2014年1月27日月曜日

ヌイグルマーZ (2013/日)

監督:井口昇
出演:中川翔子 / 武田梨奈 / 市道真央 / 北原帆夏 / 高木古都 / ジジ・ぶぅ / 藤榮史哉 / 今泉ちえこ / 八幡愛 / 高田莉沙 / 坂本亜里沙 / 平岩紙 / 斎藤工 / 猫ひろし / 山寺宏一 / 阿部サダヲ

両親を亡くした夢子は姉の家に居候するが、姉の娘である響子とうまくいかない
そんな中、響子の誕生日プレゼントの手作りテディベアに綿状生命体が宿り・・・

誰もが想像する通りのバカ映画で、中川翔子もしくは特撮(バンドの方ね)に興味ない人にとってはクソB級以下の超絶クソZ級映画でしかないでしょうね
この手の作品ではストーリーに期待するのはアレなんですが、しょうじきクソB級特性があってもこの話はクソすぎる
ツッコミがいのある、ある意味で素敵なクソストーリーならまだしも、これはさすがに破綻しすぎでどうにもこうにも・・・

ある少女たち一家がゾンビに襲われた!
そこへかけつける夢子はヌイグルマーとなってゾンビをけちらし、少女を救う!
そこで夢子はこの世界がこんなになってしまった話を自分の過去、ヌイグルマーとして戦うことになった経緯に重ねて語り出すのだった!
けど、最後まで観れば分かるけど、まったくこの冒頭に話がつながらないという内容です
その場の思いつきで作ってるんじゃねえのか、と思わざるえない

中途半端で寒いギャグ、中途半端にトラウマを抱えたダークなドラマ、中途半端な特撮(バンドじゃないテレビの方ね。ホントに紛らわしいわあ)、中途半端なアクション、中途半端なCG、それらが突き抜けて笑えるクソB級映画になってればよかったけど、その点も中途半端
破綻しまくりなストーリー&ビッチすぎる響子にイライラしっぱなしですわ

中川翔子ファン、もしくは大槻ケンヂファンならかろうじておもしろい要素を見いだせるレベル
個人的には特撮の楽曲が劇場の音響設備で堪能できた点だけが満足で、そう多くはないものの曲が流れてくるたびに盛り上がる
「マリリン・マラソン」とか「うおぉぉぉ!」ってなりましたね
でもあの曲もこの曲も聴きたかったってのがあるのは確か
とりあえず映画じたいがこんなんだからシーンとか無視して、バンバン特撮の曲を流してくれればよかったのに
特に個人的に「アベルカイン」が流れないのは残念

と、映画としてはクソB級映画としての素敵さもない、ホントにどうしようもない一本なので、ファン以外は手を出すと大火傷じゃすまないかもしれません

個人的評価:50点(特撮ファンとして)
オススメ度:片腕マシンガールが2号になるのかと思ってたのに




ヌイグルマーZ 予告

オンリー・ゴッド (2013/デンマーク・仏)

監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
出演:ライアン・ゴズリング / クリスティン・スコット・トーマス / ビタヤ・パンスリンガム / ラター・ポーガーム / ゴードン・ブラウン / トム・バーク / ヤヤ・イン

バンコクでムエタイのジムを経営する裏で麻薬売買をするジュリアンとその兄
ある日、兄の殺されたことで復讐に乗り出すジュリアン、そこへ母親も同じ思いで彼のもとにやってくる

なんというか観念的というか幻想的というか、ホントに頭の中に浮かんだ映画のイメージをそのまま映像化したような作品ですね
そういう意味で純度がかなり高くなっていて、この世界観にハマれるか否か大きく分かれると思います
おもしろい人にはトコトンおもしろい、だけど逆もまた然りという感じ

ムエタイの試合の裏でなにやら黒いビジネスに手を染めている主人公
娼婦を買いにいくも、現場でレイプ後に殺害してしまう男
殺された娼婦の親は警察に呼ばれ、娘の死体と犯人の男がいる部屋に通される
犯人の男を殺した親は警官に腕を切り落とされて罰せられる
その犯人こそ主人公の兄であった
・・・ととにかく抽象的なビジュアルな中でバイオレンス描写を交えつつ、話が箇条書きのように展開していきます
そんなちょっとずつ与えられる情報を追っているうちに、話の全体像が見えてくる、という作品

難解系というより世界系に近い感じで、この雰囲気と容赦ないバイオレンスっぷりが肌に合えば最後の最後まで楽しめる
逆に開始数分で「あ、ダメなやつだ」と思ったなら最後まで観ても苦行なだけでしょう
どことなく北野武作品みたいなところもある、かな
描き方が独特な映画というだけで、そう難しい内容じゃないんでストーリー的に混乱することはないですね

とにもかくにも主人公が何を考えてるのかつかみ所がないのが魅力で、そこら辺を追う感じで観ていけば終盤の母親がジュリアンについて語るセリフで「そういうことね」とあるていど理解できる(と言っていいのかわからんけど)でしょう
あとは半袖警官の無口なセガール先生ばりの存在感に酔いしれてればあっという間にラストまで楽しめます

ということで、ホントに個人的にはすっごいおもしろい映画でしたが、個性&アクが強すぎる感は否めない、そんな一本でした
確実に一般受けはしないと思うわ

個人的評価:100点
オススメ度:こんなん作って、ビジネス的に次作とか大丈夫なんかな




オンリー・ゴッド 予告

2014年1月26日日曜日

黒執事 (2013/日)

監督:大谷健太郎 / さとうけいいち
出演:水嶋ヒロ / 剛力彩芽 / 優香 / 山本美月 / 大野拓朗 / 栗原類 / 海東健 / ホラン千秋 / 丸山智己 / 城田優 / 安田顕 / 橋本さとし / 志垣太郎 / 伊武雅刀 / 岸谷五朗

東と西に大きく分断された世界、幻蜂家の若き当主の清玄は悪魔の執事セバスチャンとともに女王の命にそって行動していた
そんな中、清玄に大使館員の連続ミイラ化事件の早期解決がオーダーされる

原作はかなり有名な作品ながら、そこはにわかっぷりを発揮して個人的に未読なわけで
ちょっと調べてみたら、どうやら映画版はオリジナルストーリーということなんで鑑賞してみよう、と
そうはいってもちょっとは原作とリンクしてる部分もある、のかな?
思ったよりスイーツっぽい雰囲気は抑え目で、ミイラ描写とかけっこうダークな面あり、見応え十分な殺陣ありと娯楽作品としても普通に楽しめました

世界は大きく西と東に分かれ、西側に君臨する女王とそれに対する東側という図式になっていた
女王の命によって動く「女王の番犬」幻蜂家の若き当主、清玄伯爵は常に悪魔の執事セバスチャンと共に行動している
ある日、要人たちが生きた状態から急速にミイラ化する事件が発生し、清玄にその早期解決の命令が下される
というストーリーで、いきなり冒頭から言葉で作品の設定が語られ始めた時はじゃっかんイヤな予感がしたのは確か

まあ、だけどそんなイヤな予感もスタイリッシュな殺陣が展開されたことで杞憂に終わり、すんなり作品に入っていくことができました
序盤は清玄とセバスチャン周りの説明的なシーンが多いものの、けっこうストーリーの展開も早くて飽きない
だけど中盤以降、個人的にだけどじゃっかん話の展開のテンポが崩れてきてる気がしないでもない

作品全体の勢い的な部分でだんだん息切れしていってる印象で、もうちょい最後までシャープに洗練した作りにしてくれれば個人的にはもっと楽しめたかも
中途半端に続編を狙ってる感ありありな登場人物・場面の描写もちょっと鼻につく
それでも見応えじゅうぶんなアクションシーンと、けっこうハマってるキャストたちの存在を追ってるだけでも、良い意味で「普通に」娯楽作品としておもしろい

と、一部では剛力さんの評判がアレですが、ドラマ「私の嫌いな探偵」での扱いも含め、やっぱり出演者さんは使いどころによるってのが大きいと感じた一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:セバスチャン、悪魔的に変身とかしないのね




黒執事 予告

小さいおうち (2014/日)

監督:山田洋次
出演:松たか子 / 黒木華 / 片岡孝太郎 / 吉岡秀隆 / 妻夫木聡 / 倍賞千恵子 / 橋爪功 / 吉行和子 / 室井滋 / 中嶋朋子 / 林家正蔵 / ラサール石井 / あき竹城 / 松金よね子 / 螢雪次朗 / 市川福太郎 / 秋山聡 / 笹野高史 / 小林稔侍 / 夏川結衣 / 木村文乃 / 米倉斉加年

亡くなったおばあちゃんのタキの家から見つかったノートに書かれた自叙伝
そこには若い頃に東京で女中奉公していた頃の出来事が主に書かれており・・・

昭和の初期、戦争という社会的な背景の中で、女中として働く主人公がその奉公先の奥さんと仲良くなってなんたら
基本的に特になんてことはない日常を描いていて、そこで実際に生きていた人間の自叙伝としては深いけど、やっぱりそれを読まされる(みせられる)側としては退屈かなあ
いや、まあ、たぶん他人からみればどうでもいい、けれど本人にとっては大問題というそんな個人的な部分を察して楽しむ作品なんだろうけど・・・

タキおばあちゃんの亡くなった家から見つかった一冊のノート
そこには若い頃に東京のモダンな家に女中として働いていたことが主に書かれていた
平井家につとめ、その家の内情を客観的に知っていく中、奥さんの秘めた恋愛問題に悩んでいく、と
とにかく本題に入るまでが長い
そして本題に入ってからも長い
全体的にかなりスローテンポで丁寧に描いている、といえばそうなんでしょうが、個人的にはもうちょいコンパクトにまとめてくれた方が楽しめたかも

ちょいちょいゆるいコメディ調なところや、役者さんの個性を出した見所はあるんだけど、どうにもやっぱり眠気がおそってくるくらいに展開がスローリー
かといって本題そのものは単純そうで奥深い、心にじんわりと染みる感じでおもしろい
だからこそホントに個人的にもったいない
上品な一品料理、それをすごく高級そうな場所で出されたイメージで、見た目からちょっと薄味そうで実際にそうなんだけど、雰囲気で「おいしいかな?」って言っちゃいそう・・・って、またよく分からない例えしかできないけど、そんな感じの映画

ゆったり低刺激、それなりな深みもあって心にしみる良い話
そんなスローテンポな作りが好みな人ならすごい楽しめる一本かもしれません

個人的評価:60点
オススメ度:タイタニックってそんなに眠いのか、と邪推してみる




小さいおうち 予告

2014年1月20日月曜日

エンダーのゲーム (2013/米)

監督:ギャビン・フッド
出演:エイサ・バターフィールド / ハリソン・フォード / ベン・キングズレー / ビオラ・デイビス / ヘイリー・スタインフェルド / アビゲイル・ブレスリン / アラミス・ナイト / スラージ・パーサ / モイセス・アリアス / カイリン・ランボー / ノンソー・アノジー / コナー・キャロル / ジミー・ジャックス・ピンチャク / スティーブ・レイ・ダリモア / アンドレア・パウエル

未来の地球では異星人による侵攻にあった教訓から、次なる攻撃に備えて子供たちを艦隊指揮官として訓練していた
エンダー・ウィッギンはその秘められた実力を買われて大いなる期待のもとに訓練生としてむかえられる

とりあえず何が「禁断のサード」だったのか読みとれなかった私は、どこか重要なシーンを見落としたんですかね
それはそれとして、設定からなにから全体的に小さくまとめすぎて、作品じたいがちっちゃくなっちゃてる印象がしました
ホントに主人公の半径数メートルの世界だけ、しかも表層的な部分のみを描いてる感じでどうにもちっさい作品

エンダーくんはなにか家庭の事情を抱えてて、どうにか異星人と戦う艦隊に配属されて人生的に成功しなくちゃとがんばっている
そんな事情はどうでもいいとして、とりあえず戦術の才能を見いだされたエンダーくんは艦隊指揮官訓練生として訓練&下克上な日々にいそしむこととなる
ライバルやらイヤな奴、友人、気になる異性と出会いつつ様々なバトル訓練で才能を開花させてゆく、と
まあ、スペースハリー・ポッターみたいな感じで

しょじき主人公はエヴァのシンジくんとダブる部分があるけど、子供っぽい所と大人以上の悟った所をあわせ持つキャラクターは魅力的でおもしろい
というかこの作品でおもしろく感じたのは、そんな主人公の存在だけでしたね
ストーリーも好みといえば好みなんですが、いかんせん尺的にも技術的にも作品として描ききれてないかなあ、と

主人公の周囲以外の状況描写が壊滅的で、世界がどう動いているとか、敵の異星人がどう動いてるとか、艦隊がどんな事情になってるのか、という外堀に触れないってどうよ
しょうじき訓練生以外の艦隊の人間にしたって主人公に頻繁にからんでくるハリソン・フォード、一緒にいるおばちゃん、黒人軍曹くらいしかいない印象(終盤にはもうちょい増えるけど)
設定、主人公の内面についても説明不足な感じがするし、この話と世界を描ける力量があるか否かは別にしても、少なくても前後編くらいに分けて作った方がよかったんじゃなかろうか、というくらい尺足らず&ダイジェスト感がした一本でした

個人的評価:60点
オススメ度:いっそテレビドラマでやればいいのに




エンダーのゲーム 予告

バイロケーション (2013/日)

監督:安里麻里
出演:水川あさみ / 千賀健永 / 高田翔 / 滝藤賢一 / 浅利陽介 / 酒井若菜 / 豊原功補

画家を目指しコンクールのために絵を描いている忍
夫とともに生活を続ける中、もうひとりの自分と遭遇し・・・

途中までは「いつもの穴だらけのJホラーか」と観てたけど、オチが分かれば「ああ、うん・・・そういうこと、なの?」となりますね
劇中で説明された通りのことは分かる、だけど、なんか意図された伏線に細かいツッコミどころが混ぜ込んであるような感じがしないでもない
伏線だったって言えばそうかもしれんけど、みたいなスッキリしない感が残ります

画家を目指して作品を描く忍は、同じマンションの下の階に引っ越してきた高村と出会い、それを機に結婚に至る
新婚生活を続ける中、スーパーでニセ札を使った疑いで警察に通報された忍は、防犯カメラに映るもうひとりの自分に困惑する
かけつけた刑事はそんな忍の状況を理解している様子で、彼女をある館へ連れていくのだった
という展開の中、バイロケーションと呼ばれるもうひとりの自分の存在が現れていることを知り、同じ問題を抱える仲間たちと~みたいな内容

もうひとりの自分、どっちが本物でどっちがバイロケかってのが見所なんですが・・・
鏡が鍵になって見分けるって点が重要なファクターになってるものの、逆に大きな足かせにもなってる感じ
所々で「いや、鏡つかえばいいじゃん」と思える展開があるし、実際にそうするのが自然な流れなんだろうけどそうしない登場人物たちに観ていてイライラする
そうなんだけど、話としては鏡を使った方が自然だと分かってるんだけど、作品としてはあえて鏡を使用しないことでこれ以上に映像的に複雑になるのを防いでもいる、ということも最後まで観れば理解できる

そういうストーリーとしてのほころびの部分があえてなのか、作ってる方もわけわかんなくなったゆえなのか、ってのが判別しづらい
普通に観てても混乱しがちな作品の中、明らかに伏線でしたと分かる違和感は受け入れられるんだけど、どうにもそれだけじゃないツッコミどころがある気がするんですよね
って感じで最後まで観てもけっきょくスッキリしない感情が残る、と

話としては大まかには理解できるんで、あまり深く考えずに「差違はない」と言葉で単純化してしまえばいいんですかね
とりあえず裏でもういちど観直せば、このモヤモヤも解決するのかなあ、って思わざるえない一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:着てるものも副産物に入るだろ、とエロい方面を期待しちゃダメなんですね




バイロケーション 予告

2014年1月19日日曜日

ウォールフラワー (2012/米)

監督:スティーブン・チョボウスキー
出演:ローガン・ラーマン / エマ・ワトソン / エズラ・ミラー / メイ・ホイットマン / ジョニー・シモンズ / ポール・ラッド / ケイト・ウォルシュ / ディラン・マクダーモット / メラニー・リンスキー / ニーナ・ドブレフ / ジョーン・キューザック

高校生になったチャーリーは友達もできずにひとりで日々を送っていた
ある日、上級生のパトリックに思い切って声をかけたことにより、魅力的な女性であるサムとも知り合いになり・・・

内気で友達のいない少年があるきっかけを境にリア充になっていく・・・というありきたりな青春ドラマのようで、すぐにそうでもないとすぐにわかります
主人公を含め、その家族、そして登場人物それぞれににもどことなく危うさが見て取れるんですよね
非リア充がリア充になったらなったで悩みが尽きないんだよ、ってドラマな印象を予告から受けるけど、そう単純でもなくておもしろかった

高校へ入学するのを機に友達を作ろうとするもことごとく失敗するチャーリー
気づけばひとりで壁際でたたずむ日々を送る中、授業中に見かけた調子の良さそうな印象を受ける上級生パトリックにアメフトの試合会場で声をかける
すると義理の妹サムとも知り合いになり、あれよあれよという間に学園でもプライベートでもつるむようになり・・・というお話
あくまで待っているだけじゃダメで、一歩ふみだし続ける者には手をさしのべる人が現れるかも、って展開がいいですね

そっからリア充に向けて恋に遊びに、って青春していくのかと思いきや、なにやらパトリックにもサムにも主人公のチャーリーと似たような危うい部分がちらつくのがおもしろい
どんなにリア充に見える人でも、そりゃ色々と悩みやらなんやら高校生らしい(?)不安定な要素を抱えてる、と
そんな中で微妙な心の距離間の描き方が秀逸で、友達としての温かさのそばに地雷がひそんでるような緊張感が温すぎなくていいですね

内容的にかなりダークでどろどろな部分を垣間見せながらも、観てて気が滅入るほどあまり深いところまであえて掘り下げない描き方も個人的には助かった
しょうじき描こうと思えばかなりダークで救いのないこともできたでしょうが、そんな部分をなるべく避けた感じは正解だと個人的には思えます

爽やかさを持ちながら、なんともむずがゆい闇の部分が絶妙なスパイスになってて、新感覚というと言い過ぎかもしれないけど一風変わった青春ドラマな一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:こういう単純にキャラ固定したり、アナライズできない部分こそ青春なんだろうね




ウォールフラワー 予告

マイヤーリング (1957/米)

監督:アナトール・リトバク
出演:オードリー・ヘプバーン / メル・ファーラー / レイモンド・マッセイ

1888年のハンガリー、皇太子のルドルフは窮屈な皇室暮らしに嫌気がさしていた
そんな折り、珍しくもピュアな印象を受ける女性マリーと出会い・・・

今でも色あせない古き良きヘプバーン出演作品、という内容ならよかったんですが、しょうじき「オードロー・ヘプバーン出てまっせ」というだけの作品でしたね
故人になっても日本で人気の女優を客寄せパンダに一本上映しとくか、というビジネス的な嫌な臭いしかしてこない
それこそ劇中でルドルフが嫌悪してる人たちのような欲望まみれの思惑で上映、みたいなね

あくま個人ではなく皇太子としての振る舞いを強要され、たまに反抗して勝手な行動をとっても国を動かす父の手によってねじふせられてしまう生活に嫌気がさしていたルドルフ
そんなやさぐれた彼はある日、偶然にも純粋にルドルフのことを見つめる女性マリーと出会うのだった
後日、再会を果たしたふたりは自分たちの立場を知りつつも、ただ純粋に男と女としてひかれあっていく
という身分違いの恋にキャッキャウフフな超王道ロマンス

ただ王道はいいんだけど、どうにも「こういうの流行ってるから、この路線でどんどん撮ってこうか」みたいな二番煎じどころか出涸らし状態な感じの内容の薄さがアレすぎる
ストーリーにいっさいの深みや重厚さが感じられず、どっかで観たような内容をどっかで観たようなキャストで、とりあえずやっつけで作ってみましたというインスタント映画、とか言ったら言い過ぎなのかな
でも個人的なしょうじきな感想としてはそんな感じ

それゆえにオードリー・ヘプバーンのファンなら観るだろ、という安易な思惑で今、上映したとしか思えないだけに元々のインスタントさをさらに薄めたような印象が強いですね
うーん、この内容なら劇場で上映とかしないでビデオ作品として「こんなのもあったよ」くらいにしといてもよかったんじゃなかろうか
たぶんヘプバーンファンも映画館に足を運んで観たところで喜ばないんじゃないかなあ

と、「おまえにこの時代の映画のなにがわかる」「おまえにオードリー・ヘプバーンのなにがわかる」と聞かれた反論はできないけど、あくまで個人的には退屈だった一本でした

個人的評価:40点
オススメ度:自分から逝きなさいよ




マイヤーリング 予告

2014年1月13日月曜日

大脱出 (2013/米)

監督:ミカエル・ハフストローム
出演:シルベスター・スタローン / アーノルド・シュワルツェネッガー / ジム・カビーゼル / カーティス・“50セント”・ジャクソン / ビニー・ジョーンズ / ビンセント・ドノフリオ / エイミー・ライアン

刑務所のセキュリティを調査するため、あえて投獄され脱出を試みる警備会社のレイ
CIAからの依頼で特殊な刑務所に向かうが、当初の話と大きく異なりその場で出会ったエミルと本気の脱獄を試みることになる

スタ公&シュワちゃんの2大スターが競演ってだけで、すでにお祭り映画として内容うんぬん抜きに成り立つけど、けっこう内容としてもしっかりしてましたね
予想外の状況に謎が秘められた脱獄サスペンスアクションとして普通におもしろい
アクションはもちろんあるけど、どっちかといえば「どう物と人心と情報を得て脱獄するか」という部分がメインですね

依頼を受けて刑務所のセキュリティを調査するため、身分を偽って投獄され試験的に脱出が可能か否か実行するレイと仲間たち
ある日、CIAから特殊な刑務所のセキュリティ調査を依頼されるが、拉致されるように投獄されたレイは現地でも聞かされていた話と大きくことなる事態におちいる
明らかに罠にはめられた体な中、レイは刑務所で出会った男エミルと協力してリアル脱獄を試みる
という話の中、この罠をはったのは誰なのか、裏でどんなことが起きているのか、また協力者のエミルが抱えている問題もあってサスペンスとしても鑑賞にたえうる内容

ただそこまで複雑なストーリーじゃなく、あくまで作品のアクセントにはなってるけどガッツリ練り込まれた話って感じじゃないですね
まあ、そこら辺は魅せるエンターテインメント性を重視した結果ということで
絶望的な状況の中、わずかに手に入る物と信頼できるか不明な協力者をたよりに情報を得て・・・と、パワープレイだけにたよらない作りはおもしろい

かといってしっかりとパワープレイな展開はあるからアレですが
特に刑務所の武装レベルが低すぎるだろとか、所長が疑り深い知能派なようでご都合主義で主人公たちにあっさり騙されたり手玉に取られたりとか、安易に先が読めすぎるとか細かいツッコミどころはけっこうある
それはそれとして、頭をそれほど使わなくていい作品だと、スタ公のはっちゃけとシュワちゃんの睨みな2大スターの存在感を堪能すればいいんじゃないですかね

最初にシュワちゃんが出演しちゃうと続編のバディ選出は難しいでしょうが、続きが作られれば観てみたい一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:ナイスチーズ




大脱出 予告

ジャッジ! (2013/日)

監督:永井聡
出演:妻夫木聡 / 北川景子 / リリー・フランキー / 鈴木京香 / 豊川悦司 / 荒川良々 / 玉山鉄二 / 玄里 / 田中要次 / 風間杜夫 / でんでん / 浜野謙太 / 伊藤歩 / 加瀬亮 / 木村祐一 / あがた森魚 / 松本伊代 / 志賀廣太郎 / 柄本時生 / 福本清三 / 竹中直人

CM製作会社で働くバカ社員の太田
彼は無責任な上司のたくらみでサンタモニカ広告祭の審査員をやることになり・・・

ラスト、本気でいっしょに拍手したくなった
ギャグ、ドラマ、主題歌、すべてにおいて完璧に作用してる万人向けなコメディ作品なんじゃなかろうか
なにより個人的に外国人キャストのちゃんとした演技が好印象と言わざるえない
たいがいの邦画において外国人キャストの演技って、言葉は理解できなくても「なんか不自然なんだよな」と思う作品が多いんですが、この映画ではホントに自然な感じでよかったわあ

CM制作会社で働く、企画もプレゼンもダメダメなバカ社員の太田
クソつまらんCMのサンタモニカ広告祭での入賞を押しつけられた上司が、責任逃れのために太田に身代わりとしてすべてを丸投げするのだった
という話なんですが、こう書くと「クソつまらんものを奇跡的に持ち上げる」みたいなコメディっぽく思えますが、実際にはちょっと違ってておもしろい

なにより流されやすくてダメ人間だけど、変なところは真面目で折れない主人公のバカっぷりが素敵すぎる
とにもかくにもそんな素敵バカが、清濁混在する大人のビジネス社会に影響を与えていく様が痛快
良いものは良い、ダメなものはダメ、という青臭い部分をうまくコメディとファンタジーな感じで描いているなあ、と
現実的じゃない、そんな話だけど「本来、映画ってこういうもんなんじゃね?」って感じで楽しめます

日本人俳優陣のキャラクター祭りっぽい大騒ぎも最高におもしろいながら、委員長とかバーテンダーの外国人俳優さんたちのキャラクターも素敵すぎる
主題歌にのった冒頭のつかみから日本編、サンタモニカ編、ED曲と流れるように退屈することなく最後まで楽しい
そう、本当に観ていて「楽しい」と思える作品だからこそ、ただただ楽しいとしか言いようがない一本でした

個人的評価:100点
オススメ度:細かいネタもふんだんでコメディとしても最高よ




ジャッッジ! 予告

2014年1月12日日曜日

ブラインド・フィアー (2013/米)

監督:ジョセフ・ルーベン
出演:ミシェル・モナハン / マイケル・キートン / バリー・スローン

ニューヨークのマンションのペントハウスで恋人と暮らす数年前に視力を失った女性サラ
ひとりで買い物に出かけ帰ってみると恋人の気配がなく、変わりに謎の男が部屋に侵入してきていて・・・

目の不自由な主人公VS単なる暴漢でもなさそうな男
なにか目的がありそうな侵入者に対し、目が見えない主人公はどう対処していくのか
という「目が見えない」という設定が非常にうまくいかされていて、それでいて何か裏がありそうな話にサスペンスとして楽しめる
ただし中盤まで、という条件付きでしたが

マンションの屋上、ペントハウスに暮らす目が見えないサラ
買い物から帰ってみると部屋にいるはずの恋人の返事がなく、見知らぬ男が侵入していて・・・
というシンプルなシチュエーションの中でも、限定された空間と設定を最大限に利用して序盤はホントによく上手に料理している
特に買い物帰りから冷蔵庫へ向かう主人公のシーンでは、思わずゾワっとせざるえない
まあ、でも臭いとか気配とか多少は察せるんじゃねえの、というツッコミはわいてくるけど

とにもかくにも「目が見えない状況」ということから、主人公に恐怖を与える演出やら、「志村うしろ!」と言いたくなる部分がおもしろい
話の展開もけっこうテンポよく進んでいき、謎の男の目的やらなんやらストーリーはあっさりしてると言えなくもないくらいとどまることなく明らかになっていきます
それはそれでいいんですが、さすがにクライマックスにもなってくると序盤に演出的に良いネタを使い果たしてしまったのか単調さが目立ってくる

やるんだったらとことん主人公の狡猾さを全面に出して、恐怖する表情の裏では冷徹でダークな面が隠されている、みたいな感じにしてくれれば個人的に最後まで楽しめたかもしれません
いちお、よくよく観ていけば主人公はそれなりな狡猾さが描かれてはいるんですが、もっともっと「計画通り(ニヤリ)」くらいやってもよかったんじゃなかろうか、な

と、序盤から中盤にかけては緊張感の連続で楽しめたものの、終盤でいっきに息切れしちゃって「普通」な印象を残しちゃったもったいない一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:シャドウさん素敵ッス




ブラインド・フィアー 予告

トリック劇場版 ラストステージ (2013/日)

監督:堤幸彦
出演:仲間由紀恵 / 阿部寛 / 生瀬勝久 / 野際陽子 / 東山紀之 / 北村一輝 / 水原希子 / 中村育二 / 石丸謙二郎 / 池田鉄洋 / 吉田鋼太郎

ジャングルの奥地にある秘境の村で呪術師との対決をもちかけられる物理学者の上田
上田は腐れ縁の女マジシャン山田をだまし、ともに現地へと向かうのだった

まさにこれまでのシリーズの集大成といっていいのかもしませんし、そうでもないのかもしれません
とりあえず過去のエピソードをどことなく思い起こさせる描写がちりばめられており、そんなネタを拾ってる分には楽しめます
だけど肝心の作品じたいは強引&物足りない感じで、どうにも集大成に気持ちを持っていかれすぎて、映画としての完成度はちょっとイマイチかな、と

東南アジアのジャングルの奥地にある秘境の村
そこでのレアアースの採取を計画する貿易会社であったが、現地人の呪術師信奉によって立ち退きが進まない状態であった
そこで物理学者の上田に呪術師がペテンであると証明させ、立ち退き話を進めようと話がもちかけられる
しかし会社の人間が呪術師の呪い通りに死んでしまったことにより、ビビった上田は腐れ縁の女マジシャンの山田をうまくいいくるめて一緒に現地へ向かうことにする
と、まあ、霊能力者っぽい相手に上田が山田を巻き込んで立ち向かう、といういつものパターンですね

序盤は過去のエピソードで見たことあるような描写や細かいギャグで展開していき、シリーズファンならけっこう楽しめる
だけど、そんな楽しい気分の中でもなかなか本題に入っていかないストーリーに少しずつ不安が大きくなっていきます
で、ようやくミステリーの部分がはじまったかと思ったら・・・ね
なんだろ、この謎解きパートのやっつけ感

加えて現地人と会社側の人間の確執も、呪術師と山田の間のあれこれも「さすがに強引だろ」と言わざるえない
泣ける、というふれこみの部分にしても「これで泣けとか無理矢理すぎるだろ」と
トリック集大成としてのお祭り的なネタ作品、としてなら楽しめますが、これで完結ってするにはストーリー的にお粗末すぎるんじゃなかろうか、って一本でした

個人的評価:65点
オススメ度:懐古厨ぶるつもりはないけど、ホントに過去のエピソードはおもしろいの多かったわあ




トリック劇場版 ラストステージ 予告

2014年1月6日月曜日

ゾンビ大陸 アフリカン (2012/英)

監督:ハワード・J・フォード / ジョン・フォード
出演:ロブ・フリーマン / プリンス・デビッド・オセイア / デビッド・ドント

西アフリカで死んだ人間がよみがえる事態になり、侵攻していた米軍は撤退をはじめていた
その中で墜落した機体から生き延びた米軍技師のブライアンは、土地勘のないゾンビだらけの地に取り残され・・・

広大なアフリカ大陸、ゾンビがうろつく土地勘のない場所でのサバイバル
けっしてゾンビが大挙して襲ってくるでも、走って襲ってくるでもない
緩慢な動きで、しかも広大な大陸ゆえにゾンビ密度も低い
だけど、そんな「生き残るのとか楽勝じゃね?」みたいな状況を逆に不利な感じでうまく描いてますね

中途半端に余裕があるゆえに気持ちが緩みやすくなっており、フィールドが広いゆえに拠点から拠点までの距離が離れている
そんな中で水も食料も銃弾も限られていて、しかもそれほどの脅威ではないものの油断してゾンビに襲われて噛まれれば一発アウト・・・
そんな状況が精神的にも肉体的にも主人公をじわじわと追い込んでいく様がよく描かれていておもしろい

ストーリーうんぬんというものは無いようなもので、主人公が途中で現地アフリカ兵とコンビを組みながら、その息子にあいに遠い基地を目指す、というもの
ゾンビ相手に仲間を次々に失いつつ戦って生き残る、というありがちな作品ではない点がいい
あくまで水や食料、乗り物と燃料、銃弾を探しつつ厳しい自然環境&どこで出会うか分からないゾンビ・・・という中で疲弊していく主人公のサバイバルものですね
まあ、ぶっちゃけ凶暴な野生動物をゾンビに置き換えてみましたって感じは否めないですがね

ちょっとした希望、しかしながらそれを上塗りしていく絶望の染みがじわじわ広がっていく感じがよく描けていて、けっしてすっきりする内容じゃないものの、B級ゾンビ映画の中ではじゅうぶんに鑑賞に耐えうる一本でした
なにより低予算な中で作り手が「自分にできること」をきちんと理解して、無理せず堅実に作ってる感じが好印象でした

個人的評価:75点
オススメ度:ゾンビものなのに、ゾンビに襲われる以外の死の恐怖の絶望感




ゾンビ大陸 アフリカン 予告


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2014年1月5日日曜日

麦子さんと (2013/日)

監督:吉田恵輔
出演:堀北真希 / 松田龍平 / 余貴美子 / 麻生祐未 / ガダルカナル・タカ / ふせえり / 岡山天音 / 田代さやか / 温水洋一

兄とふたり暮らしの麦子たちの家に、自分たちを捨てて出ていった母親が現れて一緒に暮らしたいと言ってくる
事情が重なって嫌々ながらも母親と暮らすことになった麦子だが・・・

こればっかりはホントに超個人的な感じでしか観ることができませんでした
主人公と似たような環境にあった自分にとって、ニュートラルな感情で観るのが困難だと言わざるえない
そういう意味で、この映画で描かれている親と子の微妙な描写っぷりは「よく分かってるなあ」と
表面的な親子のドラマっていうのがまったくせず、思わず「そうそう、そうなんだよなあ」とリアルに受け止められる作品ですね

ギャンブル好きで恩着せがましい兄、夢を追いかけてふらふらしている麦子、自分たちを捨てておいて都合よく戻ってこようとする母
なんだかんだで似た者どうしな三人は嫌々ながらいっしょに暮らすことになる
やがて兄が出ていき、母とふたりで生活するようになる麦子は、その存在のウザさと優しさに心がささくれだっていく
という家族の間の機微を描きつつ、リアルな部分に沈みそうでコメディの要素もちょこちょこ入れてくるので観ててそんなに気分は落ちません

とにかく出てくるキャラがみんなウザい
ウザいながら、そうなる理由が分かるからこそ同時に素敵で魅力的なキャラとして描かれている
兄にしてもギャンブル好きで自分勝手なダメ人間、というキャラクター性が強いものの、ちゃんと生の人としてのそれだけじゃない部分もある
なんていうか、半リアルみたいな微妙さ、ひとつ間違えばどうしようもなくクソな描写になってしまうところを回避してうまく作っているなあ、と

全体的にふいうち演出が特徴的で、観ていてもその部分で没入していたスイッチを切られたり、逆に離れていた心を引きつけられたりメリハリが良いですね
しょうじき主人公の麦子のおかれた状況に、個人的に重なる部分が多々あるからこその感想で、ニュートラルな感情のままにこの作品を観た人がどう思うのか想像ができません
それだけに、くどいですが本当に個人的にはすっごい良くできてるドラマだと思えたけど、演出面にしてもけっこう人を選ぶ一本かもしれません

個人的評価:100点(超個人的な見解)
オススメ度:兄ちゃんの恋人とか、BLとか細かいネタ要素も多い




麦子さんと 予告

2014年1月2日木曜日

ゲットバック (2012/米)

監督:サイモン・ウェスト
出演:ニコラス・ケイジ / ジョシュ・ルーカス / ダニー・ヒューストン / マリン・アッカーマン / サミー・ゲイル / M・C・ゲイニー / バリー・シャバカ・ヘンリー / マーク・ヴァリー / エドリック・ブラウン

仲間たちと盗みを働いたウィルは最後の最後でFBIに捕まってしまう
それから8年たちウィルが出所後、事件当時に彼が持っていたが消失したブツをめぐり、裏である企みが動き出す

おもしろいとかつまらないとか、お正月に観る映画ってのはそういうもんじゃねえ
ということで、明らかにやる気のない題名と話題性、そしてニコラス・・・という要素から推測して、頭からっぽにして鑑賞できるアクションだろうってんでこれをチョイス
果たして、私の推測は当たり、というか思った以上に形通りのアクションでしたね

8年前、FBIに捕まる寸前にウィルが持っていた盗品はなくなっていた
そして出所後、時間の流れによって娘やかつての仲間たちの事情も大きく変わっていたと思い知るウィル
そんな中、FBIはウィルが当時に盗んだ物をゲットするために動くだろうと彼をマーク
一方で同じブツをめぐってウィルは脅迫を受け・・・
と、追われる身の主人公が同時に追う身でもあるという状況の中でドタバタって作品ですね

まあ、しょうじきホラー映画で例えるならば、みんなでキャンプ場にいったら殺人鬼に次々と殺され始める・・・というくらいストーリー的にはありきたり
この作品だけの特別な何か、という要素をいっさい加えずに手垢のつきまくったアクション映画を撮りきった勇気は逆にすごいわな
あえて言えば主演ニコラス・ケイジ、って点だけが見所なんでしょうね

ボーっと観てればテンポよく自動で話が進んで、それでいてそんなに画面に集中してなくても内容はつかみきれる安心安全設計
うるさすぎない適度なアクションが目にも耳にも優しいですよ
実は伏線が張り巡らされていて、事件当時に主人公が持っていたブツが実は・・・みたいなひねりもないから心配無用
ホントにザ・暇つぶし映画としてBGM代わりに重宝します

娘との愛をからめつつFBIと追いかけっこする泥棒パパさんサスペンスアクション、というTVドラマシリーズの1エピソードという感覚しかない一本でした

個人的評価:50点
オススメ度:ニコラスさんの仕事選ばなさは敬服せざるえない




ゲットバック 予告


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2014年1月1日水曜日

カノジョは嘘を愛しすぎてる (2013/日)

監督:小泉徳宏
出演:佐藤健 / 三浦翔平 / 窪田正孝 / 水田航生 / 浅香航大 / 大原櫻子 / 吉沢亮 / 森永悠希 / 谷村美月 / 相武紗季 / 反町隆史

サウンドクリエーターの仕事に色々と悩みを抱える秋は、苛立ちもあって偶然出会った少女を軽い気持ちでナンパする
声をかけられた理子は秋の口ずさんでいた曲を気に入り、そんな明らかにからかい色の強いナンパにOKするのだった

どうせ寒い冬によく公開されるヤング向けな甘いだけのロマンス映画だろ、と思ってたんですが、どうやらけっこう音楽業界要素も強いらしく、ちょっと興味がわいたので鑑賞
実際に観てみると確かにスイーツ映画な要素はあるんですが、ドラマの部分がけっこうしっかりしてるものがあり、単純な甘いだけのロマンスになっていて楽しめました

つき合っていたアーティストの茉莉が契約先のプロデューサーと寝ていたり、そのプロデューサーとも音楽に対する意見の相違があったりと、なにかとイライラがつのっていたサウンドクリエイターの秋
そんな秋が軽い気持ちで声をかけた少女がまさかのナンパ成功し、うさをはらす意味でも遊びでつき合うことにする
一方、声をかけられた理子の方は秋の口ずさんでいた曲が気に入り、まっすぐに彼と向き合っていく
と、やさぐれ男がピュア女とつき合ううちに徐々に昔の自分を取り戻していく、というありきたりな話になる流れながら、そうはならないのがおもしろい

秋の周りの音楽業界の微妙な人間関係から、ビジネスとしての音楽という裏事情も描かれていることでストーリーがしまりますね
かといってあまりそっち関係などろどろでビジネスライクなダークサイドをえぐって描くでもなく、あくまでストーリーを彩る要素として用いているのがいい

とにもかくにも”嘘”を中心に描かれる秋と理子のドラマと心情がメインになってます
全体的にあまりハッキリと台詞などで表現せず、観てる側に流れを読ませて「イチイチ言わんけどわかるよね」という感じのさじ加減がちょうどいい
それでいてあまりハッキリしないまま、というわけでもなく救済策のようなラストの描写も用意されているので、スッキリできる人もいるでしょう
受け取り方は色々になるかもしれませんが

と、じゃっかん小馬鹿にしてたところがあったこの作品、意外や意外に甘ったるいだけじゃない側面があって引き締まった内容でした
ただ、ちょっとちりばめた設定が完全にいかしきれてない気がしないでもない、そんな一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:まさかの「おい、スズモク」




カノジョは嘘を愛しすぎてる 予告