2013年4月8日月曜日

遺体 明日への十日間 (2012/日)

監督:君塚良一
出演:西田敏行 / 緒形直人 / 勝地涼 / 國村隼 / 酒井若菜 / 佐藤浩市 / 佐野史郎 / 沢村一樹 / 志田未来 / 筒井道隆 / 柳葉敏郎

2011年3月11日、東北関東大震災直後の釜石市
臨時で中学校の体育館に設けられた遺体安置所で、かつて葬儀関連の仕事をしていた相葉はボランティアで活動をはじめる

当時、東北関東大震災で誰かを亡くしたわけでもなく、何かを失ったわけでもない自分にとって、この映画はただ圧倒されるものとして観ていることしかできない
おそらく、たぶん、そんな風に想像するしかない
そして、実際の被災者の方々にとってはそんな私の想像すら生ぬるいものを抱えているんだろう
でも観るだけでも、考えるだけでもやらなくては、しなくてはいけない、そう訴えてくる作品ですね

臨時の遺体安置所となった学校の体育館
大混乱の中、次々に遺体が運ばれてくるがただ運ばれてきて置かれてるだけという現状を見かね、葬儀関連の仕事の経験があり遺体との接し方を心得ている相葉はボランティアで安置所の管理をすることに、というお話
過剰演出でもなく、あまりにリアリティに特化しているでもなく、実状の一部を切り取って描いているという印象の作品でした
あまりにあんまりな出来事ゆえに感情が凍結してしまっている様子の描写がものすごく悲しくて痛い
それでいて目をそらしてはいけない画面的な力強さがある

しょうじき最初は相葉の言動や行動に対し「正論だけど、みんなそれどころじゃねえだろ」と思いもした
そしてなんでもっとみんな自分のエゴを、負の感情を表に出さないんだとも思った
だけどそんな風に思うのは何も失っていない傍観者ゆえの考えなんだな、と気づきましたね
肉体も疲れきっている、心もすり減りきっている当事者たちの何を分かってやれるというのか、と痛感

それぞれが「やってもやらなくても同じじゃないのか?」くらい本当に小さな小さな一歩を積み重ねることで、前に進んでいる以上それは決してそれは無意味なことじゃないというのがよく現れている
それすなわち私のような人間にもあてはまり、思うこと、考えること、伝えること、そこからでもいいから「自分なんか」と停滞しているより、動くことが大事なんだなと思い知らされた一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:日ごろ、言い訳探しばかりしてる自分が情けないわ



遺体 明日への十日間 予告

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