2010年6月16日水曜日

ノー・マンズ・ランド (2001/伊・英・ベルギー・仏・スロベニア)

監督:ダニス・タノヴィッチ
出演:ブランコ・ジュリッチ / レネ・ビトラヤツ / フィリプ・ショバゴビッチ / カトリン・カートリッジ / サイモン・カロウ / ジョルジュ・シアティディス / サシャ・クレメール / セルジュ・アンリ・バルケ / ムスタファ・ナダレヴィッチ






ボスニア軍とセルビア軍がにらみをきかせる最前線
その中間地帯にひょんなことから両軍の兵士数名が立ち往生してしまうのだった

なにげなく観た作品がすごいおもしろかった時のテンションの上がりっぷりは異常
ということで、手近にあったのをテキトーに観たわけですが、いやあ、ホントにおもしろかったですね
いがみある両軍の兵士が一名ずつと、体の下に地雷をしかけられて身動きできない男、その三人が戦争の中間地帯である塹壕で繰り広げるシチュエーションコメディっぽいドラマ
設定的にはすごくシンプルなんだけど、その塹壕内でのそれぞれのキャラの心情みたいなのが分かりやすく描かれてるんで、作品自体に深みがでてます

塹壕で立ち往生しながらも敵同士であることには変わりはなく、銃という武器を持った者が優位に立てる状況で、それでも長いこと顔を突きつけていると反発し合いながらも徐々になんともいえない情がわいてくるわけで
そんなこんなで塹壕を中心として立場や人種を越えたなんやかんやは抜きにして、みんながひとつにまとまっていく…
というありふれた話ではないのは確か
奇妙な友情みたいなものが形を成すのは王道ですが、その先にあるものをきちんと描いてるからおもしろいといわざるえない

パンツ一丁で塹壕の外に出ると、敵も味方も「あれは敵か?味方か?なんなんだ」みたいな究極のところは軍服で色分けする戦争…みたいなブラックユーモアが全編に流れていて、シリアスなんだけど妙にコミカルで、しかも確固たる反戦の姿勢が作品にあらわれてます
そこに上司が日和見主義で役に立たない国連軍が中途半端に介入してきたり、人の命という餌に群がってくるジャーナリストたち、ただ敵を殺すこと以外のことには対処不能な現場の兵士たち、と次々にしょうもない(褒め言葉)展開になりつつも状況はどんどん笑えなくなっていきます

特にラストにはすっごい重いものを残して終わるので、かなり余韻が残るデキになってますね
ほら、あれですよ、みんななんだかんだ言っても、結局は自分のことしか考えてないし、その先に争いがあるのは必然みたいな感じで
なんなんでしょうかね、この、もどかしさみたいなのは
なにか考えさせられるのを観たいけど、そんな小難しいのはイヤだって人にはオススメできる一本ですね
後からじわじわきます

個人的評価:90点
オススメ度:そして私も傍観者になるわけで




ノー・マンズ・ランド 予告



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