2010年1月24日日曜日

犯人に告ぐ (2007/日)

監督:瀧本智行
出演:豊川悦司 / 石橋凌 / 小澤征悦 / 笹野高史 / 片岡礼子 / 井川遥 / 松田美由紀 / 崔洋一 / 石橋蓮司


身代金目的の児童誘拐事件を追っていた巻島は、犯人を逃した結果、誘拐された子供を殺されてしまう
それから6年、地方に飛ばされた巻島は世間を騒がせている連続児童殺人事件の担当に抜擢され、神奈川県警本部に戻されるのだが

地味ながらも底辺に力強さがあるので、変に派手派手しい作品よりじっくりと内容を楽しめました
まあ、どう見ても主役の豊川悦司が警察関係者にみえないってのは仕方ないとして、キャラ的には有能ながら極端に熱血漢でもクールを気取ってるわけでもなく、しかし中途半端さはあまり感じないなんともいえない魅力があります
いわゆる見えない犯人を相手に地道な捜査と巻島のひらめきで犯人を追いつめていく、そういう話ではなく、どっちかというと警察組織というサラリーマン映画に近いものがあるかもしれません

基本的な内容には三つの軸があって、6年前の誘拐事件、現在の連続児童殺人事件、そして警察内部でのごたごた…と、それぞれが同時に進行していくことで、わりと薄めな核心である連続児童殺人事件がいい感じに肉付けされて退屈せずに観られます
しょうじき巻島のやり方がすんなり通っていれば、そんなに盛り上がることもない内容なんですが、そこに県警上層部のサラリーマン的な駆け引きや、足の引っ張り合いがあって巻島に思うように事件を捜査させてくれない、と
それでも自分なりに事件解決に「警察の体裁を度外視」して突き進む巻島は煙たがれるのは当然で、そこら辺は「よくある警察サラリーマンドラマ」なんですが、前に書いた三つの軸のひとつであるゆえに他と絡んでくることでありきたりさをカバーしてます
ようするにひとつひとつは「ありきたりで浅い」ようなことでも、三つの軸がうまく絡んでくることでうまく相乗効果を引き出してるな、と

まあ、それでも話のキーになる事件解決にいたるポイントが、あまりに偶然の結果ってのが…どうかと
それこそ巻島の言う「いつかはボロを出す」ということがアレだってのは、個人的にはご都合主義すぎな気がしないでもないですね
もっと些細なことの積み重ねでパズルが完成に近づいていって…って内容を期待していたがけに、偶然による犯人のうっかりミスとか肩すかしぎみ
そして犯人を追いつめるべく巻島が言う決め台詞、これをカッコイイと思うか中二病かと思うかでこの作品を最後まで楽しめるかどうか決まるかもしれません
個人的にはここまで大仰な方がカッコイイと感じますが、同時に「これは受け付けない人はダメなシーンだろうな」と感じるのも確か

あとはやっぱりラストシーン
すべてが終わって、観てる側も「おわったおわった」と安心してるところにアレですよ
いや、まあ、事件は万事解決ってことで終わってもいいだろ…と思う気持ちもありますが、こういう不安感をあおるラストも嫌いじゃないですね
特にダラダラとセリフと画で説明した上での不安感の匂わせ方ではなく、説明不足ながら逆にそれがいいみたいな
後味は悪いといえばそれまですが、観てる側に投げつけらて思わず自分なりに映画の内容を思い出しつつ、なにか見落としがあったのかと思わせてくれる感じ…よくできてるとは言いませんが、悪くはないと思いました

そんな感じでちょっぴり大人気分のようでそうでもないような、すごい面白いまではいかないけど普通よりは面白い、なんとも微妙な立ち位置の一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:どうでもいいからとっとと救急車呼べよ




犯人に告ぐ 予告

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