2010年4月14日水曜日

みなさん、さようなら (2003/カナダ・仏)

監督:ドゥニ・アルカン
出演:レミ・ジラール / ステファン・ルソー / マリー・ジョゼ・クローズ / マリナ・アンズ / ドロテ・ベリマン / ジョアンヌ・マリー・トランブレイ / ピエール・キュルジ / イヴ・ジャック / ルイーズ・ポルタル / ドミニク・ミシェル / トニ・チェチナト / ソフィー・ロレイン / ミツ・ジェリナ / イザベル・ブレ / マルキータ・ボワ / ミシュリーヌ・ランクト / ドゥニ・ブシャール / シルヴィ・ドラポー


父の具合が悪いと母から連絡をうけたセバスチャン
父とは正反対の性格と生き方ゆえに良好な関係とはいえない中、彼は彼なりのやりかたで世話をはじめる

死の宣告を受けた中での残った時間の生き方と、仲の良くない息子との和解の行方
ありがちだわ
あんまりにありがちだけど、こういう話に無条件でひかれるから困る
好きになった人が不治の病でした、みたいなナウなヤングが死に際にキャッキャウフフって話にはまったくひかれないけど、こういうおっちゃんとか子供が死に対して向き合っていくというのは大好物です

とりあえず見所はスケベで感情を優先に動く父と、理知的に考え行動して手堅い幸せをつかんだ息子のかけあいですね
父は人情味があるといえば聞こえは良いが、いわゆる古いタイプの人間で融通が利かない
息子はすべてにおいて幸せを手に入れてるようで、効率重視のあまり冷徹な印象もうける
そんな二人が「歩み寄ることなく」闘病生活の中で絆を確認していくというお話
父は死を前にしても融通の利かなさはそのままで、息子は直接せっしても反発するだけだと悟ってからは間接的に、それこそ金に糸目をつけずに父の闘病生活をバックアップしていく、と

息子の行動がまたすごくて、金にものをいわせて治療環境を一変したり、高額な治療を易々と受けさせ、時には父のもとを訪れる人を金で買う徹底っぷり
さすがに引くわと思うような手段でも金に物を言わせる様子とか、しょうじき観ててイヤな気持ちにならなくもない
本当に父子そろってどんだけ不器用なんだよ、と
友人達に囲まれて幸せそうな父のかたわらで、まるで舞台をプロデュースしてるがごとくクールな装いをくずさないセバスチャン
この不器用で微妙な距離感がちょっと楽しい

そして、こういう映画を観るってことは「泣きたい」からで
そりゃたまには心の汗を流したいわけで
だけどこの作品は微妙に泣けないわけで…
不器用な父と子、それぞれ頭では分かってるけどなかなか素直になれない
そんな二人を無意識のうちにもつなぐヒロインの一人であるジャンキー娘
設定もよく、シチュエーション的にも「おお、泣きのシーンきたか」と思える所もあるんですがイマイチ気分が高ぶらない
なーんか全体的にすかした雰囲気が強く、必要以上に行間を読むことを強要されている感じもあって、「分かる人には分かると思うけど?」みたいな嫌味が画面からにじみ出てる気がしないでもない
まあ、というか普通にもっとちょっとずつ溝を埋める段階を経て、終盤の盛り上がりにもっていった方が…
行間を読めなくもないけど、しょうじきじゃっかん取って付けた感動ものっぽい印象もありました

そんなこんなで設定はおもしろいんだけど、なんとも盛り上がらない微妙な空気感が漂います
最後まで観た後の感想として、主人公の息子がひょうひょうとしすぎててイマイチ好きになれないままの状態で終わってしまった
もっと感情的で泥臭いドラマが観たかったなあ、と

個人的評価:50点
オススメ度:ご都合主義的な良い人ばかり




みなさん、さようなら 予告



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