2010年3月15日月曜日

エスター (2009/米・カナダ・独)

監督:ハウメ・コレット・セラ
出演:ヴェラ・ファーミガ / ピーター・サースガード / イザベル・ファーマン / CCH・パウンダー / ジミー・ベネット / アリアーナ・エンジニア / マーゴ・マーティンデール / カレル・ローデン / ローズマリー・ダンズモア


3人目の子供を身ごもりながら死産に終わってしまったケイトは、産まれてくるはずだった子にそそごうとしていた愛情の行き場を失う
そこで孤児院から養子をとることに決め、ロシアの少女エスターがやってくるのだがじょじょに平穏な日常がきしみはじめるのだった

いわゆる天使の顔した悪魔の子供が周りの人たちに牙をむく系のホラー
なんですが、殺意の衝動にまかせて人知れずデストロイゼムオールするようなのではなく、殺しは手段のひとつとしてもった上で心理戦や相手の立場を利用した恫喝までしかけてくる狡猾さが素敵です
なんとなく昔なつかしいようなクラシカルなテイストのホラー映画でした

ケイトの子供、その長男は普通の男の子、その妹は耳が不自由な障害をもつ女の子、そしてそこにエスターが入り込んでくる
理解のある素敵な旦那と子供たちに囲まれて平穏な日々を送ってたケイトだけど、エスターが加わったことで小さなささくれが家族の絆に次々たちはじめる、と
不可解な「事故」のそばにいつもいるエスター、じょじょに疑いの目が向けられるけどそれすら利用して「子供なんだから…」という周囲の同情を引き出す
そして、完全に家族をコントロール下におくと、とうとう表だって本性を現しはじめるわけですよ
そんな普通に怖いエスターなんだけど、観てて彼女に疑いをかける人物よりエスター自身を応援したくなるから不思議

エスターに翻弄される家族なんですが、それだけでなくケイトとその旦那にもちょっとした秘密があることで、作品自体の怪しさに一役買ってます
まあ、エスターの存在そのものが日常をいっきに不安定な空間に変質させてしまうオーラもってますが
ホントに終盤のエスターとかガチで怪しいし、かなり怖い
見た目とかもそうだけど心理的に怖い

そしてクライマックス
「そうきたか」と久々に思えておもしろかった
あのエスターの本性というかそこらへんが明かされることで、作品としてかなり面白くなってますね
単に善悪の分別があやふやなガキがはっちゃけてるだけの映画じゃないというかなんというか
しかもそんなエスターを理解すると、それまでのセリフとか行動がけっこう伏線になってることに気づけるように作ってあるから憎いわ

難をいえばじゃっかんおばあちゃんが放置ぎみで生かされてないのと、「くる?こない?」演出が中途半端でドキドキするところまでいかない点がちょっとアレだったかもしれません
特に「くる?こない?」は「スペル」を観た後だと子供だましレベルに感じてしまいます
まあ、そんな比較はけっこうどうでもいいんですが
昔のホラーを意識してるのか、雰囲気はよくできてるものの派手さはないんで、血がプシャーとか次はどんな殺し方するんだととかそこら辺を期待して観ると肩すかしをくうかもしれません

そんな感じで、本当に派手さはないけど丁寧に作ってある怪人系ホラーでした
いや、マジでこういう作風は大好物ですね

個人的評価:95点
オススメ度:ファックの意味と正しい使い方のお勉強もできます




エスター 予告

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