2011年4月20日水曜日

川の底からこんにちは (2009/日)

監督:石井裕也
出演:満島ひかり / 遠藤雅 / 相原綺羅 / 志賀廣太郎 / 岩松了 / 菅間勇 / 稲川実代子 / 猪俣俊明 / 鈴木なつみ / 牧野エミ / 工藤時子 / 安室満樹子 / しのへけい子 / よしのよしこ / 並樹史朗 / 山内ナヲ / 丸山明恵 / 目黒真希 / 森岡龍 / 廣瀬友美 / 潮見諭 / とんとろとん






佐和子は上京してから中の下の職場で中の下の彼氏と付き合い、中の下の生活をしている冷め切った中の下の女
ある日、田舎の父親が病気で倒れたから帰ってこいと連絡があり…

泣いて笑って気持ちが引き上げられる、まさかこんな映画だとは思わなかった
小難しいことを丁寧に描くことを放棄し、まさに「考えるな感じろ」っていうパワープレイで押し切った作品ですね
とぼけたコメディを基調にしてるそのくせにちゃんとしめる所はしめて軽くなりすぎないようにしてるのが小憎らしい
色々と考えることはない、もうこれを観ながら笑ってほしいところで笑って、泣いてほしいというところで泣けばいいじゃない
こっちの感情に媚びてくる描写がストレートすぎて逆にすがすがしいわ

常に「しょうがない」と冷めた感じであきらめて、責められれば「すみません」、褒められれば「ありがとうございます」だけ言ってれば生きていける
それほどみんな自分のことを気にかけてるわけでもないし、どうしようもないものはどうしようもない
都会の冷めた辛さと、田舎の保守的ゆえに内輪の者以外には嫌悪感をダイレクトにあらわしてくる辛さ
ホントに田舎の内輪にだけ向けられた温かさのキツイことキツイこと
そんな生きてることの辛さをコメディタッチで誇張表現して描いてる作品

しょうじき序盤の東京編がびっくりするほどつまらない
ちょいブラックが入ったゆるい脱力系コメディなノリの東京編ですが、ホントにいっさい笑えないし「うわ、こりゃクソつまらん」と観てて完全にテンションが落ち込みます
ここからおもしろくなるとかぜったいありえない、そう思ってたら…田舎編になった途端にどんどん話がおもしろくなっていきます
わりと重いドラマをコメディタッチで描くことで、シンプルに分かりやすくなってます
誇張、過剰演出なんのその、あえてそのくらいやってくれた方が楽しいぜ、って感じ
そうなってくると、けっきょくは主人公の佐和子がどうこの日常を打破するのか、という点に期待がふくらむわけです
で、そんな転機となるシーンが良い
マジでスカッとする
そして、ここでも田舎特有の習性がきちんと描かれてます

だけど見せ場はまだその先にあった
ひきょうなくらいあざとい佐和子の演技ですが、そりゃ泣くよ
おっちゃん、いっしょに泣いちゃうよ
いや、ホントに笑うだけでもない、泣くだけでもない、笑って泣けてがんばれる…なんともいえない人生応援映画な感じの一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:田舎こわい。マジこわい




※この予告編はあまりに作品の内容を的確に描きすぎてるため、かえってネタバレな感じが強くなってます
しょうじき、これを見ないで本編を先に鑑賞することをオススメします


川の底からこんにちは 予告



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