2009年12月6日日曜日

memo (2008/日)

監督:佐藤二朗
出演:韓英恵 / 佐藤二朗 / 宅間孝行 / 岡田義徳 / 池内博之 / 白石美帆 / 高岡早紀 / 矢部裕貴子 / 山本剛史 / ノゾエ征爾 / 菅登未男 / 浅見千代子


常に発作的にメモをとらなくてはいられない女子高生、本橋繭子
ある日、繭子は変わり者の叔父と出会い、何かが少しずつ変わっていく

「幼獣マメシバ」の悪く言えばキチっぷりな演技で大好きになった佐藤二朗が監督する映画
この作品でもそのキチっぷりをいかんなく発揮したリアクション芸がとにかくおもしろい
しかし、内容的にすごいアクがあるというか、かなり見る人を選ぶ
まずなんの予備知識もなく観ても「まあ、うん、なんとなく分かるね」ていどは理解出来ますが、ぜったいに見終わったあとに気になってググらずにいられないでしょう
個人的にも予備知識なし組だったんで、見終わってそっこうで調べましたね

で、どんな予備知識があればいいのか、ってのは劇中で語られない以上は話すべきことじゃないネタバレってことで触れません
おそらく狙った上での説明不足だと思いますし、知らない方がよりいっそう不思議な空気感を楽しめるでしょう
とにかくシュールで独特の世界観、ぶっちゃけ監督のオナニー映画なんですが、かなりギリギリのラインで外れてないというのが個人的印象
そんなきわどいところを攻められるのが大好きな私としては、もうおもしろかったと言わざるえない
ギリギリのラインゆえに観た人の評価はまっぷたつに割れることも容易に予想できますが
しかしここまで潔い「つまらない」か「おもしろい」か二つにひとつの選択肢しかない、中間の評価がありえない作品も珍しいかもしれないですね

どんな状況だろうと、いきなりメモをとろうとして、しかも内容は意味不明な文面を書くヒロインの奇行
そこに叔父が登場してから、そのキャラとしゃべりでいっきに笑いっぱなし状態のコメディ展開
そんな叔父となんとなく話していくうちにはじめは暗い印象だったヒロインがどんどん明るくなっていく
だけど観てる方は素直に笑ってばかりはいられない状況にじわじわと押されていく感じ
ホントにいちいちこの映画は説明してくれないので、それこそ観てる側が「間」を埋めなくてはいけませんが、それが楽しい
そんなに難しい話じゃないので深く考える必要はないですが、しりとりのようにちょっと考えないといけない、そんな作品

難点といえば、あるていど布石になってるとはいえ序盤の叔父に会うまでの流れがなんとも寒い空気になってるのが残念
「これは普通の映画じゃないな」的な印象を植え込みたかったにしても、ちょっと芝居が寒すぎる
ぶっちゃけどんな映画かつかみそこねて「これクソ映画じゃね?」と思ってしまったのも事実
そこを乗り切って叔父が出てくるといっきに爆発するんですが
あとはラストシーンがちょっと意味が分からない
いや、分かるような気もするけどよく分からない
このラストはちょっと監督のオナニーはいりすぎな気がしないでもなかったですね

そんな感じで、マメシバの二郎ちゃんの芸風が好きなら間違いなく楽しめると思います
いや、それでもマジで観る人を選ぶ内容なので、個人的には大満足だけどけっして人には勧められない作品でしたね
逆に言えば、これをおもしろいと思える人は私と趣味が合う人ってことでひとつ

個人的評価:80点
オススメ度:30分200円

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