2013年9月30日月曜日

9月のこれ一本

過ごしやすい季節、ザ・秋の到来かと思いきや…寒がりな私にとっては季節は夏からいっきに冬に片足つっこんだ感じですわあ
普通に朝晩は真冬直前の服装じゃないとキツイし、しょうじきコタツもすでに欲しいと感じるしまつ
ファッション的なものに無頓着ゆえにアレかもしれませんが、着飾るモノにこだわる性分だったなら頭を抱えてただろうなあ
なんて、個人的なことなんか興味ねえよ、カスって感じだろうから、さっさと今月の一本を

夏の映画ラッシュも一段落した感じの中、個人的におもしろかったのは「地獄でなぜ悪い」ですね
いや、ホントにここ数年においても個人的にかなり上位にランクインせざるえないくらいおもしろいし、ここまで狂ったモノを撮れる(褒め言葉)監督の頭の中をのぞいてみたいと思わざるえない
合う合わないは極端かもしれませんが、善し悪しはおいといてもこの映画はもっと注目されていいんじゃないかなあ

と、そんなところでいよいよ10月、芸術の秋というわけで名作映画と出会えることを楽しみにしつつ今月はこの辺で
また来月

謝罪の王様 (2013/日)

監督:水田伸生
出演:阿部サダヲ / 井上真央 / 竹野内豊 / 岡田将生 / 尾野真千子 / 荒川良々 / 濱田岳 / 松本利夫 / 川口春奈 / 鈴木伸之 / 小松和重 / 笠原秀幸 / 美波 / 真飛聖 / 柄本時生 / 野間口徹 / 六角精児 / 中野英雄 / 白井晃 / 濱田マリ / 嶋田久作 / 池田鉄洋 / 中村靖日 / 岩松了 / 小野武彦 / 津嘉山正種 / 高橋克実 / 松雪泰子 / 広瀬すず

謝罪することを生業にする男、東京謝罪センターの所長である黒島
ある日、彼のところにヤクザとトラブルを起こした謝罪ベタな女性の典子から依頼があり・・・

テクニックとしての謝罪技でコミカルに仕事をこなす主人公、しかし、小手先だけの謝罪テクではどうにもならない事件が起こり、真に心のこもった謝罪に目覚める・・・
まあ、そんな話だろうと思って期待せずに鑑賞したものの、わりと正当派な全編コメディ作品で楽しめた
とはいえ、トータルで観るとかなり万人受けなデキで、普通にはおもしろいけど突き抜けるナニかはない、かな
テレビで放送してるのをなにげに観たら「あー、おもしろかった」と満足できるレベルで、わざわざ劇場まで足を運ぶ価値があるかと問われれば微妙かもしれません

相手の心理を読んで効果的に謝罪するテクニックをもつ黒島
彼のところにヤクザとトラブルをおこして借金を背負わされ、しかも風俗で働かされる誓約まで交わされてしまった女の典子から依頼がある
謝罪する相手の気持ちをうまくコントロールしてヤクザから許しをえる黒島、そんな彼の姿を目の当たりにした典子は司法の勉強をしていることもあって、黒島のもとで働いて学ぼうとする
という最初のエピソードからはじまって、オムニバスっぽく様々な人たちの依頼を受けていく物語ですね

各話は独立はしているものの、それぞれのエピソードで微妙に小さなところが他の話にからんでくる部分もあり
そんな積み重ねの中で最後のエピソードに集約していく、という作品・・・なんだろうけど、しょうじき個人的にマンタン編はもっとテンポよく簡潔にまとめてくれた方がよかったかなあ
どんどん話がこじれて大きくなっていく、というクライマックスに向けての流れも分からんでもないけど「文化の異なる国のことくらい事前に徹底リサーチしろよ」とツッコミを入れたくなるわ

話の流れも謝罪の依頼、物事がこじれる、奇策で謝罪に成功というのを繰り返してるだけだしね
思ったよりブラックなネタがちりばめられていたり、想像と違う主人公の黒島のキャラっぷりといい、個人的にマンタン編に入る前まではかなり楽しめてたんですけど・・・
とりあえず深く考えずに普通におもしろいコメディが観たい、という人にはオススメかもしれません
もしくはおじちゃん、おばちゃん、テキトーな仲間たちとみんなで軽く観る映画には最適でしょう

個人的評価:75点
オススメ度:ん?え?終わり?と言いたくなること必至




謝罪の王様 予告

地獄でなぜ悪い (2013/日)

監督:園子温
出演:國村隼 / 堤真一 / 二階堂ふみ / 友近 / 長谷川博己 / 星野源 / 坂口拓 / 成海璃子

最高の映画を撮る夢を見続ける男、平田はチャンスにめぐまれないままに日々を過ごしていた
一方、ヤクザの組長である武藤は妻のために映画を撮る決意をする

いや、もう、とにもかくにも「頭おかしいだろ」と誉め言葉として言うしかない、それにかぎる映画
個人的に今までに観てきた中でもトップクラスのバカ映画・・・というか、普通にトップクラスの映画かもしれん
ここまでバイオレンスヤクザコメディと青春映画ドラマが融合したファンタスティッククレイジームービーはなかなかお目にかかれまい
というか、この監督以外には撮れまい
しょうじきなところ例のエスパードラマのこともあって、そんなにコメディとして期待してなかったけど、ホントに気持ちいいくらい良い意味で裏切られたわ

最高の映画を撮りたいと映画の神に祈りつつ、仲間たちとグダグダと過ごす平田
出所する妻のために娘が主演の映画を撮らなくてはいけないヤクザの組長の武藤
武藤と対立する組長の池上
そして、武藤の娘とその恋人役に巻き込まれた男
それぞれの思惑が交錯する中、映画作りがはじまる・・・のか?という内容ですね
さいしょこそ「ああ、ヤクザと映画バカどもが協力してって感じね」と安易な心持ちで観ていられますが、どんどんその頭おかしいっぷりがエスカレートしていって、まったく先が読めなくなってくるのがおもしろい

その頭おかしいっぷりはまったく勢いを衰えることなく、というかクライマックスに向けてどんどんパワーアップしていくクレイジーさに楽しさマックス
コメディとしても「ここでそうなるのか」と笑えるポイントも盛りだくさんで、なにはともあれこのバカ映画に身を任せているだけで120%楽しいひとときが味わえる
キャラもみんなクセがあるナイスな奴ばかりで、それでいて各人のおかれた状況のドラマ部分も安定しているから、上っ面だけのコメディになってない

最高の極道バイオレンス、最高の青春映画ドラマ、そして最高のクレイジーコメディ、いやあ、もうどんなに言葉を並べようと個人的に「最高だ!」としか言いようがない一本でした

個人的評価:100点
オススメ度:全力!歯ぎしり!レッツゴー!!




地獄でなぜ悪い 予告

2013年9月28日土曜日

HAZE (2005/日)

監督:塚本晋也
出演:塚本晋也 / 藤井かほり / 村瀬貴洋 / 神高貴宏 / 辻岡正人 / さいとう真央

目覚めると男は身動きすらとれない狭く暗い通路にいた
なぜこんなところにいるのか、という記憶も思い出せない男は腹の傷のこともありパニックにおちいる

個人的には大好きな映画監督である塚本晋也
ほかの人にこの監督の作品をすすめても微妙な反応しか返ってこないことの方が多いのが悲しいです
まあ、個人的にもなんでそんなことになるのか分からんでもないくらい、この監督の作品は人を選ぶものが多いと個人的にも思うから仕方ないかもしれんね
ハマる人は麻薬的にハマる、という感じの作品です

目覚めると暗く狭い場所に男はいた
腹には傷があり、その傷のことも含めてなんでこんな状況になっているのか思い出せない
はたしてこれは悪夢なのか、それとも悪趣味な金持ちの慰み者になっているのか、意識を失い目覚めるたびに男は苦痛のともなう場所を転々とするのだった
という状況の中、なんとか脱出を試みる主人公は肉体を傷つけてくるトラップや、精神的に不安定になる環境に気力をそぎ落とされていく
と、そんな内容ですね

観ている方も痛々しさ、精神的な窮状っぷりに「うへえ・・・」となるのが嫌になる・・・じゃなくて、そんなところがおもしろい
ぼそぼそとしゃべる主人公に合わせて音量をあげれば、アンバランスなほどに爆音のBGMに不快さを味わう・・・だが、そこがいい
これはまさにそんな観てて気分が不安定になる自分を受け入れられるか否かでおもしろさが変わってきますね
とにもかくにも鑑賞に際してはあまり不調な時は避け、あくまで「これは映画なんだ」と一歩引いて観る気持ちで挑みましょう

ちゃんとオチまで考えて作られているので、たまにあるインパクトだけの投げっぱなし映画じゃないのが良い
けど、やっぱり肌に合わない人にはどうがんばっても合わないだろうな、と思わざるえないのが残念でならない
尺的にもたしょう辛くても乗り切れる長さなので、試しに観てみるのもアリかもしれませんが
ええ、もちろん手放しでオススメはしないんで、気分を害しても関知しない方向でひとつ

個人的評価:85点
オススメ度:主人公はぜったいタランティーノ作品のファンだな




HAZE 予告


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2013年9月22日日曜日

凶悪 (2013/日)

監督:白石和彌
出演:山田孝之 / ピエール瀧 / リリー・フランキー / 池脇千鶴 / 白川和子 / 吉村実子 / 小林且弥 / 斉藤悠 / 米村亮太朗 / 松岡依都美 / ジジ・ぶぅ / 村岡希美 / 外波山文明 / 廣末哲万 / 九十九一 / 原扶貴子

雑誌記者の藤井は上司の命で死刑囚である須藤と面会する
須藤は先生呼ぶ男に復讐するため、おおやけにしていない余罪の記事を書いてくれるようもちかけてきて・・・

「冷たい熱帯魚」や「フォーカス」みたいに胸くそ悪くなる気まんまんで観たんですが、思ってたほどじゃなかった
とにもかくにも山田、ピエール、リリー3人の演技を楽しむ渋い(?)映画だったかな、という感じ
確かになんか内容がありそうな雰囲気や作りはしてるんだけど、個人的に演技があまりに演技として全面に出てきてるようにしか観てとれず、結果としてそんな役者さんたちの迫真の共演を楽しむ分にはいいけど・・・って内容な映画としてとらえました

舎弟とともに裏切った仲間を無惨に殺していく須藤
やがて捕まって死刑囚となったが、最後の裏切り者である先生としたっていた男に復讐するため、自分が不利になると分かりつつ余罪を記事にすべくジャーナリストの藤井と面会する
あまりに須藤の記憶があいまいで、かつ上司のゴーサインもでないために藤井は記事にすることが困難を極めると思いつつも取材を継続していく
そんな感じでどんだけショッキングな映画なんだろう、とそっち方面を期待していると序盤は延々取材&藤井の家族問題で「うん?」と思うかもしれませんね

それでも「このまま地味な取材がずっと続くのかー?」と飽きてきだしたところで唐突に展開が変わります
ここら辺もあるていどまとまって観せてくれるのもいいけど、やっぱりあるていど時間軸をあれこれしながらの方がしっくりきたかな
あえて藤井と須藤を不必要にからめてない、ととれなくもないけど
中盤は予想外な須藤主人公でそれはそれでよかったし、クライマックス、ラストと各展開やシーンのパーツは言いたいこと描きたいことは分かっておもしろい

だけど、なんというかかなりいけてるパスタ、スープ、ワインを独立して別個に提供されてる気分は否めないんですよね
それぞれはおいしい、けどパスタの合間にスープやワインも味わいたい・・・とちょっと分かりにくい表現になっちゃってるけど個人的にそんな感じがしないでもない
オチにしても「うん、まあ、そんな感じかな」という風でガツンとくるものがないんですよ
それこそ観てる側が「こいつを殺してやりたい」と思わせるくらいの作りだったら印象も変わったかもしれないけど

個人的評価:75点
オススメ度:山田孝之のどんな役にも染まれるっぷりは異常(ほめ言葉)




凶悪 予告

ウォーム・ボディーズ (2013/米)

監督:ジョナサン・レビン
出演:ニコラス・ホルト / テリーサ・パーマー / ロブ・コードリー / デイブ・フランコ / アナリー・ティプトン / コリー・ハードリクト / ジョン・マルコビッチ

ゾンビとして思い悩むところのあるRは、ある日、人を襲っている最中に出会った生きている女性ジュリーを助ける
思わずゾンビたちの寝床へ彼女を連れてきてしまい、かくまいながら暮らすうちにRに変化が現れ・・・

ゾンビ映画をネタにしたコメディに恋愛要素をからませた、なんとなく新しいジャンルな気もする
けど、要するに人とゾンビの大きく生きる世界が違う場所で、どっちつかずになった主人公が悩む系のお話ですね
思ったよりグロさをマイルドにぼかしてなくて、きちんとゾンビ映画してるし、じゃっかん若い層向けではあるけど恋愛要素もちゃんと描かれてました
それでいてけっこう笑えるネタもあり、シリアスな部分もありでバランスよく楽しめる作品です

ゾンビであるRは自分やゾンビという存在についていろいろと考えていた
そんな中で出会った人間の女性ジュディ
彼女のボーイフレンドの脳を食べて記憶に酔ったこともあり、衝動的に彼女を守って自分たちゾンビの暮らす場所へかくまってしまう
案の定、ジュディは恐怖からRを拒絶するが、それでも一緒にいるうちに・・・という内容
基本的にゾンビという存在は完全なる化け物としてのガイコツとの中間点みたいな感じで描かれていておもしろい

それでもゾンビとして遠慮なく人間を襲うし、Rにしてもそれは例外じゃなくジュディと出会ってからも普通に脳をむさぼります
あるていどゆるい感じでロマンス側に逃げて作ってあると思いきや、よくよく冷静に考えてみればRとジュディの過ごした日々の裏側はけっこうエグい
だけどそんなゾンビ映画としてもちゃんとしてる部分があるからこそ、この作品はおもしろくなっていると思いますね
ゾンビと人間の身分違いの恋にゾンビ仲間たちの友情(?)も合わせて最後まで飽きずに楽しめました

それでも気になる点はあるもので、しょうじき話の展開がファンタジー・・・というかスーパーファンタジーなのがアレでしたね
ジュディの恋人のことについての片づけ方、人間とゾンビとの間の確執、みたいな部分がすっごい軽く解決しちゃってる印象
さすがに「いや、普通にもっとこじれるだろ」とツッコミを入れたくなるのは私だけじゃない、はず
そんな意味でスーパーファンタジーとして、「なんか知らんが分かり合ったんだよ」と気にしないのが正しい姿勢なのかな

という感じであまり深く考えず、ノリでゾンビと人間のあれこれを見守っている分にはひじょうに楽しめる一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:Rさんガチイケメン




ウォーム・ボディーズ 予告

セイフ (2012/米)

監督:ボアズ・イェーキン
出演:ジェイソン・ステイサム / キャサリン・チェン / ジェームズ・ホン / クリス・サランドン / ジョセフ・シコラ / ロバート・ジョン・バーク / レジー・リー / アンソン・マウント / サンドール・テクシー

格闘技の八百長試合でヘマをしてロシア系の組織に目をつけられる男、ルーク
一方、中国系の組織に囲われていた天才少女メイ、ふたりは偶然に出会い協力して逃亡をはかる

「ロック、ストック~」のような「トランスポーター」のような「アドレナリン」のような、ジェイソン・ステイサム出演作をまとめみたいな作品でしたね
ただし3つの作品を足して5で割ったくらいに、なんかどっかで見たことあるシーンの連続という意味で、アクション映画としては凡作なのが残念
観ているさいちゅうはかなり楽しめますが、鑑賞後になにかしら印象に残るものが少ない作品という感じ

ヘマをやらかしたことから、ロシア系の組織から監視される日々に疲れきっている主人公ルーク
いちど目にしたものは完璧に記憶できる能力の持ち主で数字に強く、パソコンがわりに中国系組織に利用される少女メイ
ルークとメイはひょんなことから出会い、組織から戦いつつ逃亡をはかる
ロシア系組織、中国系組織、汚職警官たちが互いに争いつつも主人公たちを追う、という乱戦アクションものですね
戦闘能力の高い男とカギを握る少女、そんな主人公たちに襲いかかる組織・・・まあ、よくある設定ですわな

短いカットを素早くつないでいったり、バックミラーを巧みに利用したカメラワークだったり、基本はスタイリッシュアクション映画で観ていて退屈することはありません
なによりジェイソン・ステイサム好きならじゅうぶんに満足できる内容になってますね
ただ、どうにもこうにもいまひとつ突き抜けるなにかが足りなく感じるのも確か
バカ要素のない「アドレナリン」というか、カーアクション控えめな「トランスポーター」というか、分かりづらいかもしれないけどそんな感じ

それでも主人公であるルークのキャラは個人的によかった
単なる脳筋戦闘要員じゃない、というのが徐々に分かってきて最後にはいろんな意味ですげえ奴だったんだな、となって素敵です
ただ、そんな超大物っぽい人物でありながら、あからさまな手口にひっかかったりするのが「?」とならざるえない
あとは最初の八百長試合をやるほどに落ちぶれた理由もつかめないかなあ

アクション大作になる要素はじゅうぶんにあるのに、なんか微妙に細かいところでつまづきまくってる、そんな感じがする一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:セイフ、というテーマはよく描けてる・・・けど、別にアクション映画としてはどうでもいい




セイフ 予告


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2013年9月16日月曜日

コードギアス 亡国のアキト/第2章 引き裂かれし翼竜 (2013/日)

監督:赤根和樹
出演:入野自由 / 坂本真綾 / 日野聡 / 松岡禎丞 / 日笠陽子 / 寺島拓篤 / 松風雅也

アンダーグラウンドで活動していた3人のイレヴンを部隊に加えたレイラ
そんな3人が裏切る公算が高い中、新たな難題を押しつけられた戦地でアキトたちは強敵と遭遇する

この2章になってもなお説明的な展開が続いてる気がしないでもないですが、いちおメインであろうアキトとシンの兄弟喧嘩が展開してます
というかブリタニア勢の名ありキャラが多すぎるだろ、と
そこにきてテレビシリーズのキャラまで顔を出してくるもんだから、それこそ各人の掘り下げ具合はおしてしるべしって感じですね

新たにレイラの部隊に加わった3人の紹介と、やっと主人公組周りは地盤が固まってきた
一方で敵方はどんどんキャラが増える一方で説明が追いついてなく、重要キャラ登場からのさらに重要キャラの上書き登場と無駄に人がいすぎな印象は否めない
思い切ってテレビシリーズからのキャラは引っ張ってこなくてもよかったんじゃないか、と個人的には思います
内容としてはいよいよ主人公アキトと因縁ありそうな兄のシンが敵対勢力どうしであいまみえる、といった展開

ストーリーこそ大きく進展はしてないですが、戦闘シーンは縦横無尽に立体的に動き回るKMF戦が、その動きが今回もキモくて素敵でした
今後の展開が気になるような伏線のバラまきも大盤振る舞いで豊富にあるし、これをうまくキッチリまとめるには相当技量がいるんじゃなかろうか
願わくば風呂敷広げっぱなしで終わらないでほしいものですし、さらに言うなら中途半端に畳んで微妙な感じになるのもノーサンキュー
テレビシリーズとは違うんだから、責任もってちゃんと気持ちよく納得できる形にまとめてほしいですね

そんなわけであまりネタバレはしたくないですが、ホントにブリタニア勢の人材の豊富っぷりがアレすぎて、主人公たちに希望の光がいっさい見えないけど大丈夫なんですかね
そこら辺は超展開で主人公側に心強い味方がいきなりつく、ってのもないとは限らないからなんともいえないのかな

とにもかくにも今作でも次回がすっげえ気になるような引きで終わってるので、たぶん来年公開になるのかな、続きが早く観たいわあ

個人的評価:80点
オススメ度:あれ?1章の予告でC.C.が・・・いや、なんでもないです




コードギアス 亡国のアキト/第2章 引き裂かれし翼竜 予告

ウルヴァリン:SAMURAI (2013/米)

監督:ジェームズ・マンゴールド
出演:ヒュー・ジャックマン / 真田広之 / TAO / 福島リラ / ハル・ヤマノウチ / ウィル・ユン・リー / ブライアン・ティー / ファムケ・ヤンセン / スヴェトラーナ・コドチェンコワ / 角田信朗

驚異の再生能力をもつミュータント兵士ウルヴァリン
彼が過去に長崎で命を救った男、矢志田からお礼がしたいと使いの者が現れ・・・

なんというか「○○、××へ行く」みたいなノリで「ウルヴァリン、日本へ行く」的な内容でした
いちおウルヴァリンの再生能力から生死をからめた内容でもあるんだけど、どうみても単にヤクザ、サムライ、ニンジャというザ・日本な相手との戦いを描きたかっただけじゃねえの、と
戦闘シーンは迫力はあるけど、全体的になんかアメリカンジャパニーズな表現が強くてアニメチック
総じてつまらなくはないけど、別段おもしろくないという作品に分類せざるえない

自分の運命を呪い悩みつつ隠れるように生きるウルヴァリン
そんな彼の前に過去に助けた日本人兵士からぜひ日本に招いてお礼がしたい、と使いの女性が現れる
そして半ば強引に日本に連れてこられた彼が見たのは癌により先の長くない老齢の元日本軍兵士の矢志田
矢志田はお礼とともにウルヴァリンの再生能力を他者に移植することで、彼に普通に生きて年を重ね死ぬことのできる体にしてあげようと申し出る
矢志田は孫娘に財産を相続させようとしていたが、親族間の争いにより孫娘は命を狙われることになると危惧
ならば自分に呪われた不死の能力を移植しようと考えていた、というお話

生と死、日本という土地と侍道ゆえに「生きることとは~」とか「死ぬこととは~」みたいな深みのあるドラマ重視路線かと思ってたんですが、ね
いざフタを開けてみたらよく分からんうちに矢志田の身内のごたごたに巻き込まれ、そこに異能力やら忍者もしゃしゃり出てきて、ラブホで日本語強要されてブラックジャックに助けられるカオス展開に思わず孫娘に手を出すウルヴァリンさん
結局はやけに身体能力の高いヤクザとの戦闘だけが印象に残る作品でした

いちお最後まで観ればストーリー的に「そういう話だったのね」と理解できますが、逆に言えば最後のネタバレシーンにいきつくまで「なんで戦ってるの?」と思う場面がけっこうあります
そんなストーリーすら、このてのアクション映画特有の話とかどうでもいい扱いのうっすい感じだからたちが悪い
良くも悪くも日本が舞台でエキセントリックなソルジャーたちとのバトルが観られるよ、というだけな一本でしたね

個人的評価:70点
オススメ度:両手で握ると威力を発揮する謎システムの刀ブレードとか素敵です



ウルヴァリン:SAMURAI 予告

2013年9月15日日曜日

許されざる者 (2013/日)

監督:李相日
出演:渡辺謙 / 佐藤浩市 / 柄本明 / 柳楽優弥 / 忽那汐里 / 小池栄子 / 近藤芳正 / 國村隼 / 滝藤賢一 / 小澤征悦 / 三浦貴大

明治十三年、蝦夷の地で女郎が地元の開拓民の男によって顔を裂かれる事件が発生する
警察署長の大石の裁断を不服に思った女郎たちは独自に賞金をかけ、その件について元人斬りの十兵衛はかつての仲間から話をもちかけられ・・・

直前にイーストウッド版を観ていただけに、この時代劇リメイク版の良い所がよりよく見えてきましたね
話の流れやらなんやら大筋はホントに本家をなぞって作られており、そこに日本人が観て楽しめるように追加・改変が加えられてます
行間を読む、というより察する心のある日本人にとって理解しやすいリメイクで、全体的にセリフや説明めいたものでみせるより、役者の演技で表現している部分が大きい印象がしました

蝦夷の土地で刀を捨て子供たちと身を隠すように静かに暮らす元伝説的な人斬り釜田十兵衛
そこに十兵衛の過去を知るかつての相棒である馬場金吾が現れる
ある町での人斬りの話をもちかけられる十兵衛だが、亡くなった妻の影響もあって真人間として暮らしている現状から気が進まない
だけど、それでもその話に乗らなくちゃ映画にならんわけで、そっからの途中で仲間になる五郎とのやりとり、警察署長との確執がありつつ物語は進んでいく、と

しょうじき本家よりそれぞれの登場人物が行動に移るゆえんである動機が分かりやすく丁寧に描かれていて、個人的にかなり良リメイク作品だと言わざるえない
アイヌ関連の描写も最初こそ「なんか余分な要素を入れてきたな」と思ってたけど、話が進むにつれてそこら辺のことも必要なことだったんだな、と納得できました
怒りを感じ、許すことができずに拳をあげてしまい、そのことで自分自身が痛みを感じたことがある人・・・そんな人こそ楽しめる作品に仕上がってる感じですね

ラストも含め個人的に本家を観て「うーん」と微妙に感じてた部分が改修されていて、ホントに最後の最後まで楽しめました
無骨な剣士が舞うように美しく立ち回る殺陣というギャップがある時代劇もいいけど、死闘とも呼べるこの作品のような描写は心ふるえる
渡辺謙って、なんか最近じゃっかん安売りされてるイメージがしないでもなかったけど、この作品でのひとつひとつの表情はまさに当たり役と言わざるをえない一本でした

個人的評価:100点
オススメ度:土人うんぬんでいらん問題にならなけりゃいいけど




許されざる者 予告

コードギアス 亡国のアキト/第1章 翼竜は舞い降りた (2012/日)

監督:赤根和樹
出演:入野自由 / 坂本真綾 / 日野聡 / 松岡禎丞 / 日笠陽子 / 藤原啓治 / 甲斐田裕子 / 川田紳司 / 茅野愛衣 / 石塚運昇 / 森久保祥太郎 / 小松未可子 / 瀬戸麻沙美 / 早見沙織 / 伊瀬茉莉也 / 松風雅也 / 三宅健太 / 子安武人

ブリタニア帝国により日本は支配され属州とされた世界
ユーロピア共和国連合はブリタニアとの戦いの中、元日本人の兵を使い捨ての駒のように扱っていた

テレビシリーズは何気に全話みてたんですが、この1章公開時には熱も冷めて「そこまでして観なくてもいいかな」とスルーしてました
でも、今回、2章公開ということもあり、昔とったなんとやらというか乗りかかった船というか、なんか純粋なファンの方に怒られそうな理由から鑑賞することに
いや、いちお言い訳しておきますが、コードギアスは作品として好きですよ?ホントに

とりあえず予備知識なしで観たので、時間軸的にどこら辺の話なのかなあ、という点と懐かしい設定に興味を持ちつつ鑑賞できました
ブリタニアによって日本は植民地化され、国じたいがなくなり日本(人)は一般的にイレヴンと呼ばれている世界の物語
争いは人型のロボット「ナイトメアフレーム(KMF)」によるものが主流になっており、舞台はヨーロッパの一角に
主人公のイレヴンであるアキトはヨーロピア共和国連合の特殊部隊に所属しており、この部隊の活動には正規軍は加わらず、消耗品的な扱いでイレブンが戦っていた
そんな中で部隊の司令官である少女レイラと主人公アキトの周りで戦いやら陰謀やらを描く、と

こういう数話に分けて劇場公開されるアニメ作品というのも珍しくはなくなってきましたが、それでも仕方ないというかなんというか1話目はもろもろの説明回にならざるえない
主人公とその周りで動くキャラたち、舞台や兵器の状況などテレビシリーズがあるにしても説明的な話になってますね
それはそれでしょうがないと理解はできるんですが、それでもちょっとキャラと環境の説明が分離して説明されてる印象がしないでもない
主人公の行動とともにじょじょに世界観がつかめてくる、というのではなく一個一個それぞれ説明している感じ

ゆえにちょっと話的に流れるような感じではなく、じゃっかんブツ切りで箇条書き説明な印象
肝心の主人公を放っておいて別の説明をはじめるものだから、この1章では主人公アキトの魅力が描き切れてないような気がしました
とりあえずルルーシュの時ほど主人公に初見のインパクトを感じないのは確か
とにもかくにもまだまだ足場を固めた序章にすぎない1章なので、次でどれだけ弾けられるかが鍵になるかもしれませんね

個人的評価:75点
オススメ度:マジでメカの動きがキモイわあ(ほめ言葉)




コードギアス 亡国のアキト/第1章 翼竜は舞い降りた 予告


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2013年9月13日金曜日

許されざる者 (1992/米)

監督:クリント・イーストウッド
出演:クリント・イーストウッド / ジーン・ハックマン / モーガン・フリーマン / リチャード・ハリス / ジェームズ・ウールベット / ソウル・ルビネック / アンナ・トムソン

元冷徹な凄腕ガンマンとして名のはせたマニー
そんな彼に賞金のかかった殺しの依頼を若いガンマンが持ちかけてきて・・・

日本版公開で鑑賞前に元作品をチェックしよう、というわけで観ることに
個人的にもっともっとウエットで渋い人情ものかと思ってたんですが、なんというか、すっごい微妙な作品でしたね
しょうじき一般的な評価としてもけっこう賛否が大きく分かれるんじゃないかな、と
名だたる名優が共演しているにしては地味だし、中途半端に古くさい印象が強いんですよね
そこそこの役者さんたちが「あの頃の映画」を再現するという目的で作ったなら、よくできた作品と言い切れるんですが・・・

ある牧場の男たちが買った娼婦にバカにされた、とその顔を切り裂く事件がおきる
保安官は犯人の男たちも札付きのワルというわけでもない点を考慮し、店に対し馬を引き渡すことでことをおさめるが、娼婦仲間たちは納得がいかない
娼婦たちは金を集め、荒くれ男どもを客にとって賞金をちらつかせて犯人の男どもを殺すようにもちかける
その話を知った若いガンマンは、相棒として主人公の老齢の男マニーを選ぶ
という話の中、結婚を期に妻の影響もあって人を撃つのをやめ11年たつ主人公と昔ながらの老いぼれた相棒の男を巻き込み、若いガンマンと3人で殺しを請け負う、と

とりあえずおもしろいのは、それぞれの登場人物たちに完全な善人がいないって点ですね
みんな嘘をついたり魔がさしたりなんだりで、各人の行動が「どうするのが最善か」ってのを分かりつつ、必ずしもそう動かないというところ
もちろんそれに主人公も含まれます
なんだかんだでみんな実は正義を貫いている、という内容のものはよくあります
が、なんだかんだでみんなちょっとずつ悪い、というのがこの作品の見所なのかもしれませんね

一方、主人公にとって妻の存在が大きかったわりに、あまり過去にとらわれてる印象が感じられない
そのくせに前座賞金稼ぎの男にみょうに尺を使ったり、主人公が病気になったり、無駄っていうのはアレかもしれないけどあまり重要ではないシーンが多い気がしないでもない
ラストもグッドエンドともバッドエンドとも言えず、鑑賞後にどうにも中途半端な感情だけ残してくれます
それを渋い、大人だ、と評価できるなら良作と思える一本かもしれません
個人的には良いとも悪いとも言えない「言いたいことは分かるけど、なんか半端な気分になる」そんな一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:単純に老いてはいるが腕はなまってない、という存在じゃない点は素敵




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2013年9月9日月曜日

キャプテンハーロック (2013/日)

監督:荒牧伸志
出演:小栗旬 / 三浦春馬 / 蒼井優 / 古田新太 / 福田彩乃 / 森川智之 / 坂本真綾 / 沢城みゆき / 小林清志 / 大塚周夫

宇宙海賊として連合軍に戦いを挑み続けるキャプテン・ハーロック
その艦であるアルカディア号に新人として入ったヤマは、実は連合で艦隊を率いるイソラの弟でありスパイとして潜入したのだった

個人的に年代としてはハーロック世代ではあるんですが、キャラとしてのハーロックは知ってるものの、実はストーリーとしては知らないんですよね
まあ、まさににわかないつも通りな感じではあるんですが、そんな私のかすかな記憶に残るハーロック像と比べてみても、この作品のその御仁とは別人な気がしてならない
というかこの映画、しょうじき途中から「キャプテン・ハーロック」としてじゃなく、なんか別のSFアニメとして観てました
だけどそれはつまらない、という意味ではなく「おもしろいけど、ハーロックとしては観てない」という感じですね

今日も元気に連合軍にケンカをふっかけるハーロックたち
新人のヤマくんを加えたけど、こいつがくせ者でバレバレな敵のスパイ臭をまき散らす
「そんなことより自由だぜ!」ってんで事に気づきながらもハーロックは新人を放置したことにより、なんかヤマくんはハーロック教に信仰替えするのだった
って感じで序盤は話が進むわけですが、スパイが一緒に戦う内に絆が芽生えて仲間になる展開はお約束すぎて誰でも予想できるでしょう

で、そんなハーロックとヤマの衝突と友情みたいなもんをメインに描く話かと思ってた部分があったんですが、むしろそこら辺の展開はオマケでしかなかったですね
ヤマとイソラ、ハーロックと地球の関係をメインにテーマにそって他のキャラを巻き込みつつ話が展開していく中盤から後半のストーリーが本筋
核となる部分のテーマにストーリーとキャラの肉付けがきちんとできているので、話じたいはけっこう楽しめました

それでもやっぱりヤマがあっさりハーロックになびくくだりは「ちょっとやっつけ展開すぎねえか」と思わざるえないけど
あと、ハーロックさんも自分の中で想像してたよりもヤワに描かれてるのが気になりました
にわかな自分が語るのもアレかもしれないけど、ハーロックさんって、どんな苦境でも決して尻どころか膝をつくこともなく、ギリギリのところで気丈に振る舞う漢だと認識してたんですが・・・

よく使う言い回しではあるけど、「キャプテン・ハーロック」ではない別物として観る分にはじゅうぶんにおもしろい一本でしたね
だけどたぶんハーロックさんに思い入れがある人が観たら、すっごい拒絶反応をおこす人も中にはいるかもしれない、かな
とりあえずそこまで深い思い入れがない私は”個人的に”楽しめたからよしとしますけど

個人的評価:80点
オススメ度:ハーロックさん、しゃべらなければマジかっこいい




キャプテンハーロック 予告

劇場版タイムスクープハンター 安土城 最後の1日 (2013/日)

監督:中尾浩之
出演:要潤 / 夏帆 / 杏 / 時任三郎 / 上島竜兵 / 小島聖 / カンニング竹山 / 山中崇 / 嶋田久作 / 宇津井健

過去にタイムワープして歴史上のことがらを取材するタイムスクープ社
そこに所属する沢嶋は本能寺の変の直後、禁裏の警備人でありながら被害を受けた民衆を助ける男に密着取材を開始する

とりあえずこの劇場版を観るためにテレビ版のDVD1,2巻をチェックしましたが、それでもじゅうぶんに楽しめる内容でしたね
それでも確かに「ん?」と思うシーンもあって、やっぱりそこらあたりはこれまでのシリーズを追いかけているファンなら納得できる描写なんだろうな、と
さすがにテレビ版を未見でいどむにはつらいかもしれませんが、興味がわいたなら1話だけでも観ておけばこの劇場版はなんとか楽しめるでしょう

歴史的な大人物や大事件ではなく、あくまで名の知れぬ人や物事を記録する第二調査部所属の主人公、沢嶋
本能寺の変により明智軍がうろつく京都の中、被害をこうむった民衆を助ける織田家側の男、矢島が取材対象者であった
ある日、そんな矢島は信長に呼ばれ京にきていて被害にあった、島井を博多まで送り届けることになり、沢嶋もそれに同行取材する
という流れの中、あくまで取材という視点でハンディカム演出によってわりと淡々と出来事を記録していく・・・というのはドラマ版と同じ

だけどあるていど話が進むとその時代だけではなく、沢嶋の世界につながる話も展開していき、いっきに映画的なドラマがはじまります
しょうじきドラマ版をすべて観ているわけではないので、何とも言えないところはありますが、その時代の話+沢嶋の世界の話が融合していく作りは劇場作品として成功していると思いますね

ドラマ版でも弓矢の殺傷能力について「そんなにヤバい武器だったのか」と思わされたものですが、この劇場版でもホントにヤバい武器すぎて笑えない
というかマンガやゲーム世界における近接武器最強とか鼻で笑い飛ばしたくなるレベル
やっぱり飛び道具最強だろと言わざるえない
と、あとでネットでちょっとこのシリーズについて検索したら、やはり弓矢の恐ろしさについては話題になってましたね

ただタイムワープを扱ってるにしては、「それ完全に歴史書き換えてるよね」とツッコミたくなる箇所は多分にあるし、いかんせん内容じたいが地味なのがアレかもしれません
それでも作品としての迫力はあるし面白味もじゅうぶんなので、私みたいにちょっとだけテレビドラマ版をかじった人でも楽しめる一本だと思います
言うまでもなく熱心なファンならきっともっとずっと楽しめるでしょうね

個人的評価:80点(テレビドラマ版を観たことがある前提)
オススメ度:竜ちゃん、やるじゃん




劇場版タイムスクープハンター 安土城 最後の1日 予告

2013年9月8日日曜日

31年目の夫婦げんか (2012/米)

監督:デヴィッド・フランケル
出演:メリル・ストリープ / トミー・リー・ジョーンズ / スティーヴ・カレル / ジーン・スマート

結婚生活31年目の夫婦アーノルドとケイ
妻のケイは夫との肉体関係に不満を抱き、カウンセリングを申し込む

31年もいっしょに暮らしていれば情熱的なものも薄くなり、互いに傷つかない距離を保っていけるようになる
愛があるからこその距離感だとわかっていても、それって夫婦なのか?ただいっしょに同じ屋根の下にいるってだけじゃないのか?と、そこら辺の問題を描いた作品ですね
ありがちなくらいに愛はあると思いつつも、自然の流れで不変の生活を繰り返す口べたな夫、それに物足りないと思いつつはっきり言い出せない妻という設定

このままじゃダメだってんで、意を決してカウンセリングを受けることにしたケイは、なかば脅迫めいた感じで夫を巻き込んで夫婦の関係を修復するプログラムに参加することに
その途中でだされる突飛な課題と、性に対する質問にふたりはドタバタしつつも時に協力して、また時に言い争いながら絆を再び深めていく、と
まあ、アレですね、こう書くとめちゃくちゃオーソドックスな夫婦の絆再生物語に思えますが、実際にまんまオーソドックスな話だから仕方ない

個人的に鼻につくようなオシャレ感がないのは観やすくてよかったですね
内容的にも性に関することがメインで、ふざけているわけじゃないけど下ネタコメディとしても楽しめる
なにより夫婦のキャラが良い感じで、ホントにどことなく泥臭さを感じるような等身大のおっちゃんとおばちゃんな描き方が素敵度をあげてます
反面、そこまで深刻なじだいになるわけでもなく、確かに観てて笑顔になれるくらいほほえましい作品ではあるんだけど、感覚的にどこかイマイチ深みがないかなと思えてしまう

冷めがちな夫婦で観てガツンと愛を再確認しようぜ、または奥さん方だけで午後の一時の暇つぶしに観よう、っていう目的に合ってる一本ではあります
ただ機会があれば観るのも悪くないけど、あえてこれを観ようという意味で選ぶほど強烈なうりがあるような映画でないってのは否めませんが

個人的評価:75点
オススメ度:さあ、セックスの話をしようじゃないか



31年目の夫婦げんか 予告

2013年9月7日土曜日

ロンドンゾンビ紀行 (2012/英)

監督:マティアス・ハーネー
出演:ハリー・トレッダウェイ / ラスムス・ハーディカー / アラン・フォード / ミシェル・ライアン / オナー・ブラックマン / ジョージア・キング / ジャック・ドゥーラン / リチャード・ブライアーズ / トニー・ガードナー / アシュリー・ベイシー・トーマス / ジョージナ・ヘイル / ダドリー・サットン / トニー・セルビー

イーストロンドンで祖父の営む老人ホームに食事を宅配するテリー&アンディ兄弟
ある日、仲間と銀行強盗を企てて実行するも逃走のさいに警官に囲まれてしまい・・・

常に帽子を被っている兄のテリーとその弟アンディ、と言うと某餓狼なレジェンドに出てくるキャラを想起せざるえないわけで
たぶん、狙ってこの兄弟の設定はしたんだろうけど、いかがなものか
とりあえず作品的にはオーソドックスなゾンビものでありつつ、作り手のセンスを前面に出すことで他のゾンビ映画と差別化をはかっている感じ
ゾンビホラーものをベースにしたコメディ作品、というそれほど目新しい基本設定ではないので、この作品の色である作り手のセンスが肌に合うか否かで評価は変わるかもしれません

イーストロンドンのある工事現場で偶然発見された古代遺跡
その中にはうごめくミイラがおり、作業員が襲われてしまう
そして、襲われた者はすべからくゾンビ化してしまい、さらに人間を襲うことで連鎖的にゾンビが増えていく
そんな中で強盗をたくらむ主人公たち一同は人質もふくめ、ゾンビたちから逃走をはかる
という流れなんだけど、主人公たちは普通にゾンビを見た時に「こりゃゾンビだな」って感じで理解しちゃうし、「頭をつぶせばいい」という点も常識として認識してる
いわゆるゾンビもののお約束はデフォで知識としてあります

そのため「おまえらゾンビに襲われたらゾンビ化するに決まってるだろ」とか、「頭をつぶせばいいんだよ」とか、他のゾンビ映画でよくある「おまえらの住んでる世界にはゾンビ映画とかないのか」というツッコミを入れずにすみます
理解が早いってのはいいもんだ
ゾンビじたいもウスノロなクラシカルゾンビだし、それをいかしてよぼよぼの老人VSゾンビとか緊張感のないシーンを描いてて素敵です

歩行器じいさんとゾンビの追いかけっことか、ことの次第を描写せずに役者の演技のみで表現したり、作り手のセンスが隠すことなく前面に出ているのが特徴、かな
でもしょうじき個人的に「どう?俺の撮った俺のゾンビ映画、俺だけのゾンビものを、俺の世界を堪能してくれ」という押しつけがましさを感じなくもない
全体的にすっごいおもしろいって感じはしないけど、B級ゾンビ映画というくくりの中では楽しめる部類には入ると思う

コメディタッチのゾンビものが好きなら、という条件ありきで観るのはアリかなと思った一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:どこら辺が紀行なのか、というツッコミは無粋ですね




ロンドンゾンビ紀行 予告


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2013年9月2日月曜日

希望の国 (2012/日・英・香港)

監督:園子温
出演:夏八木勲 / 大谷直子 / 村上淳 / 神楽坂恵 / 清水優 / 梶原ひかり / でんでん / 筒井真理子 / 菅原大吉 / 山中崇 / 河原崎建三 / 浜田晃 / 大鶴義丹 / 松尾諭 / 吉田祐健 / 並樹史朗 / 米村亮太朗 / 吹越満 / 伊勢谷友介 / 田中壮太郎 / 手塚とおる / 本城丸裕 / 深水元基 / 大森博史 / 占部房子 / 井上肇 / 堀部圭亮 / 田中哲司

長島県(架空の土地)に暮らす小野家
ある日、大地震にみまわれ近隣にある原発の半径20km圏内に退避命令が出される

地震というより原発による災害(人害?)がメインになっている作品
とはいえ単純に福島県の一件を元に作られた内容、ってわけでもない
あくまで福島県の原発のことがあったことを前提として、この長島県の原発でも同様のことがおこってしまっているという状況が興味深い
原発がもたらした被害を知識として知っている状況下での主人公たちを描いてます

長島県をおそった大地震により、同県にある原発の半径20km圏内が立ち入り禁止地区になってしまう
そのギリギリ20km圏内から外れた小野家の父親は認知症の母親と家に残り、息子とその嫁を自主的に退避するように家を出させる
基本は残った両親と出ていった息子夫婦のドラマになっており、そこに小野家の隣人で鈴木家の息子とその彼女のエピソードも描かれていきます

被災地の家に残った両親の物語としては、認知症の妻としだいに悪化する原発の状況、さらに家畜の殺処分や迫る強制退避の問題を抱える父親の生きざまが描かれている
一方で出ていった息子夫婦も妊娠を機に原発の影響に過敏になっていき、同時に周りの人たちの変容もあって悩みはつきない
鈴木家の若い男女も最初こそいい加減な若者といった印象ながら、被災地の彼女の家族を捜すうちに印象が変わってくる

それぞれの生き方は極端に描かれているところはあるけど、それが「良い」「悪い」というくくりができない作りになっているのがおもしろい
「さすがにそれは・・・」と苦笑いでバカにしちゃいそうな行動なんかも、観ているうちに「いや、そうじゃないな」と思わせてくれる
観てる側を物事の傍観者の立場に誘導しつつ、「なに他人事みたいに観てるの?」とガツンと殴ってくるような作りが個人的にはよかった

ただじゃっかん過剰な演出があったり、上記のように観てる側を露骨に誘導してくるような作りに嫌な意味で「観せられてる感」がなくもない
着地点である結末もなんかちょっと「まあ、そんなとこかな」と意外性やズッシリくるものはないかな

個人的評価:75点
オススメ度:もっと生臭い話かと思ってたんだけど、ね




希望の国 予告


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2013年9月1日日曜日

マン・オブ・スティール (2013/米)

監督:ザック・スナイダー
出演:ヘンリー・カヴィル / エイミー・アダムス / マイケル・シャノン / ケヴィン・コスナー / ダイアン・レイン / ローレンス・フィッシュバーン / アンチュ・トラウェ / アイェレット・ゾラー / クリストファー・メローニ / ラッセル・クロウ / ハリー・J・レニックス / リチャード・シフ / ディラン・スプレイベリー / クーパー・ティンバーライン / リチャード・セトロン / マッケンジー・グレイ / ジュリアン・リッチングズ

滅びゆく星からひとりの赤子が地球へ送られる
超人的な異能力ゆえに幼少より悩みつつも地球で育ち、大人へと成長したクラークは同胞の宇宙船らしきものと遭遇し・・・

鋼のマンこと新生アメコミヒーローもののスーパーマン版、と微妙な下ネタっぽいものをたまには混ぜつつ書き始めてみます
海の親と育ての親、他人と明らかに違う自分の能力に悩みつつ育つ子供時代、そんな主人公が試練を乗り越えてヒーローへとなる様を描く
というドラマ性が強い新生アメコミヒーロー系な映画ではあるんですが、この作品はドラマパートよりアクション要素の方が力入ってて、じっくりストーリーをかみしめるよりガッツリアクションを楽しむタイプでしたね

子供時代の超人的な能力ゆえの苦い過去を思い出しつつ、それでも大人になったクラークは育ての親の言いつけ通りに力を(なるべく)隠して生きていた
そんなある日、氷の下に眠る宇宙船に潜入した彼はそこで自分が何者かを知ることになる
と、スーパーマン誕生の物語なんだけど、けっこうテンポよく話は進んでけっこう早い段階でおなじみのスーツ姿はお披露目されます

他人と違うこととか、本当の両親じゃないうんぬんという重い悩みについては必要以上にうじうじした部分を描いてないのはいい
前半はドラマ、後半はアクションとクッキリと分かれて描かれており、このての作品ではじゃっかん物足りなく感じるバトルシーンもじゅうぶんすぎるほど描かれてます
しょうじき個人的に今までスーパーマンをかっこよく思ったことなかったんですが、この作品で初めてかっこいいじゃねえかと惚れたわ
何はともあれこの高速バトルを「マイティ・ソー」や「ガッチャマン」は見習うべき
今なら、今ならドラゴンボールの高速空中戦闘も実写で・・・とかちょっと脳裏によぎらざるえない

ストーリーじたいも丁寧に説明台詞を途中途中で入れてきて、SFというジャンルにしてもかなり分かりやすく作られてますね
ケヴィン父ちゃんの竜巻シーンでジーンときて、軍人さんたち人類との共闘で熱くなり、超人パワーで高速動作の中でバトルするシーンに燃えまくるまさにエンターテインメントの見本みたいな一本でした

個人的評価:95点
オススメ度:バットマンさんとからんだり、これ以上の続編はやらない方がいいんじゃないかなあ




マン・オブ・スティール 予告

クロワッサンで朝食を (2013/仏・エストニア・ベルギー)

監督:イルマル・ラーグ
出演:ジャンヌ・モロー / ライネ・マギ / パトリック・ピノー / フランソワ・ブークラー / フレデリック・エポー / ヘレ・クニンガス

年老いた母親を亡くした後、働き口の紹介にあってパリにやってきたアンヌ
その仕事とは皮肉屋で気難しい老女フリーダの世話係だった

人間的にアレな雇い主の世話をするうちに、いつしか心が通じあって深い絆で結ばれて、みたいな最近で言うなら「最強のふたり」系な作品かと思いきや・・・
コミカルな要素はそんなに多くはなく、けっこうシリアス、というかシックな印象を受けましたね
男女の機微とか、大人としての対応とか、単純にガチガチに固定された記号的な性格付け設定の登場人物による、分かりやすいドラマってわけじゃない
ぶつかりあう内に心の交流が~とかそういうシンプルな内容を期待してると「むむむ?」となるかも

年老いた母親を亡くし、エストニアからパリに働き口のつてをたどってやってきた主人公のアンヌ
非常に気難しい老女フリーダの世話をすることになるが、初顔合わせから解雇を言い渡されてしまう
アンヌに仕事をもちかけた主である男ステファンの説得もあり、なんとか仕事を続けることにするが・・・という序盤の展開
基本はこのアンヌとフリーダ、そしてステファンの3人の物語になるんですが、ちょっと内容がとらえづらい気がしないでもない
そこは私が大人として3人の間柄を理解できてない、っていう点が大きいかもしれませんが、それでも作品として「分かりにくい」部類には入ると思います

特に個人的にアンヌとフリーダの関係にじゃっかん置いてけぼりをくらいました
とりあえず「おまえらいつの間になにげに仲良くなったの?」と言わざるえない
アンヌもフリーダもいい大人だってんで、子供のケンカじみた確執が生じながらも、そこは相手の気持ちをくんでの結果と行間を読めるっちゃあ読めるけど、さすがにもうちょいそこらの心の交流を築くシーンは分かりやすく入れてほしかったかなあ

それとは別にアンヌとステファン、フリーダとステファンの関係は個人的にすんなり受け入れられた
それだけにアンヌとフリーダという大骨格の部分にピンとこない部分が残ったのが理解しきれなかったモヤモヤになっちゃった感じ
とりあえずホントに「大人が観て」「察すること」が大前提な作品ゆえにかなり人を選ぶ一本だと思います

個人的評価:70点
オススメ度:もの悲しいパリ名所巡りとかある意味で新しいな




クロワッサンで朝食 予告