2009年7月19日日曜日

キングダム 見えざる敵 (2007/米)

監督:ピーター・バーグ
出演:ジェイミー・フォックス / クリス・クーパー / ジェニファー・ガーナー / ジェイソン・ベイトマン / アシュラフ・バルフム / アリ・スリマン / ジェレミー・ピーブン / ダニー・ヒューストン / リチャード・ジェンキンズ / ティム・マッグロウ / カイル・チャンドラー / フランシス・フィッシャー / オマル・ベルドゥニ / アシュレイ・スコット


サウジアラビアの壁に囲まれ、警備が常駐して安全を保証された米国人居住地区で大規模テロが発生した
FBI捜査官フルーリーはテロに巻き込まれた仲間のためにも捜査を開始する

またサウジ系のテロと戦うアメリカンヒーローものか
とか思いつつみたわけですが、めちゃめちゃ面白いじゃないっすか
サウジアラビアとアメリカという国同士の政治的、経済的な関係によって両国は国家レベルでの良い関係を保っている
でも、実際に動く人々は主義主張はことなれど、なにより祖国のために戦ってるわけですよ
ラストのネタバレにつながるから、あんまり詳しくは言わないですが、そんなアンバランスな上に立ってる祖国を愛する人々を描くとか全然アメリカンヒーローものじゃなかったですね
むしろ争いを否定するかのような内容とも言えなくないかも知れません

話的には、サウジ側は自国のメンツのためにもアメリカの捜査協力なんか必要ないってスタンスで、アメリカのお偉いさんからも両国の関係のためにも空気読んで捜査なんかすんなボケと言われる主人公
しかし己を貫いて、なんとかサウジに渡るんですね
そしてその先では同じサウジアラビア人のテロリストを裁いてでも、自分を貫くサウジの男が待ってるわけです
さらに両国のなあなあな関係をよく思わないテロリストも自分たちの正義を貫くために行動を起こすわけで
まあ、映画的にはテロリストとか悪いからぶっころせーみたいなノリ…というか演出?ですが

しょうじき内容の大半は地道に捜査していって、ちょっとずつ証拠を集めていって敵の正体を探っていくのがメイン
地味といえば地味だけど、アメリカ人的に敵地に乗り込んでいつ狙われるか分からない状況での捜査と、地元の有志との協力連携と摩擦を織り交ぜてあって飽きない内容になってます
限られた滞在期間で捜査するって条件もあるんで、画面から感じる緊張感もほどよくあっていいですね

ただ、ね…
いよいよもって敵のアジトが分かるというクライマックス手前のシーンはどうかと
それまで散々捜査してきて見えてきた全体像につながるピースとか関係ないんですけど
それでアジトにたどりつけるとか、それまでの苦労はなんだったんですかと問いたい
まあ、テロリストを刺激した結果だってのは分かるけど、そこはほら、もっと頭脳戦にできなかったものかと
あまりにパワープレイすぎる

それでもクライマックスは盛り上がります
まるでそれまでの地味さを全部チャラにするような派手なアクション
なんか戦争物のFPSゲームみたいな画ですが、ホントにそんな感じをおぼえます
だけど、あまりに主人公補正ききすぎて「戦闘のエキスパートって感じでもないのに、なんで無事でいられるんだよ」と思わざるえない
そしてラスト手前の男同士の友情を表すシーン…いいわあ
こういういい大人が恥ずかしげもなく友情にあつくなれるシーンは大好きです

こうして見ると、結局はアメリカ万歳映画なんですが、ラストのオチでそうでもないことが分かります
ああ、これが言いたかったゆえのこういう作風だったのね…と
そういうこともふまえて映画的な文法としてのつかみ、なかだるみ回避、盛り上がるクライマックスとよくできた内容でした
じゃっかんのパワープレイが気になりますが

個人的評価:80点
オススメ度:主人公チームの一人の扱いがちょっと不遇じゃないか




キングダム 見えざる敵 予告

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