーン、ともう作品に自身の気持ちをゆだねて一喜一憂するのが心地いい
個がつながってまた広がってゆく、バラバラになってしまったようでそうではない人間模様がいっさいぬるさなく力強く描かれていた
そしてラストファイトの燃え上がりっぷりは言うまでもなく、映画という映像作品としてのラストの名前記入からの流れがたまらない
最初から最後まで全力でぶつかってくる作品ながら、不思議と観ていて疲労感がわかないどころか、内から熱さがみなぎってくる一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:時折、新次の体がボクサーっぽく見えないのはご愛敬かな



あゝ、荒野 後篇 予告

2017年10月21日土曜日

ミックス。 (2017/日)

監督:石川淳一
出演:新垣結衣 / 瑛太 / 広末涼子 / 瀬戸康史 / 永野芽郁 / 佐野勇斗 / 森崎博之 / 蒼井優 / 山口紗弥加 / 中村アン / 久間田琳加 / 神尾佑 / 平山祐介 / 斎藤司 / 佐野ひなこ / 鈴木福 / 谷花音 / 平澤宏々路 / 関太 / 真木よう子 / 吉田鋼太郎 / 池上季実子 / 生瀬勝久 / 田中美佐子 / 遠藤憲一 / 小日向文世 / 水谷隼 / 石川佳純 / 伊藤美誠 / 吉村真晴 / 浜本由惟 / 木造勇人

白馬の王子様のような恋人ができるものの、浮気現場を目撃してしまう多満子
傷心の彼女は田舎へ逃げ帰り、なりゆきで卓球クラブのコーチをすることになる

恋人同士で、友達同士で、皆で楽しめる万能型の映画でした
思ったより悪ふざけ要素が少なくて、小ネタにクスっと笑える主軸は真面目な内容
しょうじきよくある日本のコメディという枠は越えてないけど、ありきたりな話の展開ながらも中盤でちょっと変化するのがよかった
それでもラストに向けての収束は予定調和というか、まあそんな感じだよねというところに落ち着く
ぬるめの大人になりきれない青春スポーツラブコメ、と観る方もゆるゆるの心持ちでのぞむくらいがちょうどいいかもしれない

個人的評価:65点
オススメ度:まあTV放映かDVD鑑賞でじゅうぶん



ミックス。 予告

アトミック・ブロンド (2017/米)

監督:デビッド・リーチ
出演:シャーリーズ・セロン / ジェームズ・マカボイ / エディ・マーサン / ジョン・グッドマン / トビー・ジョーンズ / ジェームズ・フォークナー / ソフィア・ブテラ / ビル・スカルスガルド / サム・ハーグレイブ / ティル・シュワイガー

MI6の諜報員ロレーンはベルリンでの任務につく
しかし、入国早々に正体はばれて命をねらわれるのだった

女性主人公だからとスウィート&スタイリッシュな内容じゃない、ガチボコりアクションが楽しめた
軽快なBGMとは裏腹に泥臭いアクションをあえてはめ込んでいるような、なんともいえないアンバランスさがおもしろい
胡散臭い登場人物ばかりで混沌とした話じたいも、「実はこうでした」みたいな後出しじゃんけんの連続っぽいけど最後まで飽きずにいられてほどよい緊張感があった
そしてなによりやっぱりいちばん印象に残るのは、ここを観てくれと言わんばかりのあからさまさだけど長回しアクションのハードさには息をのむ
BGMの使い方、アクションの構成、あえてのスタイリッシュさを外した泥試合っぷりが見応えのあった一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:痛快アクションだとダラっと観ているとあっと言う間においていかれる



アトミック・ブロンド 予告

2017年10月18日水曜日

猿の惑星:聖戦記 (2017/米)

監督:マット・リーブス
出演:アンディ・サーキス / ウッディ・ハレルソン / スティーブ・ザーン / カリン・コノバル / アミア・ミラー / テリー・ノタリー / タイ・オルソン / マイケル・アダムスウェイト / トビー・ケベル / ガブリエル・チャバリア / ジュディ・グリア

生き残った人類が襲いくる中、シーザー率いるエイプたちは新たな土地へ移住する計画を進めていた
そんな中、大佐率いる特殊部隊がシーザーたちの拠点に奇襲してくるのだった

最後だからと時間と労力をかけてじっくり丁寧に作ったのかもしれないけど、どうにも間延びしたダルさばかりが目立つ内容でした
最後は戦争だ、という観客側の高揚をあおっておいて、どんどんスローダウンしていく展開にテンションも下がる
人類とエイプ、父と子、人の愚かしさとシーザーの決断、テーマ的な部分はしっかり伝わるし派手さの中にも皮肉がきいた見せ方はおもしろい
だけどこの話の中身なら、もっとコンパクトにまとめられた気がする
もしくは別の展開を並行して差し込むとか、とりあえず単調なわりに長く感じられた
映像の表現力がいかにすばらしく、エイプたちのキャラが魅力的でも悪いところばかり目立ってしまってる印象が強かった

個人的評価:65点
オススメ度:なんか大佐の存在感もイマイチ微妙



猿の惑星:聖戦記 予告

パーフェクト・レボリューション (2017/日)

監督:松本准平
出演:リリー・フランキー / 清野菜名 / 小池栄子 / 岡山天音 / 余貴美子 / 石川恋

脳性麻痺の障害をもつクマは障害者の性について本を出版する
その出版記念イベントの中、愛について質問してきたミツに告白されつきまとわれるのだった

酸いも甘いも混ぜこぜになった、たまらなくどうしようもない感にあふれている作品でした
障害者とか関係ない、障害は障害としてきちんと受け入れる、観ていて常に心がゆれるけど、ただ素敵なラブストーリーだったというのだけは確か
各役者さんの演技も素晴らしく、役として難しい部分に引っかかることなく自然体で観ていられる
だけどラストはちょっと雰囲気がいっきに安っぽくなって、ぶち壊しになってる感じ
最後の最後のしめはいいとしても、そこにつながるまでの課程ははしょってもいいんじゃないかと
どうしようもなく障害者で、どうしようもなく愛していて、どうしようもなく変わりたくて、どうしようもなく変われない、他にもいろいろなどうしようもない気持ちが痛がゆく心を刺激する一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:個人的にエリさんの気持ちがいちばんグッとくる



パーフェクト・レボリューション 予告

2017年10月15日日曜日

あゝ、荒野 前篇 (2017/日)

監督:岸善幸
出演:菅田将暉 / ヤン・イクチュン / 木下あかり / モロ師岡 / 高橋和也 / 今野杏南 / 山田裕貴 / 河井青葉 / 前原滉 / 萩原利久 / 小林且弥 / 川口覚 / 山本浩司 / 鈴木卓爾 / 山中崇 / でんでん / 木村多江 / ユースケ・サンタマリア

少年院から出てきた新次は因縁の相手をボクシングジムで見つけ、襲いかかるが返り討ちにされてしまう
そして新次は偶然に居合わせた健二とともに、別のジムの人間である堀口にボクシングの道に誘われるのだった

けっこう長い尺なのにあっと言う間にエンディングを向かえ、その側からすぐにでも後編が観たいと思わされた
最初はそれぞれの登場人物を丁寧にゆっくり描いていくけど、なにが起こるのか、そしてどうつながるのか話の引き込みがたくみで目が離せない
そしていよいよボクシングパートへ突入すると、意外に新次と健二の関係のほっこり感に癒される
そんな中でも常に不穏な緊張感がバックに見え隠れし、人と人とのつながりも「ここでそうつながりますか」と、ドラマとして見応えもある
日本的ボクシングもののやさぐれ感、熱量も申し分なく、鑑賞後も気持ちいい興奮でホットになれた
ただ前編だけなんで話や人物のつながりがすべてすっきりしてないのはいいんだけど、個人的にボクシングの試合シーンがなんかもっといい見せ方ができるんじゃないか、と引っかかる部分がありました
後編予告を観るかぎり、まだまだ熱い展開が待ってるみたいなので楽しみでしかたないですね

個人的評価:85点
オススメ度:昭和の規制のゆるい卑猥ソングの魅力を再確認



あゝ、荒野 前篇 予告

宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第三章「純愛篇」 (2017/日)

監督:羽原信義
出演:小野大輔 / 桑島法子 / 鈴村健一 / 大塚芳忠 / 赤羽根健治 / 國分和人 / 千葉優輝 / 麦人 / 森谷里美 / チョー / 千葉繁 / 甲斐田裕子 / 細谷佳正 / 田中理恵 / 平川大輔 / 東地宏樹 / 雨谷和砂 / 菅生隆之 / 石塚運昇 / てらそままさき / 神谷浩史 / 手塚秀彰

ガトランティス軍の攻撃によって窮地に陥ったヤマト
さらに集結しつつある敵軍を前に、ヤマト艦長代理の古代は封印した波動砲の使用に迫られる

一難去ってまた一難、というピンチの連続エピソードを束ねたような内容でした
熱い戦闘シーンはあるものの、どちらかといえば人の内面に迫ったぎりぎりと内にしぼめられていく印象が強かった
現状のヤマトクルーの抱える問題点が浮き彫りになっては危機への陥り、それを乗り越えては皆ちょっとずつ前進する
だけどさらに新たな問題で後退させられるもどかしさがよく描かれている感じ
ガトランティス側のことも少し情報開示され、さらに次の話へ向けての展開に次作への期待も高まる
ただ危機の連続を1話ずつTVアニメサイズで観ればいいかもしれないけど、一本に編集してみると微妙にバラつきにいらん気が引っかかる一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:前作から続く前半のクライマックス感と後半の勢いの差がなんとも



宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第三章「純愛篇」 予告

2017年10月8日日曜日

エルネスト (2017/日・キューバ)

監督:阪本順治
出演:オダギリジョー / 永山絢斗 / ホワン・ミゲル・バレロ・アコスタ / ロベルト・エスピノーサ・セバスコ / ルイス・マヌエル・アルバレス・チャルチャバル / アルマンド・ミゲール / ヤスマニ・ラザロ / ダニエル・ロメーロ・ピルダイン / ジゼル・ロミンチャル / アレクシス・ディアス・デ・ビジェガス / ミリアム・アルメダ・ビレラ / エンリケ・ブエノ・ロドリゲス

ボリビアからキューバへ医療を学びにやってきた日系二世のフレディ前村
キューバ危機やゲバラとの出会いを経て、彼の思うところは大きくなっていく

良くも悪くも真面目にフレディという人物を描いていて、こういう人物がいたという知識を深めることが苦にならなければ興味深く観ることができるかも
悪く言えばあからさまなおもしろみはなく、教養番組のようにけっこう淡々と話は進む
個人的にはあるひとりの人間の生きざま、それを見つめているだけで退屈はしないまでも、なにか過剰なドラマティック演出がこないかと期待して観ている節はあった
日本に生きる人々とキューバに生きる人々の対比、そしてフレディ、対米感情とかだけでじゃなくて今の自分にぼんやりしてる場合じゃねえと気を引き締めざるえない
生きる意味とか難しいことの迷宮に頭を突っ込まないまでも、それっぽいことをちょっと意識させられた一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:好きな人は大いに言葉を連ねて語りたくなる映画、かも



エルネスト 予告

アウトレイジ 最終章 (2017/日)

監督:北野武
出演:ビートたけし / 西田敏行 / 大森南朋 / ピエール瀧 / 松重豊 / 大杉漣 / 塩見三省 / 白竜 / 名高達男 / 光石研 / 原田泰造 / 池内博之 / 津田寛治 / 金田時男 / 中村育二 / 岸部一徳

韓国で活動する大友のもとに、花菱のヤクザがもめごとをおこしていると知らせが入る
その場では一度ことをおさめるのだったが、後日、大友は手下が殺されてしまい…

最後だからって派手に大暴れ、ではなく話の運びで盛り上げる作りは個人的にはよかった
ことをおさめようとする個々のはかりごとのほころびが、連鎖的に波状的に事態を悪化させていく様がおもしろい
そんななかでジョーカーポジションで古くさいヤクザ気質の大友が切り込んでくる、こういう流れにしたらおもしろいだろう、という話の組立が秀逸でした
もう騙し騙されが日常でナチュラルな感じで、それぞれの登場人物の顛末も変に強引にオチをつけるでなく、いい感じのラストだと思った
派手さな文字通り全員暴走を期待してるとアレかもしれんけど、ちゃんとぶっぱなす所は容赦ないしユーモアもあって個人的には見応えがある楽しい作品でした

個人的評価:85点
オススメ度:最近では新鮮に思える松重さんのブチギレ演技


アウトレイジ 最終章 予告

2017年10月4日水曜日

僕のワンダフル・ライフ (2017/米)

監督:ラッセ・ハルストレム
出演:デニス・クエイド / ペギー・リプトン / ブライス・ゲイザー / K・J・アパ / ブリット・ロバートソン / ジュリエット・ライランス / ルーク・カービー / ガブリエル・ローズ / マイケル・ボフシェバー / カービー・ハウエル=バプティスト / ジョン・オーティス / プーチ・ホール / ジョシュ・ギャッド

ひょんなことから少年イーサンと出会った一匹の子犬
ベイリーと名付けられ飼われることになった子犬は、ずっとイーサンのそばにいると誓うのだった

犬好きのための泣き映画、と重々承知しながらもところどころで涙腺をもっていかれる
なにげに重いイーサンのドラマが展開もするけど、基本はベイリーという犬がメインの内容でした
賢い動物だという点を差し引いても、出てくる犬たちのその演技にはメロメロにならざるえない
あざといくらいに「ここで泣け」というシーンがあるけど、素直に涙を流すのも悪くない
定期的な精神のメンテナンスとして、心のままに涙を流すための手助けになる作品かもしれない
しょうじき予告編から予想できる以上の内容はないし、ラストもちょっとあっさり幕引きになるので、犬以外の要素を除外して観るとアレかもしれない
猫派な人も最後まで観ればちょっとだけ、あくまで少しだけでも犬が好きになると思う

個人的評価:75点
オススメ度:犬に人間の食べ物をあげるのを気にする人は、ちょっと複雑な気分になるかも




僕のワンダフル・ライフ 予告

ドリーム (2016/米)

監督:セオドア・メルフィ
出演:タラジ・P・ヘンソン / オクタビア・スペンサー / ジャネール・モネイ / ケビン・コスナー / キルステン・ダンスト / ジム・パーソンズ / マハーシャラ・アリ / キンバリー・クイン / グレン・パウエル / オルディス・ホッジ

1961年のアメリカ、ソ連との宇宙開発競争に熱を帯びていた
NASAで計算係として働く黒人女性のキャサリンは、ある日、宇宙特別研究本部へと異動することになる

粋で素敵な話にセンスある選曲、キャスティングもすべてがはまるべきところにはまった気持ちいい作品でした
NASAにつとめるスタッフたち、理解者役と憎まれ者役のバランスが絶妙なために差別描写もはねのけて爽快な気分にさせてくれる
ドロシーやメアリーが主人公のキャサリンの添え物にならず、それぞれがタフでキュートなキャラとして描かれていたのも作品に大きな厚みを与えてる感じ
現代でも特別あからさまじゃないだけで世界的な革新の夢を追っている人も多いだろうけど、こういう誰もが分かりやすく見られるビッグドリームの話には胸が躍る
大きなプロジェクトの裏方、技術者や研究者ものの内容にひかれる私にとってはとても楽しめた一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:ハリソンさん男前すぎる



ドリーム 予告

2017年9月27日水曜日

ユリゴコロ (2017/日)

監督:熊澤尚人
出演:吉高由里子 / 松坂桃李 / 松山ケンイチ / 佐津川愛美 / 清野菜名 / 清原果耶 / 木村多江

恋人の千絵が失踪し、さらに父が癌を患っていると分かった亮介
複雑な心境の中、父の家で「ユリゴコロ」と書かれた一冊のノートを見つける

それほど気にかけていなかった作品でしたが、ホラー映画だったのかと思うような序盤にすっかり引き込まれていった
静かな狂気と暗い瞳の演出にみごとにハマり、主人公がノートから目を離しても息苦しさからの解放とともに続きがたまらなく知りたくなる
ノートの話の外でも恋人の失踪という事件が並行して進み、作品的にもどうつながっていくか期待も高まった
だけどその恋人の真相が分かってから、ちょと「ん?」という違和感を覚え、ノートのネタバレがされてから急激に冷めていく感じになる
役者さんたちの熱演、変わらぬ演出の巧みさはいいけど、それでも終わりが近づくにつれてなんか安っぽい路線になってる気がしないでもない
まったく共感できないラストあたりの話と作品内での空気感の温度差、なんか気持ちが剥離されたような感覚という意味では前半と同じ気持ち悪い内容ではありました

個人的評価:75点
オススメ度:感動系胸くそ悪い映画



ユリゴコロ 予告

スクランブル (2017/仏)

監督:アントニオ・ネグレ
出演:スコット・イーストウッド / フレディ・ソープ / アナ・デ・アルマス / ガイア・ワイス

高級車の窃盗を生業としているアンドリューとギャレットのフォスター兄弟
ある日、盗んだ車が運悪く麻薬王が手に入れたもので、ふたりは襲われてつかまってしまう

高級車に美男美女、そしてノリノリのBGMという見せかけだけの薄っぺら映画のようで単純にそれだけでもなかった
「ワイルドスピード」っぽいイメージがすりこまれたけど、窃盗計画をメインにしたクライムアクションな内容でしたね
主人公ふたりもどっちもちゃんとキャラが立っていて、どちからが添え物になっている感がないのはよかった
話じたいもそつなく騙し騙されの要素を含んでいるため、アクションシーンとの盛り上がりの相乗効果で飽きることなく最後まで楽しめる
細かいツッコミどころはあるけど、そこを勢いで誤魔化されても悪い気分にはならなかった
あわよくば続編を、っていう下心が見て取れるけど、続きが観たい気もするしこれでやめといた方がいいような気がしないでもない

個人的評価:75点
オススメ度:車の吹っ飛び空中爆破はバカっぽくて好き



スクランブル 予告

2017年9月24日日曜日

アフターマス (2016/米)

監督:エリオット・レスター
出演:アーノルド・シュワルツェネッガー / スクート・マクネイリー / マギー・グレイス / グレン・モーシャワー / マーティン・ドノバン / ハンナ・ウェア

空港へ妻と娘をむかえにきたローマンは、到着が遅れている便について訪ねると別室へ通される
そして、彼は妻子の乗った飛行機が事故にあい、生存は絶望的だとしらされるのだった

アクション俳優がそれを封印した作品に挑む、というのは珍しいことじゃないけど、そういったことが気にならないくらいにハマり役な本格的なヒューマンドラマだった
主人公のローマンはもちろん、管制官のジェイクが抱えて持て余す心の傷がスクリーンを通して鮮明に見て取れる
単純に加害者と被害者という言葉では言い表せないだろうけど、ローマンとジェイクどちらの気持ちも痛いほど分かる
法的な解決やネックレス発見の美談、様々な誹謗中傷に心からの同情、それらが周りでどんな作用をしようと結局は外界から断たれた本人たちの傷が際だつだけなのが見応えある
ただの同情や苦悩ドラマだけにおさまらず、なんともいえない衝撃も兼ね備えているために最後まで退屈することなく楽しめました
あのシュワちゃんが、とネタにされるのがもったいない一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:ナチュラルなシュワちゃんのシャワーシーンの衝撃



アフターマス 予告

2017年9月20日水曜日

奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール (2017/日)

監督:大根仁
出演:妻夫木聡 / 水原希子 / 新井浩文 / 安藤サクラ / 江口のりこ / 天海祐希 / リリー・フランキー / 松尾スズキ

奥田民生にあこがれる雑誌編集者のコーロキ
ある日、仕事で知り合った女性のあかりにひとめぼれし、なんとかアピールするも空回りが続くのだった

ベースはおもしろい、なのに所々でガッカリ要素が良い部分を見事に相殺している微妙な作品でした
出てくる役者さんたちの演技がみなすばらしく、その演じるキャラに集中したいのにバックに流れる奥田民生の曲が邪魔をしてくる
けして曲が悪いわけじゃなく、そういう演出がたまらなくダサくて話の流れから意識が引きはがされる感じ
観ていてたまる一方のあかりへのヘイト、馬鹿で情けないながらもコーロキへ感情移入してしまう痛がゆい感じはおもしろい
そしてラストではモヤモヤした感情がちょっとは吐き出されて気持ちも落ち着くけど、それでもパーティシーンの茶番っぽい粗さが後をひいて完全にはすっきりしない
カラッと笑い飛ばす大人青春ラブコメか、分人とかテーマ性を強くしたどろっと濃厚な恋愛人間ドラマか、けっきょくどっちつかずで混ざりあってない気持ち悪さがちょっと残る一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:このキャスティングゆえにギリ観られる感はある



奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール 予告

2017年9月18日月曜日

人生フルーツ (2016/日)

監督:伏原健之
出演:津端修一 / 津端英子

愛知県の高蔵寺ニュータウンで暮らす津端さん老夫妻
建築家である夫とともに、妻は裏庭の土を耕し野菜や果実を育てているのだった

映像作品として輝いている瞬間を切り取っていると分かっていても、これだけのキラメキに満ちた日々があることに心が洗われる
老いてなお枯れるどころか彩り鮮やかに美しく、逞しくエネルギーに満ちた姿が愛おしい
畑仕事や日々のスローライフが道楽ではなく、建築家としての人生のバックボーンがあるからこそ、常に夢に描いた人生のマスタープランへ向けて生きる説得力が感じられる
ゆったりのんびりしたような暮らしであっても、いつであってもコツコツと作り出す手を止めない努力がまぶしすぎて、何かにつけて言い訳を探して動き出さない自分が情けなくなる
コツコツと小さいことからでも自分の手で、易い言葉のようで実行するには膨大で絶え間ない尽力がいることを痛感させられた一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:なにげに飯テロ映画でもある



人生フルーツ 予告

2017年9月17日日曜日

エイリアン コヴェナント (2017/米)

監督:リドリー・スコット
出演:マイケル・ファスベンダー / キャサリン・ウォーターストン / ビリー・クラダップ / ダニー・マクブライド / デミアン・ビチル / カルメン・イジョゴ / ジャシー・スモレット / キャリー・ヘルナンデス / エイミー・サイメッツ / ナサニエル・ディーン / アレクサンダー・イングランド / ベンジャミン・リグビー / ウリ・ラトゥケフ / テス・ハウブリック

人類の入植先である彼方の星へ向かう途中の宇宙船コヴェナント号
突発的な事故により犠牲者と船体の破損という状況になる中、人の存在を思わせる通信を傍受するのだった

すべてが終わった後、こういうエイリアン映画が観たかったんだよ、と言わずにいられない作品
アクシデントによって追い込まれた人間ドラマ、メカニカルデザイン、クリーチャーデザイン、アクション、そしてストーリーが絶妙な配合で盛り込まれていて満足度が高い
様々に場面も転換していくため、けっこう濃密でぎっしりつまった内容になっている感じ
とにもかくにもエイリアンさんの不気味さとかっこよさを兼ね備えた魅力と、冒頭でやけに強調してくるデビッドさんの存在感が良すぎる
もちろん主人公であるダニエルズさんや他のクルーたちも、エイリアンさんの肥やしになるだけの駒になってないのもいい
有名作ゆえの変な気負いや余計な美化がなく、壮大な中にも下品さや俗っぽさが内包された、全包囲に手抜きのないエイリアン映画だと感じられた

個人的評価:90点
オススメ度:エイリアンさん、マジイケメン



エイリアン コヴェナント 予告

交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1 (2017/日)

監督:京田知己
出演:三瓶由布子 / 名塚佳織 / 辻谷耕史 / 森川智之 / 根谷美智子 / 小杉十郎太 / 久川綾 / 古谷徹

自身の計画を止めるために少女エウレカを連れて逃亡するアドロック
そして、人類の切り札となるはずだったシルバーボックスが暴走をはじめる

今頃になってサマー・オブ・ラブの映像化といってもなあ、と思いつつも画と音楽のノリに飲み込まれてネガティブな思考はいっきに吹き飛んだ
そんな新作パートからのTVシリーズ再構成パートへ移るわけだけど、思いの外に個人的にはアスペクト比以外には気になる部分は少なく楽しめました
ここから始まるのか、という不安も話が進むにつれて最低限のストーリーフォローはされているため、細かい過去話でいったりきたりなせわしなさも負担にならなかった
とはいっても完全にTVシリーズを観ていた人向けに作られている感じなので、新規に「エウレカセブン」に触れる人やこの映画のために予習した人にはキツいかもしれない
あの時、あの瞬間、この作品を楽しんでいた、中途半端に最初っから安易に作り直さず、鑑賞する層のターゲットをしぼったのは良い判断かも
とりあえず用語や人物像なんて難しいことは気にせず、話の勢いに身を任せているだけでも楽しめる…かどうかは微妙か、やっぱり

個人的評価:80点
オススメ度:それでも再構成パートを、このエピソードからはじめるのはけっこうなリスクある気がしないでもない



交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1 予告

2017年9月13日水曜日

散歩する侵略者 (2017/日)

監督:黒沢清
出演:長澤まさみ / 松田龍平 / 高杉真宙 / 恒松祐里 / 長谷川博己 / 前田敦子 / 満島真之介 / 児嶋一哉 / 光石研 / 東出昌大 / 小泉今日子 / 笹野高史

ある日、鳴海の夫である慎治は記憶を失って人格まで変わってしまう
一方、ジャーナリストの桜井の前に現れた慎治と似た雰囲気を持つ少年は、自分を地球を侵略しにきた宇宙人だと語るのだった

ひょうひょうとしたユーモラスな雰囲気の中、エグい殺戮や重いドラマが展開する不思議な感覚がおもしろかった
演劇の舞台上での出来事を脳内保管でイメージしたような映像が描かれ、現実離れしつつも距離感の近さがある作品でした
キャスティングの妙もあり、宇宙人の地球上での行動のひとつひとつがおもしろおかしく、時に衝撃的で退屈しない
宇宙人組に負けない地球人組の面々もその存在は小さくなく、鳴海側と桜井側の奇妙なドラマが先の展開に常に期待を抱かせてくれる
侵略という大きく関心を引かれる側面はもちろん、概念というテーマもしっかしていて見応えがあった
リアル兵器による殺し合いの方が迫力があったわりに、実際の侵略シーンのガッカリ感がちょっともったいない気がしないでもない

個人的評価:80点
オススメ度:小説やコミックからだけでなく、これからは舞台から映画化作品を発掘する時代、か



散歩する侵略者 予告

あしたは最高のはじまり (2016/仏・英)

監督:ユーゴ・ジェラン
出演:オマール・シー / クレマンス・ポエジー / アントワーヌ・ベルトラン / グロリア・コルストン / アシュリー・ウォルターズ / ラファエル・ボン・ブルメンタル / クレマンティーヌ・セラリエ / アンナ・コティス / ラケル・キャシディ / ハワード・クロスリー

とつぜん現れたひと夏の関係をもった女性から娘だと赤ん坊を押しつけられたサミュエル
彼女を追ってロンドンへ赤ん坊のグロリアを連れて訪れるのだが…

予告からだいたいの内容は想像できるし、まあだいたい思った通りなんだけど味付けの良さで楽しめた
ゲイのベルニーと主人公の中身が子供の新米パパ、おっかなびっくりで普通じゃない疑似家族のおもしろおかしい日々という想像は外れ、けっこうガッツリ父娘の関係に集約していた
さらに母親が現れてからも、意外に思った方向とは違うところへ話が流れたり、ありきたりな話感は薄い
そこへ病院のシーンからの不安をかきたてる要素が時折さしこまれ、単調さも回避されてる感じ
父親、家族というよりサミュエルという男の話という印象が強く、娘の愛らしさはあるけど個人的には主人公の魅力と輝きがまぶしかった
ベースになっている安易に想像できる物語に、ちょい足しでちょっぴり見応えがアップしてる、そんな一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:地味だけど伏線のはり方も丁寧



あしたは最高のはじまり 予告

2017年9月10日日曜日

三度目の殺人 (2017/日)

監督:是枝裕和
出演:福山雅治 / 役所広司 / 広瀬すず / 満島真之介 / 市川実日子 / 松岡依都美 / 橋爪功 / 斉藤由貴 / 吉田鋼太郎

強盗殺人を自供する男、三隅の弁護を引き継ぐことになった重盛
あやふやで二転三転する三隅の供述に悩まされながらも、重盛は落としどころを模索するのだった

嘘と虚実と法廷戦術、大人の事情に見え隠れする本音のブレンド具合が秀逸すぎて、最初から最後までぎっしりつまった内容に大満足でした
法廷サスペンスとしてほどよく息抜きでき、それでいて話が進んでもいっこうに安心感がわいてこないむずがゆさがたまらない
話としての着地点もガッカリ感はなく、かといって胸くそ悪すぎでもないのもいい
主人公ふたり、重盛と三隅の重なりや事件の真相部分も難しくなりすぎないていどに、それでいてほどよく考えさせられる作りになっていて楽しめた
ところどころで示される話を紐解くヒントみたいなのが、本当にヒントなのか劇中での虚実の交錯とあいまってカオスになるけど、思ったほど鑑賞後に頭は混乱しない
文字通り観た人の受け取り方しだいなんだけど、そんなふわっとした部分を納得してしまう一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:なにげに役者としての福山さんの存在に初めて重みを感じた



三度目の殺人 予告

ダンケルク (2017/米)

監督:クリストファー・ノーラン
出演:フィオン・ホワイトヘッド / トム・グリン=カーニー / ジャック・ロウデン / ハリー・スタイルズ / アナイリン・バーナード / ジェームズ・ダーシー / バリー・コーガン / ケネス・ブラナー / キリアン・マーフィ / マーク・ライランス / トム・ハーディ

第二次世界大戦下、ドイツ軍に包囲されダンケルクで孤立する40万のフランスとイギリス兵
激しい攻撃の中、脱出もままならない状況で民間船による救出活動がはじまろうとしていた

感動の救出劇、または戦争アクションという何かしらの型にはめようとする堅い頭をかち割られた
どのタイプに属する映画なのか模索しながら観ている序盤、なんだか分からないままに与えられた映像を咀嚼するのに精一杯で疲れるばかり
だけど中盤をすぎると清濁あわせてあふれる様々な感情の波に、観ているこっちの心もリンクしていっきに引き込まれていく
映像と演出の技もそうだけど、曲の使い方もうまく心情を良い意味でかきみだしてくれる
あれだろ?最近よくある真実ベースの感動物語だろ、という安易な想像を気持ちいいくらいにひっくり返してくれた
ただ手放しに万人に勧められるような感じじゃなく、けっこう好き嫌いが大きく分かれる味わいかもしれない

個人的評価:85点
オススメ度:新しい戦争映画、というのも大げさすぎる表現じゃないかもしれん



ダンケルク 予告

2017年9月6日水曜日

新感染 ファイナル・エクスプレス (2016/韓)

監督:ヨン・サンホ
出演:コン・ユ / キム・スアン / チョン・ユミ / マ・ドンソク / チェ・ウシク / アン・ソヒ / キム・ウィソン / チェ・グィファ / パク・ミョンシン / シム・ウンギョン / イェ・スジョン

娘のスアンを連れてプサン行きの列車に乗るソグ
街で暴動のニュースが報じられる中、ソグの乗る列車にもゾンビのようになって人を襲う感染が拡大する

なんか色々と煽ってくる予告やらなんやらで、言っても泣けるとか大げさだろと思ってたけど見事に泣かされた
基本のゾンビ映画としての本気度もすさまじく、飛行機でゾンビとか閉鎖空間+ゾンビというネタくささのないマジな作りだった
パニックホラー、人間ドラマ、キャラクター、アクション、いろんな要素が詰まっていて見応えもあり、それぞれ見せ所がちゃんとしているために印象に残るシーンも多い
話の流れも分かりやすく、芯がしっかりしているために先が読めるながらもおもしろい
極限状態でのパニックと人の本性、ゾンビ映画に娯楽とドラマとアクションが渾然一体となった秀逸な作りでした

個人的評価:90点
オススメ度:鑑賞後にもあのシーン、もういっかい観たいと思わせるリピート力もある



新感染 ファイナル・エクスプレス 予告