2011年3月26日土曜日

USB (2009/日)

監督:奥秀太郎
出演:渡辺一志 / 桃井かおり / 峯田和伸 / 大森南朋 / 小野まりえ / 岸建太朗 / 江本純子 / 羽鳥名美子 / 金子清文 / 大杉漣 / 野田秀樹








原子力発電所の臨界事故により立ち入り禁止区域まである小さな町
祐一郎は父を亡くし、地元のヤクザから多額の借金まで背負う中、悪友から病院での法外な報酬のあるアルバイトを紹介され…

なんとなくタイトル借りしたら、なんとも思った以上にダークな内容でした
今だからこそ、というつもりはないですがこれも映画は映画、ひとつの作品として割り切って鑑賞してみました
いや、ホントにこのタイトルからしてポップでちょっとブラックな内容が展開されるものだとばかり思ってたら、もう開始早々その雰囲気からして「これは自分の思ってたのと違うな」と思い知らされましたね
なんともいえないよどんだ空気の閉塞感の中、ズブズブと泥沼にはまっていくように話は進んでいきます

定期的に低濃度放射能注意報が街頭スピーカで流される町、立派な医者だった父を亡くし、主人公の祐一郎は自らも医者になろうと勉強してるが何年もの浪人生活を送っている
しまいにはろくに勉強もせずヤクザに借金を作る場当たり的な日々を過ごすしまつ
そこに悪友がからんできたり、いいように利用して付き合ってた女とのトラブルがあったり、で祐一郎を取り巻く環境はどんどん悪化していく
そんな重い現実に抗うことすら放棄して流されるままに生きる主人公のたどる行く末を描いた、ある意味で後味の悪いドラマですね
なんとも希望の見えない世界観を楽しむ雰囲気重視の作品で、合わない人にはとことん合わない作風かもしれません
序盤の祐一郎の悪友がつれてる女が、警官に免許証を見せようとするシーンで「おお、そうくる」と思えたら楽しめる内容かもしれません

とにかく冷たく淡々と悪化していく日常を描いていく感じなんですが、「リアル」というよりあまりに低調で描いているからか「ファンタジー」に近い悪夢を見てるような印象
しょうじきさえない主人公で、登場してから「こいつが主人公?」って感じだったけど話が進むにつれて、どこにでもいる等身大の若者っぽいようでそうでもない不思議な魅力がたまらなくなってきます
とにかく大げさなことを大げさに描かない展開は、個人的にはいいなと思えたし、出てくる人たちのむき出しの感情みたいな部分も押さえられてるのがダークになりすぎずに、いいあんばいなバランスが保ててると思えました

内容的には冷静に考えて気が滅入るような話なんですが、観てて気持ちが沈みきらないばかりか変な魅力さえ感じる、なんとも不思議な雰囲気映画でした

個人的評価:80点
オススメ度:ファックシーンがサービスに見えません




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