2009年5月24日日曜日

その男ヴァン・ダム (2008/ベルギー・ルクセンブルク・仏)

監督:マブルク・エル・メクリ
出演:ジャン・クロード・ヴァン・ダム / カリム・ベルカドラ / ジャン・フランソワ・ウォルフ / ジヌディーヌ・スアレム / フランソワ・ダミアン / アンヌ・パウリスヴィック


年により体の動きも鈍くなり、ハリウッドスターであったのも過去の栄光となったヴァン・ダム
親権争いにより金を必要としていた彼が、故郷のベルギーの郵便局に押し入ったと警察に連絡があるのだが

嘘みたいだろ?これホントに正式な映画タイトルなんだぜ
本人が本人役でリアルな落ちぶれっぷりな役所とか、ホントにどんだけ自虐ネタ映画だよ
と、誰しもそう思うだろうけど、実際はかつての映画スターの悲哀とヴァン・ダムという男をよく描いた作品
ネタとしても面白いけど、主役がヴァン・ダムってどんだけピンポイントに視聴者をターゲッティングしてんだよ、と
逆に言えばヴァン・ダムの大ファンってとこまでいかなくても、ちょっとでも知っていれば内容にすっごいリアリティみたいなものを感じると思う

展開的には時間軸が飛び飛びになりつつ、郵便局襲撃の真相を描いていくんだけど、要所要所のヴァン・ダムの落ちぶれた惨めさと、しかしそれでいて人付き合いの良さの描写がすごくいい
ぶっちゃけストーリー展開的には新しいものもひねりもないありふれた内容なんだけど、主役をヴァン・ダムにするってだけでこうも面白くなるから不思議
まさにヴァン・ダム映画といわざるえない

この映画の中のヴァン・ダムはけっしてヒーローではなく、等身大の落ちぶれた映画俳優でしかない
カメラの外では無茶なアクションもしないし、けっして常に毅然としてるわけでもない
だが、そこがいい
あとそんなリアル演技ばかりだけじゃなく、故郷の住民はヴァン・ダムを過剰に地元の英雄視したり、滑稽な場面もちりばめられているので肩肘張らずに見ていられます

クライマックス直前、ヴァン・ダムが自身の歩みを語るんですが、たぶんこの映画ではこれをやりたかったんだろうな、と
なんかしらないけど、その言葉を聞いてるうちにジーンとくるものがある
ありふれた言葉なんだけど、ヴァン・ダムがいい味出しすぎてる

まあ、ちょっとラストが弱いというか、ヴァン・ダム語りが肝なんで、あとは蛇足っぽい感じがしないでもない
それでもラストの悲哀に満ちながらもちょっと心が優しくなれる展開はアリで
ヴァン・ダム好きで子供持ちのおっさんが見たら、まさに直球ストライクものの映画かもしれません…って、どこまで見る側を選ぶのよ

個人的評価:90点
オススメ度:タイトルはアレだが、ただの色物映画じゃない




その男ヴァン・ダム 予告

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