2009年9月20日日曜日

グラン・トリノ (2008/米)

監督:クリント・イーストウッド
出演:クリント・イーストウッド / ビー・ヴァン / アーニー・ハー / クリストファー・カリー / コリー・ハードリクト / ブライアン・ハウ / ジェラルディン・ヒューズ / ドリーマ・ウォーカー / ジョン・キャロル・リンチ / スコット・リーヴス / ブライアン・ヘイリー / ウィリアム・ヒル


妻に先立たれた老人ウォルトは、異常なまでに頭が堅く親族との関係もうまくいってない
そんな彼が隣に住むアジア人たちと不器用ながら接していく

たまにはおうちで引きこもって映画を楽しむのもいいじゃない
というか、劇場に足を運ぶのもいいけど、どうにもディスク化された作品の積みタワーっぷりが尋常でなくなってきたので
そんなわけでこの作品なんですが…最高としか言いようがない

まさにイーストウッドが自分の能力を過大にも過小にも表現せず、今だからこそできることを出している「いい塩梅」な映画
退屈であくびがでる、さすがに派手派手しくて画面に合ってない、曲が浮きすぎていて作品の邪魔をしている、そんな要素がひとつもないのがすごい
完璧な作品でありながらけっして観てる側をしめつけず、あるていど肩の力を抜いて観させてくれる余裕もあり、それでいてラストに向けて画面に釘付けにさせてくれます
よくある感動もののような「押しつけ」感がまったくなく、それが物足りないどころか心地良い

内容的には頑固ジジイゆえに親しくしようとしてくる人たちと溝を作ってしまいがちな主人公
だけど実際は頑固なだけじゃなく、不器用さが大きな要因にあるんですね
そこへまったくの異文化であるアジアのモン族の家族と交流をもっていくことにより、顔を見ると悪態しかとれない身内たちとは違う自分の一面を取り戻していく
ウォルトとは別の不器用さをもつモン族の少年と親しくなっていくことで、「生」を実感していく、と
まあ、そんな単純な話ではないってのは分かってますが、この作品はとにかく言葉や文字で語るものじゃなく、とにかく観て感じたものがすべてだと思いますね

そんなかっこいいものじゃない、だけどかっこいい男の生き方を貫く主人公とかマジで惚れるわ
そんな考えじゃダメだってのは分かるけど、それでもウォルトさんに男をたたき込まれたい気分にさせられる
まさに男の、とりわけおっさん向きの作品でした
渋い大御所の役者さんを起用するのはいいけど、がんばりすぎちゃってる若手の派手派手しい演出大好きな監督にまかせ、商業的な成功を露骨に狙って若い女性層を意識したキャスティングの「なんちゃって感動大作」はウンザリなんですよ
地味でも渋すぎでも若い女性たちに「は?」って思われようといいじゃない
元がおいしいものに余分な味付けや装飾はいらんのですよ

という感じで、世の疲れ切ったおっさんどもはぜひ観ましょう
ラストの泣きとも感動ともちょっと違う、なんともいえないジーンとくる感情に浸りましょう

個人的評価:100点
オススメ度:身内ほど厄介な他人はいない



グラン・トリノ 予告

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