2017年7月30日日曜日

DEAD7 (2016/米)

監督:ダニー・ローウ
出演:ニック・カーター / ジェフ・ティモンズ / ジョーイ・ファトーン / キャリー・キーガン / A・J・マクリーン / エリック=マイケル・エストラーダ / ローレン・キット・カーター / ハウィー・D / クリス・カークパトリック

伝染病によって死者がよみがえって生者を襲う世界
ゾンビ軍を統率するアポカリプタによって町が襲撃され、そこにいたビリーは果敢にも戦うのだが…

7人の用心棒が町を守るために多勢に無勢ながら戦う、という設定ももう作品のシチュエーションのひとつとしてポピュラーになったんか知らんけど、相手がゾンビという観るでもなくB級感に支配された映画でした
なんとかスタイリッシュさを出そうとがんばってる7人の初登場シーンの演出が痛々しく、ゾンビ関連の描写もふくめて全体的にチープ、という分かりきった部分を愛せるか否かが重要ですね
個人的には主人公側より敵側のジョニーさんのクレイジーっぷり、そしてアポカリプタさんの顔芸だけでもじゅうぶんに楽しめた
エセサムライニンジャも魅力的だけど、ちょっと狙いすぎてる感がする
ストーリーとかも行って帰ってのどうでもいい流れなんだけど、わりと意外な感じのタイミングで凡ミス&あっさり死で退場していくキャラたちはネタとしておもしろかった
まあ、マジメに観るもんじゃないのは確かだし、短い尺なのに中だるみするし、設定の風呂敷を広げすぎでかえって安っぽさが際だってる、と冷静なツッコミは次々にわいてくる
クソB級だと承知の上で、なにかキラリと光るかすかなポイントを浅い期待をもって限界まで脳をゆるめて観るのにちょうどいい

個人的評価:60点
オススメ度:主人公組7人プラス他の登場人物、だけど印象に残るのはわずか数人



DEAD7 予告

キャットファイト (2016/米)

監督:オヌール・トゥケル
出演:サンドラ・オー / アン・ヘッシュ / アリシア・シルバーストーン / エミー・ヒル / ダミアン・ヤング / タイタス・バージェス / ジェイ・O・サンダース / ジュリアン・ヤオ・ジョイエロ / ピーター・ジェイコブソン / キャサリン・カーティン / スティーブン・ジェベドン / イワナ・ミルセビッチ / ジョーダン・カルロス / ロナルド・ガットマン / リサ・ハース / クレイグ・ビアーコ / ディラン・ベイカー

あるパーティで久しぶりに再会する大学時代に友人同士だったヴェロニカとアシュリー
ふたりは私生活の早々に口げんかをはじめ、私生活の苛立ちからリアルファイトへエスカレートしてしまうのだった

こんなにも愚かしいと分かっていながらも争いをやめられない人類、なんて大仰なことを頭のすみに追いやりながらナイスパンチの応酬に笑いが止まらない
笑えない犠牲を払うふたりながら、そのファイトにはふしぎと自然に笑いがこみ上げてくる
TVのホームコメディのような分かりやすいブラックユーモアと、安っぽいクラシック音楽の使い方、逆転&転落人生の繰り返しに味のあるキャラが加わって、けっしてゆるくない話の流れだけどダラッと観ていられる
女同士の戦いながら、けっこうガツンと文字通りパンチのきいた喧嘩も見応えあるし、話の先が見えつつも「よし、きたな」とふたりの芸風に期待も高まる
いろいろとめんどくさいことを考えるのを放棄する危うさを分かっていても、「そんなのどうでもいいっしょ」と思えてしまう一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:思わずナイスパンチと声が出そうになる



キャットファイト 予告

吐きだめの悪魔 (1987/米)

監督:ジム・ミューロー
出演:ビル・チェピル / マイク・ラッキー / ヴィク・ノト / マーク・スフェラッツァ / Jane Arakawa / ミリアム・ズッカー / M・ジャンゴ・クランチ

ある酒屋の地下から見つかった年代ものの酒「ヴァイパー」
しかし、それを飲んだ者はみな体が溶けてしまうという代物だった

便器に溶けて流れる、というシーンが印象的すぎる作品ながら、そんなインパクト以外にも見所が多くある
グロテスクな中にもユーモアがあり、さらに凝ったカメラによる画つくりが本当にいま観てもまったく色あせない
人体が溶ける、小さな頃にみたら確実に悪夢に悩まされる部分は強烈だけど、出てくる吐きだめのクズどもが本当にクズで魅力に満ちている
サイコな吐きだめのボスにブスビッチ、マッチョ刑事にギャングと子分の寸劇、しょうじき中盤は廃車場でのぶっとんだ日常がメインになるもののまったく退屈しない
クライマックスには再び悪夢のもとになるようなでろでろ~んなシーンも畳みかけてくるし、特にかたよった趣味がなくてもB級好きなら大満足できる一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:ジャパンテイストがところどころ散りばめられているのもニヤリとできる



吐きだめの悪魔 予告

2017年7月26日水曜日

ボン・ボヤージュ 家族旅行は大暴走 (2016/仏)

監督:ニコラ・ブナム
出演:ジョゼ・ガルシア / アンドレ・デュソリエ / カロリーヌ・ビニョ / ジョゼフィーヌ・キャリーズ / スティラノ・リカイエ

夏休み、家族で旅行に出かけるトム一家に妻と折り合いの悪いおじちゃんが加わる
案の定、ギスギスした雰囲気の車内の中、電子制御の車がシステム異常によりスピードを落とせなくなってしまう

妻とおじいちゃんとの間で板挟みな主人公に子供たちに異分子も加わり、はちゃめちゃさに心躍ったが思ったほど突き抜けたものはなかった印象
家族の言い争いに車のトラブル、さらに関わってくる人物たち、それぞれが引き込んでくるハプニングはどれもおもしろい
だけど騒ぎに騒ぎを重ねてしっちゃかめっちゃかになるでもなく、いっこずつ単品で処理していく感じ
せっかくの良キャラや良シチュエーションが盛りだくさんなのに、混沌を楽しむような混ざりあいが微妙だった
BMW男とか、もう一段階なにかぶちこんでこいよ、みたいな天井を押さえつけられているような大笑いの壁をつきぬけないもどかしさがある
つまらないというわけでもないけど、ぶっとんだ何かを期待してるとスッキリしない

個人的評価:75点
オススメ度:だいたいの元凶はベンじいちゃん



ボン・ボヤージュ 家族旅行は大暴走 予告

キング・ホステージ (2017/米)

監督:スティーブン・C・ミラー
出演:エイドリアン・グレニアー / ジョナサン・シェック / ニコラス・ケイジ / リディア・ハル / クリストファー・コッポラ / クリストファー・ロブ・ボーウェン / タイラー・ジョン・オルソン / ジョン・キューザック

起業家として成功した弟のJPと問題ばかり起こすチンピラ兄のマイキー
自身の妻や子供、弟の妻、知人友人から信頼を失った兄を誘拐したという連絡を弟は受ける

ニコラス・ケイジ演じるボスとジョン・キューザック演じる刑事がハードにぶつかりあうぶちぎれアクション、なんかじゃないというのは理解した
開始早々に兄弟の話が延々と続き、なんか想像してた方向性と違う作品なのかと思ったら、案の定、兄弟の絆にバイオレンスの味付けをした内容でした
敵役のエディのバカな計画にバカな計画を上塗りするバカ事件のため、なんかいまいちアクションとしては盛り上がらない
美学なのかわからないけどスロー演出もぶちぎれエディさんと股間ショットガン以外はそれほど印象に残らず
それでも独自に事件を追う内に、直接関係ない人物たちの裏事情が見えてきたり、信用ゼロな兄と信じる弟の兄弟愛は見応えあった
なんかジャンクな作品ながらオーソドックスに直球でせめてくる兄と弟の絆には不覚にもグッとくるものがあった

個人的評価:70点
オススメ度:おぼっちゃんのようでかなりのワイルドっぷりが素敵なJPさん



キング・ホステージ 予告

2017年7月23日日曜日

犯罪の女王 (2016/韓)

監督:イ・ヨソプ
出演:パク・ジヨン / チョ・ボルレ / キム・デヒョン

息子が住むマンションで高額な水道代を請求され、送金をたのまれる母親
なにかトラブルに巻き込まれたと思い、彼女は息子のもとを訪れるのだった

韓国発のオカン系素人探偵、という設定とあか抜けない画面作りがマッチしてひじょうに楽しめた
全体的にコミカルなタッチながら、登場人物みんな胡散臭い個性派のために悪ふざけしすぎな薄ら寒さもなくおもしろい
内容も最初は微妙だったけど、チンピラ系助手が加わってからは作品に滑らかさが増して加速度アップで引き込まれていく
事件の結末の付け方とか恐怖やサスペンス描写など、引き締める部分はちゃんとしているために見応えはある
オチもこの作品らしくてコミカルさにクスっとくるし、すべてがいい感じにまとまってる
細かいツッコミどころも満載だけど、ガッカリするほど気にはならない

個人的評価:80点
オススメ度:韓国警察の現着スピードは異常



銀魂 (2017/日)

監督:福田雄一
出演:小栗旬 / 菅田将暉 / 橋本環奈 / 柳楽優弥 / 新井浩文 / 吉沢亮 / 早見あかり / ムロツヨシ / 長澤まさみ / 岡田将生 / 佐藤二朗 / 菜々緒 / 安田顕 / 中村勘九郎 / 堂本剛 / 山寺宏一 / 山田孝之

宇宙人の襲来によって技術と文化が大きく変動した江戸時代の日本
万事屋を営む男、坂田銀時は仲間たちとカブトムシを狩ることになるのだった

殺陣もCGも配役もがんばっていながら、隠しきれないしょぼさをあわせ持ち、それでも「銀魂」だから&福田監督だからと許される妙な空気感のある作品でした
この監督にそれなりの予算を使わせると、こういうのを作るんだなと思わされる
暴走ぎみなギャグはおもしろいし、シリアスなキメどころはちゃんとかっこよく、それぞれのキャラも動いてる姿を観れば違和感はなかった
それでも時折ぶっこんでくる寒いギャグ、シリアスなシーンを作りなれてない定型すぎる演出、となにかしらにつれて「それでも」と否定的なものをおぼえずにいられない
あと個人的にはおおっぴろげなパロディも分かりやすくていいけど、ぼかしきれないチラリズムなパロディの方が好みですね
残念ながらラストのシメが良シーンだと思ってるんだろうけど、あの繰り返しは寒々しくて痛々しい

個人的評価:75点
オススメ度:福田監督、画太郎作品の映画化と相性いいんじゃないかとちょっと思った



銀魂 予告

2017年7月19日水曜日

スレンダー 長身の怪人 (2015/米)

監督:ジェームズ・モラン
出演:アレクサンドラ・ブレッケンリッジ / クリス・マークエット / ジェイク・マクドーマン / ダグ・ジョーンズ

マイロ、サラ、チャーリーたちは報道取材のために失踪した家の住人を追うことになる
マイロは失踪した家族の残したビデオテープを確認していると、そこに謎の人物がたびたびうつり込んでいることに気づく

取材カメラ、携帯カメラ、アクションカメラ、監視カメラなどのカメラ映像で全編が構成されていて、雰囲気ももちろん作品内容ともマッチしていて良い感じ
ただ結局は「お分かりいただけただろうか」という謎の人影が映像に現れては「きたか」と繰り返すばかり
しかも登場前に前兆は出すし、作品内での当事者は怖いだろうけど観てる側としてはそれでどうなるんだ、とだんだん飽きてくる
そんな人影より主人公たちのギスギスした取材旅の記録の方がおもしろいし、人間どうしのおっかなさの方が勝ってる
それでもどう終わらせるのか期待する気持ちと、人間関係的な緊張感は持続するので完全に飽きるほどでもない
まあ、けっきょくはスレンダーさんについてはよく分からんし、そういう顛末になるというぼんやりした都市伝説で終わってしまって物足りなさは感じた

個人的評価:60点
オススメ度:もうひとつくらい隠しネタというか、そういうのがあってもよかった



スレンダー 長身の怪人 予告

ヒトラーへの285枚の葉書 (2016/独・仏・英)

監督:バンサン・ペレーズ
出演:エマ・トンプソン / ブレンダン・グリーソン / ダニエル・ブリュール / ミカエル・パーシュブラント / モニーク・ショーメット / ヨアヒム・ビスマイヤー / カトリン・ポリット / ラルス・ルドルフ / ウーベ・プロイス

1940年、戦時下のベルリンで息子の戦死の報せをうけるオットーとアンナの夫婦
そしてオットーは総統を非難する文面のカードを書き記しはじめるのだった

大仰な英雄話やドラマティックなところがない、それゆえに強く夫婦の行動が心に残る作品
とにもかくにも主人公のオットーの頑固オヤジフェイスで、大仰に思想やら理念を語ることなく淡々とカードをばらまいていく様がいい
社会的な時勢もあるだろうけど、必要なことはペンとカードにすべてあると言わんとばかりに多くを語らない姿の男前っぷりにアンナじゃなくても抱かれたいと思う…というと言い過ぎかな
事件を追う警部も殴られ演技とか素敵だし、ドイツの状況を表現するキャラたちの機能が無駄なく配置されていて、ポイントポイントはきちんと記憶に刻まれるような作りになってる感じ
なにより行動を進める中で夫婦の愛が強く作品に滲みでてくるため、ラストを迎えても不思議と後味の悪さはなかったですね

個人的評価:75点
オススメ度:メッセージ性とか過剰すぎないのがいいけど、地味さは否めない



ヒトラーへの285枚の葉書 予告

ウーナ (2016/英・米・加)

監督:ベネディクト・アンドリューズ
出演:ルーニー・マーラ / ベン・メンデルソーン / リズ・アーメッド / ルビー・ストークス / テラ・フィッツジェラルド / ナターシャ・リトル / トビアス・メンジーズ

一枚の写真をたよりにある男を捜し出して訪ねるウーナ
男はかつて13歳だった彼女と関係をもったレイだった

大人と子供の時間の流れと感覚の違いを痛感させられ、どうにもこうにももどかしおもしろい内容でした
現在の大人になったウーナとレイの話し合いの中で、じょじょに過去の関係が明かされていき、その思い出が今とリンクするのがいい
そうしているうちに時の移ろいの中、どうしようもなく変わってしまったところと、どうしようもなく変わらないところが浮き彫りになっていっておもしろい
男と女、ふたりの主人公どっちかの気持ちに偏るでなく、観ていて両者の心情が分かるゆえにたまならいもどかしさにムズムズする
誤解とすれ違い、時間と愛の痛がゆさがたまらなく心地よい一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:レイさんをガチでそっち系の人と観るか否かで印象は変わるかも



ウーナ 予告

2017年7月16日日曜日

ウィンター・ドリーム 氷の黙示録 (2016/米)

監督:ジョーイ・カーティス
出演:ポール・シドゥ / アリエル・ホームズ / ブランデン・コールス / ケルシー・ワトソン / ブラッド・ポッツ / ティモシー・リー・デプリースト

長い氷河期におちいった未来の地球
奴隷として作られた人造人間の反乱を制するため、奴隷警察の元部隊長だったビショップに再び命令がくだされる

なんともチープさを隠しきれない作り、そして単調なBGMとストーリー展開に睡魔というノイド以上の敵が立ちふさがった
それでもケイジが登場して後、物語が動きだすとやっとおもしろくなってくる
とにかくなにかの映画かマンガがゲームをお手本にパクってみました、みたいな前半が退屈すぎる
後半になってもそれでも話がおもしろい、ってわけでもなくASHのかっこよさ、ラストへ向けての主人公ビショップの男前っぷり、そしてイシュマエルのキザ加減のキャラ魅力に大きく支えられている
主人公の顛末がありきたりすぎないのと、TVドラマならシーズン2を楽しみになるようなその立ち姿で最後はちょっと引き締まった気がしないでもない

個人的評価:60点
オススメ度:ナチ女はもっと出番を増やし、クレイジーに使い倒してほしかった



ウィンター・ドリーム 氷の黙示録 予告

さよなら、ぼくのモンスター (2015/加)

監督:ステファン・ダン
出演:コナー・ジェサップ / アーロン・エイブラムス / ジョアンヌ・ケリー / アリオシャ・シュナイダー / ジャック・フルトン / メアリー・ウォルシュ / イザベラ・ロッセリーニ

幼いオスカーは母親が家を出ていってしまうことに心を痛める
そして、ある日、いじめらの現場を目撃してそれを止めようとするのだが…

ゲイうんぬんの葛藤とかドロドロしたものを想像していたけど、実際はけっこう感覚にうったえてくる観やすい内容でした
というよりゲイという要素は内容の一部にすぎず、繊細で子供っぽい部分に家族に関してのトラウマが大きく絡んできて複合的な作りになっていておもしろかった
スタイリッシュなBGMな使い方やところどころけっこうコミカルなところもあり、自然にすっと心にしみるような感覚にうったえてくるものがあった
セクシャルさや驚き、意外性やファンタジーなところもあり、それでいて小難しくなくて比較的楽な姿勢で楽しめた一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:観ててめんどくさくない繊細映画



さよなら、ぼくのモンスター 予告

2017年7月12日水曜日

ディストピア パンドラの少女 (2016/英・米)

監督:コーム・マッカーシー
出演:セニア・ナニュア / ジェマ・アータートン / パディ・コンシダイン / グレン・クローズ / アナマリア・マリン / フィサヨ・アキナデ / アンソニー・ウェルシュ / ドミニク・ティッパー

施設に監禁され、軍人に囲まれた中で拘束されて教育を受けるメラニーと子供たち
そんなある日、メラニーは他の子供たちと別の場所に連れていかれる

最初のドキドキ感とラストのそれがやりたかったのか感はよかった
非日常的なシチュエーションから、どこか問題を抱えている子供たち、いったい何が始まるのかという期待がふくらむ導入
そこから襲撃と脱出までの一連の流れに大きいに盛り上がった
だけどそこから映画ベースのスケールから、なんとなく海外ドラマベースのそれに落ち着いて、展開もパンデミック系のドラマで観たことのあるもののいいとこ取りみたいな流れに
それでもいいとこ取りな分は楽しいけど、次々に話が転がる様もどうしても海外ドラマを観ている感覚から抜け出せなかった
ラストもいい感じの雰囲気で味があったけど、「ああ、これがやりたかったのね」という作り手の意図が頭をチラツいて邪魔をする
主人公のメラニーさんの成長っぷりが、人間に都合のいい優しい世界なだけじゃない方向に描かれたのはその演技も相まって印象に残ってよかった

個人的評価:80点
オススメ度:どこかおぼえる既視感に新感覚と手放しに言い切れないもどかしさ


ディストピア パンドラの少女 予告

バイバイマン (2017/米)

監督:ステイシー・タイトル
出演:ダグラス・スミス / ルシアン・ラビスカウント / クレシダ・ボナス / ダグ・ジョーンズ / キャリー=アン・モス / フェイ・ダナウェイ / リー・ワネル

ある古い家に引っ越してきた3人の若い男女
そこで前の住人が残した家具から「言うな考えるな」という文字とともに、ある名前が記されているのを見つける

オーソドックスなじわじわくるホラーだけど、恐怖よりそのずるさが強く印象に残る
バイバイマンと猟犬、そのインパクトある怪人怪物コンビが呪いで殺戮ショーってわけではないんですね、これ
メインは現実のような幻覚、幻覚のような現実という「これはどっちなんだ」という部分
そこら辺が精神的に締め付けられるようなおもしろさはあるけど、現実にしても幻覚にしても後出しじゃんけんでどうにでもなるずるさが引っかからざるえない
個人的にはもっと怪人無双で死体の山みたいなのが観たかったし、続編、そしてエピソード0みたいなのをあわよくば狙っているのか、本当にいろんなものが宙ぶらりんで終わっちゃってて消化不良
それでも不思議と本編ではそんなに活躍しないバイバイマンさんに妙な魅力だけは感じた一本でした

個人的評価:60点
オススメ度:バイバイマン誕生編、観たいようなそうでもないような



バイバイマン 予告

2017年7月9日日曜日

ジョン・ウィック チャプター2 (2017/米)

監督:チャド・スタエルスキ
出演:キアヌ・リーブス / リッカルド・スカマルチョ / ルビー・ローズ / ジョン・レグイザモ / コモン / ピーター・ストーメア / イアン・マクシェーン / ローレンス・フィッシュ / フランコ・ネロ

子犬と車の件にカタをつける殺し屋ジョン・ウィック
再び引退生活に戻ろうとした矢先、彼の過去に深く関わりのある人物が訪れてくるのだった

銃と体術のアクションのキレとメガ盛りのボリュームにお腹いっぱいになった
ほどよいスタイリッシュとクールさがありつつ、時に滑稽な泥臭い部分をあわせ持つ主人公の姿、その魅力に惚れざるえない
ドアがなくなって運転席まるだしの不格好さや、ラストのしめみたいなクールになりきれない隙がいい
話の転換としてのストーリーパートより、殺るか殺られるかのアクションパートの方が映画の尺として圧倒的に多くを占めている
それでいてひとつひとつのアクションシーンには飽きさせないようなアイディアが盛り込まれているため、ずっと争っているだけな内容なのに逆に口ばかり動かしているシーンの方が退屈に感じてくる
車と子犬のために修羅になる主人公という前作ほどのインパクトはないけど、銃&体術の復讐アクションの大渦に楽な気持ちで身を任せる一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:無理せず十分にアクションシーンのアイディアがたまったらチャプター3もお願いしたい



ジョン・ウィック チャプター2 予告

ライフ (2017/米)

監督:ダニエル・エスピノーサ
出演:ジェイク・ギレンホール / レベッカ・ファーガソン / ライアン・レイノルズ / 真田広之 / アリヨン・バカーレ / オルガ・ディホビチナヤ

ISSで作業するチームは届けられた火星の土のサンプルを研究する
サンプルに生命体を確認し、それは停止していた活動をはじめるのだった

誰もが思うところの「エイリアン」もののバリエーションのひとつでしたね
緊張感は最後まで継続するし、知的な生命体は存在感あるし、油断してるとけっこうグロい描写でウッとくる、割と楽しめる佳作ポジションな感じ
施設内を浮遊する感覚や、チームの絶望感、未知の生命の行動など堅実に丁寧に作られていて見応えはある
ただそれでも「エイリアン」もの、というくくりのその先にまで到達しておらず、結局はよく分からん生命体に襲われてパニックなだけなのがもったいない
乗組員たちの人間ドラマもそう深く感情移入できないし、ラストのオチで「そうきたか」という意外性もない
つまらないと切り捨てるほどじゃないけど、作品への没入感のわりに鑑賞後に残るものが薄かった

個人的評価:70点
オススメ度:そう言うほど砕いてない



ライフ 予告

2017年7月3日月曜日

忍びの国 (2017/日)

監督:中村義洋
出演:大野智 / 石原さとみ / 鈴木亮平 / 知念侑李 / マキタスポーツ / 平祐奈 / 満島真之介 / でんでん / きたろう / 立川談春 / 國村隼 / 伊勢谷友介

戦国時代、無門と名乗る手練れの忍をかかえる伊賀の国、その隣国まで織田の軍勢が迫っていた
協議の末、伊賀は織田に従う道を選び使いの者を送るのだが…

個人的な懸念材料だったアイドル臭はそれほどきつくなく、むしろ無門というキャラがけっこうハマっていた感じでした
開始早々のBGMの使い方やノリ、雰囲気がいかにも若者向けな作りで、そのライトノベルか少年マンガを映画化したのかという部分は賛否が大きく分かれるかも
そういうもんだと割り切って観ていても軽すぎるスナック感覚演出なところに違和感をおぼえずにいられなかった
忍と侍の考え方という二極の表現はおもしろいし、終盤の戦いやキラキラダンスは一周回ってB級なネタっぽくて個人的には楽しめました
そんなちょっと見直しかけてたところで、あんまりにありきたりなラストの展開に再びテンションは下がりましたが
本格的なものを求めてる人はまず拒絶反応をしめすでしょうが、時代劇テイストなライト娯楽アクション、または無門の中の人のファンなら気楽にさっくりながら見感覚で楽しめる一本かと思いました

個人的評価:65点
オススメ度:逆にちゃんと原作を読んでみたくなる



忍びの国 予告

2017年7月2日日曜日

ありがとう、トニ・エルドマン (2016/独・オーストリア)

監督:マーレン・アーデ
出演:ペーター・シモニスチェク / サンドラ・フラー / ミヒャエル・ビッテンボルン / トーマス・ロイブル / トリスタン・ピュッター / ハデビック・ミニス / ルーシー・ラッセル / イングリッド・ビス / ブラド・イバノフ / ビクトリア・コチアシュ

父親ヴィンフリードの娘イネスは仕事で忙しい日々を送っていた
そんな娘の職場へ父が突然、変装してあらわれしばらく行動をともにすることになる

人と人が通じることでここまで大きな力を生むのかと、そのあふれるパワーをこっちにも注いでくれる感覚があたたかくて気持ちいい
とにもかくにもトニ・エルドマンというキャラが娘だけでなく、登場する人物たちと微妙な空気と距離と間になる様が気まずおもしろい
父の周りを当惑させるような哀愁が滲むユーモアや想いのすれ違いを観ているだけでも楽しめるし、それだけでもいいかな、と思わせる
だけど互いの想いが通じた瞬間、本当に世界がいっきに広がって心の底から笑いがこみ上げてきた
親子や人と人の絆とかおしつけがましくない、優しい気持ちだけではいられないもどかしさ、そんなドラマを感覚として心まで浸透させてくれた

個人的評価:90点
オススメ度:バカ騒ぎしまくるだけじゃない、どこかもの悲しい父ちゃんの演技が最高すぎる



ありがとう、トニ・エルドマン 予告