2015年10月26日月曜日

ギャラクシー街道 (2015/日)

監督:三谷幸喜
出演:香取慎吾 / 綾瀬はるか / 小栗旬 / 優香 / 西川貴教 / 遠藤憲一 / 段田安則 / 石丸幹二 / 秋元才加 / 阿南健治 / 梶原善 / 田村梨果 / 浅野和之 / 山本耕史 / 大竹しのぶ / 西田敏行

宇宙の幹線道路ギャラクシー街道にあるハンバーガーショップを経営するノアとノエの夫婦
そんなふたりの店に様々な宇宙人たちが来店して・・・

昭和の時代に夢描いた未来の宇宙像、はるか未来の話なのに小道具はどこか古くさいアンバランスさ
そんな世界観ならおもしろい話がわんさとあふれ出すにちがいない、という思いがつのるうちに楽しさ弾けることなく終わってしまってガッカリ
テンポの悪いベタで寒いギャグがブツ切りで、乾いた笑いすら浮かべるのが難しい
キャプテンソックスや数えるほどの些細なクスっとくる要素が超貴重
個性的なキャラたちの話が散発的に進み、連鎖的に作用してバカ騒ぎが加速していくでもなく、なんとも総じて微妙なままに過ぎ去っていく
このセンスが理解できない私が悪い、と言われればそれまでだけど、個人的にはノリきれなかった残念な作品でした

個人的評価:30点
オススメ度:オチが先読みできすぎるギャグの痛々しさ



ギャラクシー街道 予告

トランスポーター イグニション (2015/仏)

監督:カミーユ・ドゥラマーレ
出演:エド・スクレイン / レイ・スティーブンソン / ロアン・シャバノル / ガブリエラ・ライト / タチアナ・パジコビク / ウェンシャ・ユー / ラシャ・ブコビッチ / レン・クダジャビスキ / ノエミ・ルノワール

運び屋のフランクは退職した父を家へ招いた日、新たな仕事の依頼の連絡をうける
しかし依頼主は早々に契約を破り、父を人質にフランクを利用しようとするのだった

主人公を交代し、新たなシリーズを開始するためのオープニング作品的な意味合いが強い内容でしたね
新主人公とその父親のキャラ紹介、そして今後の展開を期待させる要素を盛り込んだパイロット版みたいな感じ
依頼人の企てに利用され巻き込まれる主人公という立場で、状況と先行きが見えない不安さを観ている側は主人公と共有することでうまく感情移入させようと誘導している
魅力的な父親の存在と、親子それぞれの過去をチラつかせることで続編への種まきまでしている周到さ
アクション面においてもカーアクションはもとより、銃を使わない己の肉体と、その場のオブジェクトを利用した戦いもいい感じ
ただ、それらの作り手側の狙いがホントにあざといくらい作品から見えすぎてるのは冷める
あと運転中のフランクの顔のアップを多用するのもちょっと鼻につく
とりあえず次の展開が楽しみになるという意味では成功しているかもしれない一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:意外に主人公交代に違和感がない不思議



トランスポーター イグニション 予告

2015年10月25日日曜日

ヴィジット (2015/米)

監督:M・ナイト・シャマラン
出演:キャスリン・ハーン / ディアナ・デュナガン / ピーター・マクロビー / エド・オクセンボールド / オリビア・デヨング

祖父母の家へ一週間のあいだ泊まりにいくことになった姉弟たち
そこで母の過去と祖父母の関係をカメラにおさめようとするが・・・

もう監督みずから「もう騙されている」みたいなこと言っちゃうから、また無駄に期待値だけ上がりまくった末のガッカリ感ただようトリックだよ
と思わせることじたいが計算の上だった、のかちょっと気になる内容でした
ネタバレはしない方向で書くのはつらいけど、疑いをもった目で観ていると露骨に真相にむすびつくヒントが段階的に提示されているのが分かる
で、けっこう序盤のヒントで答えは分かっちゃうんですよね
そっからはもう消化試合のごとく冷めた視線で、ちょっとした落胆気分のまま話につき合うことに
だけどそんな期待はずれ感の負の感情の積み重ねの「まあ、そうだよね」という果て、その先のクライマックスに一気に心象が逆転せざるえない
子供たちの子供たちらしい無邪気さ、好奇心、恐怖に見入った一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:さすがにエンドクレジットは雰囲気ぶちこわし



ヴィジット 予告

メイズ・ランナー2 砂漠の迷宮 (2015/米)

監督:ウェス・ボール
出演:ディラン・オブライエン / カヤ・スコデラーリオ / トーマス・ブロディ=サングスター / キー・ホン・リー / パトリシア・クラークソン / ジェイコブ・ロフランド / ジャンカルロ・エスポジート / エイダン・ギレン / バリー・ペッパー / リリ・テイラー / ロサ・サラザール

迷宮を抜け出しWCKDの魔の手から逃れたトーマスたちは、救出者とともにある施設へ移送される
そこで新生活を迎えようとする中、他の迷宮からのきたエリスによってトーマスは施設にある怪しい部屋について知ることになる

これがテレビドラマなら見応えや一話ごとにめりはりがあって盛り上がったんだろうけど、どうにも通して観ると一本調子感が強い気がする
なんとなく追われるままに逃げてるだけで、世界が広がった分だけ中身も漠然としてる印象
内容も思った通り、この手の話にありがちな起承転結の転となる「さあ、いよいよ次はこっちの番だぜ」という感じ、なのはいいとしてもあまりにそんな作り方が露骨すぎ
荒廃した世界のビジュアルや、緊張感をあおるアクション、インパクトのある化け物じみたクランクの見た目、抜き出せばすごい良い素材ばかりなのに、それらの見せ方がちょっと単調かも
なにも考えず、資金と技術力にものを言わせたパワープレイに頼りすぎてる気がする一本でした

個人的評価:65点
オススメ度:世界観の背景にある設定部分をもっと描いてほしかった



メイズ・ランナー2 砂漠の迷宮 予告

2015年10月19日月曜日

ジョン・ウィック (2014/米)

監督:チャド・スタエルスキ
出演:キアヌ・リーブス / ミカエル・ニクビスト / アルフィー・アレン / ウィレム・デフォー / ディーン・ウィンタース / エイドリアン・パリッキ / オメル・バルネア / トビー・レナード・ムーア / ダニエル・バーンハード / ブリジット・モイナハン / ジョン・レグイザモ / イアン・マクシェーン / ブリジット・リーガン / ランス・レディック / ランダル・ダク・キム / デビッド・パトリック・ケリー / クラーク・ピータース / ケビン・ナッシュ

愛する妻を失った直後、悲しみに沈むジョンのもとに彼女のメッセージとともに一匹の子犬が届く
その最期の贈り物とともに暮らすジョンだったが、ある日、車を狙った強盗団が家に押し入ってきて・・・

久しぶりのこの感覚、劇場を出るひととき、主人公のジョンになったつもりで歩きだしてる自分に酔う
鉄仮面のごとく冷めた表情とたたずまいのジョンの通常時と激しい戦いの温度差にたまらなく引き寄せられる
仕事周りの設定や登場人物も主張しすぎず足らなすぎずで主人公を上手に引き立てながらも、いい感じで世界観をかためてる
単にクールキャラが激しいバトルをすることでのギャップをみせるだけでなく、アクションの中にも華麗さと泥臭さの緩急があって飽きることがない
けっこう豊富なアクションバリエーションがあって、単調にバンバンぶっぱなすだけの派手さでごまかすことがないのはいいですね
文字通りのカーガンアクションとか観てて男との心が「うっひょー」となるのを押さえられない一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:いろんな意味で不可能と言われたことを可能にするジョンに惚れざるえない



ジョン・ウィック 予告

2015年10月18日日曜日

ダイバージェントNEO (2015/米)

監督:ロベルト・シュベンケ
出演:シャイリーン・ウッドリー / テオ・ジェームズ / オクタビア・スペンサー / ジェイ・コートニー / レイ・スティーブンソン / ゾーイ・クラビッツ / マイルズ・テラー / アンセル・エルゴート / マギー・Q / ナオミ・ワッツ / ケイト・ウィンスレット / スキ・ウォーターハウス

5つの派閥で形成された世界、逃亡生活を続けるトリスとフォーたちは「平和」の土地へ流れ着く
しかし、そこへも彼女たちを追う武装した兵士たちが現れ・・・

NEOとかいうダサさと、一見してシリーズ2作目と分かりづらい二重の意味で問題があるとしか思えない邦題
そんな微妙さに負けず劣らず作品じたいもパッとしない印象が強い
場面展開は早いし、画面的には派手でストーリーもそこまで悪くはないのに、なんというかキャスト的な問題なのか地味さがぬぐえない
いちばん目に付く登場人物がピーターだといっても言い過ぎじゃないかもしれん
内容も前作とセットとして成立する感じで、さらなる続編があると考慮すると、1、2通して観ることでいい具合に「俺たちの戦いはこれからだ」エンドになってる
けっしてつまらい作品じゃないんだけど、海外ドラマ以上映画作品未満という雰囲気がする一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:なんかシリーズものって、こういう箱庭実験みたいなノリが好きだよね



ダイバージェントNEO 予告

アデライン、100年目の恋 (2015/米)

監督:リー・トランド・クリーガー
出演:ブレイク・ライブリー / ミキール・ハースマン / キャシー・ベイカー / ハリソン・フォード / エレン・バースティン / アマンダ・クルー

年をとることのない体のアデラインは名前をかえて生活していた
新年を祝うパーティに出席した彼女は、そこでひとりの男性と出会い・・・

思っていた以上にファンタジーな内容でしたね
年をとらないがゆえの悩みを抱えながらも、特別な男性と出会って変化していく物語ってのは日本人の好みにあう内容かもしれない
ただちょっと逃げるように暮らす日々の理由がドラマティックさにかける気がする
ラストの展開もそのファンタジーさにけっこう賛否わかれる感じがして、個人的に別の方向へクライマックスは向かってほしかった
あとナレーションが物語に没入するには邪魔な感じで、いちいち言葉で説明しないで画面に映して察しさせてくれたほうが気持ちよかった

個人的評価:70点
オススメ度:間際の犬のしっぽふりとか細かい演技の部分はいい感じなのに



アデライン、100年目の恋 予告

探検隊の栄光 (2015/日)

監督:山本透
出演:藤原竜也 / ユースケ・サンタマリア / 小澤征悦 / 田中要次 / 川村陽介 / 佐野ひなこ / 岡安章介

落ち目の俳優の杉崎は、探検サバイバルという番組の撮影で南の島へきていた
役作りに余念のない杉崎だったが、現地での撮影スタッフたちはいきあたりばったりのテキトーな対応で・・・

マジメにバカをやる男たちの姿がホントに楽しい
劇中劇としての探検サバイバルという番組の撮影風景、そしてこの映画そのものがシンクロする感じで楽しんで作ってる感が伝わってくる
トカゲを食べるシーンや、ところどころで映画としての演技と素の境界があいまいになるのもおもしろい
過剰演出に緊迫感をあおる番組シーンと、実際の撮影風景のギャップだけでもじゅうぶんに笑えて、邦画でもこういう本気でバカをやる作品が観れて満足
やらせ感ドーンな内容ながら自然に気持ちよく笑える一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:藤原竜也のはまり役っぷりがトゥルース



探検隊の栄光 予告

2015年10月12日月曜日

ファンタスティック・フォー (2015/米)

監督:ジョシュ・トランク
出演:マイルズ・テラー / ケイト・マーラ / マイケル・B・ジョーダン / ジェイミー・ベル / トビー・ケベル / レグ・E・キャシー / ティム・ブレイク・ネルソン

物質の転送装置を研究するリードとその親友ベン
ある日、バクスター財団から声をかけられたふたりは、スーとビクターという新たな仲間を加えて研究を進めるのだった

前日話としてのテレビドラマ版みたいなノリの序盤がしょうじきダルイ
この映画に求める方向性によって楽しめるかどうか変わってくるだろうけど、多くの人はやっぱりヒーローアクションを期待してるんでしょうね
で、フタをあけたらヒーロー誕生話だった、と
作ってる方もさすがにやばいと思ったのか、さすがにクライマックスはアクション的に盛り上がるけど、かえってそれが前半のドラマとかみあってない印象が強い
丁寧に描いた友情や愛情、そのすれ違いというどろっとした部分が置いてけぼりな感じの、クライシス&バトルというすかっとした雰囲気に変容する様に違和感
なんか色々と確執ありながら「これが運命だよね」とまとめられても困惑せざるえない

個人的評価:65点
オススメ度:まさかのおまけ映像なしも逆に新鮮かもしれん



ファンタスティック・フォー 予告

マイ・インターン (2015/米)

監督:ナンシー・マイヤーズ
出演:ロバート・デ・ニーロ / アン・ハサウェイ / レネ・ルッソ / アダム・ディバイン / アンダース・ホーム / ジョジョ・カシュナー / リンダ・ラビン / ジェイソン・オーリー / ザック・パールマン / アンドリュー・ラネルズ / クリスティーナ・シェラー

妻に先立たれ仕事も退職し、気ままに暮らす日々の中にも寂しさを感じるベン
そんな時、シニアインターンの募集を目にし、若き女性社長ジュールズの会社へ再就職するのだった

若くて女性の社長、という記号的なキャラに対し、人生経験豊富なジジイが化学反応をおこす引き金になる
というほどベンはジュールズや会社にとって刺激と副作用の強い存在ではなく、自然に溶けあう感じでなじんでいく様が心地いい
主人公ふたりの関係も激しい衝突や感情のぶつけあいがあるでもなく、コーヒーに注いだミルクのごとくなめらかに進展していく
なんだかんだ精力的なベンが周りとうまくやっていく様は安心して観ていられて楽しいけど、人生に悟りすぎてることで問題が大きく発展しない低刺激感は否めない
メールを削除しにいくシーンのような突拍子もない展開は盛り上がるけど、そんなことばかり期待しているとふんわり自然と幕をとじるラストに物足りなさを感じるかもしれないですね

個人的評価:75点
オススメ度:お茶とお菓子を用意して、まったり素敵な登場人物たちのかけあいを楽しむ室内映画かも



マイ・インターン 予告

2015年10月11日日曜日

図書館戦争 THE LAST MISSION (2015/日)

監督:佐藤信介
出演:岡田准一 / 榮倉奈々 / 田中圭 / 福士蒼汰 / 西田尚美 / 橋本じゅん / 土屋太鳳 / 松坂桃李 / 栗山千明 / 石坂浩二 / 中村蒼 / 鈴木達央

本をめぐる図書隊と良化特務機関との果てない戦いが続く日本
図書隊に茨城県展の警備依頼がある中、未来企画なる集まりの謀略の手が伸びようとしていた

覚悟はしていたけど観ててこっぱずかしくなる恋愛要素に、「おまえら中学生の恋愛ごっこか」とつっこむのは無粋なんでしょうね
同様に主人公補正で弾丸の雨の中もひょいひょいすりぬけたり、死と隣り合わせの緊張感が気迫なのもつっこんじゃいけないのかもしれん
あくまで「邦画にしては」というフィルターにおいて、その戦闘シーンは見応えがあり、今作では銃撃戦の単調さの中にも格闘やスニーキングの味付けがいきてて楽しめた
それでもどうしても命や歪んだ世界、護るもの、使命や意志が作品の内容としてうすっぺらく思えてしまう
とりあえずまとめるためにそれっぽい描写やテーマをだしておこう、みたいなあざとさがあざといままに感じられるのがもったいない

個人的評価:65点
オススメ度:手塚(兄)に悪役の魅力を感じられない



図書館戦争 THE LAST MISSION 予告

先生と迷い猫 (2015/日)

監督:深川栄洋
出演:イッセー尾形 / 染谷将太 / 北乃きい / ピエール瀧 / 嶋田久作 / 佐々木すみ江 / カンニング竹山 / 久保田紗友 / もたいまさこ / 岸本加世子

町の人たちから校長と呼ばれるひとり暮らしの老人
そんな彼の家へ迷い込んできた野良猫を見るたびに亡くした妻のことを思いだし、追い払おうとするのだった

周囲と距離をおく偏屈なじいさんが、ある接点を介してじょじょに人々とうちとけていく
というパターンの内容の接点=猫にしてみました、みたいな内容が容易に想像できるけど、そんな「分かってるけど」という安心感を観る作品ですね
話も描写もすごい分かりやすいし、わりと猫萌え要素もふんだんにあるので、世のおっさんおばさんも何も考えずに楽しめます
なにより主人公の偏屈なだけじゃないとぼけた部分も魅力的ですね
冒頭のパン屋のシーンや、死を口にする少年、校長のふんぞり返り、そこら辺の作品内での処理の仕方も丁寧でいい
優しさと安定感だけでなく、カッターや痴呆症っぽいおばあちゃんの存在がほどよい不安をちらつかせ、最後まで退屈することはなかった

個人的評価:75点
オススメ度:観た人のほとんどが「肉球」とつぶやかざるえない



先生と迷い猫 予告

2015年10月7日水曜日

バクマン。 (2015/日)

監督:大根仁
出演:佐藤健 / 神木隆之介 / 小松菜奈 / 桐谷健太 / 新井浩文 / 皆川猿時 / 宮藤官九郎 / 山田孝之 / リリー・フランキー / 染谷将太

高校生の真城は同級生の高木にノートのスケッチを見られたことから、いっしょにマンガを描かないかと誘われる
乗り気ではなかった真城だが、気になる女子の亜豆の前で高木がマンガ家になる宣言をしたことで意欲をだすのだった

知っていればニヤリとできるマンガネタはもちろんあるけど、オタクくささはそれほどない
それでいてキャスト萌えなひよったスイーツドラマというわけでもなく、純粋に映画作品としておもしろかった
マンガについて特に知識がなくてもじゅうぶんに楽しめる間口の広さと、主人公周りを堅牢にかためる役者さんの演技が、個人的に失礼ながら「どうせ色物のネタ映画だろ」と思っていたイメージを完全に吹き飛ばしてくれました
少年マンガ的な熱い部分を芯に、冷徹で現実的な部分におちいりすぎないのもいい
友情、努力、勝利という要素をみごとに映像化していて、おとぎ話と鼻で笑うでなく、そうと分かっていて身をゆだねるのが心地いい一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:まあ、でもエンドロールはこだわりすぎてて見にくいわな



バクマン。 予告

2015年10月5日月曜日

ドローン・オブ・ウォー (2014/米)

監督:アンドリュー・ニコル
出演:イーサン・ホーク / ブルース・グリーンウッド / ゾーイ・クラビッツ / ジェイク・アベル / ジャニュアリー・ジョーンズ

無人攻撃機を操ってアメリカ本国の基地から、遠く離れた敵地で目標を爆撃する任につくトーマス
元パイロットの彼は実際に現地で実機に乗りたいと切望するのだが・・・

戦場から遠く離れたクーラーのきいた安全快適な部屋から、液晶画面ごしに目標に向かってトリガーを引く
そんな行為に葛藤する主人公の様を戦争も戦場も知らない快適環境で映画として観る日本人の私
この映画がなにを伝えたいのか、主人公の心をどうくみ取ってあげればいいのか、安易に語るにはおこがましい
しょうじき言うとこの映画を観ても、個人的に人の命のなんたらを感じることはない不感症っぷりに自分でも戸惑わされた
けっきょくのところ人を殺してるだけ、という気持ち悪さだけが残るけど、時折うつる液晶画面に反射した自分の顔を見つめるにはいい作品かもしれないですね

個人的評価:80点
オススメ度:個人的に知識としてではなく、感覚として分かるのは無理なのかもしれん



ドローン・オブ・ウォー 予告

岸辺の旅 (2015/日)

監督:黒沢清
出演:深津絵里 / 浅野忠信 / 小松政夫 / 村岡希美 / 奥貫薫 / 赤堀雅秋 / 千葉哲也 / 藤野大輝 / 松本華奈 / 石井そら / 星流 / いせゆみこ / 高橋洋 / 深谷美歩 / 岡本英之 / 蒼井優 / 首藤康之 / 柄本明

瑞希の前へ3年ぶりに夫の優介が現れ、自分が死んでいると伝える
そして彼はきれいな場所を見せると言って、お世話になった人たちのもとをたどる旅にでようともちかけてくる

死者が生者の世界に干渉しつつ存在する世界観に、死んだ者のルールみたいな線引きがあるんじゃないかと終始ひっかかる
うがった見方をして、変な深読みをさせるそんな作りは狙いのうちなんですかね
ともあれ目的地へ順路通りにたどる旅はよくある話だけど、折り返しの帰路を逆にたどる構成はおもしろい
いろんな意味で旅に出る前にふたりともうっすら答えは出てるんだけど、あえて迷い傷つくのを承知でキッチリとした答えに向かい合っていく様にひかれる
まあ、ちょっと旅の回りくどさは感じるけど、ここまでの過ぎた時間と人としての経験値があっても難しいことなんだろうな、と思う

個人的評価:75点
オススメ度:奇をてらった仕掛けがあるんだろ、と疑って観てた自分の姿勢は正解なのかも



岸辺の旅 予告

2015年10月4日日曜日

パパが遺した物語 (2015/米・伊)

監督:ガブリエレ・ムッチーノ
出演:ラッセル・クロウ / アマンダ・セイフライド / アーロン・ポール / ダイアン・クルーガー / クワベンジャネ・ウォレス / ブルース・グリーンウッド / ジャネット・マクティア / カイリー・ロジャーズ / ジェーン・フォンダ / オクタビア・スペンサー

事故により精神病院へ入院することとなったジェイクは、幼い娘のケイティを親戚にあずけることになる
そして退院した彼は娘を引き取りにいくが、そこで養子の話を持ち出され・・・

そして25年後、って唐突に時間がぶっとんで雰囲気が一変するノリなパターンでもなく、自然に二重構造へ流れていって最初は戸惑った
退院後のジェイクと25年後のケイティの話が並行して進み、状況がリンクしつつの結末に期待せざるえない
だけど、なんていうか良い話ではあるけど物語的な感情を強制的に揺り動かす感動話じゃないんですね
現実なんてこんなもん、というほど冷めてはいないけど小説の中の物語ではない現実のことなんだよ、みたいな部分がおもしろい
泣かせてやろうというあざとさがないという点ではいいんだけど、それでもやっぱりなにか強烈に後に残るなにかが足りない気がするのは否めない

個人的評価:75点
オススメ度:肉体関係に潔癖な人にはむいてないかもしれんね



パパが遺した物語 予告

屍者の帝国 (2015/日)

監督:牧原亮太郎
出演:細谷佳正 / 村瀬歩 / 楠大典 / 三木眞一郎 / 山下大輝 / 花澤香菜 / 大塚明夫 / 菅生隆之

死んだ人間を使役する屍者技術が発達した世界
ワトソン博士は屍者のフライデーをつれ、ある使命をはたすべく旅をしているのだった

珍しくも原作は読んでいる、という状況で鑑賞したんですが、なんというか私が読んだ本とは別ものな印象しかしない
原作との比較による善し悪しうんぬんは野暮ってことで、そこら辺は気にしないことにするとしても、せっかくワトソンやらフランケンシュタインやら耳に馴染みのあるキャラが出てきてるのにあまりいきてない感じ
しょうじき登場人物の名前を別に置き換えても、この作品が成立しちゃうんじゃないかと言わざるえない
けっきょく手記にたずさわった者たちと主人公の対比みたいなシンプルな内容に、「魂がー、魂がー」とふわっとして煙に巻くような要素をまとわせて、なんか高尚で厚みのあるもののように見せかけられてるような・・・
なんか頭の回転の弱い私のようなものが多く語るのはアレだけど、個人的には思ったよりうすっぺらい内容に受け取れた一本でした

個人的評価:60点
オススメ度:新しい相棒のオマケ映像とか完全に蛇足だわ



屍者の帝国 予告