2010年8月24日火曜日

さらば冬のかもめ (1973/米)

監督:ハル・アシュビー
出演:ジャック・ニコルソン / オーティス・ヤング / ランディ・クエイド / キャロル・ケイン / ナンシー・アレン








海軍下士官バダスキーとマルホールは、罪を犯して囚人扱いとなったある若い水兵メドウスを刑務所まで護送することになる
電車とバスによる護送の旅の中、じょじょに若い水兵を気がかりになってくるのだった

切なさとやるせなさ、そしておもしろおかしい
古い作品ゆえにシンプルで、シンプルゆえに過剰演出によるごまかしがない
たまにこういう古いものを観たくなるのは、やっぱりごてごてしてて、いろんな要素がありつつ「シンプルさを演出してる臭」がしないものを楽しみたいからですね
なんというか、観てる側が感じるものを大事にしてるような気がしないでもないところが気持ちいい
観賞後に残る余韻が心地よい

主人公の護送任務にあたるバダスキーが本当に粋なおっちゃんで、最初はそうでもないんですが、話が進むにつれてどんどんはっちゃけていく様が楽しすぎる
しょうもないことで重罪になってしまった若い水兵に情が移り、自分も楽しみながらメドウスに刑務所までの間のささやかな旅ではめをはずしていく、という感じの内容
男たちの微妙な友情の中、酒と女のおっさんトークと護送途中での街での遊びまくり旅というなんでもない話がおもしろい
普通に酔っぱらってグダってるだけなのに、アホみたいにハメを外して遊びまくってるだけなのに、それが観ていて飽きないしおもしろく感じるから不思議
なんともいえない魅力がある、ってことでしょうか

遊びまくってる旅の中でも、要所要所で「刑務所へ護送してる途中」という現実がちらつき、さらにはその刑務所送りということのひどさが浮かび上がってくる
護送してるふたりにしてみれば「なんとかしてやりたい。でも自分の立場がある」、若い水兵にしてみれば「逃げ出したい。でもふたりに迷惑をかけてしまう」という葛藤が伝わってくる
さらに目的地が近づけば近づくほど、バダスキーのはっちゃけっぷりが加速していって、しかしながら「なんともいえない道化師的な切なさ」が画面に出てきます
逃れられない現実が近づいてくるのが分かっていながら、それから目をそむけて今は楽しもうぜ、って感じの切なさみたいな

そしてラストのやるせなさというか、もどかしさというか、なんともいえない感じが素敵です
バダスキーのおっさんは本当に粋で大人だなあ、と
本当に旅の途中で「このバカ騒ぎがすっと続けばいいなあ」と思うと同時に「この旅の果てにはどんな結末が待ってるんだろう」と思える、そんな作品でした

個人的評価:80点
オススメ度:高速ナンミョホレンゲキョ




さらば冬のかもめ 予告



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