2009年11月1日日曜日

レイチェルの結婚 (2008/米)

監督:ジョナサン・デミ
出演: アン・ハサウェイ / ローズマリー・デウィット / ビル・アーウィン / トゥンデ・アデピンペ / デブラ・ウィンガー / マーサ・ジッケル / アンナ・ディーヴァー・スミス / アニサ・ジョージ / ロジャー・コーマン


姉のレイチェルの結婚式を前に、ある施設から出てきた妹のキム
家族、友人たちが結婚式に集まる中、素行の悪い娘としてレッテルを貼られたキムの周りの反応は冷たい

新作じゃないからアレだけど、それでも日曜日に自分を含めて3人とか過疎りすぎだろ、と
内容も地味だし、泣ける話でもないし、ロマンスでもないし、華やかな話ってだけでもない
それでもこういう映画こそ、もっと劇場に足を運んで観るべきだと思うんですよね
おもしろいとかつまらないは別にして

内容的には、いわくありげなキムが姉の結婚式のために施設から出てきて、幸せいっぱいな人たちに祝福の言葉をおくる・・・んですが、どうにも居心地が悪いというか落ち着かない様子を描いてます
キムの悪い噂や事実を知ってる家族、知人友人に囲まれ結婚式というおめでたい事柄を前に誰も言葉にしないけど、ちょっとした態度や対応からキムは疎外感をおぼえる、と
最初はそれでも幸せいっぱいな式になると思いきや、話の流れにつれてじょじょにキムのこれまでの行いや、家族たちの内面、その溝がくっきりしてくる

最近ではそう珍しくないですが、全編ホームビデオのような手ぶれありのドキュメンタリータッチな撮り方をしていて、それが本当に作品の雰囲気と合ってますね
知人と喧嘩したからあいつは悪い、家族のことを悪く言ったからそいつは悪だ、それでも奇跡的な団結力と愛ですべてが丸く収まる
そんなドラマティックな展開はいっさいなく、あくまでホームビデオ感そのままに、人物設定が「そういうキャラ設定だから、ぜったいこういう言動や行動はしない」ということ回避して、「そんなことをするような人には見えないけど、人間だものその場の感情でぶつかり合うさ」って感じで描いてます
リアルという言葉が当てはまるかどうか疑問はありますが、人間のままならない泥臭さはうまくでてると思いますね

そんな作風が逆にちょっと欠点にもなって、どうしても全編のっぺりした印象が強くなってしまい、しょうじき観ててだれるし飽きもくる
よその国のローカルな結婚式は新鮮ではあるけど、日本のちょっと奇抜さをプラスしたオーソドックスな式の様子を延々ながされたらげんなりするかもしれない
外国の見慣れない式の様子だけに耐えられた感はあります

そしてなによりおもしろいと思えるポイントはエンドロールにあります
そこで耳障りなほどに犬の鳴き声が曲中に割り込んでくるんですが、「え?なにか犬がキーワード的な意味があったのか?」と思わされます
そこから記憶をたどって作中のシーンを思い浮かべると、確かに要所要所で愛犬のプードルがさりげなく(?)でてくる場面がちょこちょこあるんですね
それでそれらのシーンの共通点ってなんだろうと考えていくと、個人的にひとつの答えが浮かんできて「そういうことか」と
もちろんそれが絶対のものって保証はないですし、特に深い意味はない雰囲気演出ととらえてもいいかもしれません

というわけで、けっこう人を選ぶ作品だと思いますが、はまればけっこうおもしろい映画だと思います
個人的にはヒロインよりお父さんの存在がすごくよかったですね
姉の言い分も妹の言い分も、父や母の言い分も知人友人の言い分もすべて分かるけど、それぞれがバラバラ
そこに善し悪しもなく、バラバラのようで根っこの部分はかろうじてつながってる、みたいなね
こういう作品はけっこう好きです

個人的評価:80点
オススメ度:愛情を求めたいじゃない




レイチェルの結婚 予告

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