2009年8月9日日曜日

ロレンツォのオイル (1992/米)

監督:ジョージ・ミラー
出演:ニック・ノルティ / スーザン・サランドン / ピーター・ユスティノフ / キャスリーン・ウィルホイト / ジェリー・バンマン / マドゥカ・ステッディ / ジェームズ・レブホーン / アン・ハーン / ザック・オマリー・グリーンバーグ


父親の仕事の関係で世界をまわる生活をしていた5歳の子供ロレンツォ
ある日、ロレンツォは急に暴力的になったり異常行動を起こすようになってしまった

気づくと実話ベースの映画作品を多く見てる気がする昨今
たいがいは知らずに興味を持ったままに見てるだけなんですけど、事実は小説よりも奇なりなストーリーにひかれてるんでしょうか
それはそれとして、この作品は作中の時代における1980年代において、珍しい上に病気として認識されたばかりのALDという発病から二年で死ぬといわれた困難な病を扱ってます
個人的にはALDというのは初めて聞いたんですが、一昔前に海外のテレビを紹介する日本の番組でもやってたそうですね

少年が困難な病になって、その戦いの過程を描いていくドラマは個人的に好きなんですが、この作品の病に対する描写はガツンときますね
まさに闘病とかきれい事じゃねえんだよ、って感じで
目はうつろ、歩行は困難、半植物人間状態、度重なる不定期な発作…しょうじき病に苦しむ子供の姿を見てて痛々しすぎます
そして、この映画はそんな絶望的な状態と戦う少年の話…ではなくて、病と闘う子供のためにがんばる両親の物語なんですね

ALDという病が認知されて10年もたたない時代ゆえに、医師たちも手探り状態な上にろくな臨床実験もできてないから効果的な治療どころか、まだまだその治療法を確立する実験段階でしかない
そんな中でも両親は医師たちの実験に藁にもすが思いで協力していくんですが、どうにもこうにも様相はよろしくない
そんな中で、両親は誰も詳しいことがわからない状況なら自分たちで調べてやる、ってことで行動をおこしていきます

両親の奮闘は前に進みはするんですが、それでも精神的なストレスで気が立ったり、きちんとした実験による安全性を重んじる医師との悶着があったり、色々なアクシデントが降りかかるんですね
それでもクールに前だけを見て歩き続ける親たち、というのではなく感情をむき出しにがんばる親の姿は本当に「きれい事じゃない」けど、個人的にはこういう感情を爆発させる系のがんばりの方が好みかもしれません

どんどんと子供の病状は悪化していく中、一縷の望みが見えるんですね
でもそこで叩きつけられる現実が本当に痛い
仮に病気が緩和しても、進行してしまった病の傷跡は元には戻らない
寝たきりで、いつ苦しみをともなう発作が起こるか分からないいたずらな延命状態を子供は望んでいるのか、と
すみやかに楽に死なせてやった方が救われるんじゃないのか、と

やっぱり「死」に対して重みを感じられる作品は不謹慎かもしれないですが、面白いですね

以下、ちょっと軽いネタバレになります
自分の目でこの映画を見たい人は注意を
この映画が完成して公開されたのが1992年
その後のロレンツォたちはどうなったかネットで調べてみたら、母親は2000年に肺ガンで死亡、ロレンツォも病の進行度が重度すぎて大きく回復をすることなく2008年に亡くなったそうです
のこった父親は故郷のイタリアに戻ったとか
それでもエンディングの子供たちのように、世界中でロレンツォのオイルに救われて元気になっている人がいるのは大きな進展…というとなんかチープな響きになりますね
それでもロレンツォの両親は我が子が元気になればそれでよかったのでしょうから

個人的評価:80点
オススメ度:たまにはこういう作品も見ないとね




ロレンツォのオイル 予告

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