2010年3月7日日曜日

いけちゃんとぼく (2009/日)

監督:大岡俊彦
出演:蒼井優 / 深澤嵐 / ともさかりえ / 萩原聖人 / モト冬樹 / 蓮佛美沙子 / 柄本時生 / 岡村隆史 / 吉行和子


どこにでもいる幼い子供ヨシオ、そして他の人には見えないけどいつもそばにいる謎の生き物(?)いけちゃん
辛くて痛い現実を前に悩むヨシオとそれを支えるいけちゃんのある夏がはじまる

ああ、ダメだ
こういう単純な話には弱いわあ
ひじょうによくあるような設定のようで、ちょっとひねてる感じがたまらない
そりゃ泣くさ、ボロ泣きさ

最初っから主人公のヨシオが神様がなんたらとか、自分と関係なく世界は回ってるとか痛々しい発言にちょっと引きますが、観すすめていけば慣れてくる
とにかくこの主人公の子供っぽさ、素直さ、姑息さ、優しさ、傲慢さ、いじっぱりでかっこつけだけど強くてずるい…そんなキャラとしての型にはまらない心と身体のアンバランスさが面白い
大人からしてみると筋が通ってないことでも子供の理屈では成立してる不安定感がたまらない
リアルクソガキとはちょっと違う、大人が懐かしんで投影したリアルながら美化が入ってるファンタジークソガキって感じですね

話的には、いつも暴力を振るわれる町のガキ大将に屈しない意固地さはありながら、それでもいちどもケンカに勝てずに泥をなめるヨシオがいけちゃんとともにちょっとずつ強くなっていく、という感じで
ガキ大将の他にも頼りにならない友人、ちょっとした初恋の顛末、唐突に襲ってくる不幸な別れ、いじめる側に立つことの気持ち、背伸びをしても夢を抱いても見えてくるのはただそこにある現実だけ
いろんなことを経験していって現実を知っていくことで、いい方向に強くなっていくのが心地いい
リアルだけどファンタジー、そんな世界にひたればいいじゃない

いけちゃんの存在も予告とかで見たインパクトとは違って、普通に世界観にとけ込んでるから困らない
あんなCG丸出しのキャラでも、ホントにその口調が映画の世界とうまくマッチしてて、ヨシオとのやりとりもけっこう自然な感じで観ていられます
なんとなくだけど、ドラえもんに最終回的な意味で結末を描くならこんな感じなのかなあ、と

で、ラストですよ
ヨシオも一歩ふみだして強くなり、いけちゃんの正体も明かされ(まあ、これはそんなにたいそうな謎ではないですが)、いよいよふたりは…
単純、シンプル、こういうのってホントにいい
もういけちゃんに感情移入しまくりで泣きまくり
いけちゃんの立場からなにから混ざり合って、もう、なんともいえない感情があふれますね

そんな感じでたまにはこういう作品を観て、淀んで薄汚くなった心を少しは洗い流すのもいいかもしれません

個人的評価:95点
オススメ度:そんなことより野球しようぜ




いけちゃんとぼく 予告

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