2009年5月26日火曜日

トニー滝谷 (2005/日)

監督:市川準
出演:イッセー尾形 / 宮沢りえ / 篠原孝文 / 四方堂亘 / 谷田川さほ / 小山田サユリ / 山本浩司 / 塩谷恵子 / 猫田直 / 木野花 / 西島秀俊


日本の敗戦時、これからは米国の時代が続くという理由でトニーと名付けられた純日本人のトニー滝谷
その名と父の仕事の都合で一カ所にとどまることなく過ごした少年期により孤独に成長したトニーだった

どう見てもコメディだろ
と思ったら普通に邦画のお家芸である雰囲気を楽しむ系の映画でした
こういった雰囲気系のはしょうじき嫌いなんですが、これはけっこう面白かった
まるで動画付き短編小説って感じで、語りと演技がいい感じで融合してる

トニー滝谷は思想や感情で描かれる芸術を理解できず、ありのままを描くことに特化して行く末はメカニカルなもの専門のイラストレーターとして大成する
人付き合いもそう上手な方じゃなく、冷たく孤独な、しかし本人にとっては日常的な生活が続くんですが、そんな孤独をよく表したように語り、曲、画に一体感があります
話の展開も感情的な起伏は描かず、一切の無駄なく進んでいき、本当にこの映画のすべての要素がトニー滝谷という男を表してるなあ、と

そんなトニー滝谷役のイッセー尾形はハマリすぎなほどハマリ役
というか、それより宮沢りえってこんな演技できたのか、とビックリした
その内容ゆえに画面に出てくる役者の演技がダイレクトに見てる側に伝わってくるんですが、宮沢りえはマジでいいわ

こんな自分でも十年以上前は一時、文学小説にはまってたことがあったんですが、その時に感じたのと同じ感覚をこの映画を見た後におぼえましたね
まさに短編小説を読み終えた、って感じでこの表現はこうだったのか、とかこの作品はこれを伝えたかったのか、ということをアレコレ考えるのが楽しすぎる
内容的にも難しくなく、そんな頭を使わなくても分かりやすい表現ばっかりなので、こんなおっさんの劣化脳でも理解できます

ただやっぱり雰囲気映画なんで、人を選ぶと思いますね
冒頭からこの映画に引きずり込まれるような人なら最後まで楽しめるでしょう
そして、なにこの演出キモーイという意見もあるだろうなあ、と思えるのも確かですが

個人的評価:90点
オススメ度:現代の孤独人間たちにささぐ




トニー滝谷 予告

0 件のコメント: