2009年7月5日日曜日

ルナシー (2005/チェコ)

監督:ヤン・シュヴァンクマイエル
出演:パヴェル・リシュカ / アンナ・ガイスレロヴァー / ヤン・トジースカ / ヤロスラフ・ドゥシェク


ある青年が遠い地で死んだ母親の葬儀を終えて帰途につく
精神的に不安定になり、悪夢を見る青年のもとに一人の中年の侯爵が現れる

エドガー・アラン・ポーに感銘を受けたところがあると冒頭で語ってる通り、なんともいえないダークで狂気と悪意を見せつけられる映画ですね
ホラーといっても怪人や化け物が出てきて血や死人があふれるのではなく、かといって心霊現象や奇怪な出来事に右往左往するでもなく、ほんとに古典的なマジキチ型のホラーですね
奇人達とこっちの精神を浸食してくるような美術的描写で、じわじわと精神にうったえる感じのホラー
それは計算しつくされて洗練されたものではなく、粗野で荒っぽくて古くささを感じつつ何かを暗示してるようでそうでもないような描写がいいですね

侯爵と出会ってしまったがゆえにマジキチドリームワールドへ足をつっこんでしまった青年といっしょに頭で考えずにただありのままにイカレた展開を楽しめれば勝ちです
なんでそうなるの?それに意味はあるの?という野暮なツッコミをする人には向かないし、実際に見進めていけば、そんなツッコミなど無用だとすぐに分かると思います
随所に挿入される肉片たちの動きとか、侯爵のイッちゃった表情とか個人的には楽しくてしょうがなかった
けっこうこういう理屈抜きのマジキチ映画も好きかもしれんね

全体的にコミカルに描かれてるんで、そう重苦しい雰囲気はないしアホっぽい部分も多いけど笑えない
なんともいえず不気味ですね
などと抽象的なことしか書けないけど、自分の力量じゃ文章にするとまったく良さが伝わらないような気がするんで、こんなことしか言えないんですが
まあ、そのものずばりでポーの恐怖系短編をどれか一つ読んでもらえれば、そんな感じの内容と言えるかも知れません

ラストの展開も個人的にはけっこう好きで、最後まで緊張して見ていられましたね
ただ、なんか知らないですけど自分がいいなと思う映画は基本的に地味です
この作品もえっらい地味で、本当に派手なゴアシーンとかグロシーンはないんで
どっちかといえば自分で恐怖を想像して楽しむのが正しいような気がしますね

個人的評価:70点
オススメ度:侯爵のいいキャラっぷりを堪能しましょう




ルナシー 予告

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